第11節 国土の空間特性・土地利用に応じた施策


1 森林・農地


(1)森林
森林の持つ多面的機能を持続的に発揮させるため、多様な森林づくりを推進しました。また、持続可能な森林経営の推進、地域森林計画の樹立等に必要な基礎資料を得るため、森林資源モニタリング調査を引き続き実施しました。
また、森林の保全を図るため、特に公益的機能の発揮が必要な森林を保安林に指定し、伐採等の規制を行うとともに、豪雨や地震等による山地災害の防止を図るため、周辺の生態系に配慮しつつ荒廃地等の復旧整備や機能の低い森林の整備等を行う治山事業を計画的に実施したほか、松くい虫等の森林病害虫や野生鳥獣に対する各種防除措置等を総合的に実施しました。また、森林の保全管理水準の維持・向上のため、森林保全推進員等による森林パトロールの実施や啓発活動等を推進しました。
さらに、森林を社会全体で支えるという国民意識の醸成を図るため、森林ボランティア等広範な主体による森林づくり活動、全国植樹祭等国土緑化行事及び「みどりの日」・「みどりの週間」を中心に行う緑化運動、巨樹・巨木林や里山林等身近な森林・樹木の適切な保全・管理のための技術開発及び普及啓発活動を支援するとともに、森林での様々な体験活動を通じて、森林の持つ多面的機能等に対する国民の理解を促進する森林環境教育や里山林の保全・利用活用など、森林の多様な利用及びこれらに対応した整備を推進しました。
国有林野については、公益的機能の維持増進を旨とする管理経営の方針の下で、林木だけでなく動物相、表土の保全等森林生態系全般に着目した多様な森林整備を行いました。

(2)農地
生活環境の整備等を生態系の保全に配慮しながら総合的に行う事業等に助成し、農業の有する多面的機能の発揮や魅力ある田園空間の形成を促進しました。農村地域の生物情報の調査・データベース化を行い、生物の生息・生育地と水路等の農業用施設との生態系ネットワーク化を図る技術の開発や水路における生きものの環境評価手法の開発を進めました。農業生産活動と調和した自然環境の保全・再生活動の普及・啓発のため、「田園自然再生活動コンクール」を実施するとともに、活動上の新たな課題に対する技術的支援を実施しました。
棚田における農業生産活動により生ずる国土の保全、水源のかん養等の多面的機能を持続的に発揮していくため、棚田等の保全・利活用活動を推進したほか、農村の景観や環境を良好に整備・管理していくために、地域住民、地元企業、地方公共団体等が一体となって身近な環境を見直し、自ら改善していく地域の環境改善活動(グラウンドワーク)の推進を図るための事業を行いました。
田園自然再生関連対策として、地域住民や民間団体等による保全活動と連携した生態系保全型の農地、土地改良施設の整備等を進めるとともに、景観保全、自然再生活動の推進・定着を図るため、地域密着で活動を行っているNPO等に対し支援を実施しました。また、農業用排水の水質保全と農業集落の生活環境の改善を図るため、農業集落排水施設の整備を推進しました。
自然環境や国土の保全など農業の多面的機能を発揮するため、効果の高い地域の共同活動や環境負荷の低減に向けた先進的な営農活動への支援策について検討を進めました。
また、資源の循環的な利用、農業生産活動に伴う環境への負荷の低減及びそれを通じた生物多様性の維持等の自然環境の保全を図る観点から、引き続き、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(平成11年法律第110号)に基づき、たい肥等による土づくりと化学肥料・化学合成農薬の使用低減に一体的に取り組む農業者(エコファーマー)の育成等を推進しました。
また、家畜排せつ物法に基づき、より高い環境保全効果を有する家畜排せつ物処理施設の整備に関する事業を推進するとともに、金融・税制上の措置を講じたほか、食品残さ等未利用資源の飼料化施設等の整備に取り組みました。都市部の農地においては、都市住民への農産物の供給や都市住民の交流の場としての活用を図るため、簡易な基盤整備や市民農園の整備等を推進しました。

2 都市・公園緑地・道路


(1)都市公園の整備等
都市における緑とオープンスペースを確保し、水と緑が豊かで美しい都市生活空間等の形成を実現するため、「都市公園整備事業」の推進を図りました。また、都市公園の整備、緑地の保全、民有緑地の公開に必要な施設整備を総合的に支援する「緑地環境整備総合支援事業」を実施しました。土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境と景観を創出するため、市街地に隣接する山麓斜面にグリーンベルトとして樹林帯を形成し、無秩序な市街化の防止や都市周辺に広がる緑のビオトープ空間の創出に寄与しました。

(2)緑地保全等の推進
都市における緑地の保全及び緑化の推進並びに都市公園の整備を一層推進し、緑豊かで良好な都市環境の形成を図るため、都市緑地法(昭和48年法律第72号)に基づく特別緑地保全地区の指定を推進するとともに、地方公共団体等による土地の買入れ等を推進しました。また、首都圏近郊緑地保全法(昭和41年法律第101号)及び近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和42年法律第103号)に基づき指定された近郊緑地保全区域において、地方公共団体等による土地の買入れ等を推進しました。さらに、風致に富むまちづくり推進の観点から、風致地区指定の推進を図りました。

(3)国民公園及び戦没者墓苑
旧皇室苑地として広く一般に利用され親しまれている国民公園(皇居外苑、新宿御苑、京都御苑)及び千鳥ケ淵戦没者墓苑では、その環境を維持するため、施設の改修、園内の清掃、芝生・樹木の手入れ等を行いました。

(4)道路緑化
CO2の吸収により地球温暖化を防止する等、環境負荷を低減し、良好な景観を形成するため、道路緑化を実施しました。また、地域の個性をいかした親しみの持てる美しい街並みを形成するため、モデル地区において、地域住民と道路管理者が協力しながら緑陰道路を管理する取組を進めました。

(5)緑化推進運動への取組
緑化推進連絡会議を中心に、国土の緑化に関し、全国的な幅広い緑化推進運動の展開を図りました。運動の一層の展開と定着化を図るため、「平成18年度緑化推進運動の実施計画」に基づいた施策を実施しました。
都市緑化の推進として、「春季における都市緑化推進運動」期間(4〜6月)、「都市緑化月間」(10月)を中心に、その普及啓発に係る活動を実施しました。

3 河川


(1)河川とダム
河川やダム湖等における生物の生息・生育状況の調査を行う「河川水辺の国勢調査」を実施し、結果を河川環境データベース(http://www3.river.go.jp/IDC/index.html)として公表しています。また、世界最大規模の実験河川を有する自然共生研究センターにおいて、河川や湖沼の自然環境保全・復元のための研究を進めました。加えて、生態学的な観点より河川を理解し、川のあるべき姿を探るために、河川生態学術研究を進めました。
地域住民やNPO、関係機関等と連携を図りながら河川や乾燥化傾向にある湿地や干潟などの再生を進めることにより、生物の良好な生息・生育環境を復元しています。また、平成18年5月の「多自然型川づくりレビュー委員会」からの提言「多自然川づくりへの展開」を踏まえ、18年10月には「多自然川づくり基本方針」を策定し、より一層河川環境の保全と創出に向けた取組を推進しました。さらに、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」についても改定し、災害復旧事業においても、河川環境の保全・復元の目的を徹底しました。
また、水系を全体的に捉え、河川とダムの連携を図りつつ、河川環境の保全を目的とする「水系環境整備事業」を実施し、ダム貯水池においても湖岸の整備や緑化対策等によってダム湖の活用や親水性の向上を図りました。
土砂災害の防止の実施に当たり、生物の良好な生息・生育環境を有する渓流・里山の環境等を保全・再生するため、NPO等と連携した山腹工などにより、里地里山などの多様な自然共生型の砂防事業を推進しました。また、土砂災害の防止と併せて、すぐれた自然環境や社会的環境を持つ地域等の渓流において、自然環境との調和を図り良好な渓流環境の再生や歴史的価値を有する砂防設備の活用を踏まえた周辺環境整備など、個々の渓流の特色をいかした砂防事業を展開しました。さらに、事業実施箇所及びその周辺において良好な景観を形成することを目的に、「砂防事業における景観形成ガイドライン」を策定しました。
がけ崩れ対策においては、貴重な緑の空間である斜面環境・景観を保全しつつ安全度を向上するため、既存樹木を活用した緑の斜面工法による斜面整備崩壊土砂を捕捉する緩衝樹林帯整備を推進しました。

(2)総合的な土砂管理
ダム堆砂の進行、河床低下、海岸侵食等の土砂管理上の問題が顕在化している流砂系において、砂防、ダム、河川、海岸に係る各領域が連携を図り、土砂の量と質に関するモニタリング等の取組を実施しました。

4 海岸・港湾・海洋


(1)港湾及び漁港・漁場における環境の整備
港湾では、開発・利用と環境の保全・再生・創出を車の両輪としてとらえた「港湾行政のグリーン化」を図るため、水質・底質を改善する汚泥しゅんせつ及び覆砂、干潟の創出、緑地の整備などを推進しました。にぎわいの場となる「美しいみなと」を実現するため、堺泉北港等88港で緑地等を整備、宮津港等13港で干潟等の整備を行いました。また、東京港中央防波堤内側、大阪湾堺臨海部、同尼崎臨海部における大規模緑地の創出に取り組みました。さらに、ゴミの投棄、油の流出などの水環境や景観に悪影響を及ぼす放置艇の解消を図るため、船舶等の放置等禁止区域の指定を促進するとともに、ボートパークの整備を推進しました。
海洋の環境を改善するため、漁港区域内の汚泥・ヘドロの除去覆砂等の整備を行う水域環境保全対策等を全国3地区で実施したほか、藻場・干潟の整備保全事業を支援するための地方財政措置を講じました。また、磯焼け対策の選択方法や適正な実施方法を内容とする磯焼け改善ガイドラインを策定しました。
海水交換機能を有する防波堤等の整備、水産動植物の生息・繁殖が可能な護岸等の整備等を総合的に行う「自然調和活用型漁港漁場づくり推進事業」を全国47地区で実施しました。

(2)海岸における環境の整備
快適で潤いのある海岸環境の保全と創出を図るため、砂浜の保全・復元により生物の生育・生息地を確保しつつ、景観上もすぐれた人と海の自然のふれあいの場を整備する「海岸環境整備事業」を、全国117か所において実施しました。


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