第4節 身近にある対策技術

我が国にとって、地球温暖化問題に対処するためには技術の開発と普及が重要であることを見てきました。また、第3節では、技術の開発と普及が持つ意義について述べました。本節では、我が国の現在の二酸化炭素排出の部門別概況を把握した上で、実用段階にあり、普及可能性が高く、普及による二酸化炭素削減効果が大きく期待されるものを中心に、地球温暖化対策技術の状況と、その個々の活用による効果を概観します。

1 我が国の二酸化炭素排出状況


(1)全般的状況
我が国における二酸化炭素の排出状況を、京都議定書の基準年である1990年(平成2年)から排出部門別に見ると、図3-4-1のようになっています。

図3-4-1日本の二酸化炭素排出量の推移


(2)産業部門の状況
前節でも見たように、産業部門では特に石油ショックを機に様々な省エネルギー対策技術が導入され、その後も取組が進んでいます。図3-4-1のように、依然として産業部門の二酸化炭素の排出量の割合は大きく、京都議定書の部門別目標値には及ばないため、引き続き取組の推進が必要であるものの、基準年である1990年との比較では排出量は減少しています。
こうした状況は、国際的に比較しても、我が国において優れた省エネルギー技術が普及していることの現れであると言えます。主要な産業別で生産量当たりの二酸化炭素排出量を見ると、我が国の製造業においては諸外国よりも省エネルギー等の二酸化炭素排出削減が進んでいることが分かります(表3-3-1)。我が国の技術が海外へ移転されれば、それらの国々においてもより二酸化炭素排出削減が進められることが期待され、我が国は技術移転を通じた地球温暖化対策への貢献をすることができると考えられます。

(3)民生部門、運輸部門の状況
これに対して、民生部門(業務その他、家庭)、運輸部門の二酸化炭素排出量は、基準年である1990年と比較して全体として大幅な増加(業務その他44.6%、家庭36.7%、運輸18.1%)となり、かつ、2005年現在57%と相当の排出割合を占めていることが分かります。逆に見れば、これらの部門に関わる多くの人々が取組を進めることにより、削減効果は非常に大きくなるものと期待できます。このため、特にこれらの部門を中心に、実用段階にある技術の普及による二酸化炭素排出量の削減について見ていくこととします。

2 製品やシステムに具体化された各種の技術の状況

各種の技術の要素は、製品やシステムに実際に取り入れられ、それが普及し使用されることによって初めて、二酸化炭素排出削減効果を発揮します。
以下では、製品やシステムで使われている技術のうち今後広く普及が期待されるものについて、大きく、エネルギーを使う側(需要側)の技術とエネルギーを供給する側の技術とに分けて見ていくこととします。

(1)需要側での省エネルギー技術
家庭や業務用ビル等の民生部門からの二酸化炭素の排出の内訳を見たのが、図3-4-3、図3-4-4です。この図から、給湯や冷暖房、動力他(冷蔵庫、照明等)などが、二酸化炭素排出の大きな割合を占めていることが分かります。また、運輸部門に関しては、図3-4-5のように、二酸化炭素排出量の約9割を自動車が、特に約5割を自家用乗用車が占めていることが分かります。

図3-4-2対策技術を活用した機器等を導入した家庭のイメージ


図3-4-3民生家庭部門の二酸化炭素排出の内訳


図3-4-4民生業務部門の排出の内訳

これらの機器等に係る二酸化炭素排出量の削減は大きな効果を生むので、積極的に排出量を減らすことが重要です。以下では、これらの機器等を中心に、技術の活用による二酸化炭素排出量の削減の可能性について見ていきます。

図3-4-5運輸部門における二酸化炭素排出量の割合


ア 熱、ヒートポンプ関連技術
大気など周囲の熱を取り込んで別の場所へ移動させて放出するヒートポンプ技術は、通常では利用しにくい低い温度の熱エネルギーを利用することができ、高効率でエネルギーを活用することが可能で、空調(冷暖房)や冷蔵冷凍に用いられていますが、各種技術の向上により、大きく性能が向上しています。近年では、給湯や洗濯乾燥機にも用いられ、大幅な省エネルギーが実現しています。さらに、地中、下水、河川水の熱を利用したヒートポンプ冷暖房等も実用化されています。
また、熱を段階的に利用したり、潜熱を回収したりするなど、熱に関する効率を向上させる各種の技術を活用した製品の普及も進みつつあります。

図3-4-6ヒートポンプの仕組み


(ア)高効率なエアコンディショナー
今日ほとんどの家庭やオフィスなどに普及しているエアコンディショナー(エアコン)は、冷房用のみならず暖房兼用のものも多く普及しています。エアコンは、家庭内における消費電力の大きな部分を占めているので、効率性の向上が特に期待される分野です。高性能のヒートポンプ技術、新たな制御技術など様々な技術の開発・導入により、今日のエアコンの効率は非常に良くなっています。
特に、最近の高性能機種では消費電力1kW当たりの冷暖房能力(kW)(以下「COP」という。)が6を超える製品も出るなどエネルギー効率が従前と比較して非常に高くなっており、旧型のものをこのようなエアコンに置き換えると、大幅に二酸化炭素の排出を削減できます。冷暖房COPの推移を見ると、この10年ほどで急速に効率が上がっています。最新高性能機種に買い換えると使用時の電力料金も大幅に節約できることになります(図3-4-7)。

図3-4-7エアコンの冷暖房COP推移

エアコンの家庭内ストック台数は1億2000万台以上あり、長期に使用されているものも少なくないため、代替の余地は相当にあると考えられます。
さらに、近年の高性能機種では、より的確な気流を作ることで暖房起動時に暖かさを素速く感じさせる機能が付いているものや、内部の清掃が容易にできたり自動になっていたりする(このため埃が詰まることによる効率の低下も起きにくい。)ものなどがあり、利便性と経済性と環境性能が一体となって向上していると言えます。

(イ)自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯器、潜熱回収型高効率ガス給湯器
自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯器は、冷媒に二酸化炭素を使い、通常のエアコンと同じようなヒートポンプの原理により、電気と大気中の熱を使ってお湯を沸かす給湯器です(「エコキュート」という名称で知られています。)。
大気中の熱を使うため効率が高く、従来の燃焼式給湯器と比較して一次エネルギー使用量を約3割、二酸化炭素排出量を約半分削減できます。このため従来の給湯器と比較して大幅な光熱費の削減も図ることができるものとなっています。
また、排ガス中の水蒸気から潜熱を回収することなどにより、従来の約80%に対して約95%という高効率を達成した潜熱回収型高効率ガス給湯器(「エコジョーズ」という名称で知られています。)も開発され、普及が進んでいます。
また、ガスエンジンヒートポンプの普及も進んでいます。

図3-4-8自然冷媒ヒートポンプ給湯器の仕組み


図3-4-9潜熱回収型高効率ガス給湯器の仕組み


(ウ)冷蔵庫
冷蔵庫も、冷却技術、断熱技術、制御技術などに関する様々な技術によって省エネルギー性能が大幅に向上しています。
その結果、この20年の間に、内容積1リットル当たりの消費電力量は3分の1以下になり、この数年だけでも消費電力量は3割以上低下しました。このため、旧式の冷蔵庫を最新の省エネルギー性能の高いものに買い換えた場合、相当な省エネルギー効果があると言えます(図3-4-10)。

図3-4-10冷蔵庫(450Lクラス)の実使用時年間電力消費量の推移


(エ)ヒートポンプ式電気洗濯乾燥機
近年、洗濯物を乾かすのに衣類乾燥機を使用する家庭が増えています。衣類乾燥機は電力を必要としない自然乾燥に比較して多くの電力を消費しますが、最近複数の企業から相次いで発売された、ヒートポンプ技術を搭載した洗濯乾燥機は、従来のものに比較して大幅な省エネルギーを達成し、消費電力を半分以下に削減することが可能になっています。

イ 照明の省エネルギー技術
照明は、素材・デバイス技術により大幅な省エネルギー化が進んでいます。
照明用電球については、インバータ式蛍光灯機具、高周波点灯専用形蛍光灯(Hfランプ)などに代替されることにより大幅に消費効率が上がっています(図3-4-11)。これらの製品はすぐに点灯する、ちらつかないといった利点も併せ持っています。

図3-4-11蛍光灯照明における省エネ比較

電球形蛍光ランプは白熱電球と比較して4倍から5倍の高いエネルギー効率となっています。ランプの価格は白熱電球より高いですが寿命も長く電気代も安いため結局経済的です(図3-4-12)。

図3-4-12電球形蛍光ランプと白熱電球の消費電力の比較

また、LED(発光ダイオード)は、低消費電力であることに加え、長寿命、小型化などの特徴があります。既に信号機やディスプレイへの導入が進んでいますが、今後一般照明分野への普及も期待されます。発光性のある有機素材に電流を流すことにより発光させる有機EL(エレクトロルミネッセンス)は、低消費電力であるとともに、薄く作ることができ折り曲げ可能といった特徴も併せ持ち、ディスプレイでの実用化も始まっているのに加え、今後は照明分野での実用化・普及も期待されます。
さらに、高性能な反射素材を用いた反射板を適切な反射角度で設置して使用することで、大幅に照明の効果を上げ電力消費量を削減する技術も実用化されています。環境省においては、平成18年度に東京・霞ヶ関の本省建物内において蛍光灯に反射板を取り付けて照度調節を行い、節電を図った結果、執務室の照明に係る消費電力が17年度比で約30%減少しました。

ウ その他の家電製品の省エネルギー技術
テレビは、近年、従来からのブラウン管型テレビに加え、薄型テレビである液晶テレビや、プラズマディスプレイテレビの普及が拡大しています。特に薄型テレビの普及は、画面の大型化に伴って消費電力の増加につながりやすいという問題があります。しかし、同じ大きさ、同じ方式のものでは、それぞれに省エネルギー化が進んでおり、中型以下では液晶テレビの電力消費量がプラズマテレビやブラウン管テレビに比して少ないといった傾向があります。トップランナー制度による省エネルギー化も進んでいます。

図3-4-13テレビの省エネ要素技術

温水洗浄便座は、快適さの他に健康上の理由や寒冷地の気候への対応などでの理由から必要とする人も多く、近年普及率が高まっています。温水を必要とし、また便座を暖めることなどに電力を消費しますが、それらに関する省電力の技術が進んできています。使用のたびに水を温める「瞬間式」は、瞬間的には大きな電力を必要としますが、温水を保温する電力が不要のため、「貯湯式」より消費電力が小さくなります。また、便座の暖房に要する電力を節減するため、使用しない時間の便座暖房を自動的に切る機能や、使用時のみに使用者を感知して暖房するといった制御による省エネルギー機能を有した製品も販売されています(図3-4-14)。

図3-4-14タイプ別の年間消費電力の比較

真空断熱型電気ジャーポットは、真空断熱技術の活用により、従来の電気ジャーポットと比較すると保温時の省エネルギー性能が大幅に優れており、保温時の消費電力を約80%、湯沸かし時と合わせて約半分削減しています。ここでも、制御技術、素材技術など各種の技術が活用されています。

エ 厨房における省エネルギー技術
厨房で使うコンロも、高効率化が進んでいます。ガスコンロについては、炎の角度の改善や、バーナー径の縮小、燃焼空気の火炎への適切な供給等により、高効率化を実現しています。

オ 建物関係の省エネルギー技術
建物の断熱を考える際には、熱を通しやすい窓の断熱対策が重要な点の一つです。単板ガラスと比較すると、複層ガラス、特に高断熱複層ガラスは非常に熱を通しにくく省エネルギー性能に優れています。また、サッシの熱伝導性も大きな問題となるので、木製サッシや樹脂サッシなどの熱伝導性の低いサッシと併せて使用することが効果的です。
さらに、窓以外の部分の断熱性能が低い場合には、壁や天井などに断熱材を用いるなどの対策を併せて行うことが重要です。家屋全体の断熱化は、省エネルギー効果があるだけでなく、室内の床・壁・天井の表面温度と室内の空気温度が近くなり、不快感がなくなるなどの利点があります。これらの断熱は、素材・部品の技術、設計の技術、適切な施工技術などによって効果的に実現するものと言えます。
また、遮光性・断熱性の向上や植物からの蒸散などによって、建物の放射温度を下げ、暑さを和らげる効果のある屋上緑化や壁面緑化も近年普及が進んでいます。これらの普及に当たっては、土壌の軽量化などの素材開発や、植物への給水システムなどの技術がいかされています。また、屋上緑化や壁面緑化は、植物による二酸化炭素吸収効果も期待されます。

図3-4-15ガラスとサッシの種類による断熱性能


カ 自動車関係の技術
運輸部門の二酸化炭素排出量の約9割を自動車が占めています。この排出削減のためには、自動車輸送量を抑制・削減するための交通需要マネジメント、そのためのモーダルシフト(自動車輸送からより効率の良い鉄道輸送や船舶輸送に転換すること)や物流システムの改善、都市構造の改善といった様々な施策の組合せが必要ですが、自動車単体の燃費の改善に関する技術の普及は即効的かつ重要なものと言えます。
ハイブリッド自動車は、エンジンとモーターといった複数の動力源を組み合わせて作った自動車です。省エネルギー性能が非常に高い上、排出ガス低減性能も非常に高いことが特徴です。乗用車では、ガソリンエンジンとモーターを組み合わせ、外部電源からの充電ではなくエンジンの回転で充電し、動力はエンジンとモーターのどちらか又は両方を使う型の普及が進んでいます。また、ディーゼルエンジンと電気モーターのハイブリッドバスも使われています。このようなハイブリッド自動車では、高度の制御技術が用いられており、また、電池に関する技術もその重要な要素となっています。
電気自動車、天然ガス自動車などの普及には、充電、充填施設の整備や頻繁な充電、充填等が必要だったのに対して、ハイブリッド自動車では、使用に際して新たな施設整備や頻繁な充電などが不要で、省エネルギー等のメリットを手軽に享受できるものとなっています。
車両価格は幾分割高ですが、燃料消費量すなわち二酸化炭素排出量が大幅に削減され、同時に燃料費が大幅に削減されます。
従来型のガソリンエンジン自動車やディーゼルエンジン自動車についても、燃料噴射の方式や制御の改善、無段変速機の採用等各種の燃費改善技術の採用により、燃費が相当改善しています。

図3-4-16ハイブリッド自動車の仕組み


キ 施設全体の管理システム
近年、BEMS、HEMSが注目されています。BEMSやHEMSは、ビルや住宅全体のエネルギーの供給や需要の状況を一括して総合的に把握した上で、効率的な機器・設備の運転等を行い、総合的に省エネルギーを実現するためのシステムです。

コラム ESCO(Energy Service Company)

新たなビジネスモデルとして近年ESCO事業が広がりつつあります。この事業は、ESCO事業者がビルなどの省エネルギー効果を保証して省エネルギー対策を行い、それによって浮いたエネルギー費用をESCO事業者の対策費用や報酬に充てるというものです。ビルの所有者等にとっては費用を掛けずに省エネルギー対策を実施することができ、ESCO事業者への報酬分の支払い終了後は省エネルギーによる経費削減メリットをビルの所有者等が得ることができます。
各種の省エネルギー対策を総合的に導入する上で効果的なもので、このビジネスモデル自体が知恵をいかした一種の対策技術とも言えます。ESCO事業の中で個々の省エネルギー機器の導入、BEMSによる監視、効率的な運転制御という総合的な対策推進が可能になります。
また、家庭においては、一軒一軒の省エネルギーによる光熱費の削減の規模が小さく、採算が合わないため、ESCO事業は成立していませんでした。平成18年度の環境省主催の環境政策提言コンテスト(http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=7992)において、びわこ銀行等が提案した、ESCO手法と優遇ローンを組み合わせて家電機器の買換えを推進する「多主体連携による家庭版ESCOスキームを用いた家庭部門の省エネルギー推進」が優秀提言とされました。このような民間による家庭部門の新たな二酸化炭素削減対策が進められることが期待されています。


コラム 普及を進めるための仕組み

近年の技術の開発は目覚ましく、省エネルギー効率を大幅に改善するための技術が組み込まれた製品が次々に販売されています。これらが普及し、省エネルギー効果を発揮するためには、消費者や事業者に認識され、使用されなければなりません。そのためには、ハードの技術だけでなく、その技術普及のための知恵や仕組みが必要です。そこで、現在、様々な方法で省エネルギー製品を普及させる取組が行われています。以下、その例を見てみます。
1 ラベリング制度
環境性能が高い製品の普及のためには、消費者・利用者が環境性能の良い製品を選択できるための適切な情報が分かりやすく示されていることが重要です。
その観点から、環境性能が高い製品にマークや性能の表示を付けるラベリング制度は有効です。ラベリングにはエコマーク、自動車の燃費性能表示、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)に基づく省エネラベリング表示など様々なものがあります。省エネラベリング制度では、平成18年10月から、エアコン、冷蔵庫、テレビについて、統一省エネラベルが表示されることになりました。統一省エネラベルは、省エネ法に基づく省エネルギー基準(トップランナー基準)の達成の有無と達成率が、5段階の星で多段階評価されているほか、年間消費電力量、1年間使用した場合の目安電気料金などを表示しており、省エネルギー型製品が一層分かりやすくなる工夫がされています。
2 融資制度
省エネルギー対策のためには初期投資が必要になりますが、各種の融資などによって資金の壁を低くする取組も広がっています。例えば、中小事業者等向けの環境活動評価プログラムであるエコアクション21を採用して、環境対策を進める事業者等に対して優遇金利を適用するといった取組も、環境対策を進めるための融資として広まっています(http://www.ea21.jp/)。

図3-4-17統一省エネラベル



(2)エネルギー供給側での技術
供給側対応技術としては、発電所における効率化や、発電のエネルギー源を二酸化炭素発生量の少ないものに変えていくといった方法があります。
ここでは、民生部門(業務その他、家庭)又は運輸部門(自動車)のいずれかの消費の場に近く、普及の段階に来ている再生可能エネルギーである、太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオマスエネルギーについて見ていくこととします。電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)により太陽光や風力を始めとする新エネルギー等を基準利用量以上に利用することが義務づけられたこともあって、その利用は拡大しています。

ア 太陽エネルギー関連技術
太陽エネルギーの利用の主要な技術の一つは太陽電池による発電システムです。
太陽電池は光のエネルギーを直接電気に変換するものです。屋根に当たる未利用の太陽光を用いて、二酸化炭素の発生なしに電力を生み出すことができ、近年、一般家庭へも普及し始めました。
光を電気に変換するための素子に関する技術や、発電した電力を利用するための制御システムが重要な要素になっています。
また、今日では、集熱や蓄熱のための新たな技術も活用して、効率的に太陽の熱も活用することができるようになっています。

イ 風力エネルギー関連技術
風力は、洋上なども含めて発電の潜在的可能性は相当大きいと考えられます。電力や電圧が不安定であるなどの課題はありますが、その利用は拡大しています。風が強く風車の羽根が大きいほど発電効率が高くなるため、大型化が図られています。また、効率性の課題はあるものの、身近に利用できる小型の風力発電機器やさらにこれを太陽電池と組合せたものも実用化されています。

ウ バイオマスエネルギー関連技術
バイオマスエネルギーとは、再生可能な生物由来の有機性資源(化石資源は除く。)から得るエネルギーのことです。植物が太陽光エネルギーを光合成により固定したエネルギーを利用するものであり、植物等が再生産される範囲内においては、二酸化炭素を排出しないとみなすことができます。
薪、炭といった伝統的な利用に加え、廃食用油のディーゼル燃料としての利用、家畜排せつ物のメタン発酵、バイオマスを原料としたエタノール発酵などの技術の利用があります。特に、自動車用燃料として注目されているのがバイオエタノールです。近年、建設発生木材や食料生産過程で発生する規格外農産物、さとうきび糖みつ等の副産物等からバイオエタノールを作る技術が実用化の段階にあり、平成19年1月には大阪府で建築廃木材からエタノールを製造する世界で初めての商業用プラントが開所しました。19年度からは、大都市圏や沖縄県の宮古島等で、バイオエタノール等の輸送用バイオマス燃料の大規模導入を目指した地域システムの実証事業などが進められる予定です。
以上のように、これまでの未利用熱を利用するヒートポンプ技術などの種々の省エネルギー技術や、管理制御技術による全体的な機器管理などの様々な技術を用いて、省エネルギー性能に優れた製品やシステム、新エネルギーを利用した二酸化炭素を排出しないエネルギー供給手段等が実用化され、その普及が進みつつあります。これらの技術の普及を拡大し加速化することで、二酸化炭素排出量の削減が大きく前進することが期待されます。

図3-4-18宮古島「バイオエタノール・アイランド」構想


3 国民運動の展開

これらの技術は、人々に広く普及し使用されることによって初めて、二酸化炭素の排出削減効果を発揮するものであり、国民の行動やライフスタイルの転換を促す国民運動の展開が不可欠です。
総理大臣をチームリーダーとする地球温暖化防止のための大規模な国民運動「チーム・マイナス6%」は、平成19年3月現在、個人約110万人、企業・団体約1万1000団体がチーム員として登録しており、多くの国民、企業・団体への波及を実現しています。冷暖房に頼りすぎずに快適に過ごすことを提唱する夏の「COOL BIZ(クール・ビズ)」や冬の「WARM BIZ(ウォーム・ビズ)」は、それぞれ、約114万トン(2006年度夏)、約141万トン(2005年度秋冬)の二酸化炭素削減効果を上げたと推計されています。また、衣・食・住を通じて家の中からできる地球温暖化対策を推進する「うちエコ」の取組も広がっています。
このように、地球温暖化対策において国民運動の展開は重要な役割を果たしています。二酸化炭素排出削減のための技術やそれを活用した製品の普及、それらの適切な使い方の浸透に当たっても、一人一人の意識の改革は重要であり、国民運動の展開は大きな効果をもたらすものと期待されます。ライフスタイルの転換に向けて、大々的な国民運動の展開を、あらゆる主体の力を結集して推進していくことが必要です。

コラム うちエコ

平成18年10月、若林環境大臣が衣食住を通じて家の中からできる地球温暖化対策を推進する取組「うちエコ」を発表しました。
「うちエコ」では、衣食住の取組を具体的に提案しています。冷暖房を控えめに設定した室内でも快適に過ごすため、衣の「うちエコ」として家でもクール・ビズやウォーム・ビズを実践することを、また、食の「うちエコ」として体温を下げるものを食べることや家族みんなで鍋を食べて体も心も温まることなどを提案しています。さらに、住の「うちエコ」として家電の電源をコマメに切ることや省エネルギータイプの蛍光灯・電球を使うことなどを提案しています(http://www.team-6.jp/)。

図3-4-19うちエコのロゴマーク




前ページ 目次 次ページ