第10節 自然環境の保全に関する国際的枠組みの下での取組と新たな国際的枠組みづくり


1 生物多様性の保全

「新・生物多様性国家戦略」に基づき、引き続き「生物の多様性に関する条約」の国内外での実施促進を図ります。また、遺伝子組換え生物の利用による生物多様性への悪影響を国際的に協力して防止するために、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の運用等により、カルタヘナ議定書を的確に実施します。
ワシントン条約については、締約国間の適切な条約運用に向けての取組とともに、種の保存法の適切な運用等により、関係省庁間の協力の下に国内におけるより効果的な条約の履行体制の強化を図っていきます。
ラムサール条約については、引き続きアジア諸国の加盟促進に努めるとともに、湿地管理に関する人材養成や調査研究への協力など、アジア地域の重要な湿地の保全のため、同地域における協力体制の一層の強化を図ります。
アメリカ、オーストラリア、ロシア、中国及び韓国との二国間の渡り鳥等保護条約等に基づき、各国との間で渡り鳥等の保護のための共同調査を引き続き推進するとともに、会議の開催等を通じて情報や意見の交換を行います。
また「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」の成果を踏まえ、WSSDタイプ2パートナーシップに基づく東アジア−オーストラリア地域の渡り性水鳥の保護とその生息地保全に関する地域的な枠組みの構築に向けて取り組みます。
平成15年10月に中国との間で策定された、トキ保護協力に関する基本的な枠組みである「日中共同トキ保護計画」に基づき、繁殖協力などを積極的に推進します。
国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)の議長国として、メキシコにおいてICRI総会及び国際熱帯海洋生態系管理シンポジウムを開催するなどし、国際的なサンゴ礁保全において、中心的な役割を果たしていきます。

2 森林の保全と持続可能な経営の推進

森林原則声明、アジェンダ21等を踏まえ、世界の森林の保全と持続可能な経営の推進を目指し、1)国連森林フォーラム(UNFF)が有効に機能するよう、国際的な検討に積極的に参加し、IPFIFF行動提案の着実な実施を目指すとともに、2)アジア森林パートナーシップ(AFP)、森林法の施行及びガバナンス(FLEG)の関係会合等を通じた地域的取組の推進、3)国際熱帯木材機関(ITTO)国連食糧農業機関(FAO)等の国際機関を通じた協力の推進、4)国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)等を通じた二国間の技術・資金協力の推進、5)熱帯林の保全等に関する調査・研究の推進、6)民間団体の活動の支援による国際協力の推進等に努めます。特に、持続可能な森林経営を脅かす要因として国際社会で関心が高まっている違法伐採問題に対し、政府調達等を通じた対策を実施します。

3 砂漠化への対処

砂漠化対処条約」に関する国際的動向を踏まえつつ、アジア地域における活動を含め、同条約に基づく取組を進めます。具体的には、同条約への科学技術面からの貢献を念頭に、砂漠化の評価と早期警戒の研究や、砂漠化対処のための技術の活用に関する調査等を進めます。また、二国間協力や、民間団体の活動支援等による国際協力の推進に努めます。

4 国際的に高い価値が認められている環境の保全

世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づき世界遺産一覧表に記載された知床、白神山地及び屋久島の世界自然遺産について、適正な保全を推進します。特に、平成17年7月に登録された知床については、海域管理計画の策定など登録に際して世界遺産委員会から勧告のあった事項について適切に対応し、同地域の自然環境の適正な保全に向けた取組を進めていきます。
さらに、南極地域の環境保護の促進を図るため、観測、観光、冒険旅行、取材等に対する確認制度等を運用し、南極地域の環境保護に関する普及啓発を行うなど、「環境保護に関する南極条約議定書」及びその国内担保法である南極地域の環境の保護に関する法律の適正な施行を推進します。また、平成17年6月の南極条約協議国会議で採択された環境上の緊急事態に対する責任について定めた議定書附属書について、これに対応した国内制度等についての検討を行います。また、南極地域における基地等が周辺環境に与える影響をモニタリングする計画を立案するように各国に義務付ける南極条約協議国会議勧告が、2〜3年後に発効する見込みであるため、モニタリングの実施に必要な技術指針の作成を始めます。


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