第6節 土壌環境の安全性の確保


1 未然防止対策

土壌への有害物質の排出を規制するため、水質汚濁防止法に基づく工場・事業場からの排水規制や有害物質を含む水の地下浸透禁止措置、大気汚染防止法に基づく工場・事業場からのばい煙の排出規制措置、廃棄物処理法に基づく廃棄物の適正処理確保のための規制措置等を引き続き実施します。金属鉱業等においては、鉱山保安法に基づき鉱害防止のための措置を講じるとともに、金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づく鉱害防止事業の計画的な実施等に努め、また、休廃止鉱山の鉱害防止事業に係る所要の助成等を引き続き実施します。
地下に埋設される危険物施設については、危険物施設の腐食劣化に関する評価手法を確立し、データベースの構築を図ります。また、赤土等の流出防止に資するための調査や対策の普及・啓発事業を引き続き行います。

2 農用地土壌汚染対策

農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づき、特定有害物質として指定されているカドミウム、銅及び砒素並びに他の物質に関する知見の充実に努めるとともに、細密調査等の環境監視や、基準値以上の特定有害物質が検出された地域の対策地域への指定、対策計画の策定等の必要な措置が引き続き実施されるよう促進します。また、対策地域の指定が迅速かつ円滑に行われるよう、都道府県が行う調査にスクリーニングを導入するための調査検討を行います。さらに、食の安全・安心確保交付金により特定有害物質の作物への吸収を抑制する応急的な土壌管理対策を推進するとともに、農作物のカドミウム吸収を大幅に抑制する営農技術対策の確立に係る実証事業を実施します。加えて、農用地土壌から農作物へのカドミウム吸収抑制技術等に関する研究を引き続き実施します。

3 市街地等の土壌汚染対策

土壌汚染対策法の円滑な運用を図ります。また、市街地等の土壌汚染対策を推進するため、対象物質、暴露経路等を拡充した総合的な土壌環境基準等の検討のための調査、土壌汚染の生活環境や生態系への影響に係る検討調査、土壌中の重金属類が自然由来か人為的原因によるものかの判断の目安となる自然汚濁レベルの把握調査、低コスト・低負荷型の土壌汚染に係る調査方法や措置技術の普及の検討のための調査、法に基づく調査命令の実施の円滑化を図るための情報整備等に係る検討調査、土壌汚染の懸念から利用が進まない土地等の実態把握と対策手法に係る検討調査、射撃場に係る鉛汚染調査・対策方法を確立するためのガイドライン作成に向けた検討調査等を引き続き行います。また、新たに「油汚染対策ガイドライン」の活用状況の把握や活用上の課題の有無等に係る検討調査、土壌汚染の状況を調査する事業者や汚染土壌の浄化・処理を行う事業者を対象とした優良性評価の目安を検討するための調査を行います。なお、ダイオキシン類による土壌汚染については、ダイオキシン法に基づき都道府県等が実施する土壌の汚染の除去等の対策に対して助成を引き続き行います。


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