第6節 地域の生活環境に係る問題への対策


1 騒音・振動対策


(1)騒音に係る監視体制の強化等
地方公共団体と連携しながら、騒音に関する環境基準を監視するための体制を充実させます。また、騒音及び振動に関するより適切な評価や規制のあり方について検討を行います。

(2)工場・事業場及び建設作業騒音・振動対策
特定施設を設置する工場・事業場及び特定建設作業に対して規制が適切に実施されるように、苦情が相当数ありながら規制対象とされていない施設や建設作業の対策、規制手法及び評価手法等について引き続き調査検討等を行います。また、公共事業を中心に低騒音型・低振動型建設機械の使用を引き続き推進するほか、特定建設作業に係る工事騒音の予測手法及び低騒音型・低振動型建設機械の技術基準など適切な制度のあり方についての検討や、さらなる普及促進施策を実施します。

(3)自動車交通騒音・振動対策
自動車単体からの騒音の低減対策について、欧州諸国や米国など諸外国の状況を把握するとともに、現状の自動車から発している騒音の実態を調査し分析を行い、引き続き自動車メーカー等における自動車騒音低減技術の研究開発の促進を図ります。
また、新たな自動車騒音対策の検討を行うため、平成17年6月より今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について中央環境審議会において検討しており、測定法を含めた新たな基準・規制(許容限度)の検討を引き続き行います。地域レベルにおける各施策実施主体が一致協力して、道路交通騒音の深刻な地域について、可能な限り道路構造対策を実施し、これに加えて交通流対策、沿道対策等を実施することにより、地域に応じた施策を推進します。騒音低減効果のある高機能舗装の敷設の推進を図るとともに、沿道利用、景観等総合的な観点から地域の意向を踏まえつつ、環境施設帯の整備や遮音壁の設置等の対策を行います。
環状道路等幹線道路網の整備等による交通流の分散・円滑化を進めるとともに、公共交通機関の利用促進や新総合物流施策大綱に基づく物流の効率化等を図ります。
最高速度規制、大型車中央寄り車線規制、夜間通行止め規制、不正改造車両の取締り等、交通規制・交通指導取締り、暴走族対策を推進します。
幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和55年法律第34号)に基づく沿道整備道路の指定を促進し、道路管理者と都道府県公安委員会が協力して、まちづくりと一体となった対策を総合的に推進します。また、都市計画等を通じた適切な土地利用の誘導、土地区画整理事業等の手法の活用等について関係地方公共団体への助言・支援を図ります。
また、環境基準の達成に向け、総合的かつ計画的な対策推進を図るための検討を引き続き行います。

(4)航空機騒音対策
低騒音型機の導入、騒音軽減運航方式の実施等を促進します。また、住宅防音工事、移転補償事業、緩衝緑地帯の整備等の空港周辺環境対策事業を推進し、空港と周辺地域との調和ある発展を図ります。
近年全国で立地の動きがみられるヘリポート、コミューター空港等については、「小規模飛行場環境保全暫定指針」に基づき、騒音問題の発生の未然防止に努めます。
自衛隊等の使用する飛行場周辺の航空機騒音に係る環境基準の早期達成に向けて、消音装置の設置・使用、飛行方法の規制等の音源対策、運航対策に努めるとともに、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律等に基づき、周辺対策を推進します。

(5)鉄道騒音・振動対策
新幹線鉄道の騒音・振動については、発生源対策及び技術開発等を計画的に実施し、環境基準の達成に向けて対策を推進するよう鉄道事業者に働きかけます。特に第1次から第3次75デシベル対策が行われた区間以外にも、当面の目標として75デシベル以下とすることが必要な区間があるため、引き続き対策を実施していきます。また、環境基準の達成に向け技術開発が鋭意進められるよう促すとともに沿線土地利用の適正化を図ります。
在来鉄道の騒音・振動問題については、関係機関と連絡をとりつつ適切に対処します。新線又は大規模改良の計画に際しては、「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針」に基づき騒音問題の発生を未然に防止するための対策を実施するよう事業者に働きかけます。

(6)その他
空港周辺の大気汚染防止対策として、日本も参加しているICAO航空環境保全委員会(CAEP)での議論を踏まえ、国際的な基準の国内への適用を検討します。

2 悪臭対策

悪臭防止法の事務を担当する地方公共団体職員を対象に、臭気指数規制の周知を図るための講習会、嗅覚測定法の信頼性の確保を目的とした嗅覚測定法技術研修等を引き続き実施します。臭気指数規制の円滑な導入、運用に必要な取組もあわせて実施します。
また、国際的な嗅覚測定法の標準規格化の流れに対応するため、日本の測定技術及び対策手法の国際的な周知・普及を図るほか、各国における標準規格間の比較検討調査を行います。
さらに、より実態に即した規制方法や規制基準に向けた調査を行うとともに、平成12年に改正された悪臭防止法の一部の規定の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、これらの規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとします。

3 ヒートアイランド対策

ヒートアイランド対策大綱に基づき、人工排熱の低減、地表面被覆の改善、都市形態の改善、ライフスタイルの改善の4つを柱とするヒートアイランド対策の推進を引き続き図ります。
また、ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査・観測を継続的に実施するとともに、都市における緑化、大気との接触水面の拡大、地下湧水や地下熱の利用といった環境技術を活用したヒートアイランド対策の検証に着手します。また熱中症予防情報の提供及びモニタリングを進めます。

4 光害(ひかりがい)対策等

光害対策ガイドライン、地域照明環境計画策定マニュアル及び光害防止制度に係るガイドブック等を活用して、地方公共団体における良好な照明環境の実現を図る取組を支援します。また、「全国星空継続観察」(スターウォッチング・ネットワーク)を引き続き実施します。


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