第9節 国際的取組に係る施策


1 地球環境保全等に関する国際協力等の推進

地球環境問題に対処するため、1)国際機関の活動への支援、2)条約・議定書の国際交渉への積極的参加、3)諸外国との協力、4)開発途上地域への支援を積極的に行っています。
平成17年7月には、今後の国際環境協力の在り方について、中央環境審議会より答申がなされ、近年の地球環境保全等に関する国内外の動向の変化に対応した今後の国際環境協力の方向性が示されました。

(1)地球環境保全等に関する国際的な連携の確保
ア 多国間の枠組みによる連携
(ア)国連を通じた取組
1) 国連持続可能な開発委員会(CSD)
国連持続可能な開発委員会(CSD)第13会期が、2005年(平成17年)4月にニューヨークの国連本部にて開催され、水、衛生及び人間居住に関するヨハネスブルグ実施計画のさらなる取組について協議等が行われました。
2) 国連環境計画(UNEP)における活動
日本は、創設当初から一貫して国連環境計画(UNEP)の管理理事国であるとともに、環境基金に対し、2004年(平成16年)は約340万ドルを拠出する等、多大な貢献を行っています。2006年(平成18年)2月には、UNEP第9回管理理事会/第7回グローバル閣僚級環境フォーラムがドバイ(アラブ首長国連邦)で開催され、持続可能なエネルギー、持続可能な観光、化学物質管理等について議論が行われ、「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」(SAICM)が承認されました。
また、UNEP親善大使である加藤登紀子さんが、2005年(平成17年)8〜9月にタイ、スリランカを訪問し、草の根レベルの環境保全活動を視察するとともに関係者と交流し、広報を行うなどの活動を支援・推進しました。
さらに、日本に事務所を置くUNEP国際環境技術センター(IETC)が実施する開発途上国等への環境上適正な技術(EST)の移転を目的としたワークショップ開催等の事業を支援・推進しました。
3) 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)における活動
クリーンな環境のための北九州イニシアティブについては、2005年(平成17年)3月に韓国で開催された第5回「アジア太平洋環境と開発に関する閣僚会議」(MCED)において、2010年(平成22年)までの事業の継続が合意されたことを踏まえ、北九州・バンコク(タイ)・ジャカルタ(インドネシア)の地域住民による環境活動の紹介と、課題解決に向けた意見交換等を実施しました。
第1回グリーン成長に係るソウル・イニシアティブ・ネットワーク会合が、2005年(平成17年)11月にソウルで開催され、持続可能な開発を実現しようとする「グリーン成長」をテーマに議論が行われ、わが国は、3Rイニシアティブの考え方や取組を紹介しました。
(イ)経済協力開発機構(OECD)における取組
経済協力開発機構(OECD)環境政策委員会における定期的な会合に積極的に参加しています。2006年(平成18年)2月には、環境政策委員会の今後5〜10年間の戦略的目標を定め、「OECD21世紀最初の10年の環境戦略」を確実に実施するため、「環境政策委員会戦略ビジョン」を策定しました。また、同年1月には、環境保全成果レビュー(2002年実施)のフォローアップ・レポートを作成し、環境保全成果作業部会に報告しました。
持続可能な開発に関するOECDの横断的な取組としては、2005年(平成17年)6月には、「国際的な業種別合意は温室効果ガス削減に有効か」をテーマとして、「持続可能な開発ラウンドテーブル」が開催され、環境大臣が出席しました。また、2004年(平成16年)の閣僚理事会で設置が承認された「持続可能な開発年次専門家会合」の第2回会合が、2005年(平成17年)10月に開催され、今後OECDで優先的に取り組んでいくべき持続可能な開発関連作業等について、議論がなされました。
2005年(平成17年)11月には、OECDの非加盟国やNGO等のステークホルダー(利害関係者)との政策対話の場である、持続可能な開発に関するグローバルフォーラムが開催され、「気候変動と開発」をテーマとして議論が行われました。
(ウ)世界貿易機関(WTO)等における取組
WTO貿易と環境に関する委員会(CTE)等では、2001年(平成13年)にドーハ(カタール)で開催された世界貿易機関(WTO)第4回閣僚会議で採択された閣僚宣言に基づき、WTOルールと多国間環境協定(MEAs)が規定する特定の貿易上の義務との関係や、環境関連の物品及びサービスの関税・非関税障壁の削減又は撤廃等について、WTOドーハ開発アジェンダの下で交渉が行われています。
WTOにおける多国間の貿易自由化に加え、二か国間や地域ごとの自由貿易や経済連携を進める協定の締結が急速に進められています。日本でも各国との経済連携協定の締結に取り組んでおり、2005年(平成17年)9月にタイと内容について大筋合意し、同年12月にマレーシアとの経済連携協定に署名し、これらの中に環境に関して協力することを位置付けています。現在、インドネシア、チリなどとの間でも交渉を行っており、このような状況を踏まえ、自由貿易協定・経済連携協定締結等の推進に当たっても、貿易を始めとする国際経済活動と環境保全との相互支持性を向上させるための具体的手法について検討を行っています。
(エ)主要国首脳会議(G8サミット)における環境問題への取組
2005年(平成17年)7月に英国で開催されたG8グレンイーグルズ・サミットにおいて、気候変動が主要議題として取り上げられました。サミットでは、地球温暖化は深刻かつ長期的な課題であり、温室効果ガスの増加の主要な要因は人間活動であること、また、その解決に向けて、世界レベルで、温室効果ガスの増加を減速させ、抑制し、そして減少に転じさせるための早急な連携努力が必要であることを科学的認識として共有することを確認しました。そして、具体的な行動として、省エネの推進など、各セクター別の具体的な取組を盛り込んだ「グレンイーグルズ行動計画」が合意され、その推進を図ることとなりました。さらに、サミットに招かれたブラジル、中国、インド、メキシコ及び南アフリカの5か国の新興経済国との議論を踏まえ、新興経済諸国とのパートナーシップを強化していくための「対話」を推進することが合意され、その結果を2008年(平成20年)の日本が議長国となるサミットで報告することとなりました。このほか、わが国はサミットにおいて、気候変動への取組強化、途上国支援を含めた国際的な気候変動対策への貢献、3Rの推進と循環型社会の構築、違法伐採対策の強化等を盛り込んだ「日本政府の気候変動イニシアティブ」を発表しました。
その後、2005年(平成17年)11月には、サミットの合意を踏まえ、ロンドンにおいて「気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する対話」が開催されました。主要19か国のエネルギー・環境担当大臣が一同に会し、低炭素社会の実現に向けて国際協力をさらに進めていくための具体的な方策について議論しました。
また、3Rイニシアティブの推進についても、取組が進められています(第4章5節参照)。
(オ)アジア・太平洋地域における取組
1) アジア太平洋環境会議(エコアジア)
2005年(平成17年)6月に、岐阜市において第13回アジア太平洋環境会議(エコアジア)を開催しました。同会議には、4名の環境担当大臣を含むアジア太平洋地域の19か国及び12国際機関が参加し、アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)、アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS)及び3Rをテーマとして議論が行われました。
2) アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)
アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)は、2004年(平成16年)にAPFED最終報告書を採択しました。同報告書では、100を超える具体的な提言が行われました。また、これらの提言の実施に向けた取組として、(1)マルチステークホルダーの相互対話メカニズム、(2)持続可能な開発に関する知識イニシアティブ、(3)持続可能な開発のための革新的な取組の支援及び公表を行うことが提案されました。
平成17年度からはAPFED第IIフェーズ(APFEDII)の活動として、提言実施のための取組を進めています。2005年(平成17年)11月にはボゴール(インドネシア)でAPFEDII第1回全体会合を開催するとともに、環境情報公開に関するマルチステークホルダーダイアログをジャカルタ(インドネシア)で開催しました。また、2006年(平成18年)3月には、東京で3Rに関するマルチステークホルダーダイアログを開催しました。
3) 北東アジア環境協力高級事務レベル会合
2005年(平成17年)10月に、ソウルにおいて第11回北東アジア環境協力高級事務レベル会合が開催されました。会合では、新たに開始された大型哺乳類や渡り鳥の保全プロジェクトや、継続実施されている大気汚染対策プロジェクトなどについて話合いが行われました。
4) 環日本海環境協力会議(NEAC)
2006年(平成18年)2月に、東京において第14回環日本海環境協力会議(NEAC)が開催されました。会議では、NEACのレビューを行うとともに、今後の北東アジア地域の効率的、効果的な環境協力のあり方について、幅広い観点から議論が行われました。
5) 日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)
2005年(平成17年)10月に、ソウルにおいて第7回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)が開催され、気候変動問題等の地球環境問題や、黄砂等の北東アジア地域の環境問題について話合いが行われました。今後、循環型社会及び3Rに関する共同セミナーやワークショップを交替で開催していくこと、引き続き北東アジア地域の環境管理のあり方を検討していくことなどが合意されました。
6) 東南アジア諸国連合(ASEAN)+3(日中韓)環境大臣会合
2005年(平成17年)9月に、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓の三カ国を加えた第4回ASEAN+3環境大臣会合がマニラ(フィリピン)で開催され、ASEANと日中韓による環境協力の現状や今後のあり方等について意見交換等が行われました。
7) アジアEST地域フォーラム
2005年(平成17年)8月に、愛・地球博の関連事業「環境と交通に関する世界会議in愛知」の一部として、第1回「アジアEST地域フォーラム」を開催しました。13か国の政策担当者等が出席し、アジア地域における環境面で持続可能な交通(EST)の実現を目指して政策対話を行いました。その結果、今後とも参加国が協働しながら、アジア地域における環境面で持続可能な交通の実現を目指すことを確認した「愛知宣言」が採択されました。
8) アジア水環境パートナーシップ(WEPA)
2006年(平成18年)2月にアジアモンスーン地域の関係10か国との連携により、水環境保全に関するデータベースを作成・公開するとともに、同年3月にメキシコで開催された第4回世界水フォーラムにおいて、分科会を実施し、水環境に関する情報プラットフォームの意義、課題及びさらなる情報共有のための議論を行いました。
9) アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)
アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の枠組みを活用し、アジア太平洋地域における、特に開発途上国の地球変動研究の推進を積極的に支援しました。
(カ)世界的な水環境問題解決に向けた国際連携の強化
2005年(平成17年)4月に水・衛生・人間居住を主要テーマとして開催された国連持続可能な開発委員会第13会期(CSD13)、国連水と衛生に関する諮問委員会、第4回世界水フォーラム等の国際会議へ積極的に参加し、世界的な水問題の解決に向けた国際連携に努めました。
(キ)「アジェンダ21」に基づく取組
日本は、「アジェンダ21」行動計画にのっとり、持続可能な開発の達成に向けたさまざまな取組を行いました。また、アジェンダ21において、実施主体としての役割が期待される地方公共団体の取組を効果的に進めるため、ローカルアジェンダ21が未策定の地方公共団体に対し、その策定を求めました。さらに、ヨハネスブルグ・サミットの合意を踏まえ、国際環境自治体協議会(ICLEI)などのイニシアティブにより、ローカルアジェンダ21を具体的な行動に移していくための「ローカルアクション21」を引き続き進めました。
イ 二国間の枠組みによる連携
(ア)環境保護協力協定に基づく取組
中国及び韓国等と環境保護協力協定に基づき、環境分野における共同研究等の協力を進めています。
(イ)科学技術協力協定に基づく取組
米国、カナダ、オーストラリア等との科学技術協力協定に基づく合同委員会が開催され、環境分野における共同研究等の協力が進められています。他にも、ドイツ、ロシア、中国等と科学技術協力協定に基づく協力プロジェクトを通じ、環境分野の国際協力を実施しています。
(ウ)その他の取組
「日中環境開発モデル都市構想」に基づき、モデル都市に指定された重慶、貴陽及び大連については、円借款を通じて大気汚染対策等に集中的な支援を行うとともに、技術協力を通じて人材育成や制度整備等のソフト面の支援を行っています。2003年(平成15年)には1999年(平成11年)と比較して、3都市における二酸化硫黄の年間排出量はそれぞれ、約17万トン、約13万トン、約1.1万トン減少しました。
ウ 海外広報の推進
環境省は、日本の環境政策の紹介のための広報パンフレット「Annual Report on the Environment in Japan 2005」(図でみる環境白書の英語版)等海外広報資料の作成・配布やインターネットを通じた海外広報を行っています。また、アジア太平洋地域内の各国及び各国際機関がインターネットを通じて環境情報を提供するアジア太平洋環境情報ネットワーク(エコアジア・ネット、http://www.ecoasia.org/)により、英語による環境情報の提供を行っています。

(2)開発途上地域の環境の保全
日本は政府開発援助(ODA)による開発途上国支援を積極的に行っています。環境問題は、「政府開発援助大綱」において、「重点課題」である「地球的規模の問題への取組」の中で対応を強化しなければならない問題と位置付けられています。
さらに、ODAを中心としたわが国の国際環境協力については、平成14年に表明した「持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ(ECOISD)」において、環境対処能力向上やわが国の経験と科学技術の活用等の基本方針のもとで、1)地球温暖化対策、2)環境汚染対策、3)「水」問題への取組、4)自然環境保全を重点分野とする行動計画を掲げています。16年度においては、環境分野のODAとして約4,442億円(ODA全体に占める割合は約39.2%)の支援を行っています。
戦後のイラクに対しては、国連イラク復興信託基金を通じて国連環境計画(UNEP)の行う「イラク南部湿原環境管理支援プロジェクト」などの環境プロジェクトを支援するとともに、環境省では有識者からなる検討会において、わが国として中長期的にどのような支援が可能か検討し、報告書を取りまとめました。
ア 技術協力
国際協力機構(JICA)を通じて、研修員の受け入れ、専門家の派遣、機材供与、また、それらを組み合わせた技術協力プロジェクト(表7-9-1)、さらに開発途上国の環境保全に関する計画策定を支援するための開発調査など、開発途上国への技術協力を積極的に行っています。

表7-9-1	主な技術協力プロジェクト

イ 無償資金協力
無償資金協力は、居住環境改善(都市の廃棄物処理、地方の井戸掘削など)、地球温暖化関連(植林、エネルギー効率向上)等の各分野において実施しています(表7-9-2)。

表7-9-2	主な水資源・環境無償の実績

また、草の根・人間の安全保障無償資金協力についても貧困対策に関連した環境分野の案件を積極的に実施しています。
ウ 有償資金協力
有償資金協力は経済インフラ型案件・社会インフラ型案件への援助等を通じ開発途上国が持続可能な開発を進める上で大きな効果を発揮します。環境関連分野でも同様であり、上下水道、大気汚染対策、地球温暖化対策等の事業に対し、日本は国際協力銀行(JBIC)を通じ、積極的に円借款を供与しています(表7-9-3)。

表7-9-3	主な有償資金協力(円借款)プロジェクト

エ 国際機関を通じた協力
各種国際機関を通じた協力は、特に二国間協力のみでは十分に対応できない地球環境保全対策、共通の取組のための指針作り、情報量の少ない国・分野への取組等を進める観点から重要です。
日本は、UNEPの国連環境基金、UNEP国際環境技術センター技術協力信託基金等に対し拠出を行っており、また、日本が主要拠出国及び出資国となっている国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アジア開発銀行等の国際機関も環境分野の取組を強化しており、これらの機関を通じた協力も環境分野では重要になってきています。
地球環境ファシリティ(GEF)は、開発途上国等で行う地球環境保全のためのプロジェクトに対して、主として地球環境益に資する増加コストに対する資金を供与する国際的資金メカニズムです。日本は主要な資金の拠出国として、実質的な意思決定機関である評議会の場等を通じて、GEFの活動に積極的に参画しています。

(3)国際協力の円滑な実施のための国内基盤の整備
国際会議における専門的かつ技術的議論の進展と国際世論づくりに一層貢献していくため、政府内の専門家の育成に努めるとともに、政府外の専門家の知見の活用を図るため、NGO、学術研究機関、産業界などとの連携を強めています。
また、開発途上国に移転可能な技術、国内に蓄積されている経験等各種情報を収集・整理し、円滑な技術移転のための基盤整備を進めています。さらに、国民の理解と支持を得るための環境省ホームページを活用した広報等を行っています(『持続可能な開発に向けた国際環境協力』http://www.env.go.jp/earth/coop/coop/)。

2 国際協力の実施等に当たっての環境配慮


(1)ODA及び輸出信用等における環境配慮
国際協力機構(JICA)では、平成16年から「JICA環境社会配慮ガイドライン」を施行しています。国際協力銀行(JBIC)では、円借款事業と輸出信用等に共通して適用される「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を15年から実施するとともに、「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドラインに基づく異議申立手続要綱」を実施しています。
輸出信用機関である日本貿易保険(NEXI)では、「貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン」を平成15年から実施するとともに、「貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン異議申立手続等について」と題する手続要綱を実施しています。
無償資金協力については、平成16年に、「無償資金協力審査ガイドライン」を作成し施行しています。
また、OECD開発援助委員会(DAC)では、途上国が開発政策に環境を統合して持続可能な国家戦略を作成する上での支援方策、及び途上国が地球環境関係の諸条約に対応する上での支援方策に関するガイドラインが策定されています。
環境省においては、平成17年度は、国際金融公社(IFC)のセーフガードポリシーと、米国の民間金融機関の環境社会配慮の取組に関する情報の収集分析を行いました。

(2)民間の海外事業に対する環境配慮
海外に事業展開する民間企業においても、環境問題に真摯に取り組むことが求められており、積極的な環境対策を展開する日系企業も増えてきました。企業の社会的責任(CSR)への対応における環境配慮に関する先進事例の収集や対応を進めるための課題や障壁、行政施策等に関する調査を行い、企業の取組を促進するための行政施策の今後の方向性を検討しました。

3 地方公共団体又は民間団体による活動の推進


(1)地方公共団体の活動
地方公共団体は、国内や海外の地方公共団体などと共同して、生活環境から地球規模の環境問題まで積極的に取り組んでいます。地方公共団体の主なネットワークとして、クリーンな環境のための北九州イニシアティブ持続可能な都市のための20%クラブ、国際環境自治体協議会(ICLEI)などがあります。このようなネットワークは、地方公共団体の連携を強化するとともに、国や国際機関などさまざまな主体との連携にも拡がっています。
国際協力機構(JICA)を通じて、地府公共団体の専門家を開発途上国へ派遣しています。また、多くの開発途上国からの研修員が全国各地の地方公共団体やその試験研究機関等で技術を修得しています。
さらに、姉妹友好都市等からの研修員受入れ、会議の開催及び情報交換、開発途上国現地における技術指導、機材等の贈与など地方公共団体が独自に行う環境協力も進められています。
環境省においては、平成16年度に作成した「地方公共団体等による国際環境協力ガイドブック」を配布し、国際環境協力に必要なノウハウなどを地方公共団体に情報提供しています。

(2)民間の活動
公害防止装置をはじめとする環境保全技術の多くは、政府の規制・指導、国民意識の高まり等に応じて、民間企業によって開発されてきたものです。また、開発途上国への技術移転においては、直接投資等、民間企業が果たす役割も大きくなっています。
公益法人やNPO法人、任意団体をはじめとする多くの民間団体が、政府レベルから草の根レベルまでの環境保全プロジェクトの実施、環境協力に関するシンポジウム、講演会、セミナーの開催等により国際環境協力の推進に取り組んでいます。こうした民間団体の活動は、(独)環境再生保全機構の地球環境基金、外務省のNGO事業補助金、日本NGO支援無償資金協力及び草の根・人間の安全保障無償資金協力、JICAの草の根技術協力による支援等が行われていることや国民の関心の高まりにつれて、ますます活発となっています。


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