湿原、河川、湖沼、干潟等の湿地は、多様な動植物の生息・生育地として重要な場です。しかし、これらの湿原や干潟などは全国的に減少・劣化の傾向にあるため、その保全の強化と、既に失われてしまった湿地の再生・修復の手だてを講じることが必要となっています。

保全の取組として、湿原、干潟、サンゴ礁、カルスト地形等さまざまなタイプの湿地を含む国内湿地20か所について新たに「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地の保全に関する条約」（以下「ラムサール条約」という。）に基づく国際的に重要な湿地に登録しました。また、渡り鳥の渡来地である宮島沼では環境学習等の拠点施設の整備を進め、谷津干潟では鳥類の生息環境を阻害するアオサの除去を実施する等、その保全と賢明な利用に向けて取り組みました。

平成15年に定めた社会資本整備重点計画では、既に失われた湿地の再生の取組として、回復可能な湿地や干潟について19年までに３割回復するなどの具体的な数値目標を定めており、これに基づき17年は釧路川等の河川において25箇所で湿地等の整備に取り組んだほか、広島港等13港で干潟等の整備に取り組みました。

ウミガメの産卵地となる海浜については、自然公園法に基づく乗入れ規制地区に指定してオフロード車等の進入を禁止し、保護を図りました。平成17年度には、三河湾国定公園において表浜海岸沿いの特別地域内の砂浜を乗入れ規制地区に指定しました（３区域、計127ha）。

また、基礎調査の一環として「生態系多様性調査（浅海域生態系調査）」を全国の干潟及び藻場の調査を実施しています。さらに、有明海・八代海における海域環境調査、東京湾における水質等のモニタリング、海洋短波レーダーを活用した生物調査、水産資源に関する調査や海域環境情報システムの運用等を行っています。