第4節 里地里山の保全と持続可能な利用

里地里山は、二次林を中心に水田等の農耕地、ため池、草地等を構成要素としており、人為による適度なかく乱によって里地里山特有の環境が形成・維持され、固有種を含む多くの野生生物を育む地域となっています。 例えば、全国の希少種の集中分布地域の5割以上が里地里山にあたります(第1部総説第1章第2節1参照)。
環境省では、モデル的取組を全国に発信し、全国各地のさまざまな主体による里地里山における保全・再生活動を促進するため、全国4地域で、国、地方公共団体、専門家、地域住民、NPO等が連携・協力して、保全再生のための体制づくりを行い、地域戦略の策定、保全管理の実践、再生整備の実施、普及啓発等を行っていく「里地里山保全・再生モデル事業」を実施しました。
文部科学省では、平成16年に、文化財保護法を改正し、棚田、里山等の人と自然との関わりの中で作り出されてきた「文化的景観」を新たに保護の措置を講ずべき文化財として位置付けました。また、「文化的景観の保存・活用事業」により、地域住民・NPOや地方公共団体の協力を得て文化的景観の保存管理及び整備活用のための計画策定のモデル的な検討を全国9地域で実施しました。さらに、文化的景観の保存活用のために行う調査、保存計画策定、整備、普及・啓発に関する事業に対して補助を行う「文化的景観保護推進事業」を創設しました。
農林水産省では、地域の創意と工夫をより生かした「元気な地域づくり交付金」により、自然再生の視点に基づく環境創造型の整備を実施しました。また、平成16年度より里山林における多様な利用活動を推進するため、森林所有者と利用者との里山林利用協定の締結促進、利用活動の立ち上げ支援や里山林等を活用した健康づくりのための活動等を支援しています。
国土交通省では、都市域における水と緑のネットワークの形成を推進するため、地方公共団体の取組に対し総合的な支援を行う「緑地環境整備総合支援事業」を実施しており、都市公園の整備、特別緑地保全地区等における緑地の保全、市民緑地の公開に必要な施設の整備等の総合的な実施を支援し、里地里山の保全・活用、都市域における緑の骨格軸、緑の拠点等の形成を推進しています。


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