第9節 海洋汚染等の防止に関する国際的枠組みの下での取組と新たな国際的枠組みづくり

日本は、海防法の制定及び改正等の所要の国内法整備を行った上で、ロンドン条約MARPOL73/78条約及びOPRC条約等を締結し、海洋汚染防止対策の充実強化を図っています。
船舶からの大気汚染を防止するためのMARPOL73/78条約附属書VIに対応し、平成16年4月には海洋汚染防止及び海上災害の防止に関する法律並びに揮発油等の品質の確保等に関する法律が改正され、17年5月に施行されました。
また、ロンドン条約96年議定書の締結に向けた具体的な準備のため、平成16年には海洋投入処分の許可制度を導入すること等を規定した海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の改正がなされ、19年4月の施行に向けた政令の改正等を行いました。
油汚染を防止するため、平成17年4月には、タンカーのダブルハル(二重船体)化を促進する趣旨のMARPOL73/78条約附属書I改正に対応し、国内の関係法令が改正されました。
また、国際的に船舶のバラスト水の排出による外来生物や病原菌による海洋環境の汚染等が問題視されており、現在、IMO(国際海事機関)において、バラスト水規制管理条約実施のための国際的な統一指針の作成に向けた審議が行われており、平成17年7月には、生物処理するための装置の認証方法に関する指針など一部指針の策定が行われました。また、日本における処理装置の認証に関する体制整備のための検討を行いました。さらに、バラスト水中に含まれる生物による海洋環境への影響に関する基礎調査を行いました。
近年、シップリサイクル(船舶の解撤)に関して、海洋環境の汚染等が問題視されており、平成17年12月には、IMOにおいて新たなルールを平成20年から21年の間に採択できるように作業を進めることが総会決議されました。
海洋環境管理については、東アジア12か国の参加による東アジア海域の持続可能な開発のための連携強化を目的とした東アジア海域環境管理パートナーシップ(PEMSEA)に参画しており、平成15年の閣僚級会合で採択された東アジア海域の持続可能な開発戦略(SDS-SEA)の実施に向けた取組を進めました。
地域的な取組としては、北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)の活動を強力に進めるための地域活動センター(RAC)が設置され、日本では(財)環日本海環境協力センターが特殊モニタリング及び沿岸環境評価に関する地域活動センター(CEARAC)として指定されました。本計画に従った具体的な活動としては、河川や大気を経由して日本海に流入する汚染負荷量の把握に関する調査を行っているほか、対象海域の状況を把握するために、人工衛星からのリモートセンシングデータを受信・処理する施設を富山県に設置し、調査を実施しています。さらに、サハリンにおける原油等の開発により油流出のリスクが高まっていることから、平成17年11月には、日本海及び黄海等における大規模油流出事故への対応に関する参加国間の国際協力の枠組みを取りまとめた「NOWPAP地域油流出緊急時計画」の地理的適用範囲を、オホーツク海及びサハリン東部海域へ拡大することが合意されました。
UNEPが提唱した「陸域活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画」(GPA)に関しては、次回政府間レビュー会合の対応に向けた情報収集を行いました。
また、北太平洋海洋科学機関(PICES)のための条約には、現在、日本、アメリカ、カナダ、中国、韓国及びロシアが加盟しており、海洋環境委員会等4つの科学委員会において海洋科学の推進が図られています。


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