第7節 土壌環境の安全性の確保


1 未然防止対策

土壌への有害物質の排出を規制するため、水質汚濁防止法に基づき工場・事業場からの排水規制や有害物質を含む水の地下浸透禁止措置、大気汚染防止法に基づき工場・事業場からのばい煙の排出規制措置、農薬取締法に基づく土壌残留に係る規制措置(平成17年8月に基準を改正し、18年8月から施行。)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき廃棄物の適正処理確保のための規制措置等を講じています。金属鉱業等においては、鉱山保安法(昭和24年法律第70号)に基づき鉱害防止のための措置を講じているとともに、金属鉱業等鉱害対策特別措置法(昭和48年法律第26号)に基づく鉱害防止事業の計画的な実施に努め、また、休廃止鉱山の鉱害防止事業に係る所要の助成等を実施しています。
地下に埋設される危険物施設については、平成17年4月1日から地下貯蔵タンクのうち鋼製一重殻構造の地下貯蔵タンクについて、タンク室内にのみ設置できることとしました。

2 農用地土壌汚染対策

基準値以上検出地域7,327haのうち平成16年度末現在までに6,376ha(69地域)が農用地土壌汚染対策地域として指定され、そのうち6,236ha(69地域)において農用地土壌汚染対策計画が策定済みです。公害防除特別土地改良事業等により16年度末までに6,357ha(進ちょく率86.8%)で対策事業が完了しました。なお、カドミウム汚染地域においては、対策事業等が完了するまでの暫定対策として、汚染米の発生防止のための措置が講じられています。また、農用地土壌から農作物へのカドミウム吸収抑制技術等に関する研究が実施されています。さらに、農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係る管理基準に基づき、土壌汚染の未然防止に努めています。

3 市街地等の土壌汚染対策

土壌汚染の状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染対策を実施することを内容とする土壌汚染対策法が平成15年2月に施行され、同法に基づき、有害物質使用特定施設に係る土地等の調査が実施されました。調査件数は、18年2月14日現在、383件、うち健康被害が生ずるおそれがある土地を対象とした都道府県知事等の調査命令により調査が実施された件数は4件、調査の結果、指定基準に適合しない汚染が判明し指定区域に指定された件数は106件(本件数は累積数(うち48件は既に汚染の除去等の措置が講じられ指定の全部の区域が解除))となっています(図3-7-1、3-7-2)。

図3-7-1	土壌汚染対策法の概要


図3-7-2	土壌汚染対策法の施行状況

土壌汚染対策法に基づく適切な土壌汚染対策の推進を図るとともに、対象物質、暴露経路等を拡充した総合的な土壌環境基準等の検討のための調査、土壌汚染の生活環境や生態系への影響に係る検討調査、油含有土壌に起因する油臭や油膜などの生活環境保全上の観点からの調査・対策に係る「油汚染対策ガイドライン」の策定、射撃場に係る鉛汚染調査・対策方法の検討調査、同法に基づく指定支援法人の基金に対する補助等を行いました。また、民間事業者による市街地等の土壌汚染対策に対し、日本政策投資銀行等が融資を行っています。
なお、ダイオキシン類による土壌汚染については、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく常時監視及び汚染土壌対策が実施されています。


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