第2節 始まった持続可能な社会づくり

人口減少時代においては環境面でもさまざまな課題がありますが、一方で持続可能な社会づくりを後押しする契機となるような動きも見られることを述べてきました。このような中、すでに持続可能な社会づくりのための取組が始められています。

1 高齢者と助け合いながら創る社会


(1)高齢者による環境教育と里山の環境保全
岡山県津山市では、退職した高齢者を中心とするボランティアグループ「木こりの会」と森林所有者である市が協力し、下草刈り、除伐・間伐などを通じ、荒廃した里山を再生するための取組を行っています。また、地元の小学生、保護者を対象に自然観察会や間伐材を利用した炭焼き、きのこの植菌などの野外体験、植樹を通じた環境教育を開催しています。
このような取組の結果、高齢者の健康・生きがいづくり活動に大きな効果が出るほか、この地域では最近見かけなくなっていたラン科の山野草やトンボなどの昆虫などが戻ってきたという環境へのプラスの効果が見られます。

写真	「木こりの会」による炭焼き 岡山県津山市提供


(2)高齢者を活用した地域環境保全の取組
静岡県三島市のNPO法人グラウンドワーク三島では、三島市や企業の協力のもと、退職した高齢者を積極的に交えた活動を進めています。ごみが投棄されていた川の再生、絶滅した「三嶋梅花藻」(ミシマバイカモ)の復活、古井戸・湧水池の再生等の具体的な実践活動を展開するだけでなく、社会で活躍してきたシニア世代の新たな活動の場を提供する「シニア元気工房」において、間伐材や放置竹林、耕作放棄地の活用によって地域の自然環境の再生方法を示すとともに、地元野菜の利用促進を行っています。

写真	川の再生 NPO法人グラウンドワーク三島提供

こうした活動の結果、地元周辺の荒廃した里山のスギ・ヒノキなど約300本を間伐するなど再生を進めるとともにその有効活用を図り、また、耕作放棄地約1,000m2が有効利用されています。同時に、高齢者からも生きがい形成の場として高い評価を受けています。
/http://www.gwmishima.jp/

(3)環境と福祉の取組
長野県大町市のNPO地域づくり工房では、「環境・福祉・学びあいの仕事おこし」を理念に、農業用水路を活用した小規模水力発電を普及する“くるくるプロジェクト”と菜の花プロジェクトを両輪に、地域再生と地域振興に取り組んでいます。
地域内には観光施設向け小規模水力発電や菜種油を燃料として利用した省エネルギーサービスを提供し、来訪する見学者等に活動の意義や効果を伝える仕組みとして環境学習プログラムを開発・実践しています。このような取組の結果、高齢者にとっては地域の課題に対して企業等で培った経験や技術等を生かし、活躍できる場が提供されていることによって、大きなやりがいを見出すものとなっています。また、高齢者や障害者、主婦などがいきいきと活動し、案内人を務めている様子が、来訪者の共感を呼んでいます。
http://npo.omachi.org/

2 環境技術の継承


(1)次世代への環境技術の継承
退職した技術者が中心となって、平成12年に(社)化学工業会に設立されたSCE・Net(シニア・ケミカル・エンジニアズ・ネットワーク)では、退職したベテラン技術者を経験別にデータベース化し、企業等の現場から寄せられた排水処理技術やISO9002やISO14001の取得に関する課題に対して指導・助言を行っています。また、大学の一般公開講座において、30〜40代を中心とした現役世代向けに、大気汚染、PRTR制度、地球温暖化対策などの環境分野の経験・技術について講義を行うほか、講義の内容をまとめた教材を作成し、現役時代に培った経験や技術を一般化する取組も進められています。

(2)開発途上国への技術移転
北九州市では、公害対策で培った技術や経験を、公害問題に直面する中国、インドネシア等の開発途上国の環境保全に役立てるため、公害対策に係る実績と経験を有する企業OB技術者を中心とした北九州環境国際人材バンク(EARTH)を設置し、人材の情報把握や国際協力に関するセミナー等を行い、国際協力専門家の能力向上を図っています。また、(独)国際協力機構(JICA)や(財)北九州国際技術協力協会などと協力しつつ、開発途上国からの国際研修員の受入れや、専門家の現地への派遣を行っています。

写真	専門家による技術指導の様子(フィリピン) 北九州市提供


3 里地里山地域における環境保全の取組


(1)オーナー事業の活用による耕作放棄地の解消
棚田百選に選ばれた美しい農村景観が形づくられる京都府福知山市大江地区では、耕作放棄地の解消に向け、耕耘から、田植え、稲刈り等の一貫した農作業で米づくりができる「棚田オーナー制度」を平成10年より実施しています。平成16年の台風では、都市住民のオーナーが借用していた棚田も大きな被害を受け、農作業の継続が難しくなりましたが、オーナーと地元住民の強い熱意により、被害の少なかった休耕田を確保するなどして、活動が継続されました。また、被害を受けた畦畔、法面は、棚田の景観を守るため、石積みで改修することになり、今後も地元住民とオーナーが一体となった保全活動が期待されます。

(2)環境保全型農業による地域活性化
宮城県田尻町蕪栗沼(かぶくりぬま)周辺では、冬季に田に水を張る「ふゆみずたんぼ」(冬期湛水田)と呼ばれる取組により稲作を行っています。冬期湛水田は古くは江戸時代の農事書(農業の解説書)にも記載がある古い技術です。冬期に水を張ることによって夏場の雑草の生育を抑制するなどの稲作への効果をねらうものですが、これにより、マガン等の渡り鳥の冬場の渡来地が確保されるとともに、地下水のかん養など、環境面でもさまざまな効果が見られます。蕪栗沼・周辺水田は、マガン等の渡り鳥の重要な渡来地として、平成17年に国指定蕪栗沼・周辺水田鳥獣保護区に指定されるとともに、国際的に重要性が認められ、同年、ラムサール条約湿地に登録されました。また、「ふゆみずたんぼ」では雑草の生育が抑制でき、農薬の使用や施肥の回数を減らすことができることから、収穫された米は環境に配慮したおいしい米として販売され、地域の活性化につながっています。

写真	ふゆみずたんぼ 宮城県田尻町(現大崎市)提供


(3)ボランティアによる里山の保全と管理
50年前まで日本三大たばこ産地であった神奈川県秦野地域では、たばこ生産の堆肥づくりのために落ち葉かきをしていました。たばこ生産が行われなくなった現在は、里山の多くが暗く湿った森となり、シカやイノシシに付いてヤマビルが侵入してきました。地元では落ち葉かきを行うことにより、ヤマビルが減少することが経験的に知られており、秦野市では約200名のボランティアの協力により、里山の落ち葉かき、下刈り・枝打ち・間伐、シカ柵設置、ヤマビル調査を一体的に実施しています。

(4)人と野生鳥獣とのより良い関係の構築
ア 人と野生鳥獣とのあつれきの未然防止
イノシシ、サル、シカによる鳥獣被害が深刻化していた滋賀県の東近江地域では、農業改良普及センターがコーディネーター役となってプロジェクトチームを結成して、総合的な鳥獣被害対策に取り組んでいます。対策に取り組んでいる地域では、捕獲、侵入防止等の従来型の対応策だけでなく、地域ぐるみで鳥獣が農地に侵入する原因となる未収穫農作物の除去や鳥獣が農地に近づかないよう人と鳥獣の間の緩衝地帯の設置、家畜放牧を行う等の総合的な対策を実施しています。その結果、同地域の竜王町薬師地域では平成15年度に農業被害額が167万円に上っていたものが16年度は被害額ゼロとなり、日野町中之郷地域では15年度に農業被害額が約300万円に上っていたものが、16年度は50万円以下、17年度は被害額ゼロとなり、また、近江八幡市白王町地域でも15年度は被害が著しかったものが16年度はゼロ、同市島町でも同様に被害が著しく減少するなどの高い効果を生んでいます。

写真	サル・イノシシの侵入防止網(おうみ猿落・猪ドメ君) 滋賀県提供

イ 野生鳥獣の資源としての活用
北海道西興部村(にしおこっぺむら)では、NPO法人西興部村猟区管理協会によって、地元の村や農協、森林組合等で構成する西興部村猟区管理運営委員会の指導・監督のもと、有料猟区が運営されています。猟区では、入猟者へのガイド、狩猟初心者へのセミナーの実施による狩猟技術の継承、地元小学生等を対象とした野生生物の生態等についての環境教育など行っています。また、このような猟区の運営を通じて、村営ホテルの宿泊者が増加するなど、地域活性化の効果も上げています。

(5)エコツーリズムの推進による都市との交流
南信州18市町村と地元民間企業・団体が出資して設立された第3セクターでは、地域の自然、歴史、文化、技術など暮らしの中にある資源を掘り起こし、エコツアーや農林業体験など200ものツアープログラムを主に首都圏や関西圏の中・高校の修学旅行に提供しています。第3セクターでは、宣伝、インストラクターや受け入れ農家の確保のほか、ツアープログラムの手配、調整、精算など、一貫したシステムを構築し、年間延べ5万人を受け入れています。

写真	農業体験の様子 高橋充提供


(6)地域文化の継承と農村景観の保全
伝統的民家である笹葺き民家が残る京都府京丹後市五十川地区では、NPOが主体となり、専門家、地元住民を交えた里山景観保全の意見交換会を行いながら、里山景観の保全に努めています。特に笹を屋根材とするのは日本海側の一部に伝わる珍しい様式であることから、景観保全に加え、地域文化の継承のため、笹の刈り取り作業から屋根の修復までを地域住民と一体となって実施しています。

写真	古民家の笹屋根の葺き替え


4 持続可能で快適な都市空間の創出


(1)欧州における取組
成熟社会を迎えた欧州では、いち早く持続可能な都市(サスティナブル・シティ)の実現に向けた取組が進められており、これらは、大きく次の3つの政策に分類することができます(表2-2-1)。

表2-2-1	持続可能な都市づくりの事例

ア 土地利用と交通計画による環境と福祉の統合
社会福祉先進国であるデンマークの首都コペンハーゲン市では、ノーマライゼーションの考えに基づき、また、家族が住みやすいまちづくりやヨーロッパの環境首都を目標にした取組を進めています。具体的には、5本の近郊電車(Sバーン)を5本の指に見立て、このSバーン沿いに市街地を展開しており、それ以外の地域では土地利用の規制を強めつつ、大規模な緑地を確保し、コンパクト化による地域熱供給システムの導入を図るフィンガープランと呼ばれる施策を実施しています。また、バス交通網の充実やバスと鉄道の乗り継ぎ利便性の向上、中心部への自動車の流入規制や駐車場の削減、自転車道ネットワークの整備などの交通政策を段階的に進めています。このような取組の結果、市街地に隣接して大規模な緑地空間が保全されることとなり、環境への効果のみならず、市民の憩いの場としても機能しています。また、現在、通勤時には市民の約30%が自転車を利用するようになるなど成果を上げています。

写真	自然エネルギーを活用したコンパクトシティー スカンジナビア政府観光局提供

イ 市街地の自動車抑制による持続可能な交通システムの実現
また、ノルウェーの首都オスロ市は、環境政策として、交通渋滞の緩和、公共交通機関の拡張などの取組を行っているほか、交通部門における環境負荷の低減を目的に、市中心部に設置されたゲート(トールリング)を通過するすべての車両に通行税を課し、そこで得た資金を活用して地下幹線道路の建設やその他交通システムの改善を行っています。このような取組を通じて、市中心部の地上道路で交通量を減少させることに成功し、この結果、スムーズな交通が確保され、交通事故が減少したほか、大気汚染や騒音問題も改善されました。

写真	トールリング オスロ市提供

欧州ではこのようなサステナブル・シティの取組に対する「持続可能な都市大賞」という表彰制度があり、上記2都市もその受賞都市です。このように、EU加盟国内において持続可能な都市についての知見や経験が共有され、また、蓄積される仕組みが作られています。

(2)米国における取組
米国では、現在も人口増加が続いていますが、そのスピードを上回って郊外における住宅開発や自動車交通が拡大しており、このような郊外化によって野生生物の減少などの自然環境や大気汚染、水質汚濁、地球温暖化、騒音といった環境問題、中心市街地の衰退、市街地の犯罪増加などを招き、それがさらなる郊外化を引き起こすという悪循環が見られます。
一方で、交通混雑や大気汚染の解決するために行われた道路整備が誘発交通を生み、自動車利用の拡大を招くなど、政策自身がスプロールを助長することにもなりました。また、郊外化を抑制するために行われる土地開発規制では、きめ細やかな対応が難しいことから、適切な土地利用を促進する取組が求められるようになりました。
このため、歩いていける範囲に商業、居住、オフィス、娯楽、公共サービスなど様々な施設や公園、広場、緑地などのオープンスペースが配置された、多機能なコミュニティ空間を形成することや、貴重な自然環境を最大限に保全しつつ、エネルギー消費を最小限に抑える環境に配慮した社会システムの構築を目指し、新規開発を一定の区域に誘導することや公共交通機関の整備などを行う「スマートグロース(賢明なる成長)」の取組が広がっています。
ア 予算の集中投資による都市開発の誘導
ワシントンDCに隣接するメリーランド州では、2025年には2000年に比べ16%も増加することが予想されるなど人口増加が著しく、田園への住宅進出が進んでいました。そこで、従来の土地利用規制に加え、住みやすい都市環境づくりへの支援や自然資源及び農地の保全を通じ、経済成長と環境保護のバランスの取れた持続可能な開発の促進する「スマートグロースイニシアティブ」を実施しています。
具体的には、州の公共事業等への支出を優先的資金投資エリアに限定することでその区域の利用を促進するスマートグロース区域法に基づき、中心市街地での職場や遊び場としての環境を整え、住みやすいと思えるコミュニティの維持・再生を図っています。また、農地の買い取りによりグリーンベルトを確保する田園遺産保存制度に基づき、都市開発によってだんだんと縮小していく自然資源の適正な管理・保護を行っており、これらの施策によってバランスが取れた地域の発展を目指しています(図2-2-1)。

図2-2-1	優先的資金投資エリア

イ 複数の核への成長の集約と公共交通ネットワーク
ワシントン州シアトル市では、住宅と雇用、ショッピングやレクリエーションなどの住民サービスをアーバンビレッジという特定地域に集中させ、各ビレッジを公共交通機関で結ぶことにより、職住近接なコンパクトなまちづくりを目指した「アーバンビレッジ構想」を実施しています。
アーバンビレッジは、そのエリア内の徒歩圏で生活サービスを充足させ、都市圏域での公共交通利用を促進させることに狙いがあり、商業機能や居住区域などが集まり高い優先度で開発を進める地域(アーバンセンター)を設定するほか、集合住宅地域(居住アーバンビレッジ)や居住地区、重要商業地区が混在する地域(ハブアーバンビレッジ)など、その特性に応じ細かに設定しており、これらの核となる地域を、アーバンビレッジ交通ネットワーク計画に基づき、2030年までに交通網で結ぶことを予定しています(図2-2-2)。

図2-2-2	シアトル市内の各アーバンビレッジ

これらの取組の結果、大気汚染や省エネルギーなどの環境保全効果はもちろんのこと、コンパクトな都市構造による公共投資の節約、コミュニティの生活の質の向上、これに伴う経済競争力の高まりなどが期待されています。

(3)わが国の先進的取組
わが国でも、持続可能なまちづくりを進める機運が高まる中、行政やコミュニティなど、さまざまな主体によるまちづくりが始まっています。
ア コンパクトシティの取組
富山県富山市では、「街の顔」となる中心市街地の再生と車に過度に頼らない、歩いて暮らせるまちづくりを目標として、まちなか居住を促進するための公的補助、空き店舗の活用をはじめとする中心市街地の再生事業を行うとともに、高齢者等の交通弱者にもやさしいLRT(Light Rail Transit)と呼ばれる路面電車の導入をはじめとした公共交通機関の充実により、まちの再生・活性化を図っています。このような取組には、中心商店街の活性化のみならず、コンパクトな都市構造による省エネルギーなど、環境負荷を低減する効果が期待されます。

写真	バリアフリーの超低床車両 富山ライトレール株式会社提供

また、富山高岡広域都市圏第3回パーソントリップ調査では、都市圏の将来像の設定に当たり、都市構造と公共交通の利用が現況のまま推移した場合や都市機能の都心部集約と公共交通重視を行った場合といった6つのパターンを想定した検討がなされています。これによれば、都心部に都市機能を集約し公共交通の利用促進を同時に行うパターンが、最も自動車の利用が抑制され、二酸化炭素排出量の削減に効果があると試算されています(図2-2-3)。

図2-2-3	都市構造と公共交通の違いによるCO2排出量の試算

イ ひとと環境にやさしい交通まちづくり
大阪府池田市では、エコドライブの推進と駅ボランティア事業の取組により、「ひとと環境にやさしい交通まちづくり」を進めています。エコドライブ推進事業では、運送車両315台に運転状況にあわせて音声でエコドライブを指導するデジタルタコグラフを設置した結果、平成17年度は約1,300トンの二酸化炭素排出量が削減されました。また、駅ボランティア事業では、「心のバリアフリー」を目標に掲げ、高齢者や障害者の移動や荷物の運搬等の支援を行うなど、公共交通機関の利用の促進を図りました。これには、駅改札前のポイ捨てが減少したなどの副次的な効果も見られました。

写真	駅ボランティアの様子 大阪府池田市提供

ウ コミュニティバス
京都市伏見区の醍醐地区は、市営バスの撤退により地区内の移動が不便になったことや、高齢化の進む山沿いの公営団地に、公共交通機関の運行が求められていたことから、「醍醐地域にコミュニティバスを走らせる市民の会」が地元事業者の協力を受けて、コミュニティバスの運行を開始しており、現在は「醍醐地域にコミュニティバスを走らせる市民の会」と名称を変更し、活動を行っています。
このコミュニティバスは、高齢者や子どもたちなど、この地区の住民にとって、日常生活の貴重な足となっているだけでなく、自家用車を利用する場合と比較して二酸化炭素排出量が1人当たり約半分で済むといった環境負荷低減効果が得られています。
http://www16.ocn.ne.jp/~daigobus/index.html

エ 自転車のまちづくり
秋田県二ツ井町では、東京都杉並区でごみとして扱われ処分に苦慮していた放置自転車を再利用することにより、まちを活性化する事業に取り組んでいます。まちの主要な10か所のステーションに合計450台の自転車を設置するほか、町道・県道にあわせて総延長約3キロに自転車歩行車道を整備するなどの自転車のまちづくりを推進しており、地域の若者から高齢者、さらに観光客等にも利用してもらうことで、駅周辺や中心市街地、市内観光スポットなどへの「人」の流入を図り、中心市街地を賑いのある元気な「まちの顔」へと再生を図っています。このような取組の結果、車依存のライフスタイルから、車と自転車・歩行の使い分けへの転換が進んでおり、移動時の二酸化炭素排出の抑制効果が期待されます。
オ 地域冷暖房の取組
光が丘パークタウンは、練馬区と板橋区にまたがり、周囲に緑の公園を配し「自然と調和した緑豊かな明るい街」として建設された12,000戸の大規模住宅団地です。この団地と、隣接する住宅、学校、商業施設、官公庁施設を対象として、光が丘清掃工場の発電後の復水排熱を利用した高効率な熱製造と熱供給が行われています。この取組により、同様の施設を重油で賄った場合と比較して、二酸化炭素は66%減、NOxは72%減、SOxは94%減と大幅な環境負荷削減効果が得られています(東京熱供給株式会社の試算結果より)。
カ 自然再生の取組
埼玉県川越市、所沢市、狭山市、三芳町にまたがる通称「くぬぎ山地区」では、都市化の進展や農業の衰退により、平地林の転用や荒廃が進んだことから、オオタカなどが生息する武蔵野の面影を残す貴重な平地林が失われています。

写真	くぬぎ山地区 埼玉県提供

この平地林を未来の世代に継承することを目的として、平成16年に自然再生推進法に基づく「くぬぎ山地区自然再生協議会」が発足し、地権者、土地所有者、市民団体、関係行政機関等の多様な主体により同地区における特別緑地保全地区制度を活用した樹林地の保全・再生・活用のための検討が進められています。
http://www.pref.saitama.lg.jp/A09/BD00/kunugiyama/kyougikai/index.html



前ページ 目次 次ページ