第3節 社会経済のグリーン化の推進に向けた取組


1 経済的措置

(1)経済的助成
 事業者の公害防止施設整備等の一層の促進を図り、公害防止の実効を確保するため、日本政策投資銀行、中小企業金融公庫等より融資を行います。
 また、都市における緑地の整備等各種の公害防止のための事業助成を引き続き推進するほか、中小企業が円滑に公害防止を実施できるよう指導・相談、技術開発に係る助成等の充実を図ります。
 ア 環境保全事業の助成
 (ア)日本政策投資銀行
 廃棄物の発生抑制、再利用、再資源化の総合的な促進による廃棄物・リサイクル対策、低公害車等の普及促進、ダイオキシン類の適切な排出削減、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理の促進等の公害防止対策に係る融資施策を引き続き講じます。
 (イ)独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
 金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づく使用済特定施設に係る鉱害防止事業費、鉱害防止事業基金への拠出金及び公害防止事業費事業者負担法(昭和45年法律第133号)による事業者負担金に対する融資を行います。
 (ウ)政府関係中小企業金融機関
 廃棄物の発生抑制、再利用、再資源化の総合的な促進による廃棄物・リサイクル対策、ダイオキシン類の適切な排出削減、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理の促進等の公害防止対策に係る融資施策を引き続き講じます。
 (エ)独立行政法人中小企業基盤整備機構
 騒音、ばい煙などの公害問題等により操業に支障を来している中小企業者が、集団で工場適地に移転する工場の集団化事業に対して引き続き融資を行います。また、都道府県等中小企業支援センターと連携し、各種リサイクルや化学物質の安全管理等の環境問題に対処していく上で有用な情報の提供や相談事業を行います。
 イ 税制上の措置等
 平成17年度の税制改正措置等のうち主なものは、以下のとおりです。
1)低公害車等の普及を促進するため、次のような措置を講じます。
・天然ガス自動車やハイブリッド自動車等の低公害車に係る自動車取得税の税率の軽減措置について、適用期限を延長します。
・平成17年自動車排出ガス規制適合車(ディーゼルトラック・バス等)を取得する際の自動車取得税の税率の軽減措置について、規制開始以降も受けられるよう18年3月31日まで適用期限を延長します。
・低公害車用燃料供給施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、適用期限を延長します。
・使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)の施行に伴い、自動車NOx・PM法廃車代替特例の代替車取得期間を変更します。
2)二酸化炭素吸収源対策を推進するため、森林施業計画に係る山林所得の特別控除及び植林費の損金算入の特例措置を延長します。
3)廃棄物の適正な処理の確保を図るため、
・産業廃棄物処理用設備(高温焼却装置、ばい煙処理装置及びPCB汚染物等処理用装置)に係る特別償却制度を延長します。
・特定災害防止準備金制度の適用期限を延長します。
4)公害防止対策の推進を図るため、公害防止用設備の特別償却制度について、対象設備に揮発性有機化合物排出抑制設備を追加するとともに、当該設備に係る固定資産税・事業所税の課税標準の特例措置を新設します。
5)ヒートアイランド対策の推進を図るため、緑化施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置を拡充(緑化地域等内における緑化施設に対する特例措置を創設)した上で延長します。

(2)経済的インセンティブ
 環境への負荷の低減を図るために経済的負担を課すことを通じ、環境負荷低減へのインセンティブを与える手法については、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出抑制、都市・生活公害対策、廃棄物の抑制などの分野に応じ、その適切な活用について検討します。
 環境税については、国民に広く負担を求めることになるため、関係審議会をはじめ各方面における地球温暖化対策に係るさまざまな政策的手法の検討に留意しつつ、地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付け、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取組の現状などを踏まえて、国民、事業者などの理解と協力を得るように努めながら、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題です。

2 環境配慮型製品の普及等

(1)グリーン購入の推進
 グリーン購入法に基づく基本方針において、国等の機関が特に重点的に調達を推進すべき物品等として定めている特定調達品目及びその判断の基準については、環境物品等の開発・普及の状況や科学的知見の充実等に応じて適宜追加・見直しを行うこととしていることから、例えば、サービスについて、業務実施のプロセス・体制を考慮しつつ検討を行う等、品目のさらなる拡充及び基準の強化を図ります。
 国等の各機関では、基本方針に即して毎年度各機関の業務の実情に応じて、1)特定調達品目ごとの具体的な調達目標、2)各機関が独自に調達する環境物品等の種類と調達目標、3)各機関における調達推進体制、調達方針の対象範囲等を定めた調達方針を作成、公表し、これに基づいて環境物品等の優先的調達を推進、年度終了後にはその調達実績の概要を公表します。

(2)環境ラベリング
 購入者が、製品やサービスに関連する適切な環境情報を入手できるよう、環境ラベリングその他の手法による情報提供を進めていきます。このため、わが国唯一のタイプI環境ラベル(ISO(国際標準化機構)14024準拠)であるエコマーク制度について一層の充実を図るとともに、国際的な動向を踏まえながら、エコマークと諸外国、特にアジアの環境ラベル制度との相互認証の促進を図ります。
 また、グリーン購入の取組を促進する民間団体による情報提供の取組を促進します。さらに、事業者の自己宣言による環境主張であるタイプII環境ラベルや民間団体が行う情報提供の状況を引き続き整理、分析して提供するとともに、適切な情報提供体制のあり方について検討します。また、購入者に対して製品やサービスの環境情報を定量的に開示するタイプIII環境ラベルであるエコリーフについて、一層の普及促進を図ります。

(3)標準化の推進
 日本工業標準調査会(JISC)は、環境配慮製品の市場の創出・拡大を図るため、「環境JISの策定促進のアクションプログラム」に沿って、「電気・電子機器の環境配慮設計」「プラスチック規格への環境側面導入に関する指針」等の環境JISの制定・改正に取り組みます。JIS制定・改正の際には、環境負荷等を念頭におき、消費者への情報提供に努めます。

(4)ライフサイクルアセスメント(LCA)
 資源採取から使用、廃棄に至るライフサイクル全体の環境負荷について、製品相互間の比較評価をするため開発したライフサイクルアセスメント(LCA)手法について、その手法の適用に関する課題の整理を進めながら、製品やサービスに起因する環境負荷をライフサイクル的視点から定量化し、その結果を分かりやすく消費者に提供する「商品環境情報提供システム」を構築しました。平成17年度には同システムの試行的運用を開始し、さらにシステムの充実・改善を図り、本格的な運用を目指します。また、消費者を対象に、LCA手法についての普及・啓発を推進します。

(5)環境適合設計
 製品の設計段階において、製品の製造から廃棄に至るまでを見通して環境負荷の低減を図るとともに、製品の長寿命化なども視野に置いた対応を図ろうとする環境適合設計について、ISO/TR 14062を参考に日本企業のこれまでの経験を生かしながら、ISO及びIECにおける検討に参加し、貢献するとともに、その幅広い普及を図っていきます。

3 事業活動への環境配慮の組み込みの推進

(1)環境マネジメントシステム
 環境マネジメントシステムの導入を幅広い事業者に広げていくため、ISO14001(平成16年11月改訂)について、引き続き情報提供、研修等の支援を行い、取得の促進に努めます。

(2)環境パフォーマンス評価
 事業活動における環境への負荷の状況や環境対策の状況を適切に評価するため、これまでの環境パフォーマンス指標ガイドラインや調査研究成果を活用し、より使いやすい環境パフォーマンス指標について、引き続き調査研究を進めます。

(3)環境会計
 総合的な環境会計ガイドライン(平成17年2月環境省改訂)等を通じて、環境会計手法の一層の普及促進を図るとともに、発展途上にある環境会計の手法確立に向けて、国内外の研究成果や先進的な実務動向を踏まえた調査を進めます。また、環境管理会計手法を用いて、企業の生産プロセス等の現状診断、環境経営の改善策や効果予測、モデル事業の集積及び解析を行い、環境配慮型経営システムの普及を図ります。さらに、国際的な環境会計の枠組みの形成に向けた議論への積極的な参画などを通じて環境会計の普及拡大に貢献します。

(4)環境報告書
 さまざまな規模、業種を含め幅広い事業者に環境報告書の作成と公表の取組を広げていくため、ガイドラインの普及や表彰制度、データベースの提供などを通じた取組支援を引き続き行っていくほか、環境報告書ガイドライン等について国際的な連携の強化を図っていきます。
 また、平成17年4月から施行される環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(平成16年法律第77号)を踏まえて、環境報告書の作成・公表の普及促進と事業者、国民による環境報告書の利用促進のための施策を推進します。さらに、環境報告書の普及促進と情報内容の充実など環境報告書の質の面での向上の同時達成を図るため、環境報告書の自己評価や第三者審査などの自主的な取組の推進を図ります。

(5)中小企業の取組の促進
 中小規模の事業者などが環境マネジメントシステムの導入に向けた取組を始めることを促す手段として、低利融資、研修をはじめとする取得促進のための支援、中小企業向けの環境配慮ツールである「エコアクション21」(環境活動評価プログラム)や小規模事業者向けの「環境大福帳」について、さらに幅広い事業者への普及促進を図ります。

4 環境に配慮した投融資の促進

 環境に配慮した事業者に対する投資の普及促進を図り、事業者の環境に配慮した事業活動を促進するため、金融機関に対する情報提供や普及啓発を行っていきます。

(1)市場への環境配慮の織り込み
 民間主体による環境投資を促進していくため、環境報告書や環境ラベル等の普及促進による環境に配慮した事業活動や商品等の情報提供の拡大などにより環境情報の利用を促進し、市場の中で環境配慮の取組が適切に考慮されるように努めます。

(2)環境投資の促進のための環境整備
 環境投資の促進のための環境整備を図るため、環境報告書の公表や環境会計への取組など企業における環境に配慮した事業活動の促進、環境ビジネスの振興など環境投資の促進と関連する社会資本の整備、グリーン購入など需要面からの環境投資の促進、環境配慮型融資や社会的責任投資(SRI)等の普及促進など、環境投資のための資金調達の円滑化が図られるための枠組みの検討に取り組みます。

5 その他環境に配慮した事業活動の促進

 環境への負荷の少ない、持続可能な社会経済システムを構築すること、すなわち、環境を良くすることが経済を発展させ、経済が活性化することによって環境が良くなっていくような関係である「環境と経済の好循環」を目指して、地域発での環境と経済の好循環の創出を図るモデル事業や新たな温暖化対策ビジネスの起業支援等による環境ビジネスの育成・振興、環境報告書の普及をはじめとした環境に配慮した事業活動に積極的に取り組む企業が社会や市場から高く評価されるような条件整備、環境技術実証モデル事業等による環境技術の普及や商業化の促進や環境技術開発の促進などの取組を進めます。
 また、地域における企業、NPO、市民等が連携した環境に配慮したまちづくりに資する「環境コミュニティ・ビジネス」を発掘し、その展開を支援します。

6 社会経済の主要な分野での取組

(1)物の生産・販売・消費・廃棄
 ア 全般的な取組
 事業活動への環境配慮の織り込みを深めるため、環境マネジメントシステムや環境会計の導入、環境パフォーマンス評価、LCAの実施についての検討を行うなど、引き続き調査研究と情報提供を行います。
 環境保全型製品の普及促進については、製品のライフサイクルの観点を盛り込んだエコマーク制度について、製品の環境情報を消費者に提供することも含め、引き続き推進します。
 また、ISOにおける標準化等国際的動向を踏まえつつ、製品の定量的な環境負荷に関する情報を提供する環境ラベルのあり方について、引き続き検討を行います。
 廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物の発生抑制、適正なリサイクル及び適正処理を進めます。
 イ 農林水産業に関する環境保全施策
 たい肥等による土づくりを通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業生産を推進するため、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づき、土づくりと化学肥料・化学合成農薬の使用低減に一体的に取り組む農業者(エコファーマー)に対する金融・税制上の支援措置、面的なまとまりを持った環境保全型農業技術の導入促進等を引き続き講じます。
 また、環境と調和のとれた農業生産活動を促進するため、農業者が環境保全に向けて最低限取り組むべき規範の普及・定着を推進します。さらに、畜産業において発生する家畜排せつ物からの環境負荷を低減するため、たい肥化施設等の施設整備を推進し、家畜排せつ物法に基づく適正な処理や保管の確保とともに、たい肥化による農業利用やエネルギー利用等の一層の推進を図ります。
 林業においては、育成複層林施業等の森林整備を促進するとともに、計画的な保安林の指定の推進及び治山事業等による機能が低下した保安林の保全対策、多様な森林づくりのための適正な維持管理に努めるほか、二酸化炭素の貯蔵庫となるなどの特徴を有する木材の利用を促進します。このため、木材利用推進関係省庁連絡会議の場等を通じて、木材の利用の可能なところは例えば擬木に代えて木材を積極的に利用するなど、関係省庁の連携を強化し、木材利用の促進を図ります。
 水産業においては、つくり育てる漁業を推進するため、沿岸域の藻場・干潟の造成、底質改善等を実施します。また、持続的養殖生産確保法に基づく漁協等による養殖魚場の漁場改善計画策定のための取組を促進するとともに養殖魚場環境の改善に関する各種調査技術開発、実用化及び推進情報の収集に関する事業を実施します。一方、漁協等による「資源管理型漁業」を一層推進することにより、各地域の多種多様な漁業実態に即した水産資源の適切な保存・管理と持続的な利用を図るための事業を実施します。
 ウ 製造業・流通等に関する環境保全施策
 食品産業においては、生産段階では、環境に係る情報の提供、環境自主行動計画の策定及び円滑な実施を促すための普及啓発を行います。流通段階では、外食店舗における食品残さの高度利用を促進するため、炭化機器等の使用による一次処理物の利用拡大の検討及び店舗型リサイクルシステムの構築等を推進します。また、容器包装リサイクル対策を行うとともに、食品リサイクル法やすぐれた取組事例等に関する普及啓発、食品廃棄物を含むバイオマスの利活用推進を図ろうとする地域に対する食品リサイクルシステムの構築及び食品リサイクル施設の導入を図ります。

(2)エネルギーの供給と消費
 環境への負荷の少ないエネルギー供給構造の形成、エネルギー消費効率向上に向けた取組を進めるとともに、大気汚染防止法等に基づいた汚染物質排出等に係る規制的措置を適切に実施します。
 環境への負荷の少ない新エネルギーの導入拡大を図るとともに、2010年度における新エネルギーの導入目標(原油換算で1,910万kリットル)を達成するため、バイオマス、太陽光発電等新エネルギーの技術開発・導入促進及び環境整備を積極的に推進します。特に燃料電池及び水素エネルギー利用に関しては、将来の水素社会の実現に向け、技術開発の強化、異分野先端企業間の連携促進、研究開発体制の構築や世界初の定置用燃料電池市場立ち上げ等を行っていきます。さらに、電気事業者に一定割合以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務づけたRPS法の着実な実施等を通じて、電力分野における新エネルギーの導入拡大に努めます。原子力については、供給安定性等エネルギー政策の観点のみならず、発電過程で二酸化炭素を排出することがなく、地球温暖化対策に資することから、エネルギー基本計画においても、安全の確保を大前提に、国民の理解を得つつ、核燃料サイクルを含め、原子力発電を基幹電源として推進することとしています。平成17年度においても、安全対策・防災対策の充実に努めるとともに、原子力発電施設及び核燃料サイクル施設の立地を促進するため実効性の高い地域振興策等を講じるとともに、原子力発電及び核燃料サイクルについて技術開発等の所要の施策を進めます。
 省エネルギー対策については引き続き積極的に推進していきます。具体的には、省エネ法に基づく対策に加え、産業部門の費用対効果が高く政策的意義が高い省エネ投資、エネルギー消費の伸びが著しい民生部門の省エネを確実に進める上で大きな役割を果たし得る高効率給湯器の導入等を重点的に支援します。
 さらなる二酸化炭素排出量削減のための対策が必要であることを踏まえ、電力等の燃料転換等を促進するため、老朽石炭火力発電所の高効率LNGコンバインド−サイクル発電への転換、石炭等を燃料とする産業用ボイラー等における天然ガスへの燃料転換等を支援する施策を実施します。
 サルファーフリー(硫黄分10ppm以下)ガソリン・軽油の早期普及を促すため、当該燃料を規制(軽油は平成19年から、ガソリンは20年から強制規格化の予定。)に先駆けて供給する事業者に対する支援措置を引き続き実施します。

(3)運輸・交通
 地方公共団体や民間事業者等が低公害車を導入する際の補助制度、自動車取得税の税率の軽減措置や自動車税のグリーン化の税制上の特例措置、政府系金融機関を通じた融資制度等を通じて低公害車のさらなる普及促進を図ります。さらに、地方運輸局単位に官民で構成したエコ・トラック推進協議会による民間活力を通じた低公害トラックの導入促進等を図ります。
 アイドリングストップ機能付き自動車を導入する者に対し、通常車両との差額の一部を補助する制度を導入します。さらに、全国各地での講習会・試乗会の実施、モニターの募集、レンタカーへの導入等、アイドリングストップに対する国民各層への総合的な普及啓発を図っていきます。
 また、次世代低公害車の本命と目されている燃料電池自動車について、日本において世界に先駆けた早期実用化を図るため、燃料供給から自動車走行まで一貫した大規模な公道走行実証試験を首都圏で実施するとともに、高効率燃料電池システムの実用化技術開発や、規格・基準の一層の整備に向けた研究開発を行います。
 加えて、現行の大型ディーゼル車に代替する次世代低公害車について、産学官の適切な連携により、開発・試作したジメチルエーテル自動車や次世代ハイブリッド自動車等の公道走行試験等を実施するとともに、予混合圧縮燃焼エンジン技術や革新的後処理システム技術等を搭載したスーパークリーンディーゼルエンジンの開発を引き続き実施します。また、燃料の種類によらず、排出ガス性能基準により低公害性を評価する低排出ガス車の認定制度を活用し、低公害車のさらなる普及促進を図ります。
 自動車交通需要を低減・平準化する交通需要マネジメント施策を推進します。
 信号機の設置・改良、交通管制システムの高度化等を推進し、交通の円滑化を図り、3メディア対応型VICS車載機の導入・普及等を積極的に推進します。
 さらに、高度道路交通システム(ITS)の推進や交通安全施設の整備等による交通流対策及び公共車両優先システム(PTPS)等の整備による公共交通機関の利用促進により、交通渋滞の緩和を図り、自動車からの人工排熱の低減を目指したヒートアイランド対策を引き続き、推進します。
 平成17年度からは配送を依頼する荷主と配送を請け負う物流事業者の連携を強化し、地球温暖化対策に係る取組を拡大することで、物流体系全体のグリーン化を推進します。
 このため、「グリーン物流パートナーシップ会議」を通じ、モーダルシフトやトラック輸送の効率化等を荷主と物流事業者が連携して行う先進的モデルへの支援を行うとともに、荷主と物流事業者の連携を円滑化するため、両者が共通に活用できる物流分野の二酸化炭素排出量算定のための統一的手法を策定し、取組ごとの効果を客観的に評価できるようにします。
 都市鉄道新線の建設、在来幹線鉄道の高速化等の整備、次世代型路面電車システム(LRT)の整備、駅のバリアフリー化、ノンステップバスの導入、鉄道・バス相互の共通ICカードシステムの整備、交通事業者が行う先進的な利便性向上策に係る「広域的な公共交通利用転換に関する実証実験」等に対する支援等を通じて環境負荷の小さい公共交通機関の利用促進を図ります。
 また、通勤交通マネジメントや低公害車等によるカーシェアリングの実施等、事業者による主体的な取組を推進するため、地方ブロックごとの「公共交通利用推進等マネジメント協議会」を立ち上げ、具体的な取組を進めていきます。
 このほか、公共交通機関の利用を促進し、自家用車自動車に過度に依存しないなど、環境的に持続可能な交通(EST)の実現を目指す先導的な地域の取組に対して、関係省庁が連携して集中的に支援策を講じるESTモデル事業を推進していきます。
 さらに、既存の都市鉄道ネットワークを有効活用しつつ、短絡線の整備、駅内外の一体的整備等を推進するため、第162回国会に提出した「都市鉄道利便増進法案」に基づく施策を講じます。

(4)情報通信の活用
 情報通信を活用した新しい働き方であるテレワーク・SOHOの普及を図るため、総務省では、平成17年度に次のような施策を講じます。
1)「テレワーク推進フォーラム」の設置
 産学官の3者が協力し、ノウハウの共有や課題解決策の検討等により企業におけるテレワークの導入を推進するとともに、シンポジウム等の普及啓発を実施します。
2)国家公務員のテレワークの本格実施
 20名程度の規模により複数課室において本格実施を開始します。また、今後の全省での実施に向けて、勤務管理上の課題の整理及び解決並びに情報セキュリティ対策の検討を実施します。
 また、国土交通省ではテレワークの実態を調査するとともに、推進組織による普及啓発活動等を実施します。

(5)戦略的環境アセスメント
 環境基本計画に規定されているように、個々の事業計画・実施のみならず、上位計画や政策についても環境の保全に配慮することが必要です。
 上位計画や政策における環境配慮のあり方について、ガイドラインの作成に向けて、現状での課題を整理した上で、内容、手法等の具体的な検討を行うとともに、国や地方公共団体における取組の実例を積み重ねます。
 上位計画や政策に対する環境配慮として、内容や制度に差異はありますが、諸外国で「戦略的環境アセスメント」と呼ばれる仕組みや、日本の一部地方公共団体において条例や要綱等により、上位計画等における環境配慮の取組が開始されており、これらも参考にして検討を行います。


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