平成17年度 環境の保全に関する施策


 この文書の記載事項については、数量、金額等は概数によるものがあり、また、今後変更される場合もあることに注意して下さい。

第1章 地球規模の大気環境の保全


第1節 地球規模の大気環境の保全に関する国際的枠組みの下での取組と新たな国際的枠組みづくり


1 地球温暖化の防止

 引き続き京都議定書の未締結国に対し、締結を働きかけていきます。
 また、本年から国際的な検討が開始される次期約束については、日本としても積極的にリーダーシップを発揮し、その検討に貢献していきます。
 さらに、地球温暖化防止のため、地球環境ファシリティ(GEF)等の多数国間基金への拠出、二国間の技術・資金協力の推進、国際海事機関(IMO)における外航船舶からの温室効果ガス排出量に関する検討等を引き続き実施していきます。
 共同実施(JI)やクリーン開発メカニズム(CDM)等の京都メカニズムをさらに活用していく観点から、有望なプロジェクトが正式にCDM/JIプロジェクトとして実施することができるよう、経済産業省及び環境省を中心に、政府が一体となって引き続きさまざまな支援を行っていきます。
 まず、これまで行ってきた開発途上国等におけるプロジェクトの発掘及び事業化をさらに強化するため、プロジェクトの実現可能性調査を引き続き実施していくとともに、事業者が実施する費用対効果の高いCDM/JIプロジェクトに対して、必要とされる設備の導入費用等の一部を補助する事業も実施します。
 また、ホスト国の承認体制やホスト国での事業ニーズの調査、CDM実施マニュアル等、CDM/JI事業を実施する民間事業者が必要とする情報を収集し、効果的に提供します。
 さらに、ホスト国におけるCDM/JIプロジェクトの受入れに係る制度構築、人材育成及び実施計画の策定等に対する支援事業についても、引き続き実施していきます。
 そのほか、京都議定書の目標達成に京都メカニズムを活用するためには、京都メカニズムによるクレジットを取得していくことが必要であり、CDM/JIプロジェクトに対する設備補助事業において交付した補助額に見合ったクレジットを政府が取得するとともに、平成18年度からの実施を目指して、クレジットの円滑な取得のための具体的な仕組みを早期に検討し、必要な措置を講じていきます。
 気候変動枠組条約が必要とする科学的な情報を提供し、適切な時期に包括的な評価報告書や特別報告書、技術資料等を公表しているIPCCに対して貢献します。具体的には、2007年(平成19年)に公表予定の第4次評価報告書をはじめとして、各種報告書等の執筆に参加する専門家をサポートする等、IPCCの活動に対する人的、技術的、資金的な貢献を行います。また、温室効果ガス排出・吸収量世界標準算定方式を定めるためにIGESに設立されたインベントリータスクフォースの技術支援組織を引き続き支援していきます。
 また、京都議定書約束期間の後(2013年〜)も見据えた実効的な国際取組のあり方について検討を深めていくことを目的に、政府では平成17年度も「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合を主催します。

2 オゾン層の保護

 モントリオール議定書に定められたHCFC等のオゾン層破壊物質の生産規制等を着実に実施するとともに、オゾン量、オゾン層破壊物質及び有害紫外線の観測・監視等を実施します。また、開発途上国におけるオゾン層保護対策を支援するため、議定書に基づく多数国間基金への拠出、二国間協力事業の推進、研修員の受入れ等を引き続き実施するとともに、専門家の開発途上国への派遣等の技術協力を行います。


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