第8節 大気環境の監視・観測体制の整備


1 国設大気測定網

 大気汚染の状況を全国的な視野で把握するとともに、大気保全施策の推進等に必要な基礎資料を得る目的で、国設大気環境測定所及び国設自動車排出ガス測定所(10か所)が設置されています。国設大気環境測定所は、1)地方公共団体が設置する大気環境常時監視測定局の基準局、2)大気環境の常時監視に係る試験局、3)国として測定すべき物質等(有害大気汚染物質、酸性雨)の測定局、4)大気汚染物質のバックグラウンド測定局、としての役割を果たすことを目的に設置されています。
 国内における酸性雨の長期的な影響を把握することを目的として、平成14年3月に「酸性雨長期モニタリング計画」を策定し、15年度からこの計画に基づく酸性雨モニタリングを全国31か所で実施しています。
 また、花粉症と大気汚染物質との関係の解明等のために花粉自動計測器を設置し、データを蓄積するとともに、花粉の飛散状況をリアルタイムで情報提供する「花粉観測システム(愛称:はなこさん)」(http://kafun.nies.go.jp/)を運用しています。

2 地方公共団体大気汚染監視体制

 地方公共団体においては、大気汚染防止法に基づき、都道府県及び政令市が一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局を設置し、大気の汚染状況を常時監視しているほか、その他の地方公共団体においても監視測定しています。また、大気汚染物質を排出する発生源における二酸化硫黄濃度、燃料使用量等の常時監視を行い、その測定結果を中央監視センターに伝送するテレメーター装置等の整備も進められています。
 また、都道府県が測定している大気常時監視データ(速報値)は、「大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)」によりリアルタイムで収集され、インターネット等で公開するとともに携帯電話で情報提供しています。

3 地方公共団体自動車騒音常時監視体制

 騒音規制法に規定される全国の169地方公共団体においては、自動車騒音常時監視を実施し、地域における自動車騒音の状況を測定・評価し、結果を国へ報告します。これにより、全国の各地域の騒音状況を把握できるほか、自動車騒音の甚だしい地域における対策を効果的に推進できることに加え、環境基準評価や自動車単体規制の強化等の自動車騒音対策に必要な知見が集積されます。平成16年度には「全国自動車交通騒音マップ(環境GIS 自動車交通騒音実態調査報告)」を制作し、インターネット上で一般公開を開始しました。また、地方公共団体による騒音監視の円滑かつ適切な実施のため、国は、地域の自動車騒音監視技術の支援に努めています。

4 環境放射性物質の監視・測定

 環境省では、国設酸性雨測定所のうち離島等の12か所に放射線自動連続モニタリング装置を設置し、空間γ線線量率並びに大気浮遊じんの全α放射能濃度及び全β放射能濃度を測定しており、測定データをオンラインで収集・表示する監視システムを用いて常時監視しています。また、バックグラウンドレベルの放射能の調査の一環として、大気浮遊じん、降下物(雨水等)及び周辺の土壌、陸水中に含まれる放射性核種の分析を行っています。

前ページ目次 次ページ