コラム 「デイ・アフター・トゥモロー」は本当に来るのか
平成16年に公開された映画「デイ・アフター・トゥモロー」では、長期的な地球温暖化の進行によって海洋大循環が停止し、その結果、北半球で急激に気温が低下してパニックが発生することが描かれています。 この映画はフィクションであり、科学的に起こり得ない現象も含まれています。しかし、IPCC第3次評価報告書によると、地球温暖化の影響として、海洋の循環が弱まると予測されています。このほか、地球温暖化の進行に伴って、海洋や陸域で吸収されるCO2が減少することが予測されており、このため大気中のCO2濃度がさらに増加すると考えられています。また、グリーンランドで気温が3度以上高い状態が数千年続くと、グリーンランドの氷床は完全に溶け、海面水位が7m上昇するという大規模な特異現象も予測されています。 |
コラム 日本では何が起こるのか
わが国では、ソメイヨシノの平成元年〜12年の平均開花日が平年より3.2日早まり、イロハカエデの紅葉日が過去50年間で約2週間遅くなるなどの生態系の変化が報告されています。 今後地球温暖化が日本に与える影響について、気象庁気象研究所などは、二酸化炭素の大気中濃度が、毎年、前年比1%ずつ増加するなどと仮定した温室効果ガス排出シナリオを用いて予測を行いました。その結果、日本付近での100年間の年平均地上気温の上昇や、海面水位の上昇は、世界の平均よりもやや大きくなると予測されています。そして、こうした気候の変動は、生態系、農業、社会基盤、人の健康などに多大な影響を与えることが予想され、私たちの生活形態が一変する可能性が指摘されています。 地球温暖化が日本の気候に与える影響について、東京大学、国立環境研究所、海洋研究開発機構の研究グループが、地球シミュレータによる予測計算を行っています。それによると、今後、日本の猛暑、豪雨の頻度が一層増加することが予測され、100年後には6〜8月の日平均気温が環境重視で国際化が進むシナリオ(2100年の二酸化炭素濃度が550ppm)でも3.0℃、経済重視で国際化が進むシナリオ(2100年の二酸化炭素濃度が720ppm)では4.2℃上昇し、これに伴い、真夏日は50〜70日増加し、降水量も17〜19%増加すると予測されています。 |
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