
「みんなで裏紙を使おう」より、「裏紙が発生しないような仕組みを考えよう」
紙リサイクル関係の仕事に長く携わっているとのことですが?
リサイクル対応型印刷物の普及促進のためのガイドラインや古紙の品質向上のためのマニュアルづくりに関わっています。「リサイクル対応型印刷物」というのは、禁忌品と呼ばれる、紙のリサイクルを阻害する印刷資材・加工法を使用せず、リサイクル適性を識別表示した印刷物です。
古紙回収率(消費量に対する回収量の割合)は、以前は65%が限界といわれていましたが、現実はそれをはるかに超えて80%近くに達しています。20年前の古紙回収率は50%程度でしたから、増えた30%分は、かつては廃棄物として捨てられていた紙類が古紙として回収されるようになったものです。その中には、製紙原料として利用しにくい加工を施されたものや、廃棄物と分別されていないもの、汚れ・臭いがついたものも含まれているので、古紙の品質向上が大きな課題となっています。リサイクル対応型印刷物の目的も古紙の品質向上にあり、広く普及することで、主に雑誌古紙といわれる古紙の品質向上に貢献することが期待されています。ぜひ、多くの印刷発注者の皆様にリサイクル対応型印刷物ガイドライン((社)日本印刷産業連合会)を活用してもらえればと思います。
企業に環境マネジメントのアドバイスもされていらっしゃるんですよね?

環境省が策定した中小企業向けの「エコアクション21」ガイドライン((財)地球環境戦略研究機関 持続性センター)にもとづく認証登録制度の審査人として、審査・コンサルティングを行っています。環境マネジメントの相談を受けた際は、発生した問題をどうするかではなく、問題が発生しないようにした方が効果があるという考えでアドバイスをしています。古紙の話をしたのでその例を出すと、省資源のために「みんなで裏紙を使おう」ではなく、「裏紙が発生しないような仕組みを考えよう」ということで、オフィスで資料を出力する際の標準を両面刷り・偶数枚の設定にすれば、裏紙は発生しにくくなります。裏紙使用とは、実は紙の両面を使い切ろうということですから、最初から両面を使うのも同じことです。裏紙使用に伴って、仕事上のミスやトラブルが生じたり、紙詰まりでイライラしたりする、というのは本末転倒ですから、ちょっと性能のよいプリンタに投資して両面印刷したほうが合理的ではないでしょうか。一人ひとりが意識して取り組むことは大切ですが、過度に個人の善意や意識に頼った取り組みは長続きしません。
少し話が逸れますが、大学などで講義をした際に、学生に環境問題を解決するためにどうしたらいいかと問うと、自分ができることからコツコツやるという答えと、法規制を強制すればよいという答えに大きく分かれます。これを私は「自分ひとり対地球」あるいは「自分ひとり対社会全部」モデルと呼んでいます。私たちはみな、社会の一員として存在するわけですが、学校や家族、会社、NGOなど、身の回りの集団や組織を変えていく、という発想がなかなかでてこないようです。そこで、自分ひとりができることだけに着目するか、世の中全部に網をかけるか、という両極端になってしまう。本当は、その中間にある、様々な規模の集団や組織をどう動かしていくかが重要だと私は思いますし、そのサポート役として期待されているのが環境カウンセラーではないでしょうか。







