アセスメント制度

環境影響評価法に基づく基本的事項(環境庁告示第八十七号)

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○環境庁告示第八十七号
 環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第四条第九項の規定により主務大臣及び建設大臣が定めるべき基準並びに同法第十一条第三項及び第十二条第二項の規定により主務大臣が定めるべき指針に関する基本的事項を次のように定めたので、同法第四条第十項及び第十三条の規定に基づき、告示する。
 (平成九年十二月十二日)

最終改正:平成十七年三月三十日環境省告示第二十六号

 この基本的事項は、環境影響評価法(以下「法」という。)第四条第九項の規定により主務大臣(主務大臣が総理府の外局の長であるときは、内閣総理大臣。以下同じ。)及び国土交通大臣が定めるべき「第二種事業の判定の基準」(以下「判定基準」という。)、法第十一条第三項の規定により主務大臣が定めるべき「環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針」(以下「環境影響評価項目等選定指針」という。)並びに法第十二条第二項の規定により主務大臣が定めるべき「環境の保全のための措置(以下「環境保全措置」という。)に関する指針」(以下「環境保全措置指針」という。)に関する基本となるべき事項について定めるものである。

第一 判定基準に関する基本的事項

  一  一般的事項
   (1)  第二種事業についての判定は、法第四条第三項の規定に基づき、判定基準の定めるところにより行われるものである。
   (2)  判定基準は、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあると認められる事業として法第四条第三項第一号の措置をとらなければならない場合について定めるものとする。
   (3)  判定基準は、第二種事業の種類ごとの一般的な事業の内容を踏まえつつ、次に掲げる事項が含まれるよう定めるものとする。
     ア 個別の事業の内容に基づく判定基準
     イ 第二種事業が実施されるべき区域及びその周辺の区域の環境の状況その他の事情(以下「環境の状況その他の事情」という。)に基づく判定基準
  二  判定基準の内容
   (1)  個別の事業の内容に基づく判定基準
     個別の事業の内容に基づく判定基準は、次に掲げる内容を含むものとする。
     ア  当該事業が、同種の事業の一般的な事業の内容と比べて環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合
例えば、当該事業において用いられる技術、工法等の実施事例が少なく、かつ、その環境影響に関する知見が十分でないものであって、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合
     イ

当該事業が、他の密接に関連する同種の事業と一体的に行われることにより、総体としての環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合
   (2)  環境の状況その他の事情に基づく判定基準
     環境の状況その他の事情に基づく判定基準は、次に掲げる内容を含むものとする。
     ア  環境影響を受けやすい地域又は対象が存在する場合
      例えば、次に掲げる場合がこれに該当する。
(ア)  閉鎖性の高い水域等の、当該事業の実施により排出される汚染物質が滞留しやすい地域において、当該汚染物質により環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合
(イ) 学校、病院、住居専用地域、水道原水取水地点等の人の健康の保護又は生活環境の保全上の配慮が特に必要な地域又は対象に対して人の健康の保護又は生活環境の保全上の影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合
(ウ) 自然林、湿原、藻場、干潟、サンゴ群集、自然海岸等の人為的な改変をほとんど受けていない自然環境又は野生生物の重要な生息・生育の場としての自然環境に対して環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合
     イ 環境の保全の観点から法令等により指定された地域又は対象が存在する場合
       例えば、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)又は水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)に基づき総量規制基準が定められた地域、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)に基づき自然公園として指定された地域等法令等により環境の保全を目的として又は環境の保全に資するものとして指定された地域又は対象に対して環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合
     ウ 既に環境が著しく悪化し、又はそのおそれが高い地域が存在する場合
       例えば、環境基本法(平成五年法律第九十一号)に基づき定められた環境基準の未達成地域において、環境基準未達成項目に係る環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合
  三  判定基準を定めるに当たっての留意事項
   判定基準を定めるに当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。
   (1)  法第四条第一項の規定により届出が行われた第二種事業の種類及び規模、第二種事業が実施されるべき区域その他第二種事業の概要並びに第二種事業に係る判定を行う者(以下「判定権者」という。)が入手可能な地域の自然的社会的状況に関する知見に基づき、判定権者が客観的に判定できるものとすること。
   (2)  二(1)及び二(2)に掲げる内容に沿って法第四条第二項の規定により述べられた都道府県知事の意見が適切に反映できるものとすること。
 

第二 環境影響評価項目等選定指針に関する基本的事項

  一  一般的事項
   (1)  対象事業に係る環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法は、法第十一条第一項の規定に基づき、環境影響評価項目等選定指針の定めるところにより、選定されるものである。
   (2)  環境影響評価の項目の範囲は、別表に掲げる環境要素の区分及び影響要因の区分に従うものとする。
   (3)  調査、予測及び評価は、選定された環境影響評価の項目(以下「選定項目」という。)ごとに行うものとする。
   (4)  調査は、選定項目について適切に予測及び評価を行うために必要な程度において、選定項目に係る環境要素の状況に関する情報並びに調査の対象となる地域の範囲(以下「調査地域」という。)の気象、水象等の自然条件及び人口、産業、土地又は水域利用等の社会条件に関する情報を、国、地方公共団体等が有する既存の資料等の収集、専門家等からの科学的知見の収集、現地調査・踏査等の方法により収集し、その結果を整理し、及び解析することにより行うものとする。
   (5)  予測は、対象事業の実施により選定項目に係る環境要素に及ぶおそれのある影響の程度について、工事中及び供用時における環境の状態の変化又は環境への負荷の量について、数理モデルによる数値計算、模型等による実験、既存事例の引用又は解析等の方法により、定量的に把握することを基本とし、定量的な把握が困難な場合は定性的に把握することにより行うものとする。
   (6)  評価は、調査及び予測の結果を踏まえ、対象事業の実施により選定項目に係る環境要素に及ぶおそれのある影響が、事業者により実行可能な範囲内で回避され、又は低減されているものであるか否かについての事業者の見解を明らかにすることにより行うものとする。この場合において、国又は地方公共団体によって、選定項目に係る環境要素に関する環境の保全の観点からの基準又は目標が示されている場合は、これらとの整合性が図られているか否かについても検討するものとする。
   (7)  調査、予測及び評価に当たっては、選定項目ごとに取りまとめられた調査、予測及び評価の結果の概要を一覧できるように取りまとめること等により、他の選定項目に係る環境要素に及ぼすおそれがある影響について、検討が行われるよう留意するものとする。
  二  環境要素の区分ごとの調査、予測及び評価の基本的な方針
   (1)  別表中「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」に区分される選定項目については、環境基本法第十四条第一号に掲げる事項の確保を旨として、当該選定項目に係る環境要素に含まれる汚染物質の濃度その他の指標により測られる当該環境要素の汚染の程度及び広がり又は当該環境要素の状態の変化(構成要素そのものの量的な変化を含む。)の程度及び広がりについて、これらが人の健康、生活環境及び自然環境に及ぼす影響を把握するため、調査、予測及び評価を行うものとする。
   (2)  別表中「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」に区分される選定項目については、環境基本法第十四条第二号に掲げる事項の確保を旨として、次に掲げる方針を踏まえ、調査、予測及び評価を行うものとする。
     ア  「植物」及び「動物」に区分される選定項目については、陸生及び水生の動植物に関し、生息・生育種及び植生の調査を通じて抽出される重要種の分布、生息・生育状況及び重要な群落の分布状況並びに動物の集団繁殖地等注目すべき生息地の分布状況について調査し、これらに対する影響の程度を把握するものとする。
     イ  「生態系」に区分される選定項目については、地域を特徴づける生態系に関し、アの調査結果等により概括的に把握される生態系の特性に応じて、生態系の上位に位置するという上位性、当該生態系の特徴をよく現すという典型性及び特殊な環境等を指標するという特殊性の視点から、注目される生物種等を複数選び、これらの生態、他の生物種との相互関係及び生息・生育環境の状態を調査し、これらに対する影響の程度を把握する方法その他の適切に生態系への影響を把握する方法によるものとする。
   (3)  別表中「人と自然との豊かな触れ合い」に区分される選定項目については、環境基本法第十四条第三号に掲げる事項の確保を旨として、次に掲げる方針を踏まえ、調査、予測及び評価を行うものとする。
     ア  「景観」に区分される選定項目については、眺望景観及び景観資源に関し、眺望される状態及び景観資源の分布状況を調査し、これらに対する影響の程度を把握するものとする。
     イ  「触れ合い活動の場」に区分される選定項目については、野外レクリエーション及び地域住民等の日常的な自然との触れ合い活動に関し、それらの活動が一般的に行われる施設及び場の状態及び利用の状況を調査し、これらに対する影響の程度を把握するものとする。
   (4) 別表中「環境への負荷」に区分される選定項目については、環境基本法第二条第二項の地球環境保全に係る環境への影響のうち温室効果ガスの排出量等環境への負荷量の程度を把握することが適当な項目に関してはそれらの発生量等を、廃棄物等にに関してはそれらの発生量、最終処分量等を把握することにより、調査、予測及び評価を行うものとする。
  三  環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法の選定に当たっての一般的留意事項
   (1)  事業者が環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法を選定するに当たって一般的に把握すべき情報の内容及びその把握に当たっての留意事項を、環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。
 この場合において、当該情報には、当該事業の内容(以下「事業特性」という。)並びに当該事業に係る対象事業が実施されるべき区域及びその周囲の地域の自然的社会的状況(以下「地域特性」という。)に関する情報が含まれるよう定めるものとする。また、事業特性に関する情報の把握に当たっての留意事項として、当該事業に係る内容の具体化の過程における環境保全の配慮に係る検討の経緯及びその内容についても把握することが含まれるものとする。地域特性に関する情報の把握に当たっての留意事項として、入手可能な最新の文献、資料等に基づき把握すること、これらの出典が明らかにされるよう整理すること、過去の状況の推移及び将来の状況並びに当該地域において国及び地方公共団体が講じている環境の保全に関する施策の内容についても把握することが含まれるものとする。
   (2)  事業者が、環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法を選定するに当たっては、選定の理由を明らかにすることが必要である旨、環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。
   (3)  事業者が、環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法を選定する当たっては、必要に応じ専門家等の助言を受けること等により客観的かつ科学的な検討を行うべき旨、環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。なお、専門家等の助言を受けた場合には、当該助言の内容及び当該専門家等の専門分野を明らかにすることが必要である旨、環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。
   (4)  環境影響評価の実施中において環境への影響に関して新たな事実が判明した場合等においては、必要に応じ選定項目及び選定された手法を見直し、又は追加的に調査、予測及び評価を行うよう留意すべき旨、環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。
  四  環境影響評価の項目の選定に関する事項
   (1)  環境影響評価項目等選定指針において、対象事業の種類ごとの一般的な事業の内容を明らかにするとともに、この内容を踏まえつつ、別表に掲げる影響要因の細区分の内容を規定し、影響要因の細区分ごとに当該影響要因によって影響を受けるおそれのある環境要素の細区分(以下「参考項目」という。)を明らかにするものとする。この場合において、次の事項に留意するものとする。
     ア   影響要因の細区分は、環境影響評価を行う時点における事業計画の内容等に応じて、(ア) 当該対象事業に係る工事の実施、(イ) 当該工事が完了した後の土地(他の対象事業の用に供するものを除く。)又は工作物(以下「土地等」という。)の存在(法第二条第二項第一号トに掲げる事業の種類に該当する事業以外の事業にあっては土地等の供用に伴い行われることが予定される事業活動その他の人の活動を含む。)のそれぞれに関し、物質等を排出し、又は既存の環境を損ない若しくは変化させる等の要因を整理するものとする。
     イ  環境要素の細区分は、法令による規制・目標の有無、環境に及ぼすおそれのある影響の重大性等を考慮して、適切に定められるものとする。
   (2)  個別の事業ごとの環境影響評価の項目の選定に当たっては、それぞれの事業ごとに、影響要因を事業特性に応じて適切に区分した上で、参考項目を勘案しつつ、事業特性及び地域特性に関する情報、法第二章第二節に規定する手続を通じて得られた環境の保全の観点からの情報等を踏まえ、影響要因の細区分ごとに当該影響要因によって影響を受けるおそれのある環境要素の細区分を明らかにすべき旨、環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。
  この場合において、対象事業の一部として、当該対象事業が実施されるべき区域にある工作物の撤去若しくは廃棄が行われる場合、又は対象事業の実施後、当該対象事業の目的に含まれる工作物の撤去若しくは廃棄が行われることが予定されている場合には、これらの撤去又は廃棄に係る影響要因が整理されるものとすること。
  五  調査、予測及び評価の手法の選定に関する事項
   (1)  事業者による調査の手法の選定に当たっての留意事項を環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。当該留意事項には、次に掲げる事項が含まれるものとする。
     ア   調査すべき情報の種類及び調査法
      選定項目の特性、事業特性及び地域特性を勘案し、選定項目に係る予測及び評価において必要とされる精度が確保されるよう、調査又は測定により収集すべき具体的な情報の種類及び当該情報の種類ごとの具体的な調査又は測定の方法(以下「調査法」という。)を選定するものとすること。地域特性を勘案するに当たっては、当該地域特性が時間の経過に伴って変化するものであることを踏まえるものとすること。
法令等により調査法が定められている場合には、当該調査法を踏まえつつ適切な調査法を設定するものとすること。
     イ  調査地域
      調査地域の設定に当たっては、調査対象となる情報の特性、事業特性及び地域特性を勘案し、対象事業の実施により環境の状態が一定程度以上変化する範囲を含む地域又は環境が直接改変を受ける範囲及びその周辺区域等とすること。
     ウ  調査の地点
      調査地域内における調査の地点の設定に当たっては、選定項目の特性に応じて把握すべき情報の内容及び特に影響を受けるおそれがある対象の状況を踏まえ、地域を代表する地点その他の情報の収集等に適切かつ効果的な地点が設定されるものとすること。
     エ  調査の期間及び時期
      調査の期間及び時期の設定に当たっては、選定項目の特性に応じて把握すべき情報の内容、地域の気象又は水象等の特性、社会的状況等に応じ、適切かつ効果的な期間及び時期が設定されるものとすること。この場合において、季節の変動を把握する必要がある調査対象については、これが適切に把握できる調査期間が確保されるものとするとともに、年間を通じた調査については、必要に応じて観測結果の変動が少ないことが想定される時期に開始されるものとすること。
 また、既存の長期間の観測結果が存在しており、かつ、現地調査を行う場合には、当該観測結果と現地調査により得られた結果とが対照されるものとすること。
     オ  調査によって得られる情報の整理の方法
      調査によって得られる情報は、当該情報が記載されていた文献名、当該情報を得るために行われた調査の前提条件、調査地域等の設定の根拠、調査の日時等について、当該情報の出自及びその妥当性を明らかにできるように整理されるものとすること。
 また、希少生物の生息・生育に関する情報については、必要に応じ公開に当たって種及び場所を特定できない形で整理する等の配慮が行われるものとすること。
     カ  環境への影響の少ない調査の方法の選定
      調査の実施そのものに伴う環境への影響を回避し、又は低減するため、可能な限り環境への影響の少ない調査の方法が選定されるものとすること。
   (2)  事業者による予測の手法の選定に当たっての留意事項を環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。当該留意事項には、次に掲げる事項が含まれるものとする。
     ア  予測法
      選定項目の特性、事業特性及び地域特性を勘案し、選定項目に係る評価において必要とされる水準が確保されるよう、具体的な予測の方法(以下「予測法」という。)を選定するものとすること。
     イ  予測地域
      予測の対象となる地域の範囲(以下「予測地域」という。)は、事業特性及び地域特性を十分勘案し、選定項目ごとの調査地域の内から適切に設定されるものとすること。
     ウ  予測の地点
      予測地域内における予測の地点は、選定項目の特性、保全すべき対象の状況、地形、気象又は水象の状況等に応じ、地域を代表する地点、特に影響を受けるおそれがある地点、保全すべき対象等への影響を的確に把握できる地点等が設定されるものとすること。
     エ  予測の対象となる時期
      予測の対象となる時期は、事業特性、地域の気象又は水象等の特性、社会的状況等を十分勘案し、供用後の定常状態及び影響が最大になる時期(当該時期が設定されることができる場合に限る。)、工事の実施による影響が最大になる時期等について、選定項目ごとの環境影響を的確に把握できる時期が設定されるものとすること。
 また、工事が完了した後の土地等の供用後定常状態に至るまでに長期間を要し、若しくは予測の前提条件が予測の対象となる期間内で大きく変化する場合又は対象事業に係る工事が完了する前の土地等について供用されることが予定されている場合には、必要に応じ中間的な時期での予測が行われるものとすること。
     オ  予測の前提条件の明確化
      予測の手法に係る予測地域等の設定の根拠、予測の手法の特徴及びその適用範囲、予測の前提となる条件、予測で用いた原単位及びパラメータ等について、地域の状況等に照らし、それぞれその内容及び妥当性を予測の結果との関係と併せて明らかにできるように整理されるものとすること。
     カ  将来の環境の状態の設定のあり方
      環境の状態の予測に当たっては、当該対象事業以外の事業活動等によりもたらされる地域の将来の環境の状態(将来の環境の状態の推定が困難な場合等においては、現在の環境の状態とする。)を明らかにできるように整理し、これを勘案して行うものとすること。この場合において、地域の将来の環境の状態は、関係する地方公共団体が有する情報を収集して設定されるよう努めるものとすること。
 なお、国又は地方公共団体による環境保全措置又は環境保全施策が講じられている場合であって、将来の環境の状態の推定に当たって当該環境保全措置等の効果を見込む場合には、当該措置等の内容を明らかにできるように整理されるものとすること。
     キ  予測の不確実性の検討
      科学的知見の限界に伴う予測の不確実性について、その程度及びそれに伴う環境への影響の重大性に応じて整理されるものとすること。この場合において、必要に応じて予測の前提条件を変化させて得られるそれぞれの予測の結果のばらつきの程度により、予測の不確実性の程度を把握するものとすること。
   (3)  事業者による評価の手法の選定に当たっての留意事項を環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。当該留意事項には、次に掲げる事項が含まれるものとする。
     ア  環境影響の回避・低減に係る評価
      建造物の構造・配置の在り方、環境保全設備、工事の方法等を含む幅広い環境保全対策を対象として、複数の案を時系列に沿って又は並行的に比較検討すること、実行可能なより良い技術が取り入れられているか否かについて検討すること等の方法により、対象事業の実施により選定項目に係る環境要素に及ぶおそれのある影響が、回避され、又は低減されているものであるか否かについて評価されるものとすること。この場合において、評価に係る根拠及び検討の経緯を明らかにできるように整理されるものとすること。
 なお、これらの評価は、事業者により実行可能な範囲内で行われるものとすること。
     イ  国又は地方公共団体の環境保全施策との整合性に係る検討
      評価を行うに当たって、環境基準、環境基本計画その他の国又は地方公共団体による環境の保全の観点からの施策によって、選定項目に係る環境要素に関する基準又は目標が示されている場合は、当該評価において当該基準又は目標に照らすこととする考え方を明らかにできるように整理しつつ、当該基準等の達成状況、環境基本計画等の目標又は計画の内容等と調査及び予測の結果との整合性が図られているか否かについて検討されるものとすること。
 なお、工事の実施に当たって長期間にわたり影響を受けるおそれのある環境要素であって、当該環境要素に係る環境基準が定められているものについても、当該環境基準との整合性が図られているか否かについて検討されるものとすること。
     ウ  その他の留意事項
      評価に当たって事業者以外が行う環境保全措置等の効果を見込む場合には、当該措置等の内容を明らかにできるように整理されるものとすること。
   (4)  環境影響評価項目等選定指針において、(1)又は(2)に規定するところにより留意事項を示すに当たっては、対象事業の種類ごとの一般的な事業の内容を踏まえつつ、参考項目の特性、参考項目に係る環境要素に及ぼすおそれのある影響の重大性、既に得られている科学的知見等を考慮し、(1)又は(2)に規定する留意事項の趣旨を踏まえ、調査法、調査地域、調査の期間及び時期、予測法、予測地域、予測の対象となる時期等のそれぞれについて、事業者が地域特性等を勘案するに当たって参考となる調査又は予測の手法(以下「参考手法」という。)を定め、これを留意事項とともに示すことができるものとする。
   (5)  参考手法を定める場合には、環境影響評価項目等選定指針において、個別の事業ごとの調査及び予測の手法の選定に当たって、それぞれの事業ごとに参考手法を勘案しつつ事業特性及び地域特性に関する情報、法第二章第二節に規定する手続を通じて得られた環境の保全の観点からの情報等を踏まえ選定すべき旨、定めるものとする。
  六  参考項目又は参考手法を勘案して項目又は手法を選定するに当たっての留意事項
   参考項目又は参考手法を勘案しつつ、事業特性及び地域特性に関する情報、法第二章第二節に規定する手続を通じて得られた環境の保全の観点からの情報等を踏まえ、項目及び手法を選定するに当たっての留意事項として、以下の内容を環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする。
   (1)  参考項目及び参考手法を定めるに当たって踏まえられた対象事業の種類ごとの一般的な事業の内容と個別の事業の内容との相違を把握するものとすること。
   (2)  環境への影響がないか又は影響の程度が極めて小さいことが明らかな場合、影響を受ける地域又は対象が相当期間存在しないことが明らかな場合、類似の事例により影響の程度が明らかな場合等においては、参考項目を選定しないこと又は参考手法よりも簡略化された形の調査若しくは予測の手法を選定することができること。
   (3)  環境影響を受けやすい地域又は対象が存在する場合、環境の保全の観点から法令等により指定された地域又は対象が存在する場合、既に環境が著しく悪化し又はそのおそれが高い地域が存在する場合等においては、参考手法よりも詳細な調査又は予測の手法を選定するよう留意すべきこと。

第三 環境保全措置指針に関する基本的事項

  一  一般的事項
   (1)  対象事業に係る環境保全措置は、法第十二条第一項の規定に基づき、環境保全措置指針の定めるところにより、検討されるものである。
   (2)  環境保全措置は、対象事業の実施により選定項目に係る環境要素に及ぶおそれのある影響について、事業者により実行可能な範囲内で、当該影響を回避し、又は低減すること及び当該影響に係る各種の環境の保全の観点からの基準又は目標の達成に努めることを目的として検討されるものとする。
  二  環境保全措置の検討に当たっての留意事項
   環境保全措置の検討に当たっての留意事項を環境保全措置指針において定めるものとする。当該留意事項には、次に掲げる事項が含まれるものとする。
   (1)  環境保全措置の検討に当たっては、環境への影響を回避し、又は低減することを優先するものとし、これらの検討結果を踏まえ、必要に応じ当該事業の実施により損なわれる環境要素と同種の環境要素を創出すること等により損なわれる環境要素の持つ環境の保全の観点からの価値を代償するための措置(以下「代償措置」という。)の検討が行われるものとすること。
   (2)  環境保全措置は、事業者により実行可能な範囲内において検討されるよう整理されるものとすること。
   (3)  環境保全措置の検討に当たっては、次に掲げる事項を可能な限り具体的に明らかにできるようにするものとすること。
     ア  環境保全措置の効果及び必要に応じ不確実性の程度
     イ  環境保全措置の実施に伴い生ずるおそれのある環境影響
     ウ  環境保全措置を講ずるにもかかわらず存在する環境影響
     エ  環境保全措置の内容、実施期間、実施主体その他の環境保全措置の実施の方法
   (4)  代償措置を講じようとする場合には、環境への影響を回避し、又は低減する措置を講ずることが困難であるか否かを検討するとともに、損なわれる環境要素と代償措置により創出される環境要素に関し、それぞれの位置、損なわれ又は創出される環境要素の種類及び内容等を検討するものとし、代償措置の効果及び実施が可能と判断した根拠を可能な限り具体的に明らかにできるようにするものとすること。
   (5)  環境保全措置の検討に当たっては、環境保全措置についての複数案の比較検討、実行可能なより良い技術が取り入れられているか否かの検討等を通じて、講じようとする環境保全措置の妥当性を検証し、これらの検討の経過を明らかにできるよう整理すること。この場合において、当該検討が段階的に行われている場合には、これらの検討を行った段階ごとに環境保全措置の具体的な内容を明らかにできるように整理すること。
   (6)  選定項目に係る予測の不確実性が大きい場合、効果に係る知見が不十分な環境保全措置を講ずる場合、工事中又は供用後において環境保全措置の内容をより詳細なものにする場合等においては環境への影響の重大性に応じ、代償措置を講ずる場合においては当該代償措置による効果の不確実性の程度及び当該代償措置に係る知見の充実の程度を踏まえ、当該事業による環境への重大性に応じ、工事中及び供用後の環境の状態等を把握するための調査(以下「事後調査」という。)の必要性を検討するとともに、事後調査の項目及び手法の内容、事後調査の結果により環境影響が著しいことが明らかとなった場合等の対応の方針、事後調査の結果を公表する旨等を明らかにできるようにすること。
なお、事後調査を行う場合においては、次に掲げる事項に留意すること。
     ア  事後調査の項目及び手法については、事後調査の必要性、事後調査を行う項目の特性、地域特性等に応じて適切な内容とするとともに、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能なように設定されるものとすること。
     イ  事後調査の実施そのものに伴う環境への影響を回避し、又は低減するため、可能な限り環境への影響の少ない事後調査の手法が選定され、採用されるものとすること。
     ウ  事後調査において、地方公共団体等が行う環境モニタリング等を活用する場合、当該対象事業に係る施設等が他の主体に引き継がれることが明らかである場合等においては、他の主体との協力又は他の主体への要請等の方法及び内容について明らかにできるようにすること。

第四 都市計画に定められる対象事業等の特例に基づく事業者の読替え

  法第四十条第一項の規定により、都市計画決定権者が当該対象事業に係る事業者に代わる場合において、第二の適用については、一(6)中「事業者の」とあるのは「都市計画決定権者の」と、三(1)から(3)まで中「事業者」とあるのは「都市計画決定権者」と、五(1)及び(2)中「事業者」とあるのは「都市計画決定権者」と、同(3)中「事業者による」とあるのは「都市計画決定権者による」と、「事業者により」とあるのは「都市計画決定権者により」と、同(4)中「事業者」とあるのは「都市計画決定権者」とする。

第五 その他

 本基本的事項並びにこれに基づき主務大臣が定める基準及び指針に用いられる科学的知見については、常にその妥当性についての検討を行うとともに、当該検討及び環境影響評価の実施状況に係る検討を踏まえ、本基本的事項並びに基準及び指針について、必要な改定を随時行うものとする。特に、本基本的事項の内容全般については、五年程度ごとを目途に点検し、その結果を公表するものとする。

  改正文(平成一二年一二月一四日環境庁告示第七八号) 抄
平成十三年一月六日から適用する。
  改正文(平成一七年三月三〇日環境省告示第二六号) 抄
平成十七年三月三十日から適用する。

<別表>
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