本公園は標高200mから2,600mの範囲にあり、標高によって様々な植生帯を含んでおり、以下のような植生の垂直分布を観察することができます。
山麓はブナ、カツラ、カエデ類などの広葉樹林が広がり、新緑や紅葉が美しい地域です。
一里観音の広葉樹林
標高1,500から2,000mあたりの主稜の山腹などでは、コメツガ、トウヒなどにカンバ類、カツラなどを加えた針広混交林の原生林が分布しています。
その上の奥秩父主稜線は山頂部付近まで、コメツガ、シラビソなどの亜高山性針葉樹林に被われています。山腹から山頂にかけての森林では、林床の倒木や岩塊にコケ類やシダ類が繁茂し、深山の情景を高めており、アルプス的な山岳とは趣の異なる景観を楽しむことが出来ます。
さらに、標高2,500mを越える主稜線にはわずかながら高山帯の植生が分布しています。金峰山山頂付近にはハイマツやキバナシャクナゲが群生しており、それまでの鬱蒼とした針葉樹林からは一転し開放感のある景色が広がります。
金峰山山頂付近のハイマツ帯
本公園では、山岳や高原に特有な様々な植物を見ることができます。石灰岩からなる山岳が多いため、石灰岩地特有の植物が存在するのも特徴で、絶滅が危惧されている貴重な植物も見られます。季節ごとに咲く花々を楽しみに訪れる人も多くいます。