環境省自然環境・生物多様性風力発電施設と自然環境保全に関する研究会

風力発電施設と自然環境保全に関する研究会(第4回)議事録

1. 日時

平成19年6月12日(火曜)14:00~17:00

2. 場所

経済産業省国際会議室(経済産業省本館17階)

3. 出席者

大野 正人
(財団法人日本自然保護協会保護・研究部主任)
大村 昭一
(日本風力開発株式会社執行役員開発本部長)
岡安 直比
(財団法人世界自然保護基金ジャパン自然保護室長)
鹿野 敏
(鹿島建設株式会社環境本部新エネルギーグループグループ長)
古南 幸弘
(財団法人日本野鳥の会自然保護室長)
長井 浩
(日本大学准教授)
中村 哲雄
(葛巻町長)
高畠 敏
(株式会社ユーラスエナジージャパン事業企画室長)祓川社長代理
原科 幸彦
(東京工業大学教授)
由井 正敏
(岩手県立大学教授)
安藤 晴彦
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長)
市川 類
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー等電気利用推進室長)
黒田 大三郎
(環境省大臣官房審議官)
星野 一昭
(環境省自然環境局野生生物課長)
神田 修二
(環境省自然環境局国立公園課長)
西山 理行
(環境省自然環境局野生生物課長補佐)
 

○星野野生生物課長 定刻になりましたので、第4回風力発電施設と自然環境保全に関する研究会を始めたいと思います。
 資源エネルギー庁の上田部長は、所用のため途中から出席いたします。
 本日、司会進行を務めさせていただきます環境省自然環境局野生生物課長の星野でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、下村委員、松田委員から所用のためご欠席とのご連絡をいただいております。また、祓川委員はご都合でご出席されておりませんけれども、ユーラスエナジージャパン社の高畠事業企画室長に代理でご出席いただいております。
 議事に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。
(略)
 本日は、本研究会の最終回でございます。取りまとめに向けた議論になりますので、まず初めに議事の進め方についてご説明させていただきます。
 お手元にお配りいたしました論点整理(案)につきましては、これまでの議論を踏まえまして、事務局において整理した案でございます。本日は、この論点整理(案)についてご議論、ご意見をいただき、取りまとめを行いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、報道機関の方の頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、事務局より論点整理(案)についてご説明させていただきます。
 お配りいたしました資料2をご覧ください。3枚の紙でございます。
 論点整理(案)といたしまして、まず冒頭でこの研究会の目的を記述いたしております。「本研究会は、地球温暖化防止に有効な新エネルギーである風力発電の推進と、野生生物や景観等の自然環境の保全との両立に向けて、様々な立場の方々から意見を伺い、それぞれの認識を確認し、今後の課題、問題点等論点を整理することを目的として開催した。風力発電施設と自然環境保全に関する主な論点は、以下のとおりである」ということで、以下に4つ論点を項目立ててございます。基本的な考え方、2番目が野生生物保護の関係、3番目が景観保全の関係、4点目として立地選定、合意形成のプロセスに関するもの、そして5番目にその他でございます。
 1番目の基本的考え方については、論点を2つ掲げました。1つは、地球温暖化対策としての風力発電導入の重要性、2点目が、風力発電の推進と自然環境保全の両立の必要性でございます。
 導入の必要性に関しましては、二酸化炭素の排出量が少ない風力発電の推進が温暖化対策として重要であるという点、2点目として、地球温暖化対策は生態系にも影響を与え、種の絶滅リスクを増加させることにも留意が必要だという点でございます。
 両立の必要性に関しましては、鳥類への影響、これは風車への衝突─に限らず─をはじめとする鳥類への影響、希少野生動植物の生息・生育地への影響、自然公園をはじめとする優れた景観地への影響など、風力発電施設による野生生物や景観への影響が指摘されているということでございます。これらに対して、さまざまな手法や技術開発などにより、風力発電の推進と野生生物保護、景観保全などの自然環境保全との両立を図ることが必要。
 以上の大きな2点を、基本的考え方の論点として整理させていただいたものでございます。
 次に、野生生物保護の関係でございますけれども、柱を2つ立ててございます。1つは、バードストライクの実態把握とその影響に係る考え方、2点目といたしましては、野生生物保護上、重要な場所の把握の必要性でございます。
 バードストライクの実態把握とその影響に関しましては、特にバードストライクについては、客観的、科学的な手法による国内での実態解明と、海外の情報の正確な把握により、実態や配慮事項を把握・検討することが必要であるという点。2点目といたしましては、風力発電だけではなく他の要因によるバードストライクについても比較・検討すべきである。関係者は、バードストライク情報の取り扱いについて、他の要因との関係も含めて、公平を保つことが必要であるという点。一方、死亡要因においてバードストライクの割合が低ければ対策が不要という事ではなく、対象種へ影響を与える可能性があることに留意すべきだというご意見がございました。バードストライクの影響につきましては、個々の事例のみで議論をせず、個体群への影響を含めた客観的・科学的な調査を行った上で検討をする必要があるということ。さらに、地形や気象条件、季節や鳥類の生息状況から、バードストライク発生のメカニズムについて究明することが必要であるという点でございます。
 2つ目の柱の、野生生物保護上重要な場所の把握の必要性に関しましては、2つございます。1点目は、国等行政は、希少野生動植物の生息・生育地、鳥類の渡り経路等の各種科学的データを可能な限り把握することが必要だという点。2つ目として、把握された生息・生育等の場所に係る各種データの公表については、保護に支障がない範囲でセンシティビティマップ等で可能な限りメッシュレベルを詳しくして公表することが有効であるという点でございます。
 3番目といたしましては、景観保全と風力発電施設でございます。ここでは柱を2つ立ててございます。自然公園における風力発電施設の立地に係る考え方、2点目が、自然公園における風力発電施設設置の審査基準の運用についてでございます。
 立地に係る考え方といたしましては2つありまして、1つ目が、自然公園のうち、特別保護地域、第1種特別地域を除く地域については、風力発電施設設置のポテンシャルが国の導入目標に匹敵するとの試算もあり、温暖化対策に資する意味からも、積極的に開放すべきという意見があったということ。一方、これに対しまして、国立・国定公園は、現在の優れた自然景観の保護を目的としたエリアであり、風致景観に少なからぬ影響を及ぼす大規模な風力発電施設の設置については、公園外での立地可能性の検討も含め、より慎重に扱うべきとの意見があったという2つの意見を並べてございます。
 また、審査基準の運用に関しましては、国立・国定公園における風力発電施設設置の審査基準や審査手続きについては、海岸部での取扱を含め、統一化・明確化を一層図ることが必要という指摘があったという点でございます。また、都道府県立自然公園についても、風力発電施設設置の審査基準を設定することが望ましいという点でございます。
 4つ目の論点といたしまして、立地選定、合意形成のプロセスでございます。これは大きく合意形成プロセスと、立地検討に当たっての考え方と2つに分けてございます。
 合意形成プロセスに関しましては、事業者は、住民や関係者への情報公開と合意形成の重要性を再認識し、積極的に取り組むことが必要だという点。2番目として、一方、公開した情報をもとに批判が強まることが生じやすいが、むしろ関係者は情報公開等の事業者による取り組みを前向きに受け止め、更なる情報公開が進むような環境の醸成に努めることが望まれるという点でございます。3点目として、必要以上に煩雑な手続等を課すことにより、実質的に事業が不可能とならないよう仕組み作りに留意が必要。4点目として、生活に関わる身近な景観への影響については、地元住民の受け止め方が重要であり、地元住民の意見を重視した合意形成のプロセスを経ることが重要だという点でございます。
 2つ目の柱の、立地を検討するに当たっての考え方でございます。3つございます。事業者は立地選定における環境配慮、環境影響評価など配慮のための事項を記したガイドラインに沿った適切な取り組みをすることが必要。国と行政は、立地選定における環境配慮、複数の地点を設定した環境影響評価等に必要なデータや情報の整備等基盤整備をすることが必要だという点でございます。3点目として、風力発電施設の立地を検討するに当たっての参考となる各種情報を記したマップを専門家を含めた関係者の意見を十分に聞いて作成することが必要だという点、以上の3つが立地を選定するに当たっての考え方としてまとめた点でございます。
 5点目、その他でございますけれども、海外における風力発電施設と自然環境保全の両立に向けた取組等の調査を行うことが必要であるということを挙げさせていただきました。
 以上、事務局で取りまとめた論点整理(案)のご説明でございます。
 それでは、ただいま説明いたしました論点整理(案)をもとに議論を始めさせていただきたいと思います。本日は予定の時間が2時間程度ということではございますけれども、できるだけ効率的に検討を進めたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。
 まず、ただいまご説明した論点整理(案)について、各委員お1人ずつからご意見をいただきたいと思います。その後、この論点整理の項目に従って個別の議論をしていきたいと思っております。
 それでは、座席順ということで、まず大野委員からご意見をいただきたいと思います。時間の関係で、お1人三、四分程度でご発言いただければと思います。

○大野委員 個別の項目のところについては、個別の項目ごとに意見を述べればいいということでしょうか。

○星野野生生物課長 個別の点も含めてご意見をいただきたいと思います。と申しますのは、私は今日、司会の役割を仰せつかっておりますが、今日の時間の中でここに書いたもの一言一句を皆さんのご了解を得て取りまとめることは非常に難しいのではないかと思っています。そこで、まず個別の意見も入れて全体についてのご発言をいただきたいと思います。委員全員のご意見を伺いますと、それぞれの項目ごとにいろいろ意見が重複してくると思います。その重複した意見について整理していきたい、そういう進め方を考えております。
 ですから、三、四分と短い時間ではありますけれども、お配りした論点整理(案)についてのご意見をすべて言っていただければありがたいと思っております。

○大野委員 この論点整理(案)に対する意見を配付した資料にまとめさせていただきました。私としては、項目ごとの話になったときに簡単にご説明させていただきたいと思います。全体の話として、今回、野生生物と自然環境、あと温暖化推進の両立というお話があります。ここに書かれている前文ですとか基本的な考えについては、この研究会を始める当初の目的としてあるわけですから、それに大きな異存はありませんが、もう一度両立ということを考えた場合に、審議官からも最初のご挨拶のときにありましたが、3月にG8の環境大臣会合で出された宣言の中で「ポツダム・イニシアチブ-生物多様性2010-及び10の行動」というのが出されています。その生物多様性と気候変動というところで「気候政策と生物多様性の側面が同等に考慮されることが確保されること」と書かれております。「一方にそのしわ寄せが来ることを減少させて、双方にとって望ましい解決策を実施することを努力する」今回の研究会も、そういった取り組みの1つになるのだと思います。
 しかし、風力発電が温暖化対策に貢献するものとして、生物多様性の保全の損失はあってはならないものだと基本的に思うのです。人類生存基盤としている生物多様性保全が温暖化対策と同等に考慮されることを確保しなければならないはずです。
 温暖化そのものの原因は、人間社会の経済活動とか開発活動等によってもたらされた結果でありますので、そのしわ寄せを生物多様性に与えてしまうのではなくて、本来は私たちの生活や社会のライフスタイルを見直す、あと、この先、人口減少に転じていく中で、エネルギー供給事業をどう見直していくのか、そういうことも含めたことが必要なのだと思います。
 なので、この両立というところに、生物多様性保全と温暖化対策の両側面で同等に考慮するということも記述すべきではないかと思います。
 あとは個別の議論に入ったときに意見を述べさせていただきたいと思います。

○大村委員 最初に、地球温暖化についてですが、防止対策に何があるかという中で、当面考えられる対策としては風力発電が一番よろしいのではないかという意見は今まで議論される中でも一致する意見であると認識しています。
 では、これを推進するためには、RPS法の数値目標をいかにクリアするかが先決でありまして、そのためにはもうとても時間がないということも、基本的考え方の中に入れていただいた方がよろしいのではないかと思います。
 もう一つは、地球温暖化対策について、我々風力発電業界としてもいろいろPRはしていかなければいかんと思いますが、やはり国として、国民の方々が今、非常にそういう意識が高まっていると思うんですが、このことをもっと推進していただくことが風力発電を推進する意味においても非常に有効ではなかろうかと思います。
 2つ目は、この中にいろいろなマップ作成ということが出てきております。センシティビティマップだとか他のマップもあると思いますけれども、このマップ化するということは、本来の規制の意味が逆にぼけてしまうのではないか。その上で、どうしても規制の枠が広がっていってしまって、だんだん風力発電の立地が逆に少なくなっていくのではないかという部分で、非常に危惧する部分がございます。
 ただ、どうしてもこれが作成されるとなれば、我々の考えとしては、風車を建設する側、あるいは自然を守る側等々、いろいろな方々の意見を十分協議していただいて、その上で公正さを持ったマップをつくる必要があるのではないかと考えております。当然、将来的にもこういうものは環境、社会状況によって変わっていきますので、その辺もかんがみて、やはり年数を決めて変更はしていっていただきたいと思っております。
 もう一つ、私どもとしては、このセンシティビティマップのアポイドマップ的な使用はしていただきたくないと思っております。
 もう一点、景観保全についてですけれども、実は私、社の方では開発関係に携わっている関係で、地元の方々との接触が非常に多うございます。そういう中で地元の方、地方自治体さんであったり住民の方は非常に風車にご理解いただいて、ぜひ推進してくれ、立ててくれというお話が結構ございます。そういう中で環境問題で、鳥であったり、あるいは景観であったり、あるいは他の規制であったりいろいろなところで、これは何もなしでつくらせろというわけではありませんが、その関係でできないことが多々ございました。ですから、今後はやはり地元の方々の意見をより尊重する方向で、より優先して考えていっていただきたい。この論点整理(案)の中にも「住民の意見を重視する」という項目が出ておりますけれども、私の体験上からちょっと申し上げました。

○岡安委員 一番最初の委員会でも申し上げたと思いますけれども、風力発電と自然環境保全というものは、大きな枠で見た地球温暖化対策に対してどういう施策が必要かということと、それを個々の現場あるいは国の中の一つ一つの風力発電施設を建設するときにどういうふうに当てはめられるかという、大きなものを小さなところへきめ細かくやっていかなければいけないという部分で、この論点整理の内容としてはちょっと弱いところがあるのではないかというのが全体の印象です。
 今、大村委員もおっしゃいましたけれども、地球温暖化防止はもう待ったなしというところまでIPCCの報告などでも出てまいりますので、そのIPCC、あるいは地球温暖化対策がどうあるべきかという指針に従って、まずタイムスケジュールをもうちょっと織り込んでもよろしいのではないかという気がいたします。例えば基本的考え方のところでも、私ども申し上げましたけれども、温暖化対策は節電と省エネという、大野委員がおっしゃったように、まずライフスタイル自体を見直すことも必要である一方で、電力をなるべくクリーンなものにしていくというところでの施策も必要になってきますので、あと10年以内には何らかの形での大きな転換が必要であるということは、少なくとも組み込んでいいのではないかというのが私の意見でございます。
 資料といたしまして、今日、WWFネットワークの風力発電に対する立場を、これは2004年6月に世界中のWWFネットワークの中で策定して発表させていただいたものでありますけれども、これが今でも風力発電に対する世界的な立場として有効であるということで、継続させていただいているものですけれども、これがこの研究会の中で、やはりWWFとしては位置づけられていくべき4つの大きな柱としてご説明できると思いましたので、今日、慨訳を添えて資料として提出させていただいております。
 その一番最初のバックグラウンドのところで、私どもはある程度の数値目標を試算いたしまして、提出させていただいております。また、2番目の風力発電の役割のところでも、化石燃料に頼っての電力発電に比べて風力発電がどれだけ推進されていくべきかということを記述いたしました。これらを踏まえまして論点整理(案)全体を見ていきますと、事業者の方に対して「こういうことをすべきだ」という書き方になっているところがありますけれども、風力発電の推進につきましては、2004年にこの策定をいたしました後3年たちましても、まだまだ行政側のいろいろなインプットあるいは政策上の整備が必要であると考えております。日本の場合は、残念ながらまだ風力発電自体の推進が他の先進国に比べて後手に回っておりますので、まず政府の政策が必要なところであろうということで、2ページの5に挙げさせていただいております。
 それから、風力発電の計画策定方針ということで、今度は具体的に一つ一つの発電施設をどうつくっていったらいいかというところについては、これは私の発表の中で余りご説明ができなかったところですけれども、やはりガイドラインをきちんと策定する。これも、どちらかと申しますと行政側にむしろ整備をお願いしたいところであると言えると思います。
 それに関連しまして、この論点整理(案)の中で特に4番目の立地選定、合意形成のプロセスというところで、今、申し上げておきたいのは、2番目の、風力発電施設の立地を検討するに当たっての考え方というところで、一番最初に「事業者は立地選定における環境配慮、環境影響評価などの配慮のための事項を記したガイドラインに沿った適切な取り組みをすることが必要」とございますけれども、この議論は、たしか記憶では2回目の委員会のときに、ガイドラインがどうなっているのかというところで大野委員あるいは古南委員からの質問があったと思いますが、安藤課長が「あのガイドラインはNEDOのものであって、経済産業省ではあれを確実になくてはいけないものだとは言っていない」といったことをおっしゃっていたと思いますけれども、この論点整理で改めて「ガイドラインに沿った」と、既に存在するような書き方になっているところを、ちょっと確認させていただきたい。このガイドラインの内容はどういうものなのかを確認させていただきたいというのが個別のところでの意見です。

○鹿野委員 まず、地球温暖化防止対策として、資源が少ない日本として、再生可能エネルギーとしての風力発電の推進は欠かせないものであるということと、RPS法の数値目標がとりあえず決められておりますけれども、太陽光等、推進が進んでいないものもありまして、風力発電は目標を前倒ししながら推進すべきものと思います。
 また、今日は欠席されております松田先生から、風力利用は化石資源枯渇に備えた国策という提言がありましたけれども、自然環境への配慮も国策ということで、採算割れしない方策が前提だということをぜひ入れていただきたいと思います。
 あと、バードストライクについては、ここに書かれているように、風力発電を含めた発生原因の全体的な調査を継続して行う必要があると思います。また、公表についても公平性を持って、現在のように、風力発電に偏った報道への発表はやめていただきたいと思います。
 あと、センシティビティマップですが、これに含まれたからといって「風車はだめだ」という論調にならないような形でお願いしたいと思います。むしろ、これも松田先生が言われているようなポジティブマップ、風力発電立地適地の作成が必要で、これを前提としてやっていただきたいと思います。
 景観と風力発電施設ということで、公園外においては、もう海岸部や平坦部の立地がだんだん難しくなってきておりますので、現在は、工事費的にも高い、また景観的にもいろいろ議論がある山岳地への立地が進んできております。公園の中でも既に改変された場所とか平坦な場所であれば、工事費的にも景観的にもさほど問題のないような所も数多くあると思いますので、そういう意味からも積極的な開放をお願いしたい。
 特に、高い山は工事費的に言っても非常に高くなるので、経済的にも全然ペイしないので、我々は、そういう所への立地はほとんど望んでいないと思います。
 あと、審査基準云々ということで、ここにも書かれていますように、都道府県も含めて基準の統一化、明確化を図っていただきたいということと、また、やはり一定規模以上の風力発電所の立地に当たっては、環境アセス等を実施して、その過程で地元住民や自治体の意見を尊重して、合意形成のプロセスを経ることが重要だと思われます。

○古南委員 私は、前回の骨子案の段階での意見を委員の方に配らせていただきました。それはこの論点整理(案)を見る前の意見ですから、既に反映されているものも幾つかあると思います。それを踏まえて意見を言いたいと思います。
 まず、基本的考え方のところで「さまざまな手法や技術開発などにより、風力発電の推進と野生生物保護、景観保全などの自然環境保全との両立を図る」とされておりまして、この「など」に含まれているのかもしれませんけれども、私とか、岡安委員も言われていたと思いますが、風力発電のデザインで、今の風車の形以外にバードストライクが起きにくいであろうといったデザインのものも既にアメリカなどで試されています。バードストライクが起きにくいデザインの開発の必要性というのを指摘しておりますので、これはこの基本的考え方の中に入れるものではないかもしれませんが、それについては取り上げていただきたいと思います。
 それから景観保全のところで、これはタイトルが「景観保全と風力発電施設」となっていますが、「自然公園と風力発電施設」と言った方がいいような内容になっているかなと思います。それが1点気になります。
 それから、これは拾っていただいていると思いますが、特別保護地域及び第1種特別地域以外の、景観も含めて環境影響評価については、今の自然公園法の省令でも細かいことが決まっていないわけですね。そういう意味では、ここに審査基準の統一化、明確化と書かれていますけれども、やはり自然公園の中での景観保全の考え方や環境影響評価の方法について、担当の省庁である環境省において明確に示すことが必要ではないかと思います。
 4番の立地選定、合意形成のプロセスについては、これは環境影響評価についても書かれていると思うので、タイトルに「立地選定、環境影響評価と合意形成のプロセス」ときちっと示すべきかと思います。
 ここで気になるのは、全体的にそうなんですが、文章の中に主語が書き込まれているところがわずかしかないんですね。合意形成のプロセスについては「事業者は」と書かれているんですが、これは事業者が努力すればいいという話だけではないと思います。もちろん事業者さんが努力していただくことは基本にはなると思いますが、そういう意味で少し、事業者さんだけが努力すればいいという書きぶりはいかがなものかと思います。具体的に修文がうまく浮かばないんですけれども、前回でしたか、私も申し上げましたし、松田先生もおっしゃっていましたけれども、こうしたプロセスについてきちんと努力された事業者さんが、補助金の採択とか電力会社さん─今回は電力会社の関係の委員はおられませんけれども、そういうところの契約の上できちんと評価されるようなインセンティブが必要だと思います。なので、そのあたりを少し加味した方がいいかと思います。
 合意形成に関しては、さっき岡安さんもおっしゃったように、現状もNEDOのガイドラインでやられている形になっていますけれども、個別事業に関しては紛争といいますか、少し合意形成の上で困難なことが生じていることもありますので、早い段階からの情報公開、合意形成が必要だと思います。
 それから、4番の中で、これも岡安さんがおっしゃいましたけれども「ガイドラインに沿った適切な取り組みをすることが必要」と書いてありますが、ガイドラインを充実するということがきちっと書かれていませんので、そのことについてはきちんと触れるべきかと思います。

○中村委員 基本的には、先ほどの大村委員、岡安委員と同じような考え方、意見でありますし、風力発電推進市町村全国協議会の立場からいきますと、まず、動植物への配慮、環境への配慮、景観への配慮、立地の合意形成等、これはどれも当然のことで、とても大切なことだと思います。
 しかしながら、今、地球が置かれている環境の状況は、私の発表のときに申し上げましたとおり、人類がすべての手段といいますか、すべてを投入しても間に合わないほど悪化が進行しており、もう元には戻せないという状況を考えますと、この風力発電がその解消の最有力な施設であるという位置づけの中で、推進するのに課題がたくさんございます。
 今回の論点ではないと思いますけれども、先ほどお話が出ましたRPSの問題、それから蓄電池を設置しなければならないといった条件、あるいは解列といった問題ですね。このような条件になりますと、市町村レベルではなかなか建設できない状況にあると私自身は認識しております。資本力のある、そして既にたくさんの風車を立てている事業者にお願いして、市町村が連携をとって建設していくしかない状況です。全国に中山間地帯には風力発電適地が沢山あると思います。私の町で80基、15万キロワットから16万キロワットの風車を建設する可能性は十分あります。建設する土地もあるしいい風が吹いているわけですけれども、先ほど申し上げた解列、蓄電池、RPS法といった問題で、なかなかこれを前に進めることができない。
 そこで私は、安倍総理があのような発言をなさったのは政府の考え方と受けとめ、いいチャンスだな、大変ありがたいことだと思っておりまして、これを機会に国策として国民的合意形成に一気に持っていくべきであるし、ご列席の皆様方を初め省庁の皆様方は国の強力なリーダーシップを発揮されまして、風力発電を強力に推進していただきたいということをお願いしたいと思っております。
 その方法の1つとして、RPS法の数値目標を設定するなら1.35とか1.65%ではなく、3%程度にと思います。それよりも、クリーンエネルギー、風力発電の電気は全量買い取りということが私あるいは風力発電推進全国市町村協議会の最終目標です。全量買い取りというところまで先進国らしく強力に進めていただきたいということを、ご列席の皆様にお願い申し上げます。

○長井委員 いろいろなマップを作成する話になってきているんですけれども、マップ自身は、やはり年月あるいは気候等の変動によって変わっていく中で、ただつくってそれを守っていくだけではなくて、絶えずそれをブラッシュアップして見直しをかけていかないと、規則はつくれば守らなければいけないという趣旨になり、社会状況に適応しなくなるので、その修正が必要であることを明記していただきたい。
 それと、やはりつくったものに対して具体的にどのように活用するか、この段階でも両方の意見の方々が主張されている中で対立しているのですから、専門家の意見を聞いて作成してどういうふうに判断して活用していくかというところも少し検討していただきたいと思います。今まで何人かの方がおっしゃっていますように、温暖化はもう待ったなしですので、現段階でも風力発電の導入はやっているわけですので、そういう中で、早急に効果あるものをつくっていくべきだと思っています。

○祓川委員(代理:高畠) まず最初に基本的考え方のところで、今回、政府の方でちょっと腰が引けているのではないかと思いました。まず最初に、これは大村委員、岡安委員がおっしゃったように、温暖化対策のための風力発電導入は待ったなしで、マストであるといった議論が今回、プレゼンテーション等の中で何度となく発表されたにもかかわらず、「重要性がある」重要性があるのはわかりますけれども、そのために国自身としてRPSを採択して、その導入を図っていこうという中で、2007年度でまだ149万キロワット、2010年度の300万キロワットという目標のまだ半分しかない。残り半分をあと3年しかない中でどうやって達成していくのか、もう少し強い指導というか、リーダーシップを発揮するような考え方を打ち出していってほしかったと思っています。
 風力発電を導入することが前提としてありながら、その中で、やはり自然環境の保全というものをどう考えていくかが基本的考え方のあり方ではないかと私は感じました。
 それから、バードストライクの件ですけれども、これはいろいろなことを比較・検討するとか調査すると書かれていますけれども、だれがやるんですかと。これはもう国に早急にやっていただきたいと考えます。早急にやっていただいて、いち早くそういった実態を公表していただきたい。今までずっと、風力発電でバードストライクがあったときだけ発表され、報道されということで叩かれてきていますので、他の実態はどうなっているんだということを早急に公表していただきたいと考えます。
 それから、3番目の景観保全と風力発電施設ですけれども、自然公園の統一化、明確化で審査をしてやっていきますという中では、なかなか進んでいかないと思いますので、まず最初、原則は開放ありきだと。開放ありきということで原則開放しておいて、それから国の方で問題があるといったことに対して、逆に指導を入れていくという形をとった方が、風力発電の推進は進んでいくのではないかと考えます。
 立地選定、合意形成のプロセスででもマップが出てきますけれども、これはいろいろな委員の方が言われたように、風力発電を導入するためのポジティブサイドのマップであると、もし作成するのであればですね。そういうものを作成していただきたいと考えます。

○原科委員 今、皆さんのご意見をずっとお聞きしておりまして、「合意形成」という言葉を使った方が随分おられました。8名の委員の皆さんほとんどがそういう議論、あるいはアセスメントといったことをおっしゃっておりましたので、やはりそれが1つ重要なポイントだと思います。そういう意味では、基本的考え方の中に合意形成のことが○として1つ加わっていないとおかしいかなと思いました。
 基本的考え方、1つ目に、地球温暖化対策としての風力発電導入の重要性とありますね。2つ目が、風力発電の推進と自然環境保全の両立の必要性。これに基づいて2番、3番、4番と順次細かい議論をしておりますけれども、4番目に項目立てとして「立地選定、合意形成のプロセス」と出しているわけですから、その意味でも、それから今の皆さんのご意見、ご議論から見ましても、3つ目に「合意形成が不可欠だ」といった見出しでぜひ基本的考え方にしっかり加えていただきたいと思います。
 これはどういう内容かといいますと、立地選定段階から十分な情報公開のもと、そういったことをきちっとした上での参加を行う、それによる環境・社会影響に対する配慮、これは早期から行った方がいいですね。その意味では、戦略的環境アセスメントという議論も出てまいりましたけれども、そういったものの適用をここでは具体的に考えていただきたいと思います。
 それは同時に、戦略的環境アセスメントと申しますのは、その事業による便益と環境影響とか社会影響、ネガティブなインパクトを両方総合的に判断しまして、社会的な便益が極めて大きいとなればその事業を行おう、そんな仕組みでございます。そういったことを各地域で行う、そういう経験を積むことが一種の社会的な学習プロセスを進めることになると思うんです。そのような意味でも、ぜひそういうことをやっていただきたい。このことは、欧米の先進国ではむしろ通常の方法ですね。よくやられていることですから、我が国でもやってもらいたいと思います。
 そこで、もうちょっと具体的に申し上げますと、私は住民参加と合意形成の研究をずっとやってまいりましたので、そういったことで、4番目の立地選定、合意形成のプロセスのところでもう少し申し上げたいと思います。
 ここで欠けておりますのは、私の感じでは、やはりガイドラインに関して明確な記述がないことは、大変にこの実現性を低めていると思います。今の記述ですと、では具体的にどうやったらいいのかが出てこないわけです。これは極めて重要なことで、ポイントは、事業の意思決定と連動させることです。つまり意思決定の前に合意形成プロセスを持たないと、全く意味がないです。とりわけこの事業の場合には、補助金の問題とかいろいろございますので、そういったいろいろな意思決定のプロセスとの関係で、きちっと手続を決めるということだと思います。そういうようなことを書き込んでいただきたいと思います。
 とりわけ「早い段階からの合意形成」が、その意味ではキーワードなんですけれども、これは事前にいただいた論点整理(案)にはきちっと入っていました。今日の資料では、3ページの真ん中辺ですかね、「生活に関わる身近な景観への影響については、」云々というところで「地元住民の意見を重視した合意形成」そこに「早い段階から」というキーワードを入れておかなければいけないかと思います。これは全般にとって大変重要なことだと思います。
 もう一つ大切なことは、審査段階で、今もご意見ありましたように、その審査がどれだけ公正か、フェアか、あるいは合理的か、ラシュナルか、そのようなことだと思います。その意味ではリスクの問題をきちっと評価しなければいけない、これは松田委員がおっしゃったとおりだと思います。そういうことで情報をきちっと把握して、それを公開して、その上でチェックする。そのときに大切なのは、何といっても環境への影響ですから、環境部局の明確な関与がないといけないと思います。例えば、審査段階では環境省がきちっと関与して審査するとか、あるいは環境省が組織した専門家の委員会でチェックするとか、そのようなことが必要だと思います。自治体では通常審査会が設けられておりまして、そんなことがやられておりますね。ですから、そういうことによって初めてこの事業が社会的な合意を得られるんだと思いますので、そういうシステムづくりをぜひお願いしたいと思います。
 今の部分、3ページの真ん中辺の2つ目の○、風力発電施設の立地を検討するに当たっての考え方というところで、「事業者は立地選定における環境配慮、環境影響評価など配慮のための事項」と書いてありますね。この「事項」という表現が少し狭くとらえられるとうまくないと思います。大切なのは、いろいろな項目に対する問題とともに、やはりプロセスなんですね。プロセスをきちっとやるためには手続を明確にすることなんですよ。その手続を明確にということは、意思決定の関係ということになりますから、そんなことで、以前も意思決定段階についての情報をお願いしたいと申し上げたのはそういった趣旨だったんですけれども、まだあの段階では私は十分ではなかったと思いますが、そういったことをガイドラインの中でぜひきちっと位置づけていただきたい。意思決定との関係をきちっとする、それは何といっても意思決定の前に合意形成プロセスを持ってくるということであります。
 それから、その次の「・」ですけれども、「必要なデータや情報の整備等基盤整備をすることが必要」これは私もそのとおりでございまして、これはもうちょっと強調してもいいのかなという感じがいたしました。

○由井委員 前回の委員会から今回の委員会の間に国際情勢が大分変わったのではないかと思うんですけれども、ドイツの地球サミットで「2050年までに地球各国のCO排出量を50%削減するように真剣に検討する」でしたっけ、そんなようなことが合意されたと思いますそういうことを受けて、果たして日本では風力を含めてどういう電力装置で何年までに、どういうタイムスケジュールで実際に具体化するかということ、もう計画を決めなければいけないと思うんですね。
 片や予想によりますと、このままいきますと人口が、あと30年ぐらいで3割ぐらい減るという予測がたしかありましたね。まさか30%減るからほうっておいても大丈夫だということにはならないと思うんですけれども、そういうことを考えて、国として早急に二酸化炭素削減のスケジュール政策、これをまず国民で合意すべきではないかと思うんですね。それを合意した上で地域におろして、地域ごとの、皆さんおっしゃっている合意形成を図るという段取りがないと、どこかに押しつけられるというような考え方でいますと、ごみ捨て場の問題のように、みんなが嫌がって結局立たないということになりますよね。だから地球温暖化防止のためには、日本も相当の排出国ですし、これまで文明の恩恵をもらってきたわけですから、ある程度の犠牲をもってCO排出削減に努力しなければいけないと思います。
 そのインセンティブとしては、地域バリューあたりになるのかどうかわかりませんけれども、風力を含めて削減に努力したところには何らかのメリットがなければいけないですね。それから、削減した数量に応じて排出権取引で収入があるようなシステム、そういうことも考えないと、インセンティブがなければ進まないというのは皆様と同じ考えです。
 あと、国行政あるいは市町村、都道府県の行政もそうですけれども、1つの部局だけがこの問題をやるのではなくて、横軸連携、横断的にやらないと効果が出ないと思います。例えば、矮小な例で申しわけありませんけれども、岩手の場合ですと、今、イヌワシの餌場がなくて困っているところを、林を切ってそれを木質バイオマスに使えば餌場ができて、何も無理して風力を立てなくても済むかもしれないんですね。それは農水の関連ですので、農水省、環境省、経済産業省等、みんなが一体となってやらないとだめだと思います。現状で、E3ですか、3%混入ガソリン、バイオエタノール混入ガソリンでさえ環境省と経済産業省で張り合っているようではどうにもならないと私は思います。
 そして、中身の方ですけれども、特にバードストライクをどのように調査し、対策を練るかということについてどうも具体性が欠けているので、例えば重要な場所、バードストライクの現実に行われている風力基地での、建てたときは余り調査していないかもしれませんけれども、フォローアップはしっかりする必要があります。
 それから、これからの調査も、前にも申し上げましたけれども、渡り鳥については3年ぐらいは調査しなければいけない。そういうことを考えますと、保全対策あるいはバードストライクの具体的な対策を考えるときに、すぐにセンシティビティマップをつくってそれで対応することは、多分、生態系やバードストライクに関係する鳥の調査においては不可能ではないかと思います。短期間での調査とマップの作成ですね。風力マップはもうほとんどできているわけですけれども、それに重ねるべき、ポジティブ化するべきベースとしての生態系や、渡り鳥等のデータをすぐにつくり上げて重ねることは不可能ではないかと私は考えております。いや、それは努力次第ですけれども、でも、少なくとも3年かかります。
 そういうことから、意見になるわけですけれども、前から申し上げていますように、この地球温暖化問題というのは人間がつくり出してしまった問題ですね。だから人間が地域ごとにある程度責任を持って解決しなければいけない問題だと思います。だから、地域に割り当てろとは言いませんけれども、ある程度地域ごとに責任を持って、風力をも含めて一定の割合のCO削減をしていかなければいけない。そのときに、その地域ででは景観とか生態系、生態系は大事なところ、景観も大事なところは守らなければいけないんですけれども、多少我慢しなければいけないといったところ、特に景観の問題については、もちろん地域の責任ですけれども、ある前提で一定範囲COを削減しなければいけないという狭い選択肢の中で、やはりそれを責任を持ってやってもらわなければ進まないのではないか、そんなふうに考えております。

○星野野生生物課長 以上で今日ご出席の各委員からご意見を伺ったわけですけれども、今日はご欠席の下村委員からコメントを提出していただいておりまして、会議で紹介してほしいという話でございますので、私からお手元の資料を簡単にご紹介させていただきます。
 下村委員から出された意見は、3の景観と風力発電施設のところ、自然公園に関する記述があるところでございますけれども、ここでは自然公園にかかわる問題のみ取り上げていて、論点が特化し過ぎている、自然公園区域以外のエリアでも必要な問題なんだ、したがって、このタイトルを「景観への影響把握と風力発電施設の立地に関わる考え方」とすべきではないかというご意見でございます。
 また、立地選定の問題の中でこの点を考えるとすれば、やはり同様の趣旨の項目を入れる必要があるのではないかというご指摘。
 そして、景観についての認識を記述すべきではないかということで、景観についての国民的な関心が高まっている、優れた自然景観や地域固有の生活景などへの影響を回避、軽減するとともに、地域住民の合意のもとに地域景観の形成─これは風力発電施設の建設を前提にしてですね─風力発電施設が調和した地域景観の形成が図られる必要がある。そのための影響予測評価のための基盤づくりと、協議のための仕組みづくりが必要だというご意見でございます。
 また、具体的に4つご意見をいただいておりまして、3番目の審査基準のところでは、この審査基準の適切な運用が求められているんだと。そして手続の統一化・明確化については「さらなる」という修文をいただいています。
 また、4番目の合意形成プロセスのところでは、4番目の段落「地域住民の受け止め方が重要であり、」という後に「十分な議論が必要である。そのためには」早い段階から「立地の適否をも含めた」合意形成のプロセスを経ることが重要だというご意見でございます。
 また、同じく4番目の2つ目の○、風力発電施設の立地を検討するに当たっての考え方の2番目で、後ろの方に「既存のデータベースを活用した予測評価の仕組みの提案などを行い、事業者の負担軽減と手続の時間短縮を図ることが必要」というご意見でございます。
 最後ですが、同じく風力発電施設立地についてのマップに関するところでございます。「風力発電施設整備の適地を検討するに当たっての参考となる風況や整備の容易性など各種情報を記したマップを全国レベルで作成することが必要」と。
 以上のご意見をいただいております。
 お手元にお示しいたしました論点整理の事務局案に対するご意見は、これで一通り伺いました。あと時間が1時間程度でございますけれども、本日の会合で一応この論点の整理を行いたいと思っております。
 一通りのご意見を伺ったわけでございますけれども、これから順を追って、少し具体的に議論させていただきたいと思っております。
 まず、1ページの前書きの部分ですね。ここはこの研究会設置の目的を書いたものでございまして、ここについては特にご意見がなかったと認識しておりますけれども、よろしいでしょうか。
 そのようにさせていただきたいと思います。
 1.基本的考え方につきましては、いろいろご意見がありました。特に、1番目の風力発電導入の重要性に関しましては、大野委員からは、温暖化と多様性は同等なんだといった認識があったかと思います。一方、何人かの委員からは、喫緊の課題で早急な対策が必要なんだ、タイムスケジュールも考えた取り組みが必要だというご意見をいただきましたけれども、ここでは温暖化対策として風力発電施設の推進が重要という記述と、種の絶滅リスクを増加させるという点を記述したわけでございますが、ここに具体的に項目としてつけ加えるといいますか、初めの段落を少し修文するような対応を今後、事務局で考えたいと思いますけれども、この部分の重要性に関する論点整理としては、そのような方向で考えるということでよろしいでしょうか。

○岡安委員 先ほどちょっと弱かったかもしれませんけれども、温暖化対策に自然エネルギーが非常に重要であるという中で、自然エネルギーの中でも特に風力が効果的であるという点は、私どものポジションペーパーでは実際に具体的な数値を出させていただいておりますけれども、少なくとも、特に風力が推進されるべきところなのだ、効率的に非常に有効なのであるというところは入れていただければと思います。

○星野野生生物課長 風力発電を推進することが温暖化対策として特に有効だという視点ですね。特に推進が重要だというだけでなくて、もう少し踏み込んだ、風力の意味合いを明確に示す。

○岡安委員 そうですね、自然エネルギーの中でも差別化が結果的に効率を生むというところを入れていただいた方がいいかと思います。

○星野野生生物課長 わかりました。
 ただいまのところについて、その他ございますでしょうか。

○由井委員 一般の国民の方がこの論点整理の回答案を見た場合に、それぞれおわかりなんでしょうけれども、基本的考え方として突然風力のことになるというのが、どうも釈然としない気もします。自然エネルギーの中で風力がベターであるというのはわかるんですけれども、私も申し上げましたし、何人かこの会の途中でおっしゃったように、省エネルギーが多分1番で、次が何になるかはわかりませんけれども、多少順位づけといいますか、大枠の中での順位づけがあって、その中で風力は1つ期待するところが大きい、そういう位置づけを書かないと、間を抜かして見ますと「地球温暖化対策として風力発電が重要」それだけになってしまうので、多少足りないのではないかと思います。

○星野野生生物課長 今の由井委員のご指摘に関して、いかがでしょうか。

○原科委員 確かに、これだけだと唐突な感じがしますので、もう少し丁寧な説明が必要かと思います。ポイントは、恐らく自然エネルギーが有効だということと、それからさっきおっしゃった、その中では風力が利点が大きい、そんな表現かと思います。

○中村委員 国民だれでもができるのは省エネなんですよね。ですから、由井先生のおっしゃるようにちょっと前段に入れて、その次に自然エネルギー、その中で風力発電というふうに表現されたら一般国民の皆さんも理解しやすいかと思います。

○星野野生生物課長 それでは、今、何人かの委員からご意見をいただきました方向で、この基本的考え方の1つ目の○の第1段落の文章を修文したいと思います。皆さんそういう方向でご異議ないと思いますので、そのようにさせていただきます。
 2つ目の「・」についてはこのままのご意見だったと思いますので、これについてはよろしいでしょうか。
 それでは、そうさせていただきます。
 次に、2つ目の○、風力発電の推進と自然環境保全の両立の必要性でございます。
 この中で、明確なご意見としては、古南委員から風車のデザインの話がありましたけれども、この中の修文でそこまで言及する必要はありますでしょうか。

○古南委員 デザインに関しては、ここへ書くよりもその他のところへ追加していただくのがいいのではないかと思います。

○星野野生生物課長 わかりました。
 それでは、それはその他のところでまたご議論させていただきたいと思います。
 両立の必要性の1つ目の「・」でございますけれども、鳥類への影響、生息・生育地への影響、優れた景観地への影響など野生生物や景観への影響が指摘されているというのは客観的な記述だと思いますので、このままとさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
 次に、さまざまな手法や技術開発などにより、風力発電の推進と野生生物保護、景観保全などの自然環境保全との両立を図ることが必要。いろいろな手段を講じて図る必要があるという認識でございます。これについてもご意見はなかったと思っております。よろしいでしょうか。
 では、そのようにさせていただきます。
 次に、原科先生から、基本的考え方に3つ目の柱として合意形成プロセスを入れるというお話がありました。

○由井委員 合意形成が1つと、これはどうなるかわかりませんけれども、要するに、最新の戦略アセスにおいて風力を入れないという方針が一応決まったわけですけれども、各県において、もう5県ぐらいでしょうか、風力について環境影響評価を条例で入れているわけですよね。やはり合意形成のためには環境影響評価システムを整備しなければ、どこから動いていいかわからないわけですよね。そういう意味で、システム整備、制度整備についても、合意形成の○でもつくってそこに同時に書いたらいいかと思うんですが、そこまでは書いてくれないんでしょうか。

○原科委員 この委員会の皆さんのご意見、アセスをしっかりやりましょうというのが大勢だったと私は認識しておりますけれども、前回4人のプレゼンテーションで全員がこのことを言いましたね。私が一番言わなかったかもしれないぐらいですね、この前は。ですから、アセスということもキーワードとして、合意形成のための情報収集のプロセスがアセスですから、これはあわせてぜひ3つ目の○で、そのような表現を加えていただけるといいと思います。
 特に今、風力発電について。発電所は、環境省の新しいSEAのガイドライン、日本型SEAですけれども、当面は外れましたが、私は急には難しいと理解していまして、経済産業省の担当者の方も将来できるようになりたいというお考えだと思います。そういうようなことで、風力発電の場合には、そういう意味ではむしろ対応しやすい面があるかと思います。しかもそういうニーズが強いと思いますから、ぜひこれは先行的にしっかりしたアセスをお願いしたいと思います。
 その考え方は、アメリカのNEPA─国家環境政策法に基づく考え方が私はよろしいと思いますけれども、基本的にあらゆる事業が対象になり得ると考えましてスクリーニングをするんですね。そういうスクリーニングを経ていますので、アメリカでは日本の1,000倍、2,000倍というオーダーでアセスをやっているとこの前、申し上げたんですが、2桁ぐらい多いわけですよ。でも、それは数が多いということでありまして、実際に個々のアセスメントに大変な費用がかかるわけではありません。多くのものは小規模事業ですので、非常に簡単な形の場合もあります。ですから、コストがそんなに増えるようなものではありませんので、スクリーニング段階で簡易アセスをやられて、そして特に詳細な調査が必要な場合にはもう少し踏み込んだアセス、そういう段階を踏むということで考えればいいわけです。
 そうすると、スクリーニング段階で簡単なアセスを行うためには、先ほど申し上げたように、基本的な環境情報等が整備されるといいわけですね。それはネガティブマップもありますし、あるいはポジティブマップ、立地に関してポジティブあるいはネガティブ、両方あると思いますけれども、そういういろいろなマップを用意してやれば相当程度、スクリーニング段階の最初の簡易アセスは本当に費用が少なくて済みますから、それをやっていただいて、そして特段の配慮が必要なところに関しては通常のアセスに踏み込む、そんなことで考えれば十分可能だと思います。日本はそれだけの経済力もありますし、情報もありますし、そういう人材も十分揃っております。そういうコンサルタントの方もたくさんおられますから、十分可能だと思います。
 国民も、そういうことを十分理解するところまで来ていますから、ぜひそういうようなことでやっていただきたいと思います。

○大野委員 4番目の立地選定、合意形成プロセスのところで言おうかと思ったんですが、今までそれぞれの委員からもあったように、今の4番目の文案の中でガイドラインを改めてつくるということが入っていないので、この基本的考え方のところに入るならば、それは私も原科委員や由井委員と全く同じ意見で、ここのところでまず既存のガイドラインも含めて環境省、経済産業省あわせて新たなガイドラインをつくる、あと意思決定の場になる補助金交付等の手続等々も含めて見直していくということを、ここで最初にうたった方がいいと思っています。

○原科委員 そうだと思います。

○安藤新エネルギー対策課長 1のところは基本的考え方で、この研究会のマンデートの部分ですから、ここに合意形成先にありきということではなくて、実は4に項目が立っていますので、2、3のところでどういう観点で整理をした上でそのプロセスの問題を考えるかということをちゃんと、これだけ分量も多いわけですから、基本的考え方に入れることについては反対です。

○原科委員 この研究会のマンデートというのは、私は、やはり合意形成という概念が入ってくると思います。しかも大切なのは、この委員会の中でどれだけ議論されてきたかということですね。今、私、メモをとってきましたが、10人の委員全員が合意形成に係ることをおっしゃっていたということもありますし、この研究会で議論したことをまとめる、それが基本的な考え方ですから、当然入るわけで、それに反対されるのは、私はちょっと違うと思います。安藤さんのご意見はわかりますけれども、しかし、研究会で議論してきたことは、そうではないと思います。やはり研究会での議論を踏まえたものでないと、これはおかしいと思います。

○大村委員 私は安藤課長の言われたことに賛成です。決して合意形成プロセスを省け、重要視するなということではなくて、4番に出てきますので、1番については、こういう基本的な考え方で端的にまとめられた方がよろしいのではないか、私はそう思います。

○原科委員 4番に出ているからこそ基本的考え方に示しておかないと、このレポートとしての整合性がないんですよ。急に出てくることになってしまうから。基本的考え方があって、それに基づいて個別のことを書いたのが2番、3番、4番なんですよ。だからこそ、4番に出てくるからこそ1に書いておきましょうと申し上げたんです。

○岡安委員 やはり基本的考え方のところで、風力を推進しながら自然環境を守るという一番重要な両立という面を考えた場合に、ガイドラインが存在することで結果的に事業者の方も事業を進めやすくするという将来の展開を目指すという面から考えて、やはり基本的考え方の中には、少なくともガイドラインを策定する、そのガイドラインの中には合意形成と環境影響評価が必要であるという一言は必要だと思います。

○星野野生生物課長 ほかにご意見ございますか。意見が分かれているようでございますけれども。

○市川RPS室長 この基本的考え方というのは多分、考え方を書くところで、ここにも書いてありますけれども、さまざまな手法、技術開発にはいろいろな手法があって、その中には合意形成の手法とかそういった形で出てくるんだと思います。そういった意味で言うと、ここについては基本的な考え方ということを、まず、この研究会は、一番上にも書いてありますけれども、地球温暖化防止に有効な風力発電の推進と地球環境保全の両立に向けてに関する基本的な考え方を書く。そのために具体的に出てくる論点とか景観の話、そのための手法、あるいはその他で出てくるのかもしれませんけれども、技術開発、その対策の手法としては、多分いろいろな課題が今、ここで出されている、こういうことだと思うんです。その中は個々の各論で書いていく方が、整理としてはきれいではないかと思います。

○原科委員 その意味で皆さんは、ハードなことだけを基本的考え方に書くべきだと、今そのようなご意見を伺ったように思いますけれども、大切なことはシステム、仕組みづくりなんです。ですから、これは社会的なプロセスですから、当然合意形成という基本コンセプトが基本的考え方に入っていないと、これはうまくいかないですよ。特に両立ということで、先ほどご意見いただいたように、両立するためにこそ合意形成プロセスがないと、これはできないんですから。そういう基本的考え方がなかったら私はうまくいかないと思います。
 それをよくないとおっしゃる理由が私はよくわかりません。つまり、我々は日本社会にとって将来プラスになることを考えたわけですね。そうすると、行政とかいろいろなところで説明責任を問われるわけです。しかも説明責任は、それだけではなくて企業にまで問われておりますよ。CSR、企業の社会的な責任とか言われておりますね。そういうようなことを考えますと、アセスメントと合意形成はそのための基本ですから、これが基本的考え方に入っていなかったら非常に整合しなくて、余りにも美しくない報告になってしまうと思います。

○安藤新エネルギー対策課長 この研究会のマンデートですが、最初の4行をもう一回ごらんいただきたいのですが、新エネの風力発電の推進ということと、野生生物や景観等の自然環境の保全の両立に向けて意見を伺って、その論点の整理をする、こういうことですね。
 それで、まずアセスありきということかどうかという点では、アセスの問題はまた別な土俵があるわけですから、この研究会で議論するのは適当でないと考えます。
 それから、手続論が大事だというのは当然のことですけれども、一方で、ガイドラインが前提だという議論については必ずしも賛成できません。

○星野野生生物課長 大きく意見が分かれているようですが、ここは非常に重要な考え方を示す場所でありまして、前書きで研究会の設置目的を書いています。推進と保全との両立ということですね。保全との両立を図りながら進めていくための手法として、原科委員が言われるような合意形成プロセスをしっかり位置づけることが、中・長期的に見ても風力発電施設を設置する上でも重要だろうというご指摘ではないかと思います。
 そういう観点で考えると、基本的考え方の3つ目の柱を立てるというよりは、2つ目の推進と保全の両立の必要性の記述の中で、1つ目では、いろいろな影響が指摘されている、2つ目で、さまざまな手法、技術開発などにより両立を図ることが必要と書いていまして、さらにこの特記事項的に、「特に」と書くのか3番目の「・」を起こして、その中で後ろの方に出てくる合意形成プロセスの話、それから環境影響評価の話、後ろに出てくるもののエッセンスを書いて両立の必要性という柱の中に位置づけるのか、そういうことを今日の座長をしている立場で皆さんにご提案したいと思うんですけれども、そんな形で考えることではいかがでしょうか。

○岡安委員 基本的考え方の1番目、2番目で、例えば1番目では、これは私自身も申し上げた意見ですけれども、地球温暖化対策として風力発電をタイムスケジュールも入れた形で、「いつごろまでに、どれだけのものを」とかなり数値的に明確なものを示していただくべきだという意見を申し上げましたし、事業者の方からもそれは了承されて、そこは書き込みがかなり具体的になると認識しております。それに比較して、では、そのために具体的にどんな施策をしなければならないかという意味では、4番目のところはあくまでも合意形成、立地選定というところしか項目としては具体的に立っていなくて、ガイドラインを策定するというところが曖昧であるという意見がありましたので、少なくとも2番目の○に3つ目に「・」で別項目を立てて、ガイドラインの策定、その中には合意形成プロセスあるいは環境影響評価についてしっかり記述していただきたいと思います。

○安藤新エネルギー対策課長 何度も申し上げるようで恐縮ですが、ガイドラインには2つの考え方があって、1つは規制を背景にしたガイドライン、これはいろいろな手続を法令上きっちりと定めた上で、そのデュープロセスまで含めてきっちりやる、これは当然のことですね。一方で、ここで議論しているガイドラインは補助金上のガイドラインです。基本的には事業者ないし推進主体が進めること、それを応援するための仕組みの中で、一方で、最低限必要なことを守ってほしい、そういう意味でのガイドラインです。だから、法規制を背景としたガイドライン一般の議論とはまた違うわけです。したがって、それをこの基本的考え方の中に入れ込むことには賛成しかねます。

○岡安委員 逆に質問なんですけれども、4番目にガイドラインと書いてあるのは、そうすると、あくまでも事業をする上でのと。ちょっと委員の皆様のご意見から出てきたガイドラインと安藤課長がおっしゃっているガイドラインにはギャップがあるような気がいたしますが、それはむしろここで具体的にしていただきたいと思います。

○安藤新エネルギー対策課長 この発言は事務局としての説明になりますが、ここに書いてある「ガイドライン」は、NEDOガイドラインを意味しています。一方で、このガイドラインに沿った適切な取り組みということについては、これまでのお話と、これから先の話とを、ちょっと分けて考えた方がいいと思っています。というのは、これまでは基本的にガイドラインを尊重するということですから、必ずしも守ることが前提ではなかったわけです。他方で、こういう場でご議論させていただいていますし、我々もこの手続やガイドラインの持つ意味について深く認識しております。
 なかなか難しいのは、国が作成したものと、国が指導・監督する独立行政法人がつくったものと混同するというのは、なかなかやりにくいところがあります。一方で、今後については、準拠に沿うような、理想形に近いような形で運用していくことが大事だと思っています。そういう認識は共有させていただいておりまして、「ガイドライン」と一言も書いてはいかんとか、そういうことを申し上げるつもりもないんです。ただ、ガイドラインで前提にしていただきたいのは、規制があってそれをきっちりとやる手続論の問題と、補助金ということで推進するために最低限守ってほしい、しかも特殊法人で実施しているものに国も準拠する形で尊重していく、また、尊重だけでなくて、そういうものに沿っていただく、そういうものをできるだけ我々としても優遇というのはちょっと言い過ぎだと思いますけれども、そうしたものから採択させていただくような方向ということを、実はこういう場で議論させていただいたことを踏まえて、私どもとしても強く感じていますので、ぜひそういう形で、むしろ行動の方であらわしていきたいと思います。
 議長にちょっとご提案です。実は、この論点整理(案)も、昨日の夜中まで議論させていただきました。20時ぐらいの段階では全く合意ができないと思いまして、もう前回の骨子のまま議論させていただくか、論点整理を机に出せないのではないか、そう思ったところから始まって、環境省の皆さんと、元に戻ってしまうのではなくて、それぞれ違う価値観をどういうふうにすり合わせていくのかという、それは、まさに「合意形成」そのものだったのですが、合意形成ということで、それぞれが歩み寄って努力して、書けるものは書きましたし、書けないものもあるんです。しかし、書けないものがあっても、この場に皆様方が集まってご議論いただいたことが、逆に、私ども行政の運用する立場にとって非常に重要なことだと思っています。書けないものはどうするのかという点はありますが、原科先生がおっしゃるように説明責任もありますし、行政の運営の中でご意見を踏まえて、先行的にどこまで行けるか、ここはなかなか私どももチャレンジがありますので、きっちり書くところまで踏ん切れるかというと、この段階でなかなか難しいところがある、これが実態です。でも、一方でご指摘をいろいろと受けている点については重く受け止めてしっかりと進めていく、これが大事だと思っています。
 ちょっと厳しい形でご意見申し上げていますが、それは逆に、責任感を持ってこれを進めていく、その大前提の下でどこまでどうできるのか、こんなことだとご理解いただきたいと思います。

○原科委員 私は誤解していたかもしれないですね。資源エネルギー庁は合意形成を大変重視してこられたと思いましたので、ですから基本的考え方に書くことはむしろ喜んでやっていただけると思ったので申し上げたんですよ。
 4番目の項目ではっきり書いていますからね、4番で出しているのであれば、まず入り口の基本的考え方に○をつけて出して当たり前でしょう。これが整合のとれた文書ですよ。だから申し上げたんです。でも、そこまではなかなか踏み込めないとおっしゃるというのは、ちょっと残念なんです。そこは踏み込んでいただきたいのでね。だから○でしっかり書いていただきたいと思います。
 NEDOのガイドラインということで、具体的にはそういうものは出すなとおっしゃいました。それはそれでも結構です。では、その改定を、この趣旨に沿って、つまり情報公開を早期から行って、そして十分な参加を行って、その中でフェアな審査をする。松田委員が言っているようにリスクもきちっと評価してもらう。そういうことに対する国民の理解が必要ですね。そういう理解を踏まえるようなプロセスとして、合意形成はすごく大事なんですよ。そのことによって初めて両立するわけですから。
 そういうことで、私は新エネルギーにはそういう合意形成が大変重要だと思っているので、そういうことをきちんと○をつけて表現していただいた方がよろしいと思って申し上げたわけです。その辺はどうなんですか。

○安藤新エネルギー対策課長 半分委員、半分事務局の立場ということで、微妙ですが、お許しいただきたいと思います。
 委員ご指摘のとおりだと思いますが、書けるかどうかといったところは両省庁でもう少し揉ませていただきたいと思いますし、基本的考え方に、ここでちらっとも出ておらないと言えばうそでございますし、「さまざまな手法や」「など」みたいなところで入っていないかというと、それは入っているわけでございますけれども、もう少し明確化が図れるのかどうか、これはいろいろな関係者もございますので、少しご猶予いただきたいと思います。

○原科委員 もう一言、先ほど中村委員がおっしゃったと思いますけれども、自然エネルギーの推進のためには風力以外にバイオもありますね。そういった議論も戦略的環境アセスメントというフェーズで議論をすれば、国民の意見は深まるんですよ。だから個別の事業を余り狭く考えるとだめなので、もっと広くいろいろな可能性を考える、そういう場がSEAだと私は思いますので、そのような社会的な効果もぜひお考えいただいて、明確に書き込んでいただきたいと思います。

○星野野生生物課長 そういうことで、私の提案をサポートするご意見が先ほど1つだけございましたけれども、新しい柱を立てるのではなくて、この表現ぶり、修正が可能かどうか、原科委員のご意見も含めて事務局側で考えさせていただきたいと思います。
 それでは、2つ目の柱、野生生物保護と風力発電施設の関係でございます。
 ここではセンシティビティマップの関係で幾つかご意見が出されたと思っておりますが、1つ目の○の記述について、何か特別にご意見がございますでしょうか。

○祓川委員(代理:高畠) 先ほども申し上げましたけれども、バードストライクについて客観的、科学的な手法で実態を解明するのはいいと思いますけれども、では、だれがそういうことをやるんだということと、やったことに対する公表についてきちんと書いていただきたい。
 今現在、風力発電が置かれている立場というのは、風力発電にバードストライクがあると新聞等でよく取り上げられて、私どものところにも新聞記者の方たちがいらしたりということがあるんですけれども、では、他では起きていないのか。他で起きたことを新聞等で拝見したことはないんですが、風力発電だけがそういうふうに一方的に叩かれるのはちょっと解せないので、やはり公平、公正という意味では、全バードストライクについて公表をしていただきたいということをここにきちんと書いていただきたいと思います。

○星野野生生物課長 座長という立場ではなく、環境省の野生生物課長という立場で発言いたしますが、先ほども「偏った報道発表」といったご発言がございましたが、バードストライクについては、環境省について全国的な把握をしているわけではございません。予算をとって送電線の事故、ガラスにぶつかった事故、すべてを把握するのは不可能だと思っています。
 バードストライクだけではなくて、例えば、北海道ですとオオワシ、オジロワシという非常に貴重な猛禽類がいますので、そういうものに事故があると、それは環境省に情報として入ってきます。それらは鉛中毒だとかいろいろな事件がありますね。場合によっては発砲事件もございます。私、北海道で事務所長をしておりましたけれども、そういうものは逐一発表しております。大きなものであれば全国ニュースになったり、地域ではかなり発表されているんですね。
 風力発電のバードストライクというのは比較的ニュース性が高いということで、現場で発表しているものが全国に報道されて、結果的にバードストライクだけ発表しているのではないかという誤解を持たれたかと思いますけれども、そういう状況ではないというのが1つです。
 それから、ここで客観的、科学的な手法による国内での実態解明が必要だというご指摘、今回の研究会の中でご意見をいただいたということでございますので、非常に難しい─全国的にどの程度の国の予算をかけてやるのか、また、やることの意味がどうなのかということも含めて、今後の宿題として考えたいと思っております。

○大村委員 今の調査についてですけれども、今、国で予算をとっていただいて全調査をするというのは不可能に近い話で、かなり長期的なことでは可能でしょうけれども、今すぐというのはなかなか難しい話だと思います。
 ただ、先ほど高畠委員からもありましたけれども、当面、例えば今ある風車のモニタリングをするとか、こういうことは早急にできるわけですね。当然これも予算を伴いますけれども、こういうものについては、ただ必要である、検討が必要だということではなくて、もうちょっとタイムスケジュール的なものも含めて、いつ予算化できて事業者がいつからかかれるのかということまで具体的に決めていく必要があるのではなかろうかと思います。

○星野野生生物課長 これも座長としての発言ではありませんが、風車のモニタリングが必要なのは我々も認識しております。今年から3年間の調査を計画しておりまして、その中でも、これはむしろ今日ご参加いただいている風力発電をされている事業者の方々の全面的なご協力をいただかなくてはいけないんですが、事業者の方々のご協力を得て、実際に風力発電施設がどんな状況になっているのかというモニタリングはしっかりと、単発的なものではなくて、しっかりやっていきたいと思っていますし、先ほどのご指摘、バードストライク全般についての実態も、これはさまざまな事業者の協力を得ないとやっていけない話でありますので、資源エネルギー庁にもご相談して、環境省としてどういうことができるのか前向きに考えていきたいと思っています。

○原科委員 今の問題、やはりメディアの扱い方の問題が大きいですね。メディアはどうしてそういう扱い方をするかというと、国民の意識があるわけです。そういう意味で、国民の意識あるいはメディアの認識を変えるためにも、さっき申し上げた広範なアセスメント、NEPA型の。そういうものをやればスクーリング段階で数はたくさんできます。しかし、余り費用はかからない。その過程でリスクの計算をきちっとやって示していきますと、余り過剰な反応はなくなってくると思います。
 そういうことで、一種の学習プロセスだと思います。

○由井委員 渡り鳥とかいろいろ実態を調査したり、バードストライクの実態を調査して、バードストライクが発生する要因がある程度わかるところまでやられると思うんですけれども、それがわかった後に、単に立地を回避するだけではなくて、場合によってはバードストライクそのものを、ブレードに当たらないようにするとか寄ってこないようにする対策が最終的に必要になるわけですけれども、それはこの中で読み取れるんでしょうか。そこまで入っていますか。あるいは先ほど環境省がおっしゃった事業者も含めて実態調査をやるという中には、衝突防止対策も入っているということですか。

○星野野生生物課長 これは基本的考え方の2つ目の○の方で、逆に後ろに個別の記述がないんですけれども、この中に「技術開発」という言葉を入れてございまして、私どもで考えている調査の中では、実証実験をしていきたい。これは事業者の協力を得てやっていきたいと思っています。

○由井委員 そうですね、技術開発を受けたことが2の1つ目の○あたりに具体的に何かあった方がよろしいと思います。

○原科委員 あるいは、最後の「・」に「地形や気象条件、季節や鳥類の生息状況から、バードストライク発生のメカニズムについて究明する」と書いてあるでしょう。これ、メカニズムを究明したら、まさにその次に対策がないとまずいですね。そこに合わせて対策のことをぜひ書いていただいて。

○星野野生生物課長 わかりました。では、最後の「・」はそのように、技術開発の点をここに含めるという修文をさせていただきたいと思います。

○長井委員 先ほどメディアがどう取り上げるかという中で、1年間でまとめてそういう死亡数を取り上げていくという方法もあるかと思います。そうしますと、どういう所でどういう種類の鳥が系統的に事故が生じているかがわかりますので、先ほどの地形とか気象条件というところの比較ができると思います。ですから、個々に発表する方法もあるかと思いますけれども、1年間毎に纏めて発表と同時に系統的に記録をとり続けていただきたい。

○星野野生生物課長 年間の発生をまとめた形で環境省から発表することも必要だというご意見ですね。それは特に修文ということではなくて、考えたいと思います。

○古南委員 重複した発言になりますけれども、先ほどユーナスエナジーの方がおっしゃったように、1番目の「・」に関しては、ちょっと星野さんの発言の内容がよくわからなかったんですけれども、今後、環境省としては取り組んでいくということでよろしいわけですよね。要するに、さっきもちょっと言いましたけれども、主語がない文章が多いので、ここはやはり「政府は」といった形で主語を入れていただいた方がいいかと思います。

○星野野生生物課長 1番目の「・」と、3番目の「・」も調査関係ですから、国が中心となってということで考えております。

○古南委員 それから、ちょっと細かいことになるかもしれませんけれども、先ほどの、例えばオオワシ、オジロワシなどの死亡要因に関する発表というのは、ここの研究会のメインのイシューからは外れるかもしれませんけれども、非常に重要なことだと思います。この手の事故なども含めて、いろいろな死亡要因で、特に希少種がどういう状況にあるかきちんと解明して公表していくことは非常に重要なことだと思います。
 それを考えると、2つ目の「・」で「他の要因によるバードストライクについても把握し比較検討すべきであり、」というのは、本当はここはバードストライクだけではなくて、他の志望要因についてもきちっと把握すべきという、ちょっと対象が変わってしまいますけれども、ここで書いているのは、多分、例えば鳥類全般に関してのバードストライクということだろうと思いますけれども、多分いろいろな方がご発言になっているのは、例えばオジロワシに関して風力発電の影響だけが大きく報道されているのはなぜかということだと思いますので、先ほどの課長のご発言にも含まれていたかと思いますけれども、「他の要因による死亡についても把握、比較検討すべきであり」とすべきではないか。バードストライクだけをここで取り上げるのは、余り論理的ではないと思います。

○星野野生生物課長 その点については、これ全体が風力発電立地推進のための問題点、課題を整理するという観点ですので、この「・」で言っている趣旨としては、バードストライクということではいろいろなものにぶつかるケースがあるのに、風力発電だけが際立って取り上げられてという趣旨のご発言があって、こういう記述が必要だということで書き入れてありますので、ここはこのようにさせていただきたいと思っておりますけれども、古南さんが言われる趣旨については、希少な野生生物の保護を図る上で死亡原因を把握することは重要だと思っていますので、それはそれとして努力していきたいと思っています。
 1つ目の○については、以上でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、2つ目の○、野生生物保護上重要な場所の把握の必要性について、先ほど来、申し上げましたけれども、センシティビティマップについては幾つかご意見をいただいております。公正なマップづくりが必要だ、一定期間置いたら改訂が必要だというようなご意見があったかと思います。また、ポジティブマップの話もご指摘があったかと思いますけれども、ここでは野生生物保護上重要な場所の把握ということで、ポジティブマップはまた後ろの方で議論したいと思います。
 その他、この関係で。

○由井委員 まず、この文章の2行目「科学的データを可能な限り把握することが必要」である。先ほど申し上げたと思いますけれども、既存のデータを把握するというふうに読んでしまうとまずいと思いますので、「可能な限り調査し、把握する」とか。やはり調査も必要なわけですので、当然やられると思いますので。

○原科委員 「収集」とかね。

○由井委員 調査、収集、どちらかですね。そういうニュアンスでお願いします。

○星野野生生物課長 「科学的データを調査・収集し、可能な限り把握」と。既存のものを集めるだけではないよということを明確にするということですね。

○由井委員 それからセンシティビティマップの、保護に支障がない範囲で可能な限りメッシュレベルを詳しくということですけれども、環境省で調査したイヌワシやクマタカの分布図がございますけれども、イヌワシが10キロメッシュでしたね。それからクマタカが5キロメッシュ、オオタカもそうだと思いましたけれども、場合によっては、その程度でもその筋の方でも巣を見つけてしまうというぐらい、かなり危ない地図でもあるわけですね。今度のセンシティビティマップあるいはポジティブマップをつくるときに、メッシュの大きさをどうするかというのが1つあります。細かい技術的な問題ですけれども。
 風況マップは500キロメートルメッシュのようです。イヌワシメッシュは10キロメッシュですから、およそ合っていないわけですね。これを500キロメートルメッシュにしますとイヌワシの巣が一遍で見つかってしまって、連日押すな押すなとカメラマンが来てしまうわけですね。
 そういうことがありまして、まず、センシティビティマップについては希少種や、場合によっては渡りのコースとか植生とか、景観も入るでしょうけれども、これを情報としては全部環境省や各県で持っているとしても、10キロメッシュ程度で総合評価といいますか、ここは何もありませんよ、ここは多少危ないですよ、ここは絶対だめですよというぐらいで評価した総合図みたいなものがあって、実際そこで風況がよくて風力事業をやろうとする事業者においては、そこの担当者に行くとその内容がわかるようにしておけばよろしいかと思いますので、全部を詳しく出すのは危険性があると思います。
 例えばの話ですけれども、赤いメッシュは全く不可で、黄色いエリアは、そこへの立地はクリアすべき点がたくさんあるという意味だというようなことを書いて、グリーンであれば、例えば2種・3種地域とか普通地域は景観に配慮すればOKですよ、無色はすべてOKですとか、そんなぐあいになると思うんですけれども、問題は、イヌワシともう一つ、例えばクマタカ、オオタカもありますけれども、クマタカは多変量解析などで推定した例もありますが、地形的要因で推定した例でもかなり実態と合っているということですが、環境省が公表した約1,800羽という数値より、まだかなりいる可能性があります。これは保護が行き届いて増えたということもあるかもしれませんけれども、実態としているという場合に、メッシュの大きさによりますけれども、ほとんどの所で風力基地の予定地とクマタカの分布地と重なってしまう可能性がありますね。
 そういうことで、それがそのままセンシティビティマップで出てしまうと、風力の推進がかなり難しいということもあり得ると思います。私は猛禽の保護の立場としては、本来はその方がよろしいんですけれども、地球環境が危ないというときに、クマタカもある程度は数が多いことがわかりましたので、もちろん営巣地点は開発しないということと、狩り場をどう守るか、それから衝突防止策をどうするか、そういうことがある程度わかった段階では調整のしようがあるわけですけれども、まだ調整方法が不明な段階では、一応10キロメッシュぐらいで危ないですよということを公表しておいて、そこで具体的な対策は地域の、あるいは自主アセスを含めて、また地域の合意形成を含めて、その地域で事業をする事業者の方が責任を持って進めていただく。何しろクマタカは現在でも種の保存法の指定種ですので、大事にしなければいけないことは確かですので。─という段取りになるのではないかと思います。
 一面的にセンシティビティマップとしてクマタカの分布図を出したら、これはかなり風力の方は大変だという、老婆心です。

○原科委員 そういう意味で、「可能な限り」と。

○星野野生生物課長 まさに先生がおっしゃったような趣旨で「保護に支障がない範囲」で「可能な限りメッシュレベルを詳しく」。これは公表いたしますけれども、この公表したものをどうするかというのは別な問題として我々は認識しておりまして、今後、環境省でする調査の中でも適正な立地を進めていくための考え方を、別な調査でまとめていきたいと思っております。
 ただいま由井先生からご意見いただきましたけれども、おっしゃる内容は含まれていると私は思っておりますので、表現としてはこういう表現とさせていただきたいと思います。

○大野委員 本日の事業者の方の意見にも、新しい情報が入ったらそれは更新してほしいということがありました。私も、いろいろな知見だとか政策上で、網をかけていくことというのは変わっていくと思うんです。その1つに、今、国土形成計画の見直しがされていますけれども、エコロジカルネットワークの必要性も第3次の国家戦略の中で盛り込まれていくと思います。そんな情報も随時入っていくようなセンシティビティマップであるべきではないかと思います。
 なので、この文案のどこかにそういった、リアルタイムにというか、更新されていくものであるというニュアンスが入って、それがまた事業者の方の事業推進のために役立つということがあると思いますので。

○星野野生生物課長 要するに、つくったら1度限りで終わりということではなくてですね。それは我々もそういうつもりでおりますので、その表現がわかるような修文を事務局の方で考えさせていただきたいと思います。
 ほかにございませんか。
 なければ、野生生物に関する2つ目の○は、ただいまの更新についての修文を入れた形でご了解いただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次の柱、景観のところへいきたいと思います。
 ここは幾つかご意見がありまして、古南委員からは、3のもとに書いてある○では自然公園の話なので、むしろタイトルを変えた方がいいのではないかというご意見がありましたし、一方、下村委員からのペーパーでは、自然公園に限定させるのはいかがなものか、もう少し自然公園以外にも広げた表現が必要で、かつ景観に関する記述が必要なのではないかというご意見が出されたところです。
 その他、3の景観保全と風力発電施設の記述に関してご意見ございますでしょうか。

○大野委員 自然公園だけという話もあるんですが、今回、景観に関する議論は自然公園の中、外も含めて十分にはできていないのではないかと思います。というのは、今回、下村委員が欠席だということもありますし、景観の専門の下村委員がプレゼンをする時間があったわけでもないので、今回の検討会を機に国立・国定公園の積極的開放をするものではないのではないかと思います。
 自然公園以外の所の記述をすることは必要だと思いますが、そこは下村委員のメモにある「そして、まず冒頭に」云々かんぬんという、その文章が1つ立てられるのではないかと思います。
 もう一つは、今の論点の中で、国立・国定公園の中の特保、1特を除く地域について「風力発電施設のポテンシャルが国の導入目標に匹敵するという試算もあり、」「積極的に開放すべきべきとの意見があった」という記述がありますけれど、今回、国立公園の外での風力発電設置のポテンシャルがどれだけあるかが明記されないままこれだけ結論づけて書かれるのは、ちょっと違和感があるのではないかと思います。
 国の目標の今の3倍というところを、狭い、たった9%しかない国立公園だけに求めていくのは、ちょっと理解しがたい、納得できない内容だと思いますので、ここの部分は削除するか、もしくは国立公園外の適地のことも記述して、その前提の中で「国立公園の中では」ということを書くべきではないかと思います。

○原科委員 私もここのところで非常に違和感を感じているんですが、まさにそういうことなんですね。違和感を感じました。つまり、自然公園以外の地域が9割以上あるわけでしょう。普通はその中で立地を考え、そのポテンシャルを考えて、不足分がこれこれだから自然公園も少しという話になると思うんですよ。だけれども、これだけ突出して書かれている。だから非常に違和感があるんですよ。だから、この「風力発電施設のポテンシャルが国の導入目標に匹敵するとの試算もあり」という部分は、私は要らないと思いますね。
 ただ、地球温暖化対策に資する意味からも、自然公園の中にある程度の立地が可能になってもいい、そういう主張はあってもいいと思うんですけれども、でも、この理屈をつけてしまうと、あたかも他の9割には全然立地ができないような誤った印象を与えてしまうのではないですか。だから、これは外すべきだと思います。

○星野野生生物課長 今、4時で、できるだけ議論を続けてまとめていきたいと思いますが、私、座長という立場でできるだけ議論を進めていきたいと思っております。
 今のご指摘ですけれども、1つ目の○では、いわゆる両論併記という形で書いております。今日、祓川委員の代理で来られた高畠委員からは、公園内は原則開放というご意見もありましたけれども、おおむねこういう積極的に開放という意見で一方の意見をまとめさせていただいて、それに対するもう一方の意見を「これに対し、」ということで書かせていただいております。したがって、公園外の風力発電のポテンシャル云々についても、必要であれば2つ目の「・」の中で記述する形で、それぞれの主張を並列する形でまとめたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。そういう座長提案に対するご意見を伺いたいと思います。

○原科委員 公園外のポテンシャルも、ちゃんと答えがあるわけですか。

○星野野生生物課長 2つ目の「・」の3行目に「公園外での立地可能性の検討も含め、」という記述がございますので、公園区域外でのポテンシャルもかなり高いものがあるんだというような記述がここに入るとおっしゃる点……、少なくとも大野委員がご指摘の点にはこたえられるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○原科委員 だから、それはもうそういう調査結果があるわけですね。公園外のポテンシャルに対して。同じ基準で。

○星野野生生物課長 同じ基準でということではありませんが。

○原科委員 そうしないと意味がないでしょう。つまり、風況とかそういった点からチェックしているわけですよね。それで出てくるならいいけれども、正確なものがなかったら、むしろ外してしまった方がいいですよ。
 私は、これは「除く地域については、地球温暖化防止対策に資する意味からも積極的に開放すべきとの意見があった」で十分だと思いますけれども。

○星野野生生物課長 ただいまの原科委員のご意見については、いかがでしょうか。

○長井委員 正直言って、前回、私が発表させていただいた資料ぐらいしか風速クラス別面積を求めたものはないと思います。いわゆる風況マップの毎秒6メートル以上のところの全面積と、それから私自身が学生と一緒に算出した国立公園内の縛りですね。それ以外のエリアについてのエリアマップというのはほとんど存在していないので、逆に言えば、ここで検討を含めて慎重に扱うべきだということ。エリア外にも毎秒6メートル以上のエリアはあるんですけれども、それに対しての導入というのを今後、考えていかなければいけないという部分かと思います。
 ただ、先ほど言いましたように、国土の36%のうちと自然公園の二十数%という数値、前回の資料に述べたような、比較的高いところが公園内だという事実だけは確認していただきたいということです。ただ、先ほどから言っている特別地域とか景観といったところについては、私は外すべきだと言ったんですけれども、松田委員は逆の話をされたのでちょっと違和感を持ったんですけれども、私自身は平成16年度の現在は環境省の審査基準は踏襲していきたいと思っています。

○大村委員 今のご議論ですが、公園外にどれだけ面積が残っているかと申しますと、正直言いまして、どれだけあるということは言えません。ただ、事業者として非常に、先ほどちょっとご意見ありましたけれども、どんどん事業が厳しくなってきております。非常に電力単価も下がってきまして、その中で風車も高い、また建設コストに見合う用地として海岸線の立地もできなくて、山の上に行かざるを得ない。ですから事業的な中で、では今、残っている用地がどれだけあるかといいますと、非常に少ないと言えると思います。

○鹿野委員 同じような意見ですが、少なくとも事業者側としては、まず立地を考えるときに、国立・国定公園というのは難しいだろうというのが先に立って、やはり公園外から検討を始めていくわけですね。それで残っているのが比較的─先ほどから言っていますけれども、地形的に悪い所は工事費も大きくかかりますから、あえて立地は難しいと思うんですけれども、国立・国定公園内にも改変された場所もかなりあるわけです。ただし、申請をするときにおいて、まず開発が難しいというのが今、前提にありますので、その垣根を取り払っていただければと思います。

○星野野生生物課長 1つ目の○の1番目の「・」について、削除の意見がございました。そこをどうするかに絞った議論をしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。他の委員からご意見ございますでしょうか。
 ポテンシャルについてあえて言及しなくても、温暖化対策に資する意味からも積極的に開放すべきとの意見があったという記述にすることでよろしいですか。

○大村委員 先ほど私の意見を言っただけで、この文面をどうするかという結論までいかなかったんですけれども、これはあくまで試算としてあるということなものですから、これは生かしていただいてもよろしいかと思います。

○原科委員 試算ですから誤差もありますしね、それから、それを比較するデータの補完がないので、そういう意味では、さっきのバードストライクが風車ばかり集中しておかしいではないかというご意見と同じことなんですよ。やはり他のデータもあって初めて言えることなので、ちょっとまずいかなと思います。同じ趣旨で。
 そして、それを外してもすごく強い主張ですよ。「除く地域については、地球温暖化対策に資する意味からも積極的に開放すべき」という表現ですからね、これは相当強い主張なので、今、おっしゃったことも十分含まれていると思います。私はむしろ「例外的に」と言いたいぐらいですよ。そんな「積極的」という表現を使っていいのか危惧を感じるぐらいですね。開放するとしても例外的に考えるべきだと思いますが。

○星野野生生物課長 ここの記述については客観的に両論を書くということで、かつそういう試算があるのは事実ということですので、ここは論点を取りまとめるということで、自然公園を積極的に開放すべきということと慎重に扱うべきという2つの意見があったということがポイントかと思いますので、ポテンシャルについての試算があるという表現は削らせていただきたいと思うんですけれども、よろしいですか。
 あったというのは、もちろんこれは議事録の中にもございますし、今回の会議の資料にはこの文章が入っています。最終的に取りまとめたものの中からは落ちますけれども、試算がないと言っているわけでもありませんので、座長としては、ここは削除することで皆さんのご了解をいただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○大村委員 括弧書きでも入れていただくわけにいかないですか。

○星野野生生物課長 括弧書きというわけには、ちょっとバランスも悪いので……。環境省のホームページには毎回の研究会の資料も議事録も公開しておりますし、こういう議論があったということも、この会議自体オープンでやっておりますので、皆さんの意見を聞いた上で、座長としては、ここは落としてまとめたいと思っております。

○安藤新エネルギー対策課長 申しわけありません。これは、そもそもの構造が、最初におっしゃったように双方の意見を対立的に書いているだけですね。それに対してまた意見があって、その一方の意見に賛成して削除してしまうというのは、一方で反対意見があるわけですから、それではまとまらないと思います。他方で、削除しろとか強過ぎるという「ご意見」については、非常によく理解できますので、どういうふうにするか事務局で少しご相談させていただくということでいかがでしょうか。括弧にするのも見苦しいので、どうするか、ちょっとお許しをいただいて相談させていただけませんでしょうか。

○星野野生生物課長 そういうことで、2つ目の○にいきたいと思います。審査基準の運用についてです。
 これは下村委員から具体的な修文の案、適切な運用が求められているということと、さらなる統一化・明確化を図ることが必要という具体的なご意見をいただいております。

○古南委員 ちょっと質問ですけれども、「海岸部での取扱を含め」という意味がよくわからないんです。何か唐突に「海岸」という言葉が入ってきているので、ちょっと説明していただけないでしょうか。

○神田国立公園課長 事務局としてお答えします。
 これは前回でしたか、会議の中で、たしか事業者さん側からですか、海岸の立地の重要性に絡めて、その基準の統一化といいますか、明確化について言及があったので、そういう発言があったことを記録するという意味で、唐突というか、一般論で入ってしまうといえば入るのかもしれませんが、その辺に留意したという趣旨でございます。

○星野野生生物課長 たしか長井先生のご発言でしたね。

○長井委員 これは私が風力エネルギー協会会員から、海岸部での風力発電を推進する場合に、それは国定公園だったと思いますけれども、「景観についての取り扱いがないために審査のしようがない」といった言い方で公園当局の方と交渉が止まっているということで、このような海岸における眺望点といった基準を策定してほしいという意見があったので、述べたということです。それを事務局の方で取り入れていただいたということだと思います。

○星野野生生物課長 ほかにご意見ございませんでしょうか。
 特にないようでございますので、審査基準の運用のところはこの形で、下村委員から出たご意見を踏まえて、事務局で最終的な案文を考えさせていただきたいと思います。
 下村委員からは、ここはタイトルは「景観保全と風力発電施設」だが2つの○とも自然公園に係る記述だけということで、これは特化し過ぎているというご意見が出ているんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○古南委員 私もまさに同じ点から言っているんですけれども、3の○が2つとも自然公園のことだけ書いてあって、それでタイトルが「景観保全」というのは、ちょっと内容にそぐわないかなというのが1つあります。
 そもそもの話として、先ほど大野委員も言われましたが、景観についてはプレゼンテーションもしていないし、ところどころで少しずつ出ていますけれども、余り本質的な議論をしていないので、ここに書き切れない部分があるのかなと。あと一、二回研究会を延長して、景観について改めて議論した上でこういう項目が出てくるのであれば別ですけれども、ちょっとバランスが悪いかなということですね。
 すみません、どう修正したらいいかは私、答えがないんですけれども、そんなふうに思います。

○安藤新エネルギー対策課長 理解が間違っていましたらご訂正いただきたいんですが、ここでの景観保全というのは、何段階かあると思います。1つは、国の法律で自然公園としてきっちり保護をする、こういう非常に重要なもの。しかもその中にも、特別保護地区から第3種特別地域まであるというもの。各自治体レベルで条例を定めて守る自然公園もあります。結局、法律上も何段階かあって、(自然公園関係法令にかからない)景観一般そのものについては、逆に地元の合意形成あるいは立地選定のプロセスの中に含まれていると私どもエネ庁は思っています。
 ですから、国の法律による規制あるいは自治体の条例による規制、それ以外の一般地域、白地地域と言っていいのかよくわかりませんが、そういう部分については、むしろ地元自治体でどう合意形成がなされて、その景観をどう守るか、その中に入ってくる問題だと思うので、この3の中では、自然公園法にかかわるものと都道府県の問題ですね、ここの部分について議論し、4のところにも実は景観の問題が含まれている、こんな理解をしているんですが。

○星野野生生物課長 今の意見については、いかがでしょうか。

○大野委員 そういう意味では、下村委員がメモに書かれているところが、景観は地域住民の合意形成が必要だという話が端的にまとめられていますので、ここをバランスの上で、自然公園だけではなくてという意味で、やはり1つ項目を立ててまとめた方がいいと思います。今、安藤課長が言われた内容と余り変わらないと思います。

○星野野生生物課長 項目を立ててというのは、3の中に……

○大野委員 中に、下村委員の1の真ん中で「そして、まず冒頭に、景観についての国民的関心が高まっており、」云々とありますよね。そこの部分の話だと思います。地域住民の合意のもとに風力発電施設が調和した景観形成が図られる必要がある。協議のための仕組みづくりが必要である。

○星野野生生物課長 その場合、4番目の立地選定の合意形成プロセスの4つ目の「・」で、生活に関わる身近な景観への影響という観点が入っているんですけれども、それとはまた別にという意味ですね。

○大野委員 別にというか、後で私も言おうかと思っていたんですが、逆に4番のところは景観だけではなくて、やはり環境への影響というのも入るのではないか。「景観・環境への影響については、地元住民の受け止め方が重要であり、」今は抜けていますけれども、原科委員が言われたように、「早い段階での地元住民の意見を重視した合意形成のプロセスを経ることが重要」ここは景観だけへの影響を記述するのは逆に不自然で、むしろ環境ということをここに入れた方がいいのではないか。

○古南委員 今の安藤課長のご説明、よくわかりました。
 私も、ちょっとダブッてしまいますけれども、景観保全という項目をここで立てるのであれば、下村委員のメモの後段にあります内容を1つ盛り込んで、「影響予測評価のための基盤づくりと協議のための仕組みづくりが必要である」といった趣旨を記述するのがいいかなと思います。自然公園以外も含めた話として、そこを追加されたらいいかと思います。

○星野野生生物課長 3つにもう一つ○を追加して、自然公園以外の記述を下村委員から提案があった形で入れるというご意見が2人の方から出ましたけれども、それについてはいかがでしょうか。

○原科委員 今のご提案は、4番の4つ目の「・」の「生活に関わる身近な景観への影響については」という部分を移動して、○をつけて新しく項目立てして表現する、そんなことと理解してよろしいですか。

○星野野生生物課長 大野委員からは、ここは別な表現にということです。

○原科委員 ただ、逆に3の方につけ加えるという意味では、4は景観ではなくて環境全般にして、そのかわり3のところで自然公園以外も景観のことをきちっと配慮しましょうと、そのような趣旨のことを書きましょうということだと思いますが。

○星野野生生物課長 この下村委員のご提案について、ほかにご意見いかがでしょうか。
 安藤課長、いかがですか。

○安藤新エネルギー対策課長 下村委員は、本日ご出席ではないので、(ご真意を)どこまでどう酌み取っていいのかよくわからないので、どこまで書けるかまた委員ともご相談させていただいた方がいいと思います。

○星野野生生物課長 それでは、修正提案については下村委員と事務局側で相談させていただきたいと思います。
 次に4番目の項目、立地選定、合意形成のプロセスについてです。
 これについてのご意見は幾つか出されていたかと思います。
 まず、1つ目の○からいきたいと思います。生活環境に係る身近な景観への影響ということで、先ほど景観だけではなく環境全般というご意見がありましたし、同じく4番目の「・」では、早い段階からの合意形成という記述が必要ではないかというご意見もいただいております。古南委員からは、タイトルの中に「環境影響評価」を入れるというご意見を先ほどいただいたように記憶しているんですが、タイトルについては特によろしいですか。

○大野委員 ここで書かれている「関係者」というのはどういう人たちを想定した定義なのかということと、地元住民の意見を重視した、そのときの「地元住民」というのはどこまでを言うのかお聞きしたいんですが。

○星野野生生物課長 関係者というのは非常に幅広く、かかわりを持っている人たち全般ということですよね。自然保護にかかわる方たちもいるでしょうし、地域の人たちもいるでしょうし、マスコミにかかわるような人たちもいるし関係する行政機関の人もいる、関心を持っている研究者もいるというふうに、ここでは幅広く意味して書いております。
 地元住民というのは、まさに施設がつくられる地元に住んでいる人たちというイメージです。

○大野委員 地元住民と言うと、その施設ができる町内とか、そのレベルというイメージですかね。そうすると、景観のことも含めて考えると、やはりもう少し広い住民をイメージするものでないと意味がないのではないか。
 また、その住民の中に含まれるのかもしれませんけれども、やはり地元でそこの自然環境を見ている市民グループがあると思います。それは地域の自然保護団体だったり野鳥の会の支部だったり、そういう団体が住民の方とは違った視点でそこの環境をよく見ていますので、できれば「住民」というニュアンス、プラス地域NGOとか地域自然保護団体ということも、ここに入れるべきではないか。実際、今やられている事業者の方の中でも、そういった地域の自然保護団体から意見を聞いている事例もありますので、やはりそういう団体が入るべきではないかと思います。

○星野野生生物課長 ただいまのご意見について、もしくは1つ目の○全般について、ほかにご意見ございますか。

○原科委員 3つ目の「・」の「必要以上に煩雑な手続等を課すことにより、実質的に事業が不可能とならないよう仕組み作りに留意が必要」とあります。そうすると、その前に仕組みづくりのことを書いていないと急にこれが出てくるのは変な感じがしましてね、そういう合意形成の仕組みをつくろう、つくるときにはこういう留意が必要という説明ならわかるんですけれども、仕組みづくりをすることをまず書かないとおかしくないですか、これ。
 そのことをぜひ明記してください。合意形成の仕組みづくりを行う、そのときに注意しましょうというのはわかりますけれども、これは前段がないですから、変な感じですね。

○大野委員 私は、この「仕組みづくり」と書いてあることに、冒頭に議論があったガイドラインを策定するということが含まれているものと理解して、納得していました。そのガイドラインのときに、余り必要ない手続を増やすことによって事業者の方に負担をかけないようにということだろうと思って、納得をしていましたけれども。

○原科委員 そのことを明記しなければだめですよ。暗黙の了解では人によって理解が違いますからね、もしおっしゃるような理解であれば、それを明記すべきですね。ですから、ガイドラインあるいは合意形成の仕組みづくりを行う、その際にこういうことに注意しましょうというならわかりますけれども。

○安藤新エネルギー対策課長 書きぶりについては、またご相談させていただきたいと思います。
 そこは仕組みづくりが前提ということよりも、仕組みづくりが重要なのであって、その際にはこういうことに留意すべきだ、こういうことでも別にそれは指摘としては、合理的な文章にはなるわけです。他方、仕組みをつくるべきか否かはよく考えさせていただきたいと思います。

○原科委員 いや、仕組みをつくることは大事だと思います。それがなかったら、この論点を取りまとめる意味がほとんどなくなってしまいます。これまでそのために議論してきたわけですから。

○安藤新エネルギー対策課長 大事なことですが、具体的にどうするかは私どもで考えさせていただきますので。

○原科委員 我々研究会としては、仕組みづくりを行うべきだという点は明確にしなければいけないと思いますよ。これは明記するべきです。

○古南委員 私も原科委員のご意見に賛成で、まず、やはり文章として、仕組みづくりというのが冒頭に近いところにないと、さっきも言いましたけれども、これだと何か事業者さんに丸投げしてしまって、もっと一生懸命やりなさいということしか書いていないなと思っているんですね。ですから、合意形成の仕組みづくりが必要だということは、1つきちっと入れた方がいいと思います。そうでないと3番目の「・」が生きてこないと思います。

○安藤新エネルギー対策課長 また大前提のところから申し上げなければいけませんが、この場合には、仕組みをつくる法的根拠はありません。補助金を出すときに守るべきマナーみたいなものをガイドラインとしてまとめている、しかも、国ではなくて独立行政法人がまとめたものを、今までは尊重ということでしたが、それをできるだけしっかりと準拠していくような形にしていきたい、私どもそういう気持ちは持っておりますが、書けること、書けないことございますので、ご指摘を受けながら一歩ずつ進みたいと思います。

○原科委員 もし法的根拠がない、仕組みづくりはできないとご主張されるんでしたら、3番目の文章は要らないですよ。

○安藤新エネルギー対策課長 では、削除しては如何でしょう。

○原科委員 仕組みづくりはしないわけですね。

○安藤新エネルギー対策課長 御指摘により削除ということです。

○原科委員 合意形成は尊重しないということですね。いや、仕組みがなくて合意形成はできないですよ。

○安藤新エネルギー対策課長 全く論外です。そういう議論をしているつもりはありません。

○原科委員 いや、合意形成というのは仕組みなしでできますか。仕組みなしでどうやって合意形成ができるのか、その回答を求めたいですね。社会工学としては理解できないことです、今の回答は。

○星野野生生物課長 仕組みの重要性については指摘されて、合意が形成されていると思うんですけれども、その仕組みが重要だという点についてはよろしいですか。
 そこで、その仕組みをつくらなければいけないということまで書き込むかどうかという点だと思うんですけれども、他のところでもいろいろ取り組みが重要だ、必要だという記述がありまして、これは国なり行政がやるべきだというご意見があって、そういう記述をしているところもありますけれども、要するに、仕組みがなくてはいけないんだ、仕組みが重要なんだという記述をどこかに明記する、原案にそういう修文を加える形で対応したいと思っておりますけれども、そういう形ではいかがでしょうか。

○原科委員 つくる、つくらないの意思決定はこの場ではしにくいという意味であれば、わかりますが、仕組みづくりは必要だと私は思います。

○星野野生生物課長 その点についてはそういう指摘があったということで、その旨、修文を入れることにしたいと思います。

○由井委員 今の「仕組みづくり」という言葉と「ガイドライン」と何がどう違うかわからないんですけれども、4の最初の○の3つ目の「仕組みづくり」というのは、前にどちらか事業者側から説明があったときに、日本では風力基地をつくるために150個ぐらいの判こが必要で、外国では数十個であるとおっしゃっていたと思います。そのことで煩雑な事務的な処理があるということを踏まえてこれがあると私は思っていたんですけれども、片や環境アセスの方は次の○の、先ほどのガイドラインの方で主に論議するのかと思っていたんです。
 だから、1つ目の○は、最初の私の理解によれば「実質的に事業が不可能とならないよう効率的なシステム化に留意が必要」とか、その程度かなと思うんですね。これから論議する2つ目の○、ガイドラインの方は、最初にも経産省の方からリジェクトを食いましたけれども、ガイドラインという中身をはっきりして、もうちょっと詳しくこちらに環境影響評価の部分が入れば、私はそれでいいと思っているんですけれども。
 だからどちらにするか、今、座長がおっしゃった修正でよろしいかもしれませんけれども、何かちょっと理解が、次も論議してまた戻った方がいいような気もします。

○星野野生生物課長 後段のガイドラインは、先ほど来、安藤課長から説明していますとおり、NEDOがつくったガイドラインということですね。

○由井委員 ただし、環境省が平成7年か9年に、立地マニュアルとかありましたよね。それを全面改訂してNEDOの新しい2003年のガイドラインになったということでよろしいですか。

○星野野生生物課長 環境省のガイドラインといいますと。

○由井委員 平成7年か9年に風力立地マニュアルとかいう印刷物が出たんですよ。私かなり分厚いものを持っていますけれども。その後、2003年にNEDOがつくったガイドラインというのが、この2つ目の○でしょうか。そのことを先ほどから示しているんでしょうか。

○星野野生生物課長 前後関係はあれですけれども、これはNEDOの…。

○安藤新エネルギー対策課長 そうですね。

○原科委員 事務手続が煩雑ということは、ここに入るとは思いません。というのは、この見出しに「合意形成プロセスについての考え方」とありますから、当然その仕組みだと私は理解できると思います。今、おっしゃった点だったら他に書くべきだと思いますよ。事務手続の煩雑さでしたら。

○祓川委員(代理:高畠) この間、私どもの方から言ったんですけれども、イギリスの場合は150個ぐらい許認可をとらないと、なかなか許可ができない。日本の場合は30個ぐらいでできるということで、イギリスのようにいろいろなところで仕組みが評価され過ぎていると、かえって立てるのに妨げになる。だから仕組みありきではなくて、あくまでも合意形成をつくるのが重要なことであって、今現在、日本で風力発電たくさん立っていますけれども、すべてが住民との合意形成ができていない風力発電かというと、そうではなくて、ほとんどの風力発電は住民との合意形成ができていると思うんですね。一部住民との合意形成ができていない事業もあるかもしれませんけれども、そういったことが取り上げられるから問題であって、ここでは仕組みをつくることよりも、まず最初に、住民との合意形成を事業者がやらなければいけないということを認識することが大切なのではないかと思います。そうしないと風力発電というのは、仕組みづくりに追われてそちらの方が優先されてしまうと、事業がなかなか形成できないと考えます。

○原科委員 そうすると、今の仕組みづくりというのは、そういうことを我々は議論しているわけではないですね。それとは違うと思いますよ。まさに合意形成のためのうまい方法を我々はつくりたいということですから、手続上の問題でややこしいという話では全然ないと思います。

○星野野生生物課長 1つ目の○につきましては、合意形成のための仕組みづくりの点でご意見がありました。これについては仕組みづくりが重要だという点を明確に位置づけることにしたいと思います。
 最後の点、「生活に関わる身近な景観への影響」ということで、これは景観に特化すべきではないという意見がありました。もう一つ、ここでは早い段階からというのがあります。これは「早い段階から」と入れる形で修文したいと思っておりますけれども、景観をより広く「環境」と置きかえるというご意見については、いかがでしょうか。

○原科委員 これを景観に絞ったのは、地元住民の意見を特に重視しましょうという趣旨だと思うんですね。環境に置きかえると広がりますね。そうすると、今度は地元住民だけでいいのかといった問題も出てきますから、その辺「地元住民を含め多様な意見を重視する」とか、そういう表現にならないと整合しなくなってしまうと思います。

○星野野生生物課長 身近な景観への影響というのが出てきたのは、今回は野生生物への影響、景観への影響という2つの観点でご議論いただく中で、景観への影響については自然公園のもろもろの問題を議論してきたわけですけれども、それ以外に特に地元の人たちと合意形成をする過程での景観についての議論が必要だということで、これが入ったと思っています。
 そういう流れで入ってきているんですけれども、今、原科委員も言われたように、これを環境に置きかえるともう少し修文が必要になってくるということです。
 ここについて、他の委員の方のご意見はいかがですか。

○大村委員 今、原科委員から早い段階での情報公開という話がございましたけれども、これ、国とか地方自治体の公共事業であれば早い段階で情報公開はやった方がいいと思います。ただ、民間の事業の場合は、営業戦略上どの時点で発表するかということは非常に重要な点でございまして、私ども、特にまた株式も上場しておりまして、そういう関係も、株主の公開責任とかいろいろなこともありまして、その辺で、このタイミングは慎重にやる必要がある。
 ですから、最終的には地元の方の合意形成を得るために、では、どの時点でやれば一番いいかというと、なかなかベストはないと思うんですけれども、やはり各会社ごとにそういうノウハウ的なものは持っていらして、今のところ、そんな大きな問題はなくほとんど風力発電所はできているのではなかろうかと考えております。要は、やはり地元住民の方にいかに納得していただけるかが一番大事だと思います。

○由井委員 この文章の最後のところですけれども、前から私、申し上げていますけれども、地球温暖化というのは生活の中から出てきた問題なわけですね。その生活をそのままでいいかというと、そうでもなくて、危機的状況にあるわけですので、この最後は「重要。」となっているんですが、これを「重要という意見があった。」としていただくと、私は納得できるんですけれども。

○星野野生生物課長 意見があったというのは、地元住民の受け止め方が重要であるという点。

○由井委員 一番最後です。

○原科委員 意見があったということは、合意形成のプロセスを経ることが重要だとみんなが一致したわけではないという趣旨ですか。

○由井委員 身近な環境か景観についてですね。

○原科委員 では、これを景観に絞るのか広げるかということが出てきますね。

○由井委員 そうですね。特に景観について、私は前から申し上げているように景観なんですけれども。環境については、もし問題があれば各自治体とか国のさまざまな基準や法や条例がありますので、それでひとまずチェックできると思うんですけれども、景観というのは個々人の観念的な問題が入っていますので、あるいは歴史的、文化的な問題でしょうかね。なかなか統一的な尺度では、基準化して評価しにくいと多分思うんですけれども。

○星野野生生物課長 いろいろ意見をいただいているところですけれども、今、4時40分ということで、この後ご都合がある方もいらっしゃると聞いておりますので、少し進行を早めさせていただきたいと思っています。
 最後の点については今、幾つかのご意見、由井委員のご意見も含めて出されましたので、それらを含めた書きぶりを事務局で考えさせていただきたいと思いますけれども、その点はよろしいでしょうか。

○原科委員 先ほど民間の場合は公共事業と違うというご意見がございましたので、そういう意味では、早い段階というのはどのぐらいか。できるだけ早い段階ということになるかと思いますけれども、ある程度客観的にわかりやすいように、何といってもこの合意形成は、補助金の問題で言うとその前ですね、意思決定の前にやる、これがポイントだと思います。それは明確にしておく必要があると思いますので、そういう修文を追加でお願いいたします。

○星野野生生物課長 わかりました。
 以上ご意見をいただいたものを含めて、事務局で修文を考えさせていただきたいと思います。
 それでは、4つの2つ目の○ですが、風力発電施設の立地を検討するに当たっての考え方に移りたいと思います。
 この点につきましては、ガイドラインについてのご意見が先ほど来、出ていますけれども、NEDOのガイドラインだということでご理解いただきたいと思います。
 それから、原科委員から環境部局の関与についてのご意見をいただいたんですが、それは具体的な修文がこの中で必要になるということでしょうか。

○原科委員 NEDOのガイドラインということであれば、それはそれで結構ですけれども、そのことがきちっと機能する、まさに適切な取り組みのためには第三者的なチェックがないと、本当の合意形成にいかないと思うんですよ。
 つまり、こういう環境アセスメントの仕組みですからね、何らかの形で第三者的なチェック、専門家の集団、私は環境省とか、あるいは地方であれば環境部局ですね、普通アセスメントはそうやってやっておりますから、そういう日本でやっている普通の仕組みでやっていただかないと、アセスとして社会的な認識を得られないと思います。そのことは大変重要なので、ぜひこれはワンセンテンスつけ加えていただきたいと思います。

○安藤新エネルギー対策課長 その点は先ほど来、申し上げていますように、これは補助金の制度ですから、法的に環境影響評価に基づいて履行するということとは違って、補助金を出すときに留意事項としてやっているわけで、今の段階では自主的評価を基本にさせていただいているわけですね。一方で、その情報を開示することによって第三者の意見も聞けるようにしていく。ここが若干、タイミングの議論もあって十分ではないのではないか、乱暴なやり方もあるのではないか、そこはもう十分認識しております。逆にそういうところをもうちょっと丁寧にやるべきではないかというのは、多分事業者を含めての共通認識ではないかと思うんですが、他方で、このガイドライン、この「ガイドライン」の位置づけ、制約においてどういうことができるのかは、また別途考えさせていただきたいと思います。
 ご指摘のように、やはり客観的な目が入らなければきっちりしたものはできないではないか。そこはある意味で、情報開示していくということと同義でありまして、情報開示のタイミングが後送りになって、結局もうそれで突っ走るということだったらおかしいだろう、これもおっしゃるとおりだと思います。
 一方で、早いというご議論がありました。これは多分、早くと言うとまた差し障りがあると思いますけれども、可能な限り、事業者の意思決定との微妙なバランスというところがあろうと思うんですが、そうしたことを前広に情報提供し、また、ご批判いただく方々からも、情報が出てくることをもっと評価して、もっと出てくるように、心配なくもっと出してみんなオープンに議論できるように、この方が望ましい仕掛け─「仕組み」と言うとまた語弊がありますし、またご議論あるかもしれませんけれども、そういう仕掛けというんでしょうか、あるいはそういうマインドを持ちながら進めていく、そういうことが恐らく大事なのかなと思います。
 この場には必ずしもNEDOの関係者が来ているわけでもございませんし、独立行政法人は一応独立自尊ということがタイトルにもついておりますので、彼らのガイドラインについて直ちに議論するわけにはまいりませんけれども、ご指摘の趣旨を踏まえながら、今後の検討とさせていただきたいと思います。
 文章に落とせるかどうかは、ちょっと事務局としてご相談させていただきたいと思います。

○原科委員 そうしましたら、確かに、法的な手続というのはおっしゃるとおりだと思います。むしろこのガイドラインというのは行政指導的なニュアンスですね。そういう意味では、1つはここで「NEDOガイドライン」と明記した方がいいのかなという感じもしたんです。あるいは「既存のガイドライン」でもいいんですけれども、「NEDO」とはっきり書いた方がいいと思いますね。
 その場合に、今のような観点からですと、ガイドラインの見直しもした方がいいと思いますね。つまり情報公開と参加を、透明性の高いプロセスなりを見直しをした上で適切な運用とか、そのような形でやっていただくと大変ありがたいですね。その透明性の要素として、私は第三者の関与が必要だと思うので、そのことも含めて考えていただきたいですけれども、それはいわゆる法的手続ではなくて、第三者性を高めるための工夫が大変重要だと思います。とりわけ審査プロセスの公開性ということで、例えば審査会の公開とか議事録公開とか、今では普通やっておりますから、そういうようなことをぜひガイドラインの改訂の中でやっていただきたいと思います。
 そのような意味での見直し、透明性を高めるための見直し、第三者性を高めるような見直しをしていただきたいと思います。

○星野野生生物課長 ご意見として伺って、事務局でどこまで書けるか、また相談させていただきたいと思います。
 大分時間が押してまいりました。最後のところに来ましたけれども、立地選定の件は以上の議論でよろしいでしょうか。
 ポジティブマップというご指摘もいただいておりますけれども、最後の「・」の「各種情報を記したマップ」にいろいろな意味合いが出てくるのではないかと思っておりますので、そのようにご理解いただければと思います。
 4の立地選定、いただいたご意見をもとに事務局側で修文するということで、ご了解いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、その他でございます。
 これにつきましては「海外における風力発電施設と自然環境保全の両立に向けた取組等の調査を行うことが必要」ということでございまして、これは環境省、資源エネルギー庁合同で調査を行いたいと思っております。今年度、実施する予定で考えております。この海外調査のメンバーとして、この研究会にご参加いただいている委員の皆様にも声をかけたいと思いますので、またその時期には参加についてのご検討をよろしくお願いしたいと思います。

○原科委員 海外調査の場合、ぜひ今日まとめた論点整理に沿った調査をお願いしたいと思います。特に、さっきの参加の手続とかいろいろございますので、その辺をよく調べていただきたいと思います。

○星野野生生物課長 それと1点、古南委員から、いろいろな調査をして、それを風力発電施設のデザインに反映させるような検討、開発をすべきだという指摘がございましたので、その他の2つ目の○にその旨の文章を入れさせていただきたいと思います。

○由井委員 その他のところで、松田委員も私も前から言っておりますけれども、風力発電導入のためのインセンティブですね。開発刺激といいますか、投資刺激ですね、あるいは実際にCOを削減したときのメリット還元といいますか、何かそういう、特に自然環境を破壊しないで調和的に風力発電をつくったところを、よりよく褒めるようなシステムを考えていただきたいので、その他か附帯意見かわかりませんが、「そういう要望があった」とか「そういう意見があった」とか何か集めていただいて、こぼれたものを拾っておいていただきたいんですよね。
 もう一つは根本的なところですけれども、戦略アセスには入らないということもあるし、現在のアセスメントにも入っていないんですが、先ほど申し上げたように、数県では条例に風力が入っていますので、やはり条例が入っているところは、面倒くさいからそこには事業者が立地しないとか、そういうマイナスの足の引っ張り合いみたいなことが起きるとよくありませんし、そういうことから、国が当面やらないのであればしかるべき行政機関が風力の条例を、「簡便かつ効率的な風力アセスのシステムをつくることを検討せよとの意見があった」とか何か、そういうことをどこかに入れておいてほしいと思います。何か全くそういう文面が残らないのは残念に思うんですけれども。

○原科委員 SEAに入らないとあまり断定的に言われると、私もちょっと気になるんですが、そうではなくて、現在のガイドラインのもとではそういうものをつくらないというだけで、基本的には研究会の基本的な位置づけがありましてね、SEAを行うというのは閣議決定したことです。だから基本的にやるはずなんですよ。タイミングがずれているだけだと私は理解していますから、そういう表現はやめた方がいいと思います。
 むしろそういうことでないとおかしいと思いますよ、国の政策として。閣議決定したのに「私はやりません」というのは強くは言えないので。ただ、しばらくは難しいというのはよくわかりますよ。その意味では、風力発電は今のご意見のとおり、実際に実務処理も出てきたしできそうだから、まず風力発電からやりましょう、そういう言い方をしていただきたいと思います。

○由井委員 では、お任せいたします。

○星野野生生物課長 由井委員が1点目に言われたことについては、その他の中に「インセンティブを与えるという意見があった」ということで、事務局で修文案を考えたいと思います。
 2点目の、県に対して条例作成を働きかけるような点については、国の関係では、地方分権の話もあってなかなか、これは国として研究会を設けて、国として基本的にどう行っていくかという観点で論点整理をしたものでありまして、なかなか地方自治体を名指しして「こういうことが望ましい」ということは論点整理の中に書きにくいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
 そういうご意見があったということで、この場で認識いたしますけれども、論点整理のペーパーの中にそういう記述をするのはいかがなものかと思うんですが、よろしいでしょうか。

○由井委員 何か書くことがあれば、原科委員殿に文面はお任せしますから(笑)、よろしくお願いします。

○原科委員 ただ、4でまとめていますからね。それを受けて、今みたいな提言があってもおかしくないと思いますよ。

○星野野生生物課長 事務局としては、今、申し上げたような意見でございますので、ご了解いただければと思います。

○岡安委員 今の議論とはちょっと外れますけれども、海外の事例をこれから研究していく中で、1つ、今現在の海外の状況をご説明したいと思います。
 私どものネットワークでこの3月に「エナジータスクフォース」ということで発表している中に、風力発電で特にこれから急成長が見込まれるのは、やはり洋上風力発電であるということをはっきり記述してございます。これはアメリカ、特にヨーロッパが力を入れて開発を進めようとしておりますけれども、1つは、風車の大型化が容易であるため発電量自体が大きくなるということで、これはそもそもの電力自体を風力で賄うといった視野で発展を目指そうとしているところです。
 日本では、もともと風力発電自体が他の先進国に比べて大分遅れているんですけれども、海外で洋上発電が非常に発達してきたということで、日本もそれに乗って急激に洋上発電が開拓されていく可能性があるわけで、その洋上風力発電というものも、今回、さまざま研究会の中で議論をし、論点整理の中で挙がってきた仕組みづくり、あるいは仕掛けづくりというところにきちんと乗せて、たくさんつくってしまった後にいろいろな問題が発生するということではなくて、あらかじめ陸上の風力発電で発生してきたようなさまざまな問題点が解決できるような形で、そういう意味で真のWin-Win状況をつくり出せるような形で洋上風力発電の開発も海外の事例から学んでいくというところを、1つ入れていただければと思います。

○星野野生生物課長 今のご提案は、その他の項目で洋上発電についても一言触れておくということですね。わかりました。

○古南委員 今の岡安委員のご発言につけ加えますと、洋上発電では海に棲息する鳥類が非常に問題になると思うんですが、日本では洋上の海鳥の分布なり移動経路なりの研究が非常に遅れていまして、データがほとんどない状態なので、この論点整理にわざわざ書き加える話ではないかもしれませんけれども、ヨーロッパでも非常にデータが少なくて、レーダーなど使って今、盛んに調査をしているところですが、日本でもそこがかなり遅れているので、そこは慎重な取り扱いが必要だと思います。

○星野野生生物課長 わかりました。
 それでは、以上でこの論点整理(案)のペーパーについての議論を終わらせていただきたいと思います。
 いただいたご意見を踏まえて、資源エネルギー庁と環境省の責任で取りまとめを行いたいと思います。取りまとめの結果は、委員の皆様方にお送りいたしますとともに、両省庁のホームページで公表させていただきたいと思います。
今後はそのような形で進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。(異議なし)
 ありがとうございます。
 最後に事務局報告ということで、海外調査ですが、先ほど申し上げましたように、今年と、海外調査を予定しております。具体的な内容が決まった段階でまたご案内いたしますので、可能であれば海外調査にもご参画いただきたいと思っております。
 以上で本日の議論を終了させていただきたいと思います。
 最後に、この研究会は本日で最後となりますので、省庁側からごあいさつさせていただきます。
 資源エネルギー庁の上田部長は結局出席できませんでしたので、安藤課長から資源エネルギー庁を代表してごあいさつをお願いいたします。

○安藤新エネルギー対策課長 黒田審議官の前座でちょっとお話しさせていただきます。
 由井委員もおっしゃったように、状況が大いに変わってきています。「美しい星50」ということで、2050年に半減の道筋を示す。実は、この関係で、上田は今、奔走しておりまして、本来この会議に参加させていただいて皆さんと一緒にご議論させていただくべきところでしたが、最後まで出られませんでした。
 他方で、今日も随分ご議論いただきまして、私どもも大変勉強になりました。また、ご意見を重く受けとめております。
 実は、先ほどコメントでご紹介しましたように、昨夜の20時までは論点が全くまとまらないという状況で、ノンペーパーで、前の骨子で議論するか、こんなところまで行きかけたんですが、その後また環境省の皆さんとずっと議論をさせていただいて、これは明け方になるかなと思いましたら、明け方にはならずに、夜半ちょっと過ぎたところでうまくまとまりました。それでもまだまだ皆様方の思いを十分に酌み尽くせていないところが多々ございました。
 今日はいろいろなご意見をいただいて、またこれを実際に活字に落とせるかどうか、あるいはその時点では落とせなくても、また将来の時点で落としていけるようなことも多々あるのではないかと思います。引き続きご指導賜りまして、私どもも環境省の皆様ともども政策の実行に進んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

○黒田審議官 環境省の黒田でございます。
 今日は4回目、最後の研究会ということでございまして、私は全く発言しませんでしたが、今、安藤課長からのお話でほとんど言い尽くされていると思いますが、昨日までのそういうプロセスがあって、今日また山ほど意見をいただいて、さあどうなることか、これは余り先に出てはいけないなということで様子を見ておりましたが、身びいきではありますが、今日の議長の星野君がなかなかよく捌いてくれたということで、仲間内ではありますが、ご苦労さまでしたと言ってあげたいと思います。
 少し積み残している点はさらに整理する必要がございますけれども、資源エネルギー庁とともにうまい形でまとめていきたいと思っておりますし、私は冒頭Win-Winと、先ほど岡安さんから同じ言葉を言われてしまって、どうしようということでございますが、Win-Winの関係を何とか築き上げて地球温暖化防止、低炭素社会の構築ということでありますし、環境立国戦略というものも閣議決定し、この中では、ちょっと新しい言葉かもしれませんが「自然共生社会づくり」というような言い方もし始めておりまして、やはりこの辺を、片方だけではなくて両方きちんとしていく必要があろうかと思っております。
 これから先、海外の調査あるいはいろいろ、今日の論点整理で「大体こうだね」ということについては着実に実際の対応を進めていきたいと思います。先生方には引き続きいろいろご指導、ご助言をいただきたいと思いますし、先生方だけではなくて、こうして今回ずっと、これほどたくさんの傍聴といいますか、ギャラリーといいますか、皆さんにおいでいただけるとは最初は思っておりませんでした。非常に関心の高い問題だということで改めて身の引き締まる思いをしているわけですが、行政あるいは専門家の先生だけではなくて、関係するすべての人たちが現状をしっかり認識して、これから先どういうふうに進めていくかということを議論して、着実に、かつスピード感を持って進めていくことが大事かと思っております。
 皆様方も含めて、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 本当に研究会、どうもありがとうございました。

○星野野生生物課長 それでは、これをもちまして本研究会を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。