日本の野生産最後のトキ「キン」の死亡について
1.死亡に至った経緯
*本日午前6時までキンが生存していたことは、同時刻に巡回した佐渡トキ保護センターの警備員がモニターの画面で確認している。
*午前7時20分に同センターの職員が出勤した際、倒れているキンを発見し、死亡しているのを確認した。
*その後、モニターを録画したものを再生した結果、午前6時29分に突然羽ばたいて飛び立つキンの様子が記録されていたことから、突然飛翔し、ケージの扉(飛翔室側の引き戸)に衝突したことが直接的な死亡要因と考えられる。
2.病理解剖の結果等
*病理解剖の結果、直接の死因は頭部挫傷と診断。眼窩部の大量出血がみられ、それが口腔内まで及んでいた。
*頭部挫傷の原因は、突然飛翔し、扉にぶつかったことによる。かなりの衝撃でぶつかったと推測された。
*その他の臓器等に顕著な異常はみられず、年齢の割には若々しく健康状態は良かったと推定された。
*キンが突然飛び上がった理由については不明。ビデオの映像では異常は認められず、また、キンのケージには他の動物等が近づくことは困難。
なお、キンの組織、細胞については、遺伝子保存等を目的に以下の2通りの方法で液体窒素中での凍結保存を実施する予定。
- 生きた細胞の凍結保存:
皮膚、肝臓、腎臓、肺を摘出。これらの組織を培養し、増殖した細胞の保存処置を行った後、つくば市にある(独)国立環境研究所へ輸送、保存の予定。 - 組織の凍結保存:
心臓、肺、脾臓、腎臓、肝臓、脳等すべての臓器を摘出。保存処置を行った後、同じく(独)国立環境研究所へ輸送、保存の予定。
キン病理解剖メンバー
- 宇根 有美
- 麻布大学獣医学部病理学研究室助教授
- 金子 良則
- 佐渡トキ保護センター 獣医師
- 小宮 輝之
- 東京都恩賜上野動物園飼育課長
- 土屋 公幸
- 東京農業大学畜産学科野生動物学研究室教授
- 成島 悦雄
- 東京都恩賜上野動物園飼育課飼育調整係長
- 橋崎 文隆
- 東京都恩賜上野動物園飼育課動物病院係長