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国際的な砂漠化対処

環境省の取組

国際的な議論への参画

砂漠化対処条約(UNCCD)第12回締約国会議(COP12)の結果概要

 砂漠化対処条約(UNCCD)第12回締約国会議(COP12)は、平成27年10月12日(月)から23日(金)にかけて、アンカラ(トルコ)において開催されました。我が国からは、環境省、外務省及び有識者が出席しました。
 今次会合の主な成果は、「土地の劣化の中立性」に関する定義が決定されたことや、持続可能な開発アジェンダ2030に記載されたターゲット15.3の達成に向け事務局がリーダーシップを発揮するべきこと等であり、概要は以下のとおりです。

  1. 期間
    平成27年10月12日(月曜日)~10月23日(金曜日)
  2. 場所
    トルコ共和国・アンカラ
  3. 参加者
    ・締約国,国際機関,市民社会団体(CSO)等より延べ約6,000名が参加。
    ・我が国からは外務省・環境省担当官及び有識者が出席。
  4. 主な内容及び成果
    1. 開会式のオープニング・ステートメント

      ・エロール・トルコ共和国森林・水大臣(COP12議長):砂漠化・土地劣化・干ばつに対して確固とした対策を取ることの重要さを強調するとともに,トルコの土地劣化に関する取り組みを紹介し,アンカラ・イニシアティブに基づく500万ドル規模の資金貢献を行うことを発表した。   
      ・ギョクセキ・アンカラ市長:トルコで最大面積の緑地を誇るに至ったアンカラ市の緑化活動を紹介した。   
      ・バルビュー・UNCCD事務局長:砂漠化と土地劣化が強制移住や紛争を引き起こす要因になっていることや気候変動条約の議論と密接に繋がりがある事を強調し,土地に焦点を当て,本条約のさらなる実施の必要性を訴えた。

    2. 土地の劣化の中立性に関する定義

      「土地の劣化の中立性」に関し,「Land Degradation Neutrality is a state whereby the amount and quality of land resources necessary to support ecosystem functions and services and enhance food security remain stable or increase within specified temporal and spatial scales and ecosystems(仮訳:土地の劣化の中立性とは,生態系機能およびサービスを保持し,食料安全保障を向上させるために必要な,土地資源の量と質が,ある生態系もしくは空間において安定もしくは増進している状態をいう)」と定義したうえで,本定義についてはUNCCD条文で定義された「影響を受ける地域」に適用することが決定された。

    3. 条約対象区域の議論の収束

      アネックスV諸国(中・東欧諸国,特にアルメニア共和国から提案されていた条約対象区域の拡大提案については,「特別な地域及び国別状況への配慮」事項の決議にとどまり,条約対象区域の拡大は行われなかった。

    4. ハイレベル・セグメントの成果

       ハイレベル・セグメントのオープニングではエルドアン・トルコ共和国大統領が冒頭挨拶を行い,気候変動問題をはじめ環境問題には砂漠化や土地劣化問題が連動しており,これらの地球規模問題の解決に向け,トルコが持つ劣化した土地の再生技術等を用いた国際協力をより進めていく,と述べた。
       ハイレベル・セグメントでは(1)グローバル規模とローカル規模の取組み,(2)干ばつへの適応,(3)土地を視点とした気候変動への適応をテーマに議論が行われ,出席閣僚による「アンカラ閣僚宣言」とトルコからの提言である「アンカラ・イニシアティブ」が発表された。

    5. (参考)

      ・アンカラ閣僚宣言(Ankara Ministerial Declaration):
      リオの環境3条約実行に向けさらなる努力をし,国連総会で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されたことを受け,多様なステークホルダーの参画,土地の再生,砂漠化・土地劣化と気候変動や生物多様性保全を鑑みなら砂漠化に対処し,当該条約のさらなる実施を宣言している。

      ・アンカラ・イニシアティブ(Ankara Initiative):
      トルコにおける土地管理の経験を基にして,UNCCDのツールや他の実用的なツールを用いて土地の劣化の中立性の実現にむけた議長国トルコからの提言である。またこの中でトルコ政府は4年間で500万ドルを関連する国際協力に拠出することを表明した。


    6. 2016~2017年作業プログラム・予算

      2016~2017年事務局コア予算総額は,前期比0%増の16,188,082ユーロとなり,事務局ホスト国であるドイツの拠出金を除いた締約国分担分は前期比1.8%増の14,965,498ユーロとすることが承認された。我が国の負担額は1,631,637ユーロとなり,前期の1,595,372ユーロから58,071ユーロ増(対前期比2.3%増)となる。

    7. 環境省の取組をサイドイベントで紹介

       環境省では、2012年度からモンゴル国の協力を得て、乾燥地における持続可能な資源利用である遊牧及びそれを支えてきた移動性に着目し、住民が参加し、かつ順応的な管理につながる資源管理・利用手法の検討を行う事業を実施している。COP開催中の15日、本事業の成果をサイドイベントとして発表した。

      ※サイドイベントの状況はこちら(リンク:英文 http://www.gef.or.jp/en/activity/desert.html)

    8. 今後の予定

       2017年秋:COP13(於:条約事務局所在地であるボン。ただし今後ホスト国の応募がある場合,変更がありうる)