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活動報告

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2012年度第2回

当日のスライド資料はこちら(PDF 7.7MB)をご覧ください。

企業のノウハウ活用でNGOの組織運営

木村敏雄氏(特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン代表)

支える側と支えられる側、双方の喜びのために

ピープルズ・ホープ・ジャパン(PHJ)の前身は、1997年に米国のNGOであるProject Hope(PH)の日本支部として、武蔵野市で設立されました。その後2006年に、法人認証を得てPHから独立し、現在のPHJとなりました。PHはもともと南太平洋地域で医療支援をしており、PHJの前身もその日本・アジア支部として発足した経緯から、現在も東南アジアを中心に活動しています。また、PHがゼネラル・エレクトリック(GE)やヒューレッドパッカードとの関係が深い団体だったことから、両社と合弁会社をつくっていた横河電機、その他医薬品や医療機械メーカー、病院関係者のトップの方々が、現在もボランティアでPHJの理事を務めてくださっている状況です。賛助会員は、法人が395団体、個人は1,400人ほどで、約7割が法人会員からの寄付となっています。年間の予算規模は約1億円で、2013会計年度の経費率は17%を予定しています。通常、事務所を構えて運営しているNPOの経費率は50〜60%となる例が多いようですが、PHJでは20%以下を常に意識し、寄付の80%以上を現地支援に回すことを心がけています。

団体の使命は、「アジアの途上国の人びとの自立に向けた、保健・医療教育を中心とした支援活動と災害時の救援支援活動」で、①母子保健の改善教育、②青少年へのAIDS予防教育、③医療機器の整備・教育、④災害救援支援といった活動を行っています。活動地域はカンボジア、インドネシア、タイ、ベトナムです。

PHJでは「ハッピー・ハッピー・コンセプト」という運営モデルで活動を進めています。まずは、アジアの途上国の現地のニーズを見極めた上で支援プログラムを立案し、会員企業や個人の方に提案し、賛同を得て寄付をいただくという流れから始まります。その後、支援いただいたプログラムについて半年、1年ごとに、どういった成果や改善があったかを直接の訪問や広報誌を通じて定期的にきちんと報告します。こうした報告を重視することで、支援される方の幸せはもちろん、支援する方にも喜びを感じていただくことを心がけています。

PHJの運営モデル Happy/Happy コンセプト
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組織と支援プログラムの特徴

PHJの特徴は大きく3つあります。1つは、東南アジアの方々の自立を目指し、母子保健分野に特化した支援活動を行っている点です。2つ目は認定NPO法人であるため、寄付者は税制優遇が得られるという点です。そして3つ目は、経費率を低く抑える等の効率的な組織運営を行っている点です。現地活動は若いスタッフ20名ほどで担っていますが、国内は若いスタッフ3名と企業経験のあるシニアボランティアが中心です。

PHJが実施するプログラムは、2000年に国連で採択されたミレニアム開発目標(MDGs)の、8つの目標のうち4つに合致したものになっています。こうした国際目標に自らの活動を位置づけることで、企業側に自らの支援がどのように世界に貢献するのかを示すことができます。賛助会費とは別に特定の企業から寄付を募るプロジェクト(通称「冠プロジェクト」)の場合、各社の企業理念やCSR方針に合致したプログラムを提案し、賛同を得ることがポイントです。企業の方には出来る限り現地に行っていただき、現場の厳しい状況やその中で出てきた成果を実感していただいて、支援を継続いただけるよう努めています。

組織内でも組織外でも、情報共有が肝心

活動報告も非常に重視しています。すべての法人会員395社に対して最低でも年に1回は報告に行きます。2、3回伺う場合もあります。また、いろいろな機会に、その企業に合った報告会を開き、個人会員を含め年4回の会報誌発行などを通じて報告し、支援いただいている目的と成果を共有しています。また、一部の法人会員に対しては、年始のご挨拶という形でトップに直接会うことを心がけています。こうして企業を定期的に訪問することで、企業の状況を肌で感じることもできます。

活動方針や内容を決定する運営委員会を年3回開催していますが、ここにオブザーバーとして、今後支援の可能性のある企業の担当者を毎回10〜15人ご招待して、海外の活動報告を一緒に聞いてもらっています。委員とのやりとりや助言を聞いていただくのが、私たちの活動を理解していただく一番の早道だからです。こういう地道な活動から新たな賛助会員や冠プロジェクトのドナーが生まれます。

本部のスタッフのうち、週5日の常勤は3人です。シニアスタッフの大半は週3日か2日勤務です。シニアスタッフ間の情報共有のため、月例会議と募金会議は、理事長を含め全員が必ず出席します。年間の募金目標に対する各月の進捗や、新規のドナーへの冠プロジェクト提案の進捗状況など様々な情報を、内部で把握できるようにしています。

経済動向が会員数や寄付額に直接影響

2001年に認定NPO制度1ができ、PHJは認定NPO第1号になりました。このため企業の節税対策ともマッチして急激に会員数が増えました。しかし、その後は会員がなかなか増えず、リーマンショックが起きた2009年以降は企業の業績も厳しくなり一時減りました。景気の影響がダイレクトに及びますので、今までの企業に加え、いわゆるIT・ソフトウェア企業への新規提案なども最近は行っています。

法人賛助会員数の推移
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1認定特定非営利活動法人制度は、NPO法人の活動を支援するための税制上の措置。一定の要件を満たすNPO法人に対する寄附は寄附者が税制上の優遇を受けられる。

各地での支援プロジェクト

活動地域と活動内容
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インドネシア:

インドネシアの地域医療設備の強化事業
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【インドネシアの地域医療設備の強化事業】バンタン州セラン県トゥンクラック村では2012年5月に保健センターを開設。一般診療はもちろん、助産師の地域定着を目指した、妊婦健診や自然分娩介助などの母子保健にも注力

カンボジア:

カンボジアの健康な村づくり事業
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【カンボジアの健康な村づくり事業】コンポントム州での、村の保健ボランティアによる保健知識の普及の様子。対象となっている55村の中から毎月10村を支援、保健教育活動の定着化を目指している。

村と保健施設を結ぶ搬送サービスも導入(画像左下)。急病人だけでなく、出産や妊婦健診、予防接種などにも利用

支援:大塚製薬

タイ:

タイの子宮頸がん・乳がん検診推進事業
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【タイの子宮頸がん・乳がん検診推進事業】チェンマイ県内6郡の女性125,100人を対象に、子宮頸がん検診受診率50%、乳がん自己触診率70%を目標に、2010年11月より3年計画で実施。移動検診車の導入で検診率アップを目指す

日本(東日本大震災):

震災発生直後の緊急支援終了後、気仙沼市28民間医療機関に対し、2011年10月より各種医療機器や什器の寄贈を実施
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震災発生直後の緊急支援終了後、気仙沼市28民間医療機関に対し、2011年10月より各種医療機器や什器の寄贈を実施

CSRパートナーの自覚、効率的な運営、情報共有による信頼獲得

最後にPHJが心がけていることをまとめました。

まずは、MDGsに沿った事業の提案についてです。企業もCSR活動における一定の分野志向や方向性をそれぞれに持っています。PHJは、企業にとってのパートナーの役割を担うという認識で活動しています。

また、「収入の80%以上を直接支援に」という理念をご紹介しました。PHJでは効率的な組織運営のため、本部の管理部門はリタイヤした企業OBが中心となって担い、経費を抑える体制にしています。

最後に、寄付金の使い道を定期的にきちんと報告して信頼性の確保に努めることです。この信頼を得るということが、企業との連携の継続という意味で一番大事なことであり、日頃から気をつけているところです。

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