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事例とデータベース

インドネシアにおける森林の回復と地域住民の生計向上の両立

プロジェクト名称:
天然ゴム農園周辺における住民参加型の森林回復活動
活動場所:
インドネシア共和国南カリマンタン州
活動主体名:
株式会社ブリヂストン/学校法人早稲田大学ランブン・マンクラット大学/(公財)国際緑化推進センター(JIFPRO)
  • 事例の分類:植林

プロジェクトの概要

株式会社ブリヂストン(以下ブリヂストン)と学校法人早稲田大学(以下早稲田大学)は、地球環境問題の解決に向けた大学および企業の社会的使命を果たしていくために、従来の産学連携の枠を超え、人々の生活により近づいた取り組みが必要だと考え、2008年に研究支援プロジェクトW-BRIDGE (Waseda-Bridgestone Initiative for Development of Global Environmentの略)を開始しました。従来の「産」(企業)と「学」(大学)の連携に、「民」(地域の生活者)との連携を加えた二つの架け橋、つまりダブルブリッヂに基づいた実践的な研究・活動を支援しています。

W-BRIDGEでは、毎年ブリヂストンが定める重点テーマおよび研究領域を対象に、大学と一般の方々が連携して取り組む環境研究課題を広く募集し、優れた研究・活動に対して、資金提供や助言等を行っています。その1つとして、インドネシアの森林回復プロジェクトを4年にわたり支援してきました。

W-BRIDGE実施体制図
W-BRIDGE実施体制図

インドネシアは陸地面積の約7割が森林(熱帯林)であり、森林を効果的に管理していくことはインドネシアだけではなく地球規模での温暖化対策として重要です。これまでインドネシアでは、荒廃地を森林に回復させる取り組みを広く行ってきましたが、従来の政府主導の期限付き事業では十分な森林回復が達成されず、造林後に放置され、森林火災の発生により造林地が焼失するという問題がありました。

インドネシア南カリマンタン州にあるブリヂストンのグループ会社であるブリヂストン カリマンタン プランテーション(BSKP)社のゴム農園周辺にも、荒廃した国有林が広範囲に分布しています。そこで、「W-BRIDGE」が支援し、この国有林の回復を目的にして、早稲田大学、(公財)国際緑化推進センター、BSKP社、Lambung Mangkurat大学及びTanah Laut 県林業局が共同で、コミュニティ林制度を活用したプロジェクトを2012年に開始しました。

インドネシア南カリマンタン州のプロジェクト対象地(2013年の植栽活動開始当時)
インドネシア南カリマンタン州のプロジェクト対象地
(2013年の植栽活動開始当時)

本プロジェクトでは、荒廃した国有林をパラゴムノキと地域に自生していた樹木の混交林として造成し、さらにパラゴムノキが成長するまでの間イネやマメなどの農作物を栽培することで、生物多様性に配慮しつつ、コミュニティにとって経済的に価値の高い森林づくりを目指しています。更に、回復した森林が再び荒廃地に戻らないよう、参加住民による森林火災を防止するパトロール活動も実施しています。それらを通じて、地域住民が自立でき、森林が長期的に回復・維持できる仕組み作りを目指しています。BSKP社は本プロジェクトにおいてパラゴムノキの優良苗木供与や栽培・樹液回収といった生産技術指導を通じ、住民の活動を支えています。

村民への優良苗木の贈呈
村民への優良苗木の贈呈

これまでに、同国各地から政府林業関係者が視察に訪れ、同国のコミュニティ林制度の推進政策に大きく貢献しています。また、2016年8月には、インドネシア環境森林省大臣が、ジャカルタから現地視察に訪れ、記念植樹を行いました。大臣は、本プロジェクトへの日本側の支援に謝意を述べられ、持続的な森林管理と地域住民の生計向上に有効な本モデルが、インドネシア国内の他地域へ拡大するよう期待を示されました。

インドネシア環境森林省大臣の現地訪問(2016年8月)
インドネシア環境森林省大臣の現地訪問(2016年8月)

プロジェクトの特徴

近年のインドネシアは目覚ましい発展を遂げています。首都のジャカルタや地方の都市部では生活レベルが飛躍的に向上していますが、農村部では、十分な土地を持っていないために、農業で生計を立てることができず、日雇い労働や出稼ぎ労働等に従事せざるをえない貧困層住民が多数存在しています。そこで、本プロジェクトでは、主に土地を持たない住民がコミュニティ林制度により土地の使用権を得て植林を実施し、森林を回復し、住民がその森林から何らかの収入を得ることを目指しています。そうすることではじめて、住民に、「自らの財産である森林を、自ら守る」というインセンティブが働き、森林火災を防止し、森林を持続的に管理することができます。

ゴムノキを活用した住民参加型の森林回復及び住民生計向上モデル概念図
ゴムノキを活用した住民参加型の森林回復及び住民生計向上モデル概念図

ひとくちに農村部と言っても、そこには多数の人達が住んでおり、民族も多種多様です。住民間での利害関係や土地紛争も存在します。そこで、まず、本プロジェクトの趣旨に賛同する住民を集めてグループを結成しました。住民がグループを形成することで、お互いに協力し、協同作業の実施や肥料等を安く共同購入することができています。また、森林火災防止パトロール等、現場での様々な困難に対し、お互いに助け合いながら対応しています。この4年間の活動実績により、新たにグループに参加したいという住民が多数現れています。現段階で、本プロジェクトへの参加世帯は、村全体の約6%ですが、今後、参加者を増やし、農民グループから村全体の農林業協同組合として発展することを目指して活動を進めています。

住民グループによる共同作業、相互扶助
住民グループによる共同作業、相互扶助

連携のポイント

本プロジェクトにおいては、ブリヂストン本社は資金提供及び現地BSKP社から優良苗木の提供や技術指導などを担当する一方、早稲田大学は学術的知見に基づいた生物多様性の調査、JIFPROは地域に根差した現地関係者(Lambung Mangkurat大学、Tanah Laut 県林業局など)との信頼関係構築や住民支援などを実施するなどそれぞれ役割分担しています。お互いにコミュニケーションを取り合い、より強い連携を深めています。

このように、日本において産・学・民連携及びインドネシアにおいて産・官・学・地域住民の協力体制を築いた結果、2016年までに、地域住民67人が本プロジェクトに参加し、荒廃した国有林内約47ヘクタールにゴムノキ約2万5千本を植林しました。植林から約5年後には、ゴム樹液の収穫が開始できる予定で、地域住民の貴重な収入源として期待されています。

プロジェクト対象地のビフォー&アフタ−
プロジェクト対象地のビフォー&アフター

(2017年3月)

パートナーシップによる森林保全活動の事例一覧

世界的な自然保護団体と組んだ熱帯林再生プログラム
伊藤忠商事株式会社と(公財)WWFジャパン
住民自身による持続可能な森づくり?「ふるさと」のイメージを共有して
花王株式会社と(公財)オイスカ
地元住民からの提案も後押ししたマングローブ林再生
トヨタ車体株式会社と(公社)日本環境教育フォーラム
住民とともに実現する持続可能な森林再生プロジェクト
NPO法人ピーク・エイドと住友林業株式会社
アグロフォレストリーコーヒーのフェアトレードで支えるエクアドルの森林保全
ナマケモノ倶楽部と株式会社ウィンドファーム
原材料調達地における森林保全活動
サラヤ株式会社と(特非)ボルネオ保全トラスト・ジャパン
原材料調達を通じた持続可能な森林利用の推進
積水ハウス株式会社と(一社)フェアウッド・パートナーズ
コミュニティ林から国際市場へ:日本とインドネシアをつなぐ
(有)テラスと(一社)フェアウッド・パートナーズ
NGOとの連携によるマングローブ植林プロジェクト
東京海上日動火災保険株式会社と(公財)オイスカ
パートナーシップによる持続可能な森林再生プロジェクト
トヨタ自動車株式会社と(一社)コンサベーション・インターナショナル
誰でも気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクト
Value Frontier株式会社と(一社)バードライフ・インターナショナル東京
組合員の寄付による森林再生
パルシステム生活協同組合連合会と(公財)プラン・インターナショナル・ジャパン
パートナーシップによる森林生態系保全プロジェクト
株式会社リコーとNGO
企業とNGO/NPOの協働プラットフォームで天然林を保全
株式会社リコー、パタゴニア日本支社とタイガの森フォーラム
コンセッション制度を利用した熱帯林の再生
バードライフ・コンソーシアムとシンガポール航空
ベトナム山岳地域の森林を守り育てる(焼き畑から森林保全・再生へ)
独立行政法人国際協力機構(JICA)と住友林業株式会社、アスクル株式会社
インドネシアにおける森林の回復と地域住民の生計向上の両立
株式会社ブリヂストンと学校法人早稲田大学
アカシアの植林地を熱帯林に再生
富士通株式会社と(公財)国際緑化推進センター(JIFPRO)
エチオピアの天然林を住民参加と認証コーヒーで守る
独立行政法人国際協力機構(JICA)とUCC上島珈琲株式会社
生物多様性の回復を目指した植林活動
ヤマハ株式会社と関連現地法人

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