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事例とデータベース

誰でも気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクト

プロジェクト名称:
フォレストーリー・プロジェクト
活動場所:
フィリピン共和国ミンドロ島、ルソン島
活動主体名:
Value Frontier株式会社/(一社)バードライフ・インターナショナル東京
  • 事例の分類:植林

プロジェクトの概要

Value Frontier株式会社(以下、VF社)は、2008年からフィリピン共和国のミンドロ島とルソン島において、「フォレストーリー・プロジェクト」という活動を展開しています。熱帯林の減少が著しく、森林再生の必要性が高い地域であるフィリピンにおいて、「生物多様性保全」「地球温暖化の緩和」「地域社会への貢献」の三つを目的に実施されているこのプロジェクトは、企業や個人が協賛や寄付を通じて気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクトです。これまでの2年間で約23haの植林を実施しています。

ルソン島の草地化が進んだ山
ルソン島の草地化が進んだ山
写真提供Forestory Project

具体的には、国際的に活動するNPO「バードライフ・インターナショナル東京」が、生物多様性の面から保全の重要度が高いと科学的な基準で選定した場所であるIBA(Important Bird Area)のうち、荒廃が著しい地域において、現地NGOや住民団体と協力しながら、フタバガキ科などの在来種を用いた森林再生を行っています。植栽した在来種の木は成長が早く、5年で安定しますが、この間の植栽木の育成・保全も行っています。

プロジェクトの特徴

このプロジェクトの特徴は「誰でも気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクト」であるということです。世界の森林が減少している状況や、熱帯林の危機について知り、「自分も何かしたい」「問題解決に関わり貢献したい」と考えている人や企業は少なくないでしょう。しかし、現実に自分で現地へ赴き、植林作業に加わるためには時間も資金もかかり、実践できる人や企業はそう多くありません。このプロジェクトは、そのような人や企業の思いを、協賛金を通じて実際に熱帯林再生に結びつけることができるプロジェクトとなっています。個人は苗木1本分の寄付から、企業は1ヘクタール分の寄付から植林の支援に参加できます。2008年からの約2年間に、個人約370名からの寄付、企業10社からの協賛を受けています。

苗畑づくりの様子
苗畑づくりの様子
写真提供Forestory Project

このプロジェクトでは、その目的の一つである「地域社会への貢献」のため、企業協賛金の10%をコミュニティ基金として積み立て、対象地での社会貢献活動に活用しています。対象地のフィリピン農村部は貧困地域であり、植林後に住民が木を伐採せずに森を保全していくためには、地域社会の生活が安定し向上する必要があります。コミュニティ基金は簡易水道の設置や教育支援など、その地域が最も必要としている分野に活用されます。このプロジェクトは、地域住民の理解と参加がなくては成立しません。コミュニティ基金は、地域社会の生活に直接的に貢献するとともに、より多くの住民にプロジェクトへの理解・関心を深めてもらうためにも役立っています。

植え付けを待つ苗木
植え付けを待つ苗木
写真提供Forestory Project

連携のポイント

このプロジェクトの活動は、バードライフ・インターナショナル東京が現地パートナー団体である「ハリボン協会」と協力して植林の許認可、住民の組織化やキャパシティ・ビルディング(能力開発)、育苗・植林・育成・保全などの実務を担い、VF社が協賛を得るためのプロモーション、企画提案などを行っています。

プロジェクトが始まる1年半前の2007年後半、VF社は、温暖化対策として、企業が参加可能な途上国における環境植林(注1)事業を立ち上げたいと考えていました。しかし、森林事業の実績はなかったため、実績あるNPOと連携して事業化することを検討していました。そのような中、バードライフ・インターナショナル東京と意見交換を行い、パートナーとして同団体と共に活動することを決め、連携を申し入れました。

現地住民向けに植林ワークショップを行うハリボン協会スタッフ
現地住民向けに植林ワークショップを行うハリボン協会スタッフ
写真提供Forestory Project

バードライフ・インターナショナル東京をパートナーとして選んだ理由として、VF社は以下を挙げています。

  • 科学的なアプローチと実績
  • 森林保全のための体制(現地コーディネーターと国内担当者、地域住民参加など)が整っていること
  • 組織としての信頼性が高いこと

この中で、VF社がパートナー選択の際に最も重視したのは、組織としての信頼性が高いかどうかということでした。企業とNGO/NPOとの間には、業務オペレーション、規範、成果に対する考え方など様々な違いがあります。VF社は、そのギャップを埋めるために、双方の違いを明確に認識した上で、常に情報や考え方などを共有するよう努力する姿勢や組織体制があることが、連携のパートナーとして大切な条件だと考えていました。

海外での森林保全プロジェクトの実施に際しては、対応を余儀なくされる予期せぬ事態が発生したり、進捗が遅れるなどの問題が頻繁に起きたりするため、現地の状況を把握しているパートナーとの遅れのない情報共有、調整、相談が重要になります。実際、本プロジェクトにおいても、ミンドロ島での、現地の地方自治体による植林の許認可の遅れに伴う植林作業の遅れや、森林火災の発生による再植林、また、ルソン島への事業対象地の拡大に伴う作業単価の見直し(コミュニティと植栽地の距離などが異なるため)、各コミュニティの性格(連帯感など)の違いへの対応など、さまざまな問題が発生しましたが、パートナーであるバードライフ・インターナショナル東京との早期の情報共有や相談により、これらの問題を乗り越えることができたと、VF社は連携の効果を評価しています。

これまでは、バードライフ・インターナショナル東京がコーディネーターとして現地NGOのハリボン協会とのコミュニケーションを図っていましたが、徐々にハリボン協会とVF社との信頼関係が構築され、相互に事業経験を積むことができたため、現在、バードライフ・インターナショナル東京はアドバイザー的な立場で関わることとし、VF社とハリボン協会が中心になって本プロジェクトの運営を行うことを3者間で検討しています。

(2017年3月更新)

注釈

  • 1) 産業用の原材料調達を目的とした「産業植林」ではなく、洪水防止や生態系の保全、防風防砂など、環境改善を目的とした植林。

パートナーシップによる森林保全活動の事例一覧

世界的な自然保護団体と組んだ熱帯林再生プログラム
伊藤忠商事株式会社と(公財)WWFジャパン
住民自身による持続可能な森づくり?「ふるさと」のイメージを共有して
花王株式会社と(公財)オイスカ
地元住民からの提案も後押ししたマングローブ林再生
トヨタ車体株式会社と(公社)日本環境教育フォーラム
住民とともに実現する持続可能な森林再生プロジェクト
NPO法人ピーク・エイドと住友林業株式会社
アグロフォレストリーコーヒーのフェアトレードで支えるエクアドルの森林保全
ナマケモノ倶楽部と株式会社ウィンドファーム
原材料調達地における森林保全活動
サラヤ株式会社と(特非)ボルネオ保全トラスト・ジャパン
原材料調達を通じた持続可能な森林利用の推進
積水ハウス株式会社と(一社)フェアウッド・パートナーズ
コミュニティ林から国際市場へ:日本とインドネシアをつなぐ
(有)テラスと(一社)フェアウッド・パートナーズ
NGOとの連携によるマングローブ植林プロジェクト
東京海上日動火災保険株式会社と(公財)オイスカ
パートナーシップによる持続可能な森林再生プロジェクト
トヨタ自動車株式会社と(一社)コンサベーション・インターナショナル
誰でも気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクト
Value Frontier株式会社と(一社)バードライフ・インターナショナル東京
組合員の寄付による森林再生
パルシステム生活協同組合連合会と(公財)プラン・インターナショナル・ジャパン
パートナーシップによる森林生態系保全プロジェクト
株式会社リコーとNGO
企業とNGO/NPOの協働プラットフォームで天然林を保全
株式会社リコー、パタゴニア日本支社とタイガの森フォーラム
コンセッション制度を利用した熱帯林の再生
バードライフ・コンソーシアムとシンガポール航空
ベトナム山岳地域の森林を守り育てる(焼き畑から森林保全・再生へ)
独立行政法人国際協力機構(JICA)と住友林業株式会社、アスクル株式会社
インドネシアにおける森林の回復と地域住民の生計向上の両立
株式会社ブリヂストンと学校法人早稲田大学
アカシアの植林地を熱帯林に再生
富士通株式会社と(公財)国際緑化推進センター(JIFPRO)
エチオピアの天然林を住民参加と認証コーヒーで守る
独立行政法人国際協力機構(JICA)とUCC上島珈琲株式会社
生物多様性の回復を目指した植林活動
ヤマハ株式会社と関連現地法人

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