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事例とデータベース

地元住民からの提案も後押ししたマングローブ林再生

プロジェクト名称:
地元住民からの提案も後押ししたマングローブ林再生
活動場所:
インドネシア共和国西ジャワ州ブカシ県
活動主体名:
トヨタ車体株式会社/(公社)日本環境教育フォーラム
  • 事例の分類:植林

プロジェクトの概要

トヨタ車体株式会社(以下、トヨタ車体)はトヨタグループにおけるトラックボディの専門メーカーとして1945年の創立以来、「環境との調和」と「豊かな社会づくりへの貢献」を基本理念に掲げ、経営を続けて参りました。1993年度に「トヨタ車体環境取り組みプラン」を制定したのを皮切りに、本格的に環境保全活動に着手。2016年度からは「低炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の構築に向けた第6次プランを策定し、地域との共生を図り、「よき企業市民」としての社会的責任を果たすため、自然保護やスポーツ振興などの社会貢献活動も積極的に推進。より地球にやさしく、社会にやさしい企業として着実に前進を続けています。

インドネシアの首都ジャカルタ湾岸のマングローブ林では、一時のエビ養殖ブームによって人工池が次々に作られ、マングローブの伐採が進むとともに、放棄され荒廃したエビ養殖池が広がるなど、様々な環境問題が起きていました。トヨタ車体と現地法人であるスギティークリエーティブス、トヨタオートボデートーカイエクストゥルージョン(T-TEC)、レジンプラッティングテクノロジー(RPT)の3社は、公益社団法人日本環境教育フォーラム・インドネシア事務所(Japan Environmental Education Forum、以下JEEF)の協力を得て、破壊が進む約150ヘクタールの海岸の再生を行うため、2011年より毎年20万本ずつ、2015年までの5年間で合計100万本の植林を実施してきました。本事業ではJEEFが現地住民への環境教育を実施する傍ら、地元住民の方々がマングローブの植林をした他、当社の社員も積極的に植林活動に参加しました。

当社がマングローブ再生プロジェクトに取り組んだ理由は主に次の3点です。

  1. マングローブ林が小魚・エビ・カニ・貝などの水棲生物や渡り鳥の生息地になるなど「命の揺りかご」とも称され、生物多様性の観点から貴重な生態系を保持していること。
  2. 地元住民に対して豊かな漁場や薪炭材を提供するなど人々の生活にとって欠かせない「生活の森」であること。
  3. 健全なマングローブ林を育てる活動は自然環境のみならず、持続可能な発展の実現に大きな貢献が期待されること。

私たちが植林したマングローブは決して順調に育ったわけではありません。2012年、13年に連続して発生した大洪水によって、植林したマングローブの苗が流されたり、立ち枯れになるなど壊滅状態に近い被害を受けましたが、翌年に補植を実施したこともあり、最終的にはマングローブ林再生を達成することができました。

毎年秋に行われた植樹式では、トヨタ車体及びスギティークリエーティブス、T-TEC、RPTの社員と林業公社関係者、ハラパン・ジャヤ村住民及び地元小学生約80名の総勢150名が参列し地元との交流を図ることができました。

現地林業公社及び4企業代表者による植樹式
現地林業公社及び4企業代表者による植樹式

ぐんぐん成長し再生されたマングローブ林
ぐんぐん成長し再生されたマングローブ林

プロジェクトの特徴

本植林プロジェクトでは養殖放棄地への植林を主な狙いとしておりましたが、現在生産を続けるエビ養殖池についても、所有者との協議を重ねました。マングローブ再生が漁業資源の回復につながるという環境教育を平行して実施。緑化とエビ育成の相乗効果が期待できるシルボフィシャリー(注1)導入に向けた下地作りとなりました。

シルボフィシャリーで植林をする現地住民
シルボフィシャリーで植林をする現地住民

こうした努力が実を結び、昔のマングローブ林が蘇り、生態系が回復をしてきました。
天然エビ・カニの収穫ができるようになった他、地元の漁師の提案により植林と並行した海藻(和名:オゴノリ、学名:Gracilariasp)の養殖に発展。海藻のオゴノリは水質浄化機能がある他、寒天の原料としても販売されるなど、地域住民の副収入確保と水質浄化の両立に寄与。事業開始前と比較すると、地域住民の収入が1.5倍に増加。地域住民は海藻養殖や漁業資源の回復などの恩恵があることから、植林地の維持管理作業に対しても大変積極的に参加するという成果につながっています。本プロジェクトの成功が評価され、ブカシ県全体で同様の植林プロジェクトが次々に試みられるようになりました。

水質浄化機能にもすぐれたオゴノリを収穫
水質浄化機能にもすぐれたオゴノリを収穫

マングローブ林で豊かに生育したカニ
マングローブ林で豊かに生育したカニ

連携のポイント

企業の社会貢献がますます時代の要請と成る中、トヨタ車体がインドネシアでの植林事業に取り組もうと考えた背景は、当社がインドネシアに現地法人を持っていたこと、世界的にも貴重な同国の生物多様性が危機に瀕していたことにあります。ただ、植林実施の方針を決めたものの、当時は「何から手を付けて良いか全くわからなかった」というのが正直なところです。その際、現地で既に10年近くNGO活動を続けて来られたJEEFとのご縁を頂き、当社の目指したいプロジェクトについて様々なご提案を頂き、両者で徐々に具体的な青写真を詰めて行きました。JEEFはインドネシアに日本人の事務所長さんを常駐させていましたので、日常のコミュニケーション面で大変安心感がありました。また当社がプロジェクト立ち上げ前にはあまり意識していなかった「プロジェクトの持続性確保」や「地元住民・政府との良好な関係づくり」といった面でも大きくサポートして頂きました。日本企業がCSR活動の一環で海外での植林、森林保全プロジェクトで成果を上げられるか否かは、やはり現地の固有の事情に精通したNGOとの連携にかかっているといえます。

今後の植林活動

現地企業のスギティークリエーティブス、T-TAC、RPTの3社で自立した植林活動を2016年?2021年に15ヘクタールに2万5千本のマホガニー等の植林をスタートさせております。

(2017年3月)

注釈

  • 1)Silvofishery(シルボフィシャリー)のSilvo はSilva またはSylva に由来し,樹木を意味する。Fishery(フィシャリー) は漁業のことであるが、Silvofishery の意味するところは汽水域における樹木,すなわちマングローブの栽培と魚介類の養殖を組み合わせた複合的な生産様式を指す。
    (出典:皆川 惠「東南アジアにおけるマングローブに優しい養殖技術開発研究の現状」西海水研ニュース,vol.101,pp11?12,2000)

パートナーシップによる森林保全活動の事例一覧

世界的な自然保護団体と組んだ熱帯林再生プログラム
伊藤忠商事株式会社と(公財)WWFジャパン
住民自身による持続可能な森づくり?「ふるさと」のイメージを共有して
花王株式会社と(公財)オイスカ
地元住民からの提案も後押ししたマングローブ林再生
トヨタ車体株式会社と(公社)日本環境教育フォーラム
住民とともに実現する持続可能な森林再生プロジェクト
NPO法人ピーク・エイドと住友林業株式会社
アグロフォレストリーコーヒーのフェアトレードで支えるエクアドルの森林保全
ナマケモノ倶楽部と株式会社ウィンドファーム
原材料調達地における森林保全活動
サラヤ株式会社と(特非)ボルネオ保全トラスト・ジャパン
原材料調達を通じた持続可能な森林利用の推進
積水ハウス株式会社と(一社)フェアウッド・パートナーズ
コミュニティ林から国際市場へ:日本とインドネシアをつなぐ
(有)テラスと(一社)フェアウッド・パートナーズ
NGOとの連携によるマングローブ植林プロジェクト
東京海上日動火災保険株式会社と(公財)オイスカ
パートナーシップによる持続可能な森林再生プロジェクト
トヨタ自動車株式会社と(一社)コンサベーション・インターナショナル
誰でも気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクト
Value Frontier株式会社と(一社)バードライフ・インターナショナル東京
組合員の寄付による森林再生
パルシステム生活協同組合連合会と(公財)プラン・インターナショナル・ジャパン
パートナーシップによる森林生態系保全プロジェクト
株式会社リコーとNGO
企業とNGO/NPOの協働プラットフォームで天然林を保全
株式会社リコー、パタゴニア日本支社とタイガの森フォーラム
コンセッション制度を利用した熱帯林の再生
バードライフ・コンソーシアムとシンガポール航空
ベトナム山岳地域の森林を守り育てる(焼き畑から森林保全・再生へ)
独立行政法人国際協力機構(JICA)と住友林業株式会社、アスクル株式会社
インドネシアにおける森林の回復と地域住民の生計向上の両立
株式会社ブリヂストンと学校法人早稲田大学
アカシアの植林地を熱帯林に再生
富士通株式会社と(公財)国際緑化推進センター(JIFPRO)
エチオピアの天然林を住民参加と認証コーヒーで守る
独立行政法人国際協力機構(JICA)とUCC上島珈琲株式会社
生物多様性の回復を目指した植林活動
ヤマハ株式会社と関連現地法人

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