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事例とデータベース

アグロフォレストリーコーヒーのフェアトレードで支えるエクアドルの森林保全

プロジェクト名称:
ハチドリコーヒーキャンペーン
活動場所:
エクアドル共和国
活動主体名:
ナマケモノ倶楽部株式会社ウィンドファーム
  • 事例の分類:天然林保全

プロジェクトの概要

エクアドルは南米西部、太平洋に面する赤道直下の国です。日本の3分の2という小さな面積に、標高6000mを超えるアンデス山脈、アマゾン川源流域の熱帯林、海岸のマングローブ林など変化に富んだ自然環境を有しています。北部のインタグ地方には生物多様性豊かな森林が広がっていましたが、1990年代、エクアドル政府の要請により日本政府(JICA)と企業が関連していた鉱山開発計画による環境破壊が大きな問題となっていました(注1)
1998年、南米の有機栽培コーヒーを輸入していたウィンドファームの代表が、インタグ鉱山開発に反対する地元のコーヒー生産者協会や先住民族の代表と出会い、コーヒーのフェアトレードによって、鉱山開発に頼らない人々の持続可能な生き方を支援することとなりました。

雲霧林と呼ばれる、インタグの森林
雲霧林と呼ばれる、インタグの森林

このコーヒーの販売と普及を市民団体としてサポートすることを目的の一つとして、1999年にナマケモノ倶楽部が活動を始めました。ナマケモノ倶楽部は、大量消費型社会に替わる新しい文化の創造と、環境負荷の少ない「スローな社会」を目指して環境運動、文化運動、スロービジネスの3つを展開しています。
インタグの鉱山開発問題を伝え、「森を壊さないライフスタイル」を提唱し、コーヒーの売上に応じて基金を積立て、エクアドルの森林再生資金として支援するなど、ウィンドファームと連携して、エクアドルの森林を守るためのコーヒーの販売をサポートしています。

アグロフォレストリーのコーヒー
アグロフォレストリーのコーヒー

エクアドル現地では、1998年にインタグコーヒー生産者協会(AACRI)が設立され、この地域で従来から行われていたアグロフォレストリーによるコーヒー栽培をさらに普及しているほか、技術指導や集荷から輸出までの手続きなどを行ってきました。また、AACRIでは、コーヒー栽培だけでなく、熱効率の良いカマドやバイオガスの推進、植林など生活と環境を改善するための活動にも取り組んでいます。日本とのフェアトレードにより、AACRIの組合員の収入も増加し、組合員数も設立当時の数倍の約300世帯に達するなど、活動が広まっています。

インタグのコーヒー生産者たち
インタグのコーヒー生産者たち

プロジェクトの特徴

このプロジェクトの特徴は、大規模な鉱山開発に反対する地元住民が、森林を守りながら生活も改善していく手段として、アグロフォレストリーによるコーヒー栽培を選択し、それを日本のNGOと企業が連携してフェアトレードを通じて支えている点です。

地元住民は、鉱山が環境問題を引き起こすことを知っていても、他に雇用の場がなければ開発を受け入れざるを得ません。ナマケモノ倶楽部とウィンドファームは、他の関連企業や団体との協力の下、コーヒーのフェアトレードだけでなく、エクアドルの鉱山開発問題や、森林を守るための活動を紹介し、エコツアーやセミナーなどのイベントを通じて、社会的なムーブメントにつなげてきました。

エクアドルへのエコツアー
エクアドルへのエコツアー

ナマケモノ倶楽部のコンセプトは、1)世界の森を守る(環境運動)、2)環境共生型ライフスタイル「スローライフ」の提案(文化運動)、3)いのちを大切にする仕事を応援する(スロービジネス運動)です。ナマケモノ倶楽部の関連企業はコーヒーの輸入を中心に行うウィンドファームの他、コーヒーの焙煎を行う(有)スロー、オーガニックカフェを経営する(有)カフェスロー、本や冊子の出版と販売を行う(有)ゆっくり堂、フェアトレード雑貨とコーヒー販売のスローウォーターカフェ(有)があります。いずれも、ナマケモノ倶楽部に関わった若者を中心に起業してスロービジネスを展開しながら環境・文化運動を支えています。

2007年には、ナマケモノ倶楽部と関連企業の協力で、「無農薬コーヒーハチドリのひとしずく」をプロデュースしました。コーヒーという商品としてだけではなく、森林と森を育む文化を生産者と共に守り、「森を壊さないライフスタイル」を伝えていくためのツールとして、活用しています。

連携のポイント

ナマケモノ倶楽部とウィンドファームを始めとする関連企業の連携による、エクアドルの森林を守るための運動は、コーヒーを中心に広がっています。関連企業は様々な業態の、それぞれ独立した企業でありながら、ナマケモノ倶楽部の目指すスロームーブメントを支える仲間という位置付けです。
ナマケモノ倶楽部の理事会には関連企業のメンバーが理事として参加するなど強い結び付きを保ち、ナマケモノ倶楽部はNGOとして環境・文化運動を行い、関連企業はそれぞれのビシネスに加えて環境・文化運動を行っています。

このように強い結びつきを持っていても、パートナーシップを良好に維持するためには、常にコミュニケーションを密にとり、信頼関係の構築と維持を行うことが必要とナマケモノ倶楽部では考えています。企業もNGOもそれぞれ担当者が変わることもありますが、キャンペーンなどを共同で行うことで、新しい関係を築いていくことができます。

ナマケモノ倶楽部では、自分たちの消費と行動を変えることで世界を変えていく「スロームーブメントという運動の担い手」を増やしていくことが大切と考えています。関連企業のコーヒーやカフェ、出版など、ビジネスや商品があることで、「スロームーブメントとは何か」について、具体的でわかりやすい提案ができ、関心を持つ人に対する入口が増えるという連携による効果が現れています。

(2012年3月)

注釈

  • 1)日本はその後、この計画から撤退した。その後もエクアドル政府は採掘権の競売等を行い、チリの国営企業やカナダの鉱山開発企業により鉱山開発が実施されようとしたが、2008年にエクアドル政府により採掘権の停止が決定され、一旦はインタグから鉱山開発が撤退した。

パートナーシップによる森林保全の事例一覧

アグロフォレストリーコーヒーのフェアトレードで支えるエクアドルの森林保全
ナマケモノ倶楽部と株式会社ウィンドファーム
原材料調達地における森林保全活動
サラヤとボルネオ保全トラスト日本
原材料調達を通じた持続可能な森林利用の推進
積水ハウスとフェアウッド・パートナーズ
コミュニティ林から国際市場へ:日本とインドネシアをつなぐ
(有)テラスとフェアウッド・パートナーズ
NGOとの連携によるマングローブ植林プロジェクト
東京海上日動火災保険株式会社と(公財)オイスカ
パートナーシップによる持続可能な森林再生プロジェクト
トヨタ自動車とコンサベーション・インターナショナル
誰でも気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクト
バリュー・フロンティア(株)とバードライフ・アジア
組合員の寄付による森林再生
パルシステム生活協同組合連合会と公益財団法人プラン・ジャパン
パートナーシップによる森林生態系保全プロジェクト
リコーとNGO
企業とNGO/NPOの協働プラットフォームで天然林を保全
リコー、パタゴニアとタイガの森フォーラム
コンセッション制度を利用した熱帯林の再生
バードライフ・コンソーシアムとシンガポール航空
地の利を活かした植林活動で多くの企業の参加を
フィリピン電力公社と、ハリボン財団、エコセーブ他
アカシアの植林地を熱帯林に再生
富士通株式会社と財団法人国際緑化推進センター
エチオピアの天然林を住民参加と認証コーヒーで守る
国際協力機構とUCC上島珈琲株式会社
生物多様性の回復を目指した植林活動
ヤマハ株式会社と関連現地法人

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