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事例とデータベース

エチオピアの天然林を住民参加と認証コーヒーで守る

プロジェクト名称:
ベレテ・ゲラ参加型森林管理計画プロジェクト
活動場所:
エチオピア連邦民主共和国
活動主体名:
独立行政法人 国際協力機構UCC上島珈琲株式会社
  • 事例の分類:原材料調達

プロジェクトの概要

独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)は1974年に設立され、(当時は国際協力事業団)、人材育成・能力開発、政策・制度の改善等を通じて開発途上国が抱える様々な課題の解決を支援することを目的とした国際協力事業を行う組織です。現在、世界100ヵ国を超える国々に対して、環境、農業、保健医療、教育、産業等多岐にわたる分野で支援を行っています。
自然環境保全分野においては1976年から森林保全や持続可能な森林管理の推進を目的とした事業を行っており、生物多様性保全に関しては2000年以降、世界78ヵ国で300件以上のプロジェクトを実施しています。

エチオピア国ベレテ・ゲラ参加型森林管理計画プロジェクトは、2003〜2006年にフェーズ1を実施し、2006〜2012年3月までの予定でフェーズ2を実施しています。
このプロジェクトの対象地は、エチオピアの南西部に位置するオロミア州ベレテ・ゲラ森林優先地域です。エチオピアは、農地の開拓等による森林の減少が著しく、かつて国土の約35パーセントあった森林が、現在ではわずか11.2パーセントにまで減少しています。残された森林の95パーセントがオロミア州に集中しており、特にベレテ・ゲラ森林優先地域は、15万ヘクタールという広大な森林を維持しています。この地域は、貴重な野生動植物の宝庫であり、またアラビカコーヒーの原産地といわれています。

ベレテ・ゲラ森林優先地域
ベレテ・ゲラ森林優先地域

ベレテ・ゲラ地域には44の村に約18,000世帯が居住し、農地の拡大や、木材や薪の採取のために森林が伐採されていたため、このプロジェクトには森林保全と住民の生活向上を両立させるものであることが求められました。
そこでJICAでは、以下の2つの活動を実施しました。

  1. 参加型森林管理システムの構築と実践
  2. 生計向上支援活動

具体的には、1)では住民による森林管理組合(WaBuB)を集落ごとに設立し、組合が主体となって、森林管理のルール「WaBuB内規」を策定し、組合と行政が森林管理に関する契約を交わしました。これにより、森林優先地域内での住民の居住と利用権が確保され、その上で、住民と行政の森林管理に係る権利と義務を明確化しました。契約に従い、組合は森林の境界線の確定や違法伐採のパトロールなどを行います。
2)では、対象地の森林内で半野生のコーヒーの木が生育しているという特徴を活かして、森林コーヒー認証プログラムを導入しました。これにより森林を守りながらコーヒー豆の販売による収入を向上させる仕組みを構築しようとしています。また、森林内への農地拡大を防ぐことを目的に、ファーマーフィールドスクール(農民対象の野外教室)を導入し、農業技術の改良と作物の多様化、既存農地内での生産性向上に取り組んでいます。

森の中でコーヒー豆を収穫
森の中でコーヒー豆を収穫

プロジェクトの特徴

このプロジェクトでは、森林内に自生しているコーヒーにレインフォレスト・アライアンス国際認証という付加価値をつけてプレミア価格で販売することで、住民による持続的な森林保全を行うためのインセンチブを与えようとしています。
従来から、住民はコーヒー豆の採取と販売を行っていましたが、仲買人への販売で得られる収入は極僅かでした。プロジェクトでは、天然のコーヒーは、無農薬・無化学肥料であることに着目し、レインフォレスト・アライアンスの認証を取得できるよう支援を行いました。
認証の取得後、日本の商社と、UCC上島珈琲がこのコーヒーの輸入・販売を日本で行うことになりました。また2011年度にはUCCとJICAの協働で、UCCのコーヒー品質管理の専門家を現地に派遣し、品質改善の取り組みも実施されました。対象地には品質の高いコーヒー豆が存在していましたが、これまでは、品質改善に関する指導が行われていなかったため、きちんとした選別が行われず、未熟な豆が混ざっていたり、不適切な乾燥方法が取られたりしていました。生産者のリーダーへの研修を行い、これらの点を改善していくことで、日本の企業が商品として取り扱うことのできるレベルにまで、品質を上げていく努力が続けられています。

コーヒー豆の乾燥作業
コーヒー豆の乾燥作業

一方で、天然のコーヒーであるため、分量が限られること、豊作と不作があることなど、商品としては扱いにくいという面もありますが、UCCでは商品化に取り組み、期間限定の主に業務用コーヒーとして販売を開始しました。

JICAのプロジェクト・インパクト調査によると、対象地の全集落でWaBuBが設立され、これらの地域においては森林減少が抑制されていることがリモートセンシング分析により確認されています。住民の収入向上という面では、2009〜2010年の日本への認証コーヒー輸出においてプレミアム価格で販売されたことで得られた利益がWaBuBに還元されました。またフィールドスクールはプロジェクト期間中に、合計351校で約8000名の農民が1年間のプログラムを卒業しており、第1期の卒業生の世帯所得が年平均70ドル上昇するなどの成果をあげています。このように、森林を伐採せずに生計向上を図るという仕組みが徐々に構築されつつあります。

フィールドスクールの参加者
フィールドスクールの参加者

連携のポイント

このプロジェクトでは、森林保全の効果を上げ、持続可能にしていくために以下の点を工夫しました。

1)面的な展開と地元での連携

フェーズ1ではパイロットプロジェクト地域として2集落を選定して活動を行いました。しかし対象地における森林減少率は年2パーセントと高く、森林保全は火急の課題であったため、フェーズ2では、森林内に存在する124集落と15万ヘクタールの全てを対象としました。
広大な対象地での活動を円滑に進めるために、対象地内の村に配属されていたエチオピア農業局の農業普及員約120名を活動実施主体と位置付けました。このプロジェクトでのJICAのカウンターパートはオロミア森林公社でしたが、オロミア州農業省と3者での覚書を交わしたことで、農業普及員のプロジェクトへの参画が可能になりました。 さらに各集落で指導員的な役割を担うような、農民ファシリテーターの育成を行いました。

農民ファシリテーターの活動
農民ファシリテーターの活動

2)民間企業との連携

住民が、認証コーヒーの販売によって、プレミアム価格を得るため、またJICAの支援が終了した後も自立的に収入が得られ、参加型森林管理が継続されていくためには、企業との連携が必須と考えられました。そこでJICAでは、環境NGO、日本向けの輸出入を行う商社、さらに日本での販売を担う販売業者との連携により、認証の取得、生産・品質の管理、マーケティング、輸出までのバリュー・チェーン全体をプロジェクトで支援しました。これによりエチオピア認証コーヒーが日本市場で販売されるようになりました。

JICAでは、現場での支援活動の成果を、プロジェクト終了後も長期的に持続させていく上で、このような企業との連携は一つの有効なアプローチであると考えています。

(2012年3月)

パートナーシップによる森林保全の事例一覧

アグロフォレストリーコーヒーのフェアトレードで支えるエクアドルの森林保全
ナマケモノ倶楽部と株式会社ウィンドファーム
原材料調達地における森林保全活動
サラヤとボルネオ保全トラスト日本
原材料調達を通じた持続可能な森林利用の推進
積水ハウスとフェアウッド・パートナーズ
コミュニティ林から国際市場へ:日本とインドネシアをつなぐ
(有)テラスとフェアウッド・パートナーズ
NGOとの連携によるマングローブ植林プロジェクト
東京海上日動火災保険株式会社と(公財)オイスカ
パートナーシップによる持続可能な森林再生プロジェクト
トヨタ自動車とコンサベーション・インターナショナル
誰でも気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクト
バリュー・フロンティア(株)とバードライフ・アジア
組合員の寄付による森林再生
パルシステム生活協同組合連合会と公益財団法人プラン・ジャパン
パートナーシップによる森林生態系保全プロジェクト
リコーとNGO
企業とNGO/NPOの協働プラットフォームで天然林を保全
リコー、パタゴニアとタイガの森フォーラム
コンセッション制度を利用した熱帯林の再生
バードライフ・コンソーシアムとシンガポール航空
地の利を活かした植林活動で多くの企業の参加を
フィリピン電力公社と、ハリボン財団、エコセーブ他
アカシアの植林地を熱帯林に再生
富士通株式会社と財団法人国際緑化推進センター
エチオピアの天然林を住民参加と認証コーヒーで守る
国際協力機構とUCC上島珈琲株式会社
生物多様性の回復を目指した植林活動
ヤマハ株式会社と関連現地法人

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