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事例とデータベース

世界的な自然保護団体と組んだ熱帯林再生プログラム

プロジェクト名称:
ボルネオ島での熱帯林再生及び生態系の保全プログラム
活動場所:
マレーシア国サバ州北ウルセガマ地区(ボルネオ島)
活動主体名:
伊藤忠商事株式会社、伊藤忠グループ企業/(公財)WWFジャパン、WWFマレーシア
  • 事例の分類:植林
  • 事例の分類:天然林保全

プロジェクトの概要

世界的に問題となっている熱帯林の著しい減少・劣化、及びそれに伴う生態系の破壊は、現在も止まっていません。また、森林の破壊が地球温暖化の原因である二酸化炭素増大の原因のひとつともいわれています。

ボルネオ島(カリマンタン島)はマレーシア、インドネシア、ブルネイの三カ国にまたがる熱帯林地域で、日本の約2倍もの面積がある、世界で3番目の大きさの島です。アマゾンなどと並び、生物多様性の宝庫といわれるボルネオ島も開発が進み、自然再生力だけでは生態系保全ができない程、傷ついた熱帯林も出てきました。ボルネオ島北東部のマレーシア国サバ州北ウルセガマでは、世界的な自然保護団体であるWWFが現地サバ州政府森林局と連携し、約2,400ヘクタールの森林再生活動を行っておりました。伊藤忠グループはそのうち967ヘクタールについて2009年度から2015年度までの約7年の間で総額2億5千万円の資金を投じて再生を支援してきました。これは一般企業の植林活動支援としては最大規模の面積です。当地は、絶滅危惧種であるボルネオオランウータンの生息地でもあり、森林再生によりこのボルネオオランウータンを保護するのみならず、ここに生息する多くの生物を守ることにもつながります。

プロジェクトの特徴

森林再生活動は、伊藤忠グループ企業の支援の元、WWFジャパンがWWFマレーシアと共に行ってきましたが、ボルネオ島在来の植物種の苗木を一定の間隔で植林し、その後の約2年間にわたり苗木の周辺の除草等の維持管理作業を継続することで、森林の再生を目指してきました。これらの作業は、サバ州政府森林局とWWFマレーシアが合意した手法に則って行われ、植林する樹種については現地の在来樹種のフタバガキ科を中心に約60種に及ぶ多種多様な樹種を環境に合わせて植林していくなどきめ細かい作業を行いました。この際、より効果的な森林再生とボルネオオランウータンの生息地としての環境の改善のため、現地の状況に応じて成長が速い種(パイオニア種)や成長の遅い種(フタバガキ科の植物が中心)を植えたり、ボルネオオランウータンの食物となる果実がなる樹種を植えるなどの工夫を行いました。7年をかけて行われた植樹及びメンテナンス作業についてはWWFとサバ州政府森林局により、基準に沿って作業が行われているかを作業ごとに実地で検証、基準に沿わない場合は、修正作業が行われました。

WWFとサバ州政府森林局による作業確認を行います。
WWFとサバ州政府森林局による作業確認を行います。

さらに本プログラムの遂行にあたっては、資金的な支援のほか、社員の環境教育の一環で世界各国の伊藤忠グループ社員が植林活動等に参加できる社員ボランティアツアーを企画しました。現地では植林活動や野生動物の観察等を実施し、ツアー体験レポートとして「ボルネオ便り1回?4回」にまとめました。

植林ツアー参加者による記念撮影。植林地のサインボードの前にて。
植林ツアー参加者による記念撮影。植林地のサインボードの前にて。

WWFが「北ウルセガマ森林再生プロジェクト」(伊藤忠グループが支援した967ヘクタールを含む、WWFの担当区画約2,400ヘクタールにおける森林再生活動)の成果を測るために行った科学的な調査の結果から、森林再生活動を行った地区で森林被覆が回復しつつあるというポジティブな変化が明らかになってきています。加えて、ボルネオオランウータンの調査を通して、プロジェクト開始以前には、わずかに残された比較的状態の良い森でしか見られなかったボルネオオランウータンが、より広い範囲で行動するようになりつつあることも明らかになってきています。実際に2012年には、森林再生活動で植樹し、成長した木々をボルネオオランウータンが利用する様子が直接観察されはじめました。

これは、森林火災や伐採の影響で、ボルネオオランウータンが利用できないほどに劣化してしまった森の一部が、森林再生活動を通して徐々に回復してきていることを示しています。

2008年?2013年の森林被覆の変化
2008年?2013年の森林被覆の変化

緑色の部分が、2008年当時樹木のない草地・ヤブだった場所から森林へと回復した場所を示しており、WWFの担当区画2,400haに対して約20%にあたります。2008年時草地だった約860haの内約460haが森林へと変化しました。

その他にも、2011年に北ウルセガマを含むウル・セガマ・マルア地域の全域がFSC®認証を取得し、持続可能な管理が行われている森林として認められました。また、2012年にサバ州政府森林局が北ウルセガマの重要性を認め、北ウルセガマは、商業伐採を行わない保護林とすることを決定されました。同時に、それまではウルセガマ森林保護区の一部であった北ウルセガマは、ブキ・ピトン(Bukit Piton)森林保護区という新たな名称を与えられ、独立した新たな森林保護区となりました。森林再生活動の内容や成果についてはWWFジャパンホームページでも詳しく紹介されています。是非ご覧ください。

植林した樹木を、ボルネオオランウータンが移動や採食に利用しています。
植林した樹木を、ボルネオオランウータンが移動や採食に利用しています。

植林した樹木を、ボルネオオランウータンがネスト(寝床)として利用しています。
植林した樹木を、ボルネオオランウータンがネスト(寝床)として利用しています。

連携のポイント

国内外で幅広い分野にわたり商品・サービスの提供、また事業投資を行う総合商社として、地球環境問題を経営における最重要課題のひとつと位置付けています。持続可能な社会の実現に貢献するため、環境保全活動を推進していくためには、知見を持っているNGOとの連携は不可欠です。

WWFは、特に地球上の生物多様性を守り、人と自然が調和して生きられる未来を目指した活動を行っていること、またスイスのWWFインターナショナルを中心に、50カ国以上の国々に拠点を置き、100を超える国々で地球規模の活動を1961年より展開している環境保全団体であり、経験及びノウハウの蓄積があることはパートナーとして信頼でき、そのネットワークにより本プロジェクトが成功したと感謝しています。

(2017年3月)

パートナーシップによる森林保全活動の事例一覧

世界的な自然保護団体と組んだ熱帯林再生プログラム
伊藤忠商事株式会社と(公財)WWFジャパン
住民自身による持続可能な森づくり?「ふるさと」のイメージを共有して
花王株式会社と(公財)オイスカ
地元住民からの提案も後押ししたマングローブ林再生
トヨタ車体株式会社と(公社)日本環境教育フォーラム
住民とともに実現する持続可能な森林再生プロジェクト
NPO法人ピーク・エイドと住友林業株式会社
アグロフォレストリーコーヒーのフェアトレードで支えるエクアドルの森林保全
ナマケモノ倶楽部と株式会社ウィンドファーム
原材料調達地における森林保全活動
サラヤ株式会社と(特非)ボルネオ保全トラスト・ジャパン
原材料調達を通じた持続可能な森林利用の推進
積水ハウス株式会社と(一社)フェアウッド・パートナーズ
コミュニティ林から国際市場へ:日本とインドネシアをつなぐ
(有)テラスと(一社)フェアウッド・パートナーズ
NGOとの連携によるマングローブ植林プロジェクト
東京海上日動火災保険株式会社と(公財)オイスカ
パートナーシップによる持続可能な森林再生プロジェクト
トヨタ自動車株式会社と(一社)コンサベーション・インターナショナル
誰でも気軽に参加できる熱帯林の再生プロジェクト
Value Frontier株式会社と(一社)バードライフ・インターナショナル東京
組合員の寄付による森林再生
パルシステム生活協同組合連合会と(公財)プラン・インターナショナル・ジャパン
パートナーシップによる森林生態系保全プロジェクト
株式会社リコーとNGO
企業とNGO/NPOの協働プラットフォームで天然林を保全
株式会社リコー、パタゴニア日本支社とタイガの森フォーラム
コンセッション制度を利用した熱帯林の再生
バードライフ・コンソーシアムとシンガポール航空
ベトナム山岳地域の森林を守り育てる(焼き畑から森林保全・再生へ)
独立行政法人国際協力機構(JICA)と住友林業株式会社、アスクル株式会社
インドネシアにおける森林の回復と地域住民の生計向上の両立
株式会社ブリヂストンと学校法人早稲田大学
アカシアの植林地を熱帯林に再生
富士通株式会社と(公財)国際緑化推進センター(JIFPRO)
エチオピアの天然林を住民参加と認証コーヒーで守る
独立行政法人国際協力機構(JICA)とUCC上島珈琲株式会社
生物多様性の回復を目指した植林活動
ヤマハ株式会社と関連現地法人

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