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フォレスト パートナーシップ プラットフォーム > 事例とデータベース > NGO/NPOによる森林保全活動の事例 > 特定非営利活動法人 緑のサヘル

事例とデータベース

特定非営利活動法人 緑のサヘル

所在地:
〒101-0035 東京都千代田区神田紺屋町16 NASビル3F
問合せ先:
Tel.:03-3252-1040
Fax.:03-3252-1041
URL:http://sahelgreen.org
E-Mail:agsj_tokyo@sahelgreen.org

団体概要

サヘルとはアラビア語で「岸辺」を意味し、アフリカ北部に広がるサハラ砂漠の南に位置する地域を指します。このサヘル地域では近年、乾燥と土地劣化が急速に進み、緑が失われて不毛の土地が広がってきています。地域の人々の生活は、水や食料の慢性的な不足、疾病の蔓延など深刻な危機にさらされた大変厳しいものになっています。

緑のサヘルは、サヘル地域の緑を取り戻し、住民の生活を改善することを目的に1991年に設立されました。2011年末現在は、ブルキナファソ、チャド共和国、タンザニア連合共和国の3カ国で活動を行っています。

代表的なプロジェクト

  • 事例の分類:植林
  • 事例の分類:天然林保全

プロジェクト名称

バム湖周辺地域開発プロジェクト

活動場所

ブルキナファソ

プロジェクトの概要

ブルキナファソでの緑のサヘルの活動は、1996年から始まりましたが、この地域では、生活そのものが大変厳しく、まずは安心して生活できることが最優先の課題でした。そこで、「木を植えることができる生活作り」として、穀物や種籾の貸し出し、農業指導、井戸の掘削と管理の指導や、より少ない薪で調理のできる改良かまどの普及を行ってきました。

2007年から活動している、ブルキナファソ中央部のバム県バム湖周辺の村々は、肥沃な土地に恵まれていましたが、干ばつにより湖周辺の木々が枯れ、土壌侵食が進み湖への土砂の流入や湖岸の崩落が起きています。その結果、周辺の土地はやせ、湖が浅くなって雨季には洪水が起きるようになりました。緑のサヘルでは、湖への土砂の流入を防ぐため畑に石堤を設置し、土壌を安定させる活動を行っています。これにより、畑の養分と水分が蓄えられ、収量を上げることに成功しました。

湖周辺の植林木の様子。
湖周辺の植林木の様子。

畑に回復した土地の様子。
畑に回復した土地の様子。

また、湖岸の崩落防止と湖の洪水被害の緩和のために、五つの村で湖岸への植林を行っています。これまでに約4万6,000本の木を植え、中には既に樹高8メートルに達するものもあります。植林した木々は村を守る堤防となるほか、成長した後には枝を切って薪にしたり、果実を販売することができるなど、住民の生活向上に役立つことが期待されます。

2009年からは、国際協力機構(JICA)との協力で、二つの村で地域に残された森林や再生した森林を活用した養蜂も行っています。蜂蜜は貴重な現金収入源となったほか、村人の薬としても使用されています。

住民の健康や現金収入等につながる養蜂の様子。
住民の健康や現金収入等につながる養蜂の様子。

また、これまでにバム県内の小学校22校において、強い日差しや砂埃から子どもたちを守るなど、少しでも良い学習環境を作るため、校庭での植林を支援してきました。活動は、教師、児童、保護者が苗木を植え、子どもたちが水やりなどの世話をします。家畜の食害から守るための柵も自分たちで編みます。これらの活動を通じて、木を育てることの難しさ、環境を守ることの大切さを学んでいきます。

成長した、校庭に植えた苗木と子供達。
成長した、校庭に植えた苗木と子供達。

プロジェクトの特徴

このプロジェクトの特徴は、対象地の厳しい環境の中、緑化と生活の安定を目指して、長年地道に住民とともに取り組んできたことです。水や食料といった生活の基盤が満たされない場所で、植林や緑化のみの取組では不十分であり、まずは生活の底上げが必要です。一方、薪の採取により周辺の森林が失われ、農地がよりやせていくという悪循環を止め、砂漠化を防止するためにも森林を守り増やす必要があります。

緑のサヘルでは、住民参加を基本としており、活動は住民が無償で担いますが、農業、水汲み、薪集めなど日々の生活に追われる住民が参加するためには、住民のニーズに合った活動である必要があります。現在取り組んでいる活動は、バム県だけでも植林等による緑化のほか、農業技術支援、家畜の肥育、堆肥づくりや養蜂といった農業収入向上プロジェクト、薪の使用量を削減するための調査と、燃焼効率の良い改良かまどの普及、落花生からの搾油技術の移転による女性の収入向上、井戸掘削とメンテナンス講習など、多岐にわたっています。

野菜づくりや植林も可能とする井戸の設置。
野菜づくりや植林も可能とする井戸の設置。

砂漠化が進む地域での植林は困難です。養分豊かな土地は、農業生産のために確保する必要があるので、植林することができるのはやせた土地になります。また8ヵ月間続く乾季の間、水は飲料にも不足するほどです。緑のサヘルのプロジェクトでは、苗の回りに穴をほり、雨季の間に水を貯める対策を行っていますが、それでも植林後、最初の乾季に20%、2年目にはさらに10%が枯れ、3年目を迎えることができるのは7割程度(注1)です。

燃料として主に薪を使用しているこの地域では、薪の使用量を削減できる改良かまどの普及も重要です。薪は1世帯が月に300?700キログラムも使うため、薪の削減は、森林保全のみならず、薪集めの時間と労力の削減にもなります。森林が減少し、自分で薪を集められない村では、薪を購入する必要が生じたり、40キロメートルも離れたところまで、荷車で集めに行くなど、薪集めの負担は増大しています。改良かまどは40%?50%も薪を削減することができますが、熱や光が外に出なくなり、煙も減少するため、暖房・照明・虫よけなど旧来型のかまどが担ってきた調理以外の効果が得られないことから、現在では夜は旧来型、昼は改良かまどを使うところが増えています。

改良かまどによって薪の消費量は40?50%に減り、森林減少を抑制できる。
改良かまどによって薪の消費量は40?50%に減り、森林減少を抑制できる。

緑のサヘルは長年の継続した活動から、住民やコミュニティとの信頼関係が構築できており、住民のニーズ把握や活動の実施面における課題は特段ない一方、現地での活動の必要性に、支援側のキャパシティ不足により対応しきれないという問題があります。現在では、日本からの協力や支援の輪が広がり、環境省、JICA、日本経団連、国連食糧農業機関(FAO)、企業などから直接・間接に助成や委託を受けていますが、人件費が十分には得られないなか、スタッフのキャパシティは現地のニーズに追いついていません。

事業拡大、新たな展開

これまでに5村において土壌浸食の防止と地力の回復を図り、計約280haの荒廃地を耕作地へと変えました。この結果、収穫が10倍以上になった畑もあり、近隣が不作の年でもほとんどの畑が収量を増やす等、大きな成果を上げています。

また6村において計約98,000本の植林を行ない、10mを越えるまでに成長した木々もあります。2013年からは用材の伐採も始められ、各家庭で薪として利用されている他、販売によって収入を得る家庭も増えています。

現金収入の向上としては、養蜂(2村)、羊の飼育販売(3村)、搾油(2村)が実施されており、家庭や村々の生活改善に成果を上げています。2012年には1村において、蜂蜜生産の強化と地域環境の保全を目的とした植生保護区を設置、現在も管理が続けられています。

小学校への緑化支援は、2013年に第1期が終了し、多くの学校の校庭に木立が出来ています。現在は第2期として新たな10校における植林が進められています。これまでに32校が約6,300本の植林を行なっています。
(※数字は2015年現在のものです。)

落花生や木の実から油を搾り、調味料や薬として利用・販売。
落花生や木の実から油を搾り、調味料や薬として利用・販売。

その他の森林保全活動

(2017年3月更新)

注釈

  • 1)バム湖周辺は比較的肥沃な土壌と水分条件に恵まれており、ブルキナファソの他の地域より活着率が高い。他の地域では、最初の乾季に60%、2年目に30%が枯れ、3年目を迎えるのは1割程度という例もある。

NGO/NPOによる森林保全活動の事例一覧

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