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フォレスト パートナーシップ プラットフォーム > 事例とデータベース > NGO/NPOによる森林保全活動の事例 > 熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

事例とデータベース

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

所在地:
〒160-0022 東京都新宿区新宿1-23-16 第二得丸ビル3F
問合せ先:
Tel.:03-5269-5097
URL:http://www.jatan.org/
E-Mail:info@jatan.org

団体概要

熱帯林行動ネットワーク(Japan Tropical Forest Action Network:JATAN)は、生物多様性保全や地域住民の生活の安定などに焦点を当て、世界各地の森林を環境面、社会面において健全な状態にすることを目標として、1987年から活動しています。「日本の木材貿易と木材の大量消費が熱帯林をはじめとする世界の森林を脅かす一因である」との問題認識から、近年では主にインドネシア共和国と日本国内において、森林と木材貿易に関する調査を行い、調査結果や森林の減少・劣化を止めるために必要な政府、企業、市民の役割について報告書としてまとめ、公表しています。

代表的なプロジェクト

  • 事例の分類:天然林保全

プロジェクト名称

カンパール半島の伝統的生業を維持・発展させるためのエスニック集団のネットワーク形成

活動場所

インドネシア共和国リアウ州

プロジェクトの概要

インドネシアのスマトラ島中央部に位置するリアウ州では、1980年代から今日まで続く、紙パルプ向けの産業植林開発やアブラヤシ農園開発のため、急速に森林が減少しています(注1)。この地域の森林には、膨大な炭素量を抱える広大な泥炭湿地林(注2)が存在することから、地球のカーボンシンク(炭素の貯蔵庫)として、気候変動の緩和の観点から重要な森林となっています。また、スマトラトラやスマトラゾウなどの絶滅危惧動物やラミンなどの絶滅危惧種の樹木をはじめとする多様な固有動植物の生息地として、生物多様性の保全の観点からも重要な森林となっています。さらに、この森林は、同地に住んで伝統的な生活を営んできた先住民にとっては、漁や狩猟、農耕などを行う大切な生活の場でもあります。

写真:リアウ州、ケルムタン湿地帯における皆伐の様子
リアウ州、ケルムタン湿地帯における皆伐の様子

JATANは、これまで、リアウ州の森林を対象に、地元の紙パルプ産業や合板製造業に木材を供給するための天然林の伐採が、環境や地域社会へどのような影響を与えているかについて調査活動を続けてきました。この結果、リアウ州では、1982年から2007年までの15年間に、約400万ヘクタールに及ぶ森林が開発され、環境と地域社会へ大きな影響を及ぼしていることがわかりました。JATANでは、この開発による環境及び地域社会への影響を低減させることを目的に、先住民を含む地域住民による森林の保全、及び持続的な森林管理・利用の実現に向けた地域の組織化とエンパワーメントのための支援活動に取り組んでいます。本プロジェクトは、現地NGO「PASA(Perkumpulan Alam Sumatera:スマトラ自然協会)」との共同プロジェクトで、2009年度から2年間の計画で実施しています。(2011年以降、本事業は現地NGO「Yayasan Mitra Insani:ミトラ・インサニ財団」との共同プロジェクトとなり、2014年以降は同団体に完全移行しています。)

インドネシアでは、国内のすべての森林は国の所有物と法律で規定されており、地域住民は長年慣習的に国有林を利用し続けていますが、法的には利用権も所有権も与えられていませんでした。このため、住民が慣習的に利用している森林において、国から企業に伐採事業権が与えられることがあり、企業と住民との間で、協議などによる調整がなされていないことによる、土地を巡ってのあつれきが生じる事例が多発しています。このような場合、地域住民側が法的な権利を持っていないため、森林に依存したこれまでの生活を変えざるを得ない状況となる例もありました。

写真:リアウ州、インドラギリ・フル県林業局とのミーティング
リアウ州、インドラギリ・フル県林業局とのミーティング

このような状況に対し、JATANは、地元住民が慣習的に生活の場としていた森林を利用し続けていくことができるように、地域住民による持続的な森林管理を政府に申請することで、地域住民の森林管理と利用の法的な権利が明文化される「村落林」への登録支援を、リアウ州内の地域住民に対し行っています。この村落林制度は、地域住民の森林保全への参加と権利の明確化を目的に、1999年の森林法の改正により定められた制度です。村落林として登録すると、その森林については国から企業に伐採権が与えられることはなくなり、開発の対象地となることはありません。

写真:ルブック・ベリンギン村「村落林」へのスタディーツアー
ルブック・ベリンギン村「村落林」へのスタディーツアー

具体的には、対象地で森林に生活を依存してきた村の間のネットワークを形成するとともに、村落林の登録に必要な森林や土地の権利に関する法制度の理解を助けるためのセミナーの開催や、村落林登録の先進事例の見学を現地住民に対して実施しています。住民が森林を自主的に利用・管理する権利を得る村落林の登録拡大は、結果として企業による森林開発を抑止するため、熱帯林の保全に寄与することができるとJATANでは考えています。長期的には、地域住民同士のネットワークを構築・拡大し、リアウ州での事例をモデルとして、同様の問題に直面している他の地域においても、村落林の登録を進めていくことを目指しています。

プロジェクトの特徴

このプロジェクトの特徴は、1999年に制度が導入されて以降、インドネシア全体でまだ数例しかない村落林登録制度を活用して、地域住民の森林管理と利用の権利を明確化し、地域住民の生活を守ると同時に、同地の森林を守っていこうとしている点です。また、共通の問題を抱える村同士をネットワークで結び、法律の知識や経験を共有して協力関係を広げることによって、同制度の活用を広げようとしていることも特徴となっています。

写真:インドネシア最初の「村落林」登録、ジャンビ州、ルブック・ベリンギン村でのワークショップ
インドネシア最初の「村落林」登録、ジャンビ州、ルブック・ベリンギン村でのワークショップ

森林保全活動のこれまでの実績

  • 熱帯材合板の生産に関する調査(2007年)
    インドネシアにおける合板生産に伴う森林破壊に関する調査を実施。同国産の合板を利用する日本企業への提言として「インドネシア合板と違法伐採」をまとめています。
  • 製紙用伐採と紙流通に関する調査(2008年)
    インドネシア、オーストラリア連邦(タスマニア州)における製紙用の森林伐採の実情について調査し、一般消費者に対してインドネシアとタスマニアの森林の現状を紹介するとともに、紙の消費と森林保全に関する意識を啓発することを目的として、「紙製品の購入と利用のてびき」を作成しました。

(2017年3月更新)

注釈

  • 1)WWFインドネシアによると、リアウ州の森林減少率は年11%に達する。詳細は、WWFインドネシア・北海道大学・Remote Sensing Solutionsによる共同報告書『「スマトラ島の自然林破壊が地球温暖化と種の絶滅を促進:WWF』,2008
  • 2)土壌が冠水しているため、植物が分解されず長い年月をかけて堆積してできた泥炭湿地に存在する森林のこと。開発に伴う排水により土壌が乾燥することで、蓄積されていた炭素の分解が進み二酸化炭素として大気中に放出される。

NGO/NPOによる森林保全活動の事例一覧

公益財団法人イオン環境財団
カンボジア植樹
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特定非営利活動法人 アジア植林友好協会
バリ島 水源涵養林再生植林プロジェクト
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気候変動への適応策としてのアグロフォレストリープロジェクト
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国際環境NGO FoE Japan(2)
インドネシアでのマングローブ再生プロジェクト
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特定非営利活動法人 環境修復保全機構
タイ北部の荒廃地における環境修復に向けた植林プロジェクト
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公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
スマトラ島テッソ・ニロ ブキ・ティガプル ランドスケープの森林保全
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特定非営利活動法人 地球緑化センター
緑の親善大使
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熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
インドネシアにおけるコミュニティ・フォレスト支援プロジェクト
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特定非営利活動法人HANDS
アマゾン西部におけるアグロフォレストリー普及活動
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特定非営利活動法人 緑のサヘル
バム湖周辺地域開発プロジェクト
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認定特定非営利活動法人 緑の地球ネットワーク(GEN)
中国での砂漠緑化:地球環境林プロジェクト
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特定非営利活動法人 緑化ネットワーク
中国内モンゴルにおける砂漠緑化活動
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特定非営利活動法人 Link・森と水と人をつなぐ会
北タイの森を守る人を支えるプロジェクト
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海外の事例:バードライフ・インターナショナル(BirdLife International)
インドネシアにおける熱帯林再生プロジェクト
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