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フォレスト パートナーシップ プラットフォーム > 事例とデータベース > NGO/NPOによる森林保全活動の事例 > 特定非営利活動法人HANDS

事例とデータベース

特定非営利活動法人HANDS

所在地:
〒151-0063 渋谷区富ヶ谷2-41-12 富ヶ谷小川ビル2階
問合せ先:
E-Mail:info@hands.or.jp

団体概要

HANDSは保健医療の国際協力に取り組む団体で、アフリカ、アジア、中南米の8カ国で活動しています。「保健医療の仕組みづくりと人づくりを通じて、世界の人びとが自らの健康を守ることができる社会を実現する」ことを使命とし、現在は、母子保健、看護師・助産師研修、小中学校での保健教育や、若年妊娠の減少への取り組みなど、さまざまな活動を展開しています。途上国では保健医療サービスが受けられずに亡くなる子どもが、まだ多く存在します。HANDSは、どこでも誰でも公平に保健医療サービスを受けられるよう、行政、地域の保健施設、地域住民とともに、問題解決に取り組んでいます。

代表的なプロジェクト

  • 事例の分類:植林
  • 事例の分類:天然林保全

プロジェクト名称

アマゾン西部におけるアグロフォレストリー普及活動

活動場所

ブラジル連邦共和国

プロジェクトの概要

マニコレ市は、ブラジル西部アマゾン川流域の森林地帯の中に位置し、人口の3分の2は川沿いに点在する村で生活しています。遠隔地のため医療サービスを受けにくく、上下水道などのインフラも不足しているため、感染症や寄生虫が多いほか、栄養不良や高血圧、糖尿病など食生活に起因する問題も多くみられました。HANDSでは、2001年から、地域の保健ワーカーと共に保健活動を続けてきましたが、地域の貧困という問題が大きな障害であったため、収入向上と保健の向上、さらに地域の環境保全も同時に進める手段として、2007年からアグロフォレストリーに取り組み始めました。

マニコレの焼畑
マニコレの焼畑

アグロフォレストリーとは、材木となる用材種、果樹、野菜などを組み合わせて育てることで、持続可能な土地利用と短期・中期・長期での持続的な収入確保を目的とした農法です。これまでマニコレでは、焼畑でのキャッサバ芋の単一栽培に頼っていましたが、アグロフォレストリーによる食料生産の多様化・収量増加により、栄養状態の改善と、収入向上につながることが期待されています。
具体的には、アグロフォレストリーの先進地といわれるアマゾン東部のトメアス総合農業協同組合への視察や農民研修、トメアスの専門家をマニコレへ招聘しての普及啓発セミナー、研修生へのフォローアップと実地指導などを通じて、アグロフォレストリーの技術を導入するとともに、試験的な栽培と実践する農民との意見交換を通じて、マニコレの土地や文化に合った方法を模索しています。

トメアスでの研修(苗の接ぎ木)
トメアスでの研修(苗の接ぎ木)

これまでにトメアス市/マナウス市カカオ院への派遣研修に37名が参加し、2009年9月からは毎月約20村を訪問して農業指導を継続しています。それらの研修や継続的な技術指導参加者により、22村でアグロフォレストリー導入が進められています。

トメアスの日系農家と研修生
トメアスの日系農家と研修生

プロジェクトの特徴

このプロジェクトの特徴は、保健医療に取り組む団体が、活動地の貧困や栄養問題、人口流出といった問題に直面し、必要に迫られてアグロフォレストリーを始めたプロジェクトであるという点です。
マニコレの遠隔地域における主な生業は農業ですが、焼畑によるキャッサバの単一作物栽培が中心で、経済性、持続性の両面において課題があり、村人が「農業では誇りを持って生きられない」「村では将来に希望を感じられない」という状況でした。都市への人口流出が増加すると、住民の移転により無人化した土地には木材伐採業者や牧畜業者が入植し、焼畑と並んで森林破壊の一因ともなってしまいます。

HANDSでは、「健康に暮らす」ことは体の健康だけではなく、その土地で将来への希望を持つことで初めて健康に生きていくことができると考え、「健康で持続的な農村開発」の柱にアグロフォレストリーを位置付けました。
しかし、農民はほとんど貯蓄を持たず、農業の失敗は死活問題となることもあり、農民がアグロフォレストリーのような新しい技術を受け入れるには時間がかかります。農民の理解と信頼を獲得しながら、プロジェクトを進めるためには、農民が実践例を確認できるモデル農場の設置が有効だと考えられました。

マニコレに新しく作られた苗畑
マニコレに新しく作られた苗畑

そこで、(独)環境再生保全機構の地球環境基金やJICA草の根プロジェクトなどを活用し、アグロフォレストリーに加え自給用の畑で野菜などを栽培し、飲料水やトイレの問題を改善する、モデル農家を育成していこうとしています。これまで活動を共にしてきた現地の保健ワーカーは、村の世話役的な兼業農家でもあることが多く、持続可能な農業の普及と健康的な生活/食習慣の普及の両面で協力しながら活動を進めています。
また今後、この地域でアグロフォレストリーが普及していくためには、市場の確保や加工・流通が課題となります。マニコレには、トメアスのような加工冷凍工場がないため、当面はマニコレ市内で収穫物の販売を進めるほか、乾燥保存が可能なカカオの発酵技術を普及するため、カカオ中心のアグロフォレストリー指導員の育成を行う予定です。将来的には加工場の建設も必要と考えています。

トメアスでの研修(カカオの発酵)
トメアスでの研修(カカオの発酵)

現在このプロジェクトはまだ動き始めたばかりで、技術研修や普及啓発の段階で、将来的な課題も少なくありません。しかし、従来の農業では将来への展望が開けず、村を離れることを検討していた農民が、研修を受けて村でアグロフォレストリーを続けていく意欲を持つなど、この地域でのアグロフォレストリー普及には、住民の生活の安定の上で大きな意義があります。
またアマゾン流域の森林地帯の中で、焼畑や、外部の業者による木材伐採、牧場といった森林減少の要因となる業態に代わって、アグロフォレストリーという森林への負荷が少ない持続可能な農業が広まることは、「地球の肺」とも呼ばれる貴重なブラジルの熱帯林を守っていく上でも重要な取り組みであると言えるでしょう。

※本プロジェクトは2015年6月をもってローカルNGOに移譲し、HANDSとしての活動は終了しています。

(2017年3月更新)

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