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フォレスト パートナーシップ プラットフォーム > 事例とデータベース > NGO/NPOによる森林保全活動の事例 > 特定非営利活動法人 緑化ネットワーク

事例とデータベース

特定非営利活動法人 緑化ネットワーク

所在地:
〒221-0834 横浜市神奈川区台町8-14ベイシティ滝川502
問合せ先:
Tel.:045-328-3135
FAX:045-328-3135
URL:http://www.green-network.org/gn/
E-Mail:ryokuka@green-network.org

団体概要

緑化ネットワーク(以下、緑化ネット)は、主に中国の砂漠化した場所の緑化を目的として2000年に設立されました。「緑化ネットワーク」という名称には、緑の点を線でつなぎ、さらに面に拡大するという意味と、生き物が存在する基盤である緑地をつくり守る活動を通じて、経済価値偏重の人対自然、人対人という関係を改め、新しい関わり方(ネットワーク)を構築したいという思いが込められています。2004年からは、中国の砂漠の緑化だけでなく、日本の荒廃・疲弊している森林の問題にも取り組むため、国内の森林整備や里山保全活動も開始しました。

代表的なプロジェクト

  • 事例の分類:植林

プロジェクト名称

砂漠緑化活動

活動場所

中国内蒙古自治区・ホルチン砂漠

プロジェクトの概要

緑化ネットワークは、中国内蒙古自治区のホルチン砂漠で、砂漠化した土地の緑化モデルをつくり、それを広めるための活動を2000年から展開しています。対象地では、もともと住民の多くが飼料用のトウモロコシを栽培しながらウシやヤギ、ヒツジを放牧する半農半牧の生活をしていました。しかし、1950年代以降、人口は約4倍、小家畜(ヤギ、ヒツジ)は約300倍にも増え、無秩序な放牧や開墾が拡大しました。以前は「ホルチン草原」と呼ばれ、豊かな草原が広がっていた地域は、砂漠化の進行により今では「ホルチン砂漠」と呼ばれるようになり、農牧業の生産性が低下、砂塵被害も増大し、オオカミやキツネなどの野生動物もいなくなってしまいました。

写真:緑化活動以前、砂漠化が進行
緑化活動以前、砂漠化が進行

写真:ヤギの放牧
ヤギの放牧

ホルチン砂漠は日本から一番近い砂漠で、日本にも黄砂の増加といった影響をもたらしています。緑化ネットが活動候補地を検討していた時、この地域は既に砂漠化の激甚地区の一つに指定されていました。しかし、砂漠化が進んでからの年数が浅い地域であることから、適切な緑化を施し、無秩序な放牧や開墾を改めることができれば、もとの草原の生態系を回復することも可能であると考え、この地域を緑化活動の対象地に選定しました。

写真:バケツリレーで潅水
バケツリレーで潅水

写真:柵を敷設する現地スタッフ
柵を敷設する現地スタッフ

対象地の面積は、全体で4万ヘクタールに及ぶホルチン砂漠のうち、現地政府や住民との協力体制が築けた2,377ヘクタールで、ここにはモンゴル族を中心に約5,000人が居住しています。低地には防風防砂に有効な早生樹であるポプラやマツに加え、在来種のニレ、カエデ、ナラなどを植え、水分条件が悪く樹木の育ちにくい高地には、砂地の被覆のために草や灌木を植えています。植林木への家畜の食害を抑えるための柵を併せて設置しましたが、その総延長は600kmにも及んでいます。現地には6人のスタッフがいますが、人の手で1本ずつ木を植え、柵を設置、管理しているため、農閑期にはパートタイム・スタッフを数百人雇用して活動しています。

このプロジェクトが成果を上げている最大の理由は、現地政府や住民との信頼関係が築けたことだと同団体は考えています。信頼関係がないと、物理的に緑化を進めても、緑化した場所が放牧対象地になるなど、すぐに灰燼に帰す可能性があるからです。初期に緑化した場所では、プロジェクトを開始する前には0?10%だった植被率が、今では85?90%に上がり、プロジェクト対象地周辺の畑では降る砂も減ってきました。かつて生息していた野生のキジやキツネも、今では少しずつ戻ってきています。

写真:松の苗木を植える緑化隊
松の苗木を植える緑化隊

植林以外にも、砂漠化の原因となっている牧畜による草地への負荷を下げるため、牧畜に替わる代替収入源を確保するための取り組みも進めています。現在は、現地で主に植えられている飼料用トウモロコシから、より収益性の高い食用スイートコーンへの転換などを行い、農業収入の増加を目指しています。住民がその結果を目で見て納得してから取り組めるように、日本のスタッフによる現地での実証実験や日本への見学会も実施しています。また、一般の人びとに砂漠化の問題を実際の体験を通じて理解してもらうことを目的に、中国の都市住民や日本から毎年約300人のボランティアを「緑化隊」として募り、植林体験ツアーを開催しています。

プロジェクトの特徴

このプロジェクトの特徴は、砂漠化が進んだ厳しい環境条件のもとでも、地域住民が持続的に取り組めるような緑化プロジェクトを目指している点です。

写真:植林1年後
植林1年後

写真:植林9年後
植林9年後

対象地では、年間降水量が400ミリと大変少なく、疎林草原という、サバンナのような状態が生態的に自然な状態だと言われています。「植林」というと、日本の森のように「こんもりと茂った森」を再生することをイメージする人びとが地元でも多いのですが、日本と同じような密度で植林を行っても、植物量が多すぎてかえって土地の水分が失われ、結果的に緑化が遅れてしまいます。また、在来種を用いた植林が本来は望ましいのですが、一度砂漠化が進んだ地域においては、最初は強風と砂の移動を防ぐために、ポプラやマツといった樹高の高いものや早生樹を活用することが緑化を効率的に進めるためには必要となります。このため、緑化ネットでは、地域の環境に適した緑化技術を用いること(植栽密度を適切に保ち、防風防砂には早生樹を用いる)、在来植生を回復させること、経済性の三つの観点から緑化を行っています。

また、最終的に現地の住民や行政によって、緑化プロジェクトが自立的に維持・管理され、緑化ネットが現地での役割を終えられるよう、当初は緑化ネットの職員が行っていたプロジェクト・リーダー等の役職を、徐々に地元住民にバトンタッチしてきました。また灌水ひとつとっても、日本製ポンプは高性能なのですが、壊れると現地で修理できないという難点があるため、地元で部品が手に入り修理も可能な現地製のポンプを使うというように、なるべく現地の知恵や技術を採用して、取り組みの持続可能性を高めるようにしています。

今後の課題は、緑化した土地の有効活用により、土地からの収益を増加させて住民の生活を安定させることです。このため、樹木の間で栽培しているマメ科の牧草、サダワンの増産、漢方薬になるカンゾウや果樹のアンズといった林産物の生産や、家畜が植林木を食べないようにするために畜舎飼いを導入すること、植栽した木の間伐材の活用を行うことが予定されています。

(2017年3月更新)

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