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事例とデータベース

海外の事例:バードライフ・インターナショナル(BirdLife International)

所在地:
Wellbrook Court, Girton Road, Cambridge CB3 0NA,UK
問合せ先:
Tel.:+44 (0)1223 277 318
FAX:+44 (0)1223 277 200
URL:http://www.birdlife.org
E-Mail:birdlife@birdlife.org

団体概要

バードライフ・インターナショナル(以下、バードライフ)は、その地域の生態系における食物連鎖の頂点に立つ鳥類を指標にしながら、その生息環境(森林、湿地、草原等)の保護を行うことを目的に活動する国際環境NGOです。1992年に発足し、世界100ヵ国以上にカウンターパートとなる現地NGOを持っており、調査研究から保全活動、企業とのパートナーシップまで幅広い活動を行っています。

森林保全に関する考え方

バードライフは、鳥類等の生息地である小面積の保護区を対象に、これまでは小規模な保全活動チームが分散して活動するスタイルをとってきました。しかし、現在の森林保全活動は、「生物多様性」「気候変動」「地域住民の生活」という側面からのアプローチが主流になってきていること、また、保護・保全すべき森林をすべて国立公園などの保護地域に設定することは困難なことから、トラストや持続可能な森林管理の導入などによる、大規模で多様な森林保全の形態が求められるようになってきています。

こうした状況を踏まえ、バードライフでは、従来型の「資金源を得てサイトごとに行う小規模な森林保全活動」だけではなく、「生態系サービスへの支払い(PES:Payment for Ecosystem Service)(注1)などの市場ベースのアプローチから生まれる資金による、より大規模な森林保全活動」も現在進めています。

代表的なプロジェクト

  • 事例の分類:天然林保全
  • 事例の分類:植林

プロジェクト名称

ハラパン熱帯林再生プロジェクト

活動場所

インドネシア共和国スマトラ島ジャンビ州、南スマトラ州

プロジェクトの概要

インドネシア・スマトラ島南部のハラパンにおいて、バードライフが、イギリスに本部を置く自然保護団体「The Royal Society for the Protection of Birds(RSPB)」と、インドネシアにおけるバードライフのパートナー団体である「ブルング・インドネシア(Burung Indonesia)」)と共同で、商業伐採跡地に生じた二次林(注2)10万ヘクタールを従来の生態系にまで回復させることを目的に行っているプロジェクトです。この活動においては、同国の伐採を伴わない生態系再生コンセッション(注3)(ERC:Ecosystem Restoration Concession)制度を活用して行っています。ハラパンはERC指定地第1号となっています。

同地にて行う本プロジェクトの現場における実務活動は、バードライフ・コンソーシアムが設立したNGO「ハラパン・レインフォレスト」が担当し、以下の事業を行っています。

  • 森林保護事業:違法伐採などを監視するための森林パトロール
  • 森林回復事業:森林再生のための苗木づくり、植林、植林後の管理
  • コミュニティ開発事業:プロジェクト区域内の先住民族を対象に移動学校の設立・運営、地方病院の医師による定期的な診察・治療の提供、アグロフォレストリー導入等による地域住民の経済的自立の確保
  • 調査・保全事業:保全事業を行うための基礎情報となる絶滅危惧種の個体数のモニタリング等

本プロジェクトは、ドイツ開発銀行やイギリスの海外開発機関などの公的機関、シンガポール航空(3億ドル)から資金提供を受けています。

ERC制度ではインドネシア政府とのコンセッション契約が長期(ハラパンの場合100年)に及ぶため、その活動資金を継続的にどう確保していくかが大きな課題となっています。この対策として、バードライフは、炭素取引を想定したファンドの設立を検討しています。ファンドの設立・運用が成功すれば、プロジェクトの管理・運営費が持続的にまかなえると同時に、資金を提供する企業にとっても、気候変動の要素を取り入れた森林保全に貢献できるとともに、炭素クレジットの入手が可能となるなどのメリットがあります。

写真:インドネシアの熱帯林再生プロジェクト「ハラパン」は、バードライフが大規模な森林保全の新しいモデルケースとして取り組んでいる事例 写真提供:地球・人間環境フォーラム
インドネシアの熱帯林再生プロジェクト「ハラパン」は、バードライフが大規模な森林保全の新しいモデルケースとして取り組んでいる事例 写真提供:地球・人間環境フォーラム

プロジェクトの特徴

本プロジェクトの特徴は、インドネシア政府が策定した新たな法制度であるERCを活用していること、検討段階ではあるものの炭素取引を想定したファンドの設立により資金を集めようとしていることの2点にあります。バードライフでは、この2つを新たな森林保全の形態・手法として、ハラパンで試験的に試した上で、世界各地の森林保全にも適用していきたいと考えています。

プロジェクトの詳細についてはこちら

その他の森林保全活動

  • グローバル森林政策プロジェクト(2001年~現在)
    各国のカウンターパート団体が行う、違法伐採対策等に関する各国政府の森林政策への提言活動に対し、最長で2年間、1万UKポンドの助成を行っています。2002年にはケニア、ナイジェリア、パラウ、シエラレオネ、2003年にはケニア、シエラレオネ、インドネシアの提言活動に対して助成を行いました。
  • フォレスト・オブ・ホープ(2009年~現在)
    生物多様性の保護と地球温暖化の防止を視野に入れ、現存する熱帯雨林を保全するべく、2015年までに20ヵ所、合計500万ヘクタールの「生物多様性保全にも気候変動対策にも寄与するサイト」を特定する国際プログラムです。熱帯林再生プロジェクトが行われているインドネシアのハラパンも、このプログラムで特定されたサイトの一つです。

パートナーシップに関する考え方

世界各国の現地NGOと密接な関係を持つバードライフのネットワークは、自然保護や生物多様性保全に関心を持つ多くの企業にとって、現場の情報を豊富に持っているという点において魅力的なものとなっています。このため、バードライフと関係を持つ現地NGOが存在する地域において、特に採掘や開発事業を行う企業から、事業のリスク・マネジメントの一環としてパートナーシップを持ちかけられることが最近では多くなっています。こうした流れを受け、近年では個別プロジェクトごとの連携だけではなく、環境・生物多様性に関わる企業全体の方針策定等へのアドバイスを行うといった形での連携も増えています。

パートナーシップ成立のための要件として、連携する企業と互いの目的・利害が一致することはもちろん重要ですが、パートナーシップの確立には時間を要するため、特にコミュニケーションがうまくいくように双方が努力することも重要であると、同団体では考えています。また、相手企業が本業における環境面での負荷低減や改善を真に望んでいるかも重要な要素であると考えています。

なお、同団体では、これまでは内部文書扱いとしていた企業とのパートナーシップに関する方針の公表に向け、現在、準備が進められています。

バードライフの企業とのパートナーシップについては、こちら

パートナーシップの取り組み

  • リオ・ティント社(注4)と、マダガスカル南部の低地林保全プロジェクトなど、世界各地で20近くの協働プロジェクトを行っています。
    バードライフとリオ・ティント社のパートナーシップについてはこちら
  • セメックス(CEMEX)(注5)と2007年12月に10年を期間とするパートナーシップを結び、セメント製造を中心とする同社の事業における環境負荷の低減のための企業戦略・方針に対しアドバイスを提供しています。この他、同社とは、アイルランド、ドイツ、コスタリカをはじめ世界中の事業サイトで、環境負荷の低減プロジェクトや、環境負荷への代償として行うプロジェクトと組み合わせた生態系保全プロジェクトを実施しています。
  • トヨタ自動車株式会社と2016年より5年間のパートナーシップを締結しました。バードライフのパートナー団体に対し、5年間で10台の車両をトヨタ自動車よりご提供いただき、レッドリストに掲載される絶滅危惧種やその生息地の保全活動を支援します。
    トヨタ自動車とのパートナーシップについてはこちら

(2017年3月更新)

注釈

  • 1)生態系サービスの恩恵を受けている人びと(受益者)が、サービスの内容や規模に応じた対価を支払う仕組み(林希一郎、生物多様性・生態系と経済の基礎知識、2010)
  • 2)伐採や風水害、山火事などにより森林が破壊された跡に、土中に残った種子や植物体の生長などにより成立した森林。
  • 3)コンセッションとは、東南アジア等においては、国家や州政府が民間企業に与える国有林や州有林の伐採権(井上真他、森林の百科、2003)を指すが、ERCにおいては伐採を伴わない森林の使用権となっている。
  • 4)イギリスとオーストラリアの2カ国に本社を置く、鉱物・エネルギー資源の採掘を主な事業とする多国籍企業。50カ国、110で鉱山・エネルギー開発事業を展開している。
  • 5)メキシコに本社を置くセメント会社。ホルシム、ラファージュなどと並び、世界のセメントメジャーの一つに数えられており、世界50カ国以上で事業を展開している。

NGO/NPOによる森林保全活動の事例一覧

公益財団法人イオン環境財団
カンボジア植樹
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特定非営利活動法人 アジア植林友好協会
バリ島 水源涵養林再生植林プロジェクト
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国際環境NGO FoE Japan(1)
気候変動への適応策としてのアグロフォレストリープロジェクト
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国際環境NGO FoE Japan(2)
インドネシアでのマングローブ再生プロジェクト
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特定非営利活動法人 環境修復保全機構
タイ北部の荒廃地における環境修復に向けた植林プロジェクト
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公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
スマトラ島テッソ・ニロ ブキ・ティガプル ランドスケープの森林保全
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特定非営利活動法人 地球緑化センター
緑の親善大使
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熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
インドネシアにおけるコミュニティ・フォレスト支援プロジェクト
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特定非営利活動法人HANDS
アマゾン西部におけるアグロフォレストリー普及活動
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特定非営利活動法人 緑のサヘル
バム湖周辺地域開発プロジェクト
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認定特定非営利活動法人 緑の地球ネットワーク(GEN)
中国での砂漠緑化:地球環境林プロジェクト
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特定非営利活動法人 緑化ネットワーク
中国内モンゴルにおける砂漠緑化活動
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特定非営利活動法人 Link・森と水と人をつなぐ会
北タイの森を守る人を支えるプロジェクト
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海外の事例:バードライフ・インターナショナル(BirdLife International)
インドネシアにおける熱帯林再生プロジェクト
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