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事例とデータベース

三井住友海上火災保険株式会社

所在地:
〒104-0033 東京都中央区新川2-27-2
問合せ先:
総務部 地球環境・社会貢献室
Tel.:03-5117-0202
URL:http://www.ms-ins.com/
E-Mail:kankyokoken@ms-ins.net

企業・CSR概要

三井住友海上火災保険株式会社は、2001年に三井海上火災保険株式会社と住友海上火災保険株式会社が合併して誕生した、グローバルな保険・金融サービス事業を展開している企業です。同社は、その行動憲章の中において、社会的責任として「地域社会や国際社会への貢献とともに、地球環境の保全と改善」に取り組むことを謳っています。この憲章の下、スポーツ振興や事業活動を通じた交通安全・事故防止といった、企業体としての活動のほか、社員等によるボランティアを支える休暇制度や、寄付行為へのマッチングギフト制度(注1)など、社員等による主体的な社会貢献活動の支援なども行っています。

環境面での活動としては、事業活動が及ぼす地球環境への影響を理解し、環境負荷を低減する活動に取り組んでいるほか、森林保全活動や都心の自社ビルの敷地・屋上の緑化等を行っています。また、特に生物多様性保全を重視し、生物多様性保全をテーマにしたシンポジウムの定期的な開催などの活動を行っているほか、企業全体の生物多様性の保全に対する取り組みのレベルアップを目指して、企業ネットワークである「企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)(注2)にも参加しています。

代表的なプロジェクト

  • 事例の分類:植林

プロジェクト名称

ジョグジャカルタ特別州パリヤン野生動物保護林の修復と再生

活動場所

インドネシア共和国ジョグジャカルタ特別州

プロジェクトの概要

森林の減少・劣化が世界的な問題となっている中、インドネシアにおいても熱帯林の減少・劣化が大きな問題となっていました。同国のジャワ島のパリヤン野生動物保護林でも、周辺住民による森林利用や乾季の激しい乾燥等が原因となって熱帯林の草地化や裸地化、疎林化などの劣化や荒廃が進み、一部は農地化していました。

植林開始前のパリヤン(2005年10月)
植林開始前のパリヤン(2005年10月)

インドネシア環境林業省は、この場所を元の熱帯林に再生すべく森林再生プロジェクトを開始し、対象地の一部(約60ヘクタール)において植林を行っていましたが、残りの面積を再生する費用が不足していたことから協力者を求めていました。一方同社では、紙の消費量が年間9,000トンにのぼることから、「使った分を地球に戻す」ことが企業としての責任であると考えていました。このため、インドネシア環境林業省の要請に応え、保護林内において同社の考えを反映した森林再生プロジェクトを開始することとしました。プロジェクトの実施に当たっては、農地化した場所へ植林を行うため、また新たな農地化を防ぐため、地元住民の代替収入源を確保する必要があったことから、アグロフォレストリー(注3)を行うこととし、以下の3点(注4)を直接的な目的として実施することとしました。

  1. 劣化した野生動物保護林の修復と再生
  2. ジャワ島の在来種による熱帯林の造成
  3. 果樹の植林などによる、長期的な地域経済への貢献

このプロジェクトは、インドネシアにおいて育苗や植栽などの林業・森林再生技術を有する住友林業、及び事業の影響と効果に関して学術面から検討を行うインドネシアのガジャマダ大学、三井住友海上火災保険(株)との3者とインドネシア環境林業省の協働により実施しており、2005年から2011年までの6年間に350ヘクタールに対し30万本の植林を完了しました。

2016年1月時点での再生状況
2016年1月時点での再生状況

プロジェクトの特徴

このプロジェクトの特徴は、在来樹種を中心に植林して自然に近い形で森林生態系を回復させつつ、農作物や果樹といった地元の住民が収入を得られるものを同時に植栽するアグロフォレストリー方式をとっていることです。

プロジェクト対象地は、野生動物保護林内なのですが、プロジェクト開始時においては、森林が草地化、裸地化し、また疎林化していた場所だけでなく、住民により農地へ転換されて利用されていた場所も含まれていたため、森林再生プロジェクトを進めるに当たっては、この土地で耕作していた住民の代替収入源を確保する必要がありました。このため、本プロジェクトでは、植林後、苗木が小さい2、3年の間は植林地での農業により収益を確保し、その後、植林した樹木が大きくなり、植林地で農業を行うことが難しくなるころには、植林した果樹からの収益が得られるように考えられています。

プロジェクト開始から4年目
プロジェクト開始から4年目

また、このプロジェクトは、目的を達成しているか否かを科学的に検証するためのモニタリングの仕組みを有していることも大きな特徴となっています。プロジェクトの目的である保護林の修復と再生について、ガジャマダ大学に依頼し、生物多様性を指標にしてモニタリングと評価を行っています。樹木の生育状況、鳥類及び昆虫(チョウとアリ)の構成と多様性を森林の成熟度を測る指標としてモニタリングを行っています。モニタリングの結果、植林した地域では、4年間でチョウが5種から14種に増加したほか、アリの種数も増加しています。鳥類に関してはまだ大きな変化は見られませんが、植林していない地域より確実に種類が増えていました。評価結果では、現在は森林の生長とともに徐々に生態系が回復していく過程にあると評価されています。

2009年の調査で確認されたチョウ
2009年の調査で確認されたチョウ

プロジェクト対象地であるパリヤン野生動物保護区の第一の目的は、オナガザル(カニクイザル)の生息地としての保全となっています。一方、保護区周辺住民の農地保有面積は少なく、また就業機会も少ないため、保護区内を耕作することへの関心が非常に高いことがこれまでの調査の結果わかりました。実際、農作物をカニクイザルに荒らされることを危惧した住民が、保護区内の耕作地においてサルを追い払う例があるため、現在、保護区の目的と住民の生活とのバランスをとることがプロジェクトの大きな課題となっていました。

オナガザルの生息も確認
オナガザルの生息も確認

このように、プロジェクト対象地の森林を修復・再生し、持続的に保全していくためには、住民の経済的な課題に取り組むことが重要であることから、今後はアグロフォレストリーによるものだけでなく、その他の農地での生産性向上、販売支援等からの収益の向上及び安定のための研究・実験も進めていくこととし、2012年度より第II期の取組を開始しました。

第II期以降の取組(2012年度?)

農業技術指導の実施

2011年度からは、再生した森林を永続的に保護するため、地元住民の経済的自立を目的とした農業技術指導を行い、森林の再生と持続可能な地域社会の形成に取り組んでいます。農業技術指導の参加農民による協同組合も設立され、2015年2月に県知事から正式な認可を取得しました。また、2014年4月にはインドネシアの国会議員団、2015年5月にはジョグジャカルタ特別州知事の訪問を受けるなど、森林修復の見本となる取り組みとして高い評価を得ています。

農業技術指導の様子
農業技術指導の様子

地元の小学校の先生を対象とした環境教育プログラムの実施

植林した木を守るため、2008年度から地元小学生を対象に環境教育を行ってきました。2011年度からは、対象を小学校の先生に変更し、より多くの生徒に森林の大切さを伝えています。

第III期の取組について

2016年4月にプロジェクトの第III期がスタートし、周辺地域住民への植林・育林指導を行うなど地域経済の活性化と環境教育等により、「森林の再生と持続可能な地域社会の形成」を進めています。

(2017年3月更新)

注釈

  • 1)社員や社内サークルなどがNPO等への寄付・助成を行う際、集まった寄付・助成額に対し会社が一定額を上乗せする制度。
  • 2)Japan Business Initiative for Biodiversity:生物多様性の保全を目指して積極的に活動する企業の集まり。2016年12月現在、35社が正会員として参加している。
  • 3)樹木を植栽し、樹間で家畜・農作物を飼育・栽培する農林業のこと。農林複合経営、混農林業、森林農業とも言われる。
  • 4)三井住友海上ホームページ、インドネシア熱帯林再生プロジェクトより引用。

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