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森林保全の制度

FSC

制度名:FSC
(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)

設立の経緯

80年代から深刻化していた世界の森林破壊を懸念する木材業界、貿易業者、環境や人権などの市民グループが、責任ある林産物供給地となる適切な経営がされた森林を識別するためのシステムの必要性について議論してきました。1990年、世界全体の合意で作る、より良い森林経営のあり方をベースとした認証システムの構想をまとめ、Forest Stewardship Council(FSC:森林管理協議会)と名付けました。1992年の地球サミットにおいて、あらゆる森林タイプに対応した世界的な森林認証、認定システムの必要性について議論されましたが、民間主導でこれをいち早く実現するため、FSCが1993年にカナダ トロントで設立されました。


FSCのロゴが付いた製品など

制度の概要

数ある森林認証の中でも先駆的な制度として知られるFSCは、ラベリングによって、消費者が適切に経営された森林から生産された製品を識別できるようにサポートし、FSCの原則及び基準を適用している森林経営者の努力に還元できるようにデザインされています。開かれた会員制による民主的意思決定の手段を取り入れ、環境に適切で、社会に便益をもたらし、経済的に実現できる世界の森林管理を推進することを使命としています。国際的な制度ですが、森林管理の原則と基準を、国、地域レベルで地域の実情に即して規定するナショナルスタンダードを策定するプロセスがあります。

生産地の森林管理の認証であるFM認証と、加工・流通過程の管理の認証であるCoC(Chain of Custody)認証に分かれています。

認証の基準

環境・社会基準システムの国際的な協会であるISEAL(注1)に森林認証システムとして唯一認められた基準策定プロセスに基づいて、策定されます。(注2)2011年に行われた「原則及び基準」の改定案については、メンバー総投票を行いました。策定プロセスはホームページで公開され、草案などの開発途中の文書も公開されています。

新基準(FSC原則及び基準第5版)は2014年12月から施行予定で、重複している基準の整理、解釈にばらつきのあった基準を明確化する等の他、新たに炭素貯蓄の価値をHCV(High Conservation Value:高い保護価値)として認め、ジェンダーの公平性の確保を含めるなど、近年、国際社会で活発に議論されてきた課題に、FSCとしての対応を行っています。

FSC原則及び基準(第5版)

  • 原則1:法律の順守
  • 原則2:労働者の権利と雇用状態
  • 原則3:先住民の権利
  • 原則4:コミュニティーとの関係
  • 原則5:森林からの便益
  • 原則6:環境的価値と影響
  • 原則7:管理計画
  • 原則8:モニタリングと評価
  • 原則9:高い保護価値
  • 原則10:管理活動の実施

対象製品と実績

木材および木材以外の林産物も含まれます。認証林由来の原料のみで作ったFSC100%、管理木材と混ぜて作るFSCミックス、再生原料で作られるFSCリサイクルがあり、どの原料もFSCの基準に基づき、条件をクリアしたものだけが使われます。木材、木材製品、紙製品から、コルク、ゴム製品やしいたけ、木の実など様々な製品・生産物が市場に流通しています。

認証地は欧州、北米をはじめ、中南米、アジア、アフリカなど全世界にわたり、FM認証は80カ国、CoC認証は109カ国で取得が進んでいます(2012年12月現在)。最近では合板やMDF(中質繊維板)などの認証製品の供給量を増強し、需要過多の傾向を是正するために供給者側を激励するキャンペーンを欧州中心に展開するなど、各国のニーズに応じたキャンペーンやイベントが開催されています。

環境面に関する要件(注3)

FSCの原則6では、管理区域のエコシステムサービス、環境価値を維持、保全、回復し、環境への悪影響を回避、修復、緩和することが定められています。管理区域内及び区域外の施業による影響を受ける可能性のあるものについて環境価値のアセスメントが義務付けられています。人為的活動を行う時は必ずその影響を確認し、悪影響を回避することが求められます。また希少種、危惧種およびそれらの生息地は保全ゾーン、保護エリア、コリドーなどの設置を通じて保護しなければなりません。そして、元来の生態系及び回復地などの保護区サンプルをとり、モニタリングすることになっています。在来種や植生は効果的に維持し、生物多様性の消失を回避しなければなりません。管理区域内での野生生物の狩猟、漁業、捕獲、採集は効果的に管理、制御されなくてはなりません。また水域の保護も重視されており、自然水系の流れや連続性の確保、水質、水量への影響を回避することが求められています。森林経営者は、ランドスケープの管理による環境及び経済的価値の強化に努めなければならず、天然林をプランテーションや他の土地利用に転換することは禁止されています。FSCの大きな特徴ともいえる、「1994年11月以降に天然林から転換されたプランテーションを含む管理区域は原則、認証を取得できない」という94年ルールは、新たな原則・基準にも明記されています。

社会面に関する要件

FSCの原則2では、労働者の権利について定めており、ILO条約の順守の他、雇用条件や研修機会、契約締結、経営におけるジェンダー間の公平性の推進が含まれています。労働の健康安全の確保、賃金の保証、研修・監督の義務、また職業による病気、怪我などの損失、損害に対する補償メカニズムを持つことが定められています。

原則3において規定されている先住民族の権利に関しては、管理区域内にいる先住民族に対し、彼らの土地所有権、森林資源や生態系サービスの使用とアクセスに関する権利、慣習法、法的権利や義務などをまず確認することが要求されています。先住民族の権利、資源、土地、テリトリーを保護することが求められ、また彼らの権利に関わる森林施業を行う場合は必ずFPIC(十分な説明に基づく事前の自発的合意)が求められます。その際、事業者が先住民族への対応の基礎とするのは「先住民の権利に関する国連宣言(2007)及び、ILO条約169号です。先住民族の文化的、生態的、経済的、宗教的、精神的に重要な場所を確認し、彼らの合意の下で、保護しなければなりません。また彼らの知的所有権は補償することとなっています。つまり、彼らの伝統的な知識を施業活動に使用する場合にも、FPICに基づいて、相互合意を取り交わします。

原則4では、FSC認証が地域社会の社会的、経済的な福利の維持、強化に貢献することを前提として、先住民族の基準と同様に各種権利義務の確認、保護を行うことが要求されており、こちらも全てFPICに基づいて相互承認を取り交わすことを求めています。地域社会に雇用や研修、その他の機会を与えるよう努め、施業によって生じる社会、環境、経済面での悪影響を回避、緩和しなくてはなりません。また損失、損害の補償メカニズムを定めておく必要があります。地域社会にとって重要な場所や慣習的な権利は保護され、知的所有権も補償されなければなりません。管理区域内の社会的影響のモニタリング、評価を実施することも定められています。

原則9の高い保護価値(HCV)では、HCV5でコミュニティーのニーズ、HCV6で文化的価値が定義されており、これらを維持、強化するための効果的な戦略が作成・実施・評価されなくてはなりません。評価は、影響を受ける利害関係者や関心の高い利害関係者、専門家の関与を得ながら行うことが規定されています。

連絡先

FSC International Center GmbH
所在地:Charles de Gaulle Street 5, 53113 Bonn Germany
e-mail:fsc@fsc.org
URL:http://www.fsc.org

FSCジャパン ナショナルオフィス
所在地:東京都新宿区西新宿7-4-4-5F ハポン新宿
e-mail:info@forsta.or.jp

(2013年3月)

注釈

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