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里地里山と生物多様性

里山の環境学
武内和彦・鷲谷いづみ・恒川篤史[編] 装画 松村千鶴「里山の環境学」

里地里山は、農地、ため池、樹林地、草原など多様な自然環境を有する地域です。相対的に自然性の高い奥山自然地域と人間活動が集中する都市地域との中間に位置し、国土の約4割を占めるといわれています。里地里山の環境は、長い歴史の中でさまざまな人間の働きかけを通じて形成されたものです。

里地里山は、食料や木材など自然資源の供給、良好な景観形成、水源かん養や国土保全、身近な自然とのふれあいの場、文化の伝承などの観点からも重要な役割を果たしています。また、さまざまな動植物の生息・生育場所となり、日本列島の自然を豊かにする役割も担ってきました。里地里山の生物多様性がもたらすさまざまな恵みは、国民共有の財産です。

我が国の里地里山における生物多様性は、地域の自然を活かした農林業等の営みや人々の暮らし、都市住民や企業・学校など多様な主体も巻き込んだ取組などを通じて保たれてきたものであり、こうした地域の主体的な取組が重要な役割を担っています。

今回の選定がきっかけとなり、里地里山への理解の促進や、各地域での取組の促進・拡大につながり、豊かな里地里山が地域の宝として次世代に引き継がれていくことが望まれます。