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活動レポート

里なびミニシンポジウム&研修会 報告8
生物多様性を取り戻す里地・里山づくり
当別の里地里山が石狩低地帯の生物多様性を取り戻す核となる

日時 2008年3月20日(木・祝) 集合14:00 解散18:00
場所 北海道札幌市

 北海道での里なびミニシンポ&研修会は、当別で自然体験と環境教育のプログラム開発、実行を行っているNPO法人当別エコロジカルコミュニティー(TEC)とともに、水田地帯での生物多様性についてミニシンポジウムを行うとともに、当別でのるNPO法人当別エコロジカルコミュニティーによるこれまでの活動を踏まえた地域づくり計画の研修を行いました。

 ミニシンポジウムは、まず、NPO法人当別エコロジカルコミュニティーの山本幹彦さんが、当別の里地里山の現状、冬期湛水水田(ふゆみずたんぼ)のとりくみと、生きもの調べ、米作りを通じながら、地域の子ども達への環境教育を行っている内容などを講演しました。
 宮城県のNPO法人田んぼ理事長の岩渕成紀さんが、冬期湛水水田と土壌、水、物質循環と生きものの生態系の回復について話を行い、参加した農家とともに意見交換を行いました。

 研修会では、NPO法人当別エコロジカルコミュニティーの山本幹彦さんが当別川河口(石狩川との合流部)での自然再生事業について説明し、事業対象地の上流エリアとなる当別の水田・畑作地帯、および里山、集落の状況を説明した上で、地域計画づくりを行う上でのアイディアとなる研修への期待を示しました。
 研修では、当別エリアの地図を用意し、参加者が各10人ほどの班に分かれて地図に色を塗るところからはじめました。まず、山本さんや岩渕さん、農家や参加した自然観察の活動をしている人から地域の地形、土地利用の状況を確認し、「凡例」をつくります。そして、田んぼは黄色、水のあるところ(川、ため池、三日月湖等)は水色、その中でも生物がたくさんいるところは色の濃い青にするなど、塗り方のルールを決め、色鉛筆を10人が持って地図を塗っていきます。また、集水域などを調べるための作業を行います。作業は共同で全員が行い、その過程で、地域資源調査を行う上での地域の特徴について参加者が共通した意識を形成できるよう会話を促します。
 一般に地区での自然環境調査、社会環境調査、地元学を行う際には5000分の1程度の詳細な地図を使用しますが、北海道の場合、集落単位での面積が広いため、今回は15000分の1の地図を用意しました。
 地図を塗り分ける過程で、当別で江戸時代にはじめて稲作を行った場所や防風林の形状、川の流れの変遷をうかがい知る特徴などが明らかになり、その過程で参加者間でそれぞれの地形に対する知識の交換などが行われました。
 地図の塗り分けと、その過程での意識形成、知識の交換と共有が行われた後は、研修として仮想的に地域計画づくりのための地域の問題点や生きものの状況、農業の状況などを検証し、その上で、班ごとにアイディアを出し合い、それをまとめて発表会を行いました。
 参加者からは、「地図に色を塗り分けるという単純な作業だと思いましたが、里地里山の保全や生きもの、地域づくりという視点でみんなで作業をすることで地域を新しい視点で見つめ直すことができます」と、地域計画づくりの第一歩となる地図づくりの共同作業への理解を深めていました。

ミニシンポジウム
ミニシンポジウム
NPO当別エコロジカルコミュニティの山本氏
NPO当別エコロジカルコミュニティの山本氏
当別の里地里山で地域循環を考える
当別の里地里山で地域循環を考える
NPO田んぼの岩淵氏
NPO田んぼの岩淵氏
全員で地図づくり
全員で地図づくり
地図の色分けが完成
地図の色分けが完成
完成した地図をみながら考える
完成した地図をみながら考える
アイディアをまとめて発表
アイディアをまとめて発表

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