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活動レポート

里なびミニシンポジウム&研修会 報告5
地域資源調査と地域資源マップづくり

日時 2008年2月23日(土) 集合9:00 解散15:00
場所 神奈川県愛甲郡愛川町八菅山(八菅神社)

 第5回の里なびミニシンポジウム&研修会は、神奈川県愛川町にある八菅山とその周辺の里地里山で行いました。
 古くから八菅山は、山伏とよばれる修験者たちが全国から集まっては、山に入って「行」を行う山岳信仰の聖地でした。現在では八菅山にある八菅神社を中心に四季折々、散策や野鳥観察など週末になるとたくさんの人が山を歩いています。

 かつて、八菅山は薪炭林として周辺の農家によって活用されてきました。冬には落ち葉かきをし、農作業の合間をぬって山の手入れをしていました。その結果、ヤマザクラなどが人の手によって残され、巨木となっています。しかし、山が使われなくなり、手入れが行き届かなくなったことから、次第に荒れはじめています。
 今後、八菅山を中心としたこの地域の里地里山保全をどのように行うのか、考えるための元となる調査を行うこととなりました。

 ミニシンポジウムでは、まず、地元、「八菅山・尾山」里山をまもる会の千葉代表から、地域のなりたち、自然環境、歴史、課題などについての報告があった後、里地ネットワークの竹田事務局長が、里地里山保全の意義と、その計画づくりの元となる地域資源調査(自然調査、社会調査)の手法について講義しました。
 里地里山の保全は、その地域に住む人たちが、どのような里地里山にしてきたいのか、どんな生物(群)を守りたいのか、どのような労力が必要なのかなどを考え、計画し、実現していくことになります。そのために、まずは、地域や対象となる里地里山にどのような自然環境があり、かつての里地里山とのつきあい方、暮らし方などを地域に住む人たちが再確認することが大切です。そのための地域資源調査手法として「地元学」があります。「地元に学ぶ」地元学は、地図やカメラ、色鉛筆、地域資源カードなどを手にして地域の人と外部から来た人が一緒に歩き、そこに「あるもの」を発見して、記録する作業です。まずは、かつての水の使い方を知ることから里地里山と人の暮らしのつながりを整理し、次に地域の自然環境の現況をまとめ、そして、さまざまな「あるもの」を探します。

 研修会では、講義を受けて、4班に分かれ、地域の人の案内で参加者が地図に川や沢の色を塗り、歩くコースを決めて実際に地域の中を2時間ほど歩き、そこで見つけたものを写真に撮って、地域の人の話をまとめていきました。
 その後、会場に戻って昼食をとった後、写真を出力し、地域資源カードに貼って、地域の人に話を聞きながらカードを完成させていきます。地図も、地域の現況(田、畑、竹林、林、井戸、沢など)の記入と、どこで何を見つけたのかを整理して記入していきます。その後、地域資源カードをテーマ別に分類し、それぞれ担当を決めて班ごとに地図とともに内容を発表し、地域外からの参加者としての意見や発見、思いと、地域で案内した方の意見や発見、思いを伝えました。
 研修会として、参加者が地域資源調査の手順を学ぶために行いましたが、その結果、200枚以上の地域資源カードができました。
 また、八菅山にあるヤマザクラをはじめとする動植物やかつての活用方法などが地図に記録されたほか、竹林の拡大などの里山の問題も明らかになってきました。

 「八菅山・尾山」里山をまもる会などでは、今後、この調査の結果をもとに取り組みや計画づくりをすすめたいとしています。

シンポジウム風景
シンポジウム風景
地域資源調査研修
地域資源調査研修
資源カードまとめ研修
資源カードまとめ研修
班ごとに発表
班ごとに発表

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