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事例紹介(現場ルポ)

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石西礁湖自然再生協議会[事業地紹介]

石西礁湖におけるサンゴ群集の修復について


サンゴ着床具の設置

 石垣島と西表島の間に広がる石西礁湖せきせいしょうこ。環境省では、この海域において、様々な要因により衰退しているサンゴ礁生態系の自然再生を進める際の基本的な考え方として「石西礁湖自然再生マスタープラン」を、専門家の知見を踏まえ、平成17年7月にまとめました。

記事:環境省石垣自然保護官事務所 野村環
写真等提供:環境省

衰退するサンゴ礁

 石西礁湖のサンゴ礁生態系は、赤土流出などの陸域からの環境負荷、高水温などによる白化、オニヒトデによる食害などが重なり、より大きく衰退してきています。対策としては、優れたサンゴ礁生態系の保全、海域及び陸域の環境改善を進めるとともに、サンゴ群集が復元しない場所において修復事業を行うなど、いくつか考えられます。
 今回は、平成17年度より環境省が始めたサンゴ群集修復事業についてご報告いたします。


サンゴ群集修復事業を実施する海域選定フロー図

サンゴ群集の修復を進める上で重視すべき点

 マスタープランの第4部第3章では、サンゴ群集修復にあたって重視すべきポイントとして、以下の6点をあげています。

 [1]自然の再生力を補助的に手助けする形で導入
 [2]専門家の意見を踏まえて必要に応じて手法の見直しを行いながら実施
 [3]サンゴ礁生態系の健全性が損なわれている海域で回復阻害要因が明かな場所で実施
 [4]自然の再生プロセスに近い形での修復を行うため、サンゴの幼生を用いる有性生殖法を基本として実施
 [5]他地域からの移入による遺伝子の攪乱を防ぐため、原則として石西礁湖周辺の幼生を用いて実施
 [6]修復したサンゴの生存・死亡状況、周辺に生息している生物等をモニタリングし結果を次の事業に反映させるため、事業を評価し手法を見直すなど柔軟に対応

 これらの条件を満たすような修復事業の実施箇所を周辺海域の詳細な調査に基づき選定しました。


サンゴ礁再生候補地

実施箇所の選定条件

 事業を実施する場所の選定には、いくつか条件を考えました。まず、サンゴ群集が衰退している海域であること。また、陸域からの堆積物の影響が少ないこと。水温が上がりにくいなど、サンゴが白化現象を引き起こしにくい条件にあること。オニヒトデの分布が少ないこと。さらに、サンゴ幼生の定着及び稚サンゴの加入が少ないためサンゴの再生がなかなか進まない一方で、サンゴが再生すればサンゴ幼生の供給源となる可能性のある海域。そうした諸条件の整った海域を実施箇所として選定しました。

再生候補地6箇所
再生候補地(移植場所)

サンゴが自然に再生していくプロセスに近い修復方法の採用

 修復の手法は、着床具を用いた有性生殖法を採用しました。着床具法は、サンゴの一斉産卵の時期に合わせて着床具を海底に設置し、着床具の上でサンゴの幼生が成長するのを待ちます。約1年半を経過すると、着床具の上で成長したサンゴが確認できるようになりますので、これを修復予定地に移送し、約1cmの穴を海底の岩礁に穿孔して、接着剤で着床具を海底に固定します。


開発された着床具

穿孔作業の状況


着装具の移植法


設置した着床具

採苗した着床具単体

 修復を行う単位(広がり)としては、15mの基準線を海底に設け、その両側に1m四方の方形区を15区画設定します。1方形区あたり10個の着床具を設置することとし、30m2、300個を1ユニットとしました。黒島東礁池に17ユニット、黒島西沈水離礁に1ユニット合計18ユニットを設置しました。

今後のモニタリング

 今後は、設置箇所における継続的な点検(モニタリング)を実施します。移植サンゴの属名を記録し、成長度合を測るためにサンゴの長径を測定。着床具に定着したサンゴの生存・死亡状況を点検し、活性状況や破損状況、食害の有無などを確認します。また、サンゴ以外の藻類の繁茂や、浮泥の堆積、周辺海域の魚類の分布や、水温、濁度についても記録していきます。これらのモニタリング結果を、来年度以降の修復事業に反映させていきます。
 なお、石西礁湖地区にかかる自然再生全体構想は、本年2月に設立された自然再生協議会において検討し、今後、まとめていく段階です。本修復事業についても実証試験的なものとして実施しながら、自然再生全体構想及び自然再生実施計画の案を作成する中で、順応的管理の観点を基本に具体的な目標や評価方法について検討していくこととなります。

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