自然再生ネットワーク

環境省自然環境・生物多様性自然再生ネットワーク自然再生の取組事例>森・里・川・海をつなぐ自然再生(H16年度業務)

自然再生の取組事例

自然環境に関する民間団体の活動について、河川、里山、森林、海辺などの各フィールドごとに、活動現場の取り組みを紹介します。

※この事例は「森、里、海をつなぐ自然再生」(中央法規出版)で紹介しているもので、「自然再生を推進する市民団体連絡会」が河川、里山、森林の各分野から選定したものです。(概要のみを紹介していますので、詳細は冊子をご覧下さい。)

地図表示へ

森・里・川・海をつなぐ自然再生(H16年度業務)

ふ化場跡によみがえった清流と河畔林[一人のごみ拾いから始まった保全活動―帯広市大正町・ヌップク川]

昔ながらの小さな自然の川、帯広市大正町を流れるヌップク川。今から20数年前、たった一人ではじめたゴミ拾いがきっかけとなり発足した「ヌップク川をきれいにする会」は、これまで、市民参加による河川復元事業、市民・行政・企業が一体となったグラウンドワーク事業、北海道内の河川では初めてのアダプトプログラム(里親制度)など、先駆的な環境保全事業を官民連携で展開してきた。「川をきれいに!」という思いはずっと変わらず、活動は着実に続けられている。

失われた干潟を再生し、渡り鳥のオアシスを復元[市民・行政の協働による取り組み―北海道・鵡川河口]

北海道の清流としてはナンバーワンの鵡川(むかわ)。上流からの土砂と沿岸漂砂によって、河口をふさぐ独特の砂嘴(さし)と、その内側に広大な干潟を形成していたが、港湾建設に伴う沿岸漂砂の流れの変化によって、近年急速に海岸侵食が進行。渡り鳥の餌場として重要な干潟もほぼ消失してしまった。これに対して、市民と行政が一体となって干潟を復元する取り組みが進展している。

自然と文化を学び、教えることで地域再生[農山村の地域・担い手づくりー山形県最上郡戸沢村]

里山・里地・里川での暮らしの知恵や技を子どもたちに継承する活動が山形県最上郡の農山村地域で繰り広げられている。地域の住民と学校とが一体となった取り組みである。農作業体験やわら細工づくり、炭焼き、川遊びや山菜採り...。教えるのは地域のお年寄りで、若い世代と双方向のコミュニケーションが復活した。自然の復元だけでなく、文化の継承、農林業の担い手育成、さらに産品開発といった多面的な要素が重なる活動。自然と人との関係を取り戻しながら、過疎に悩む農山村の地域再生に新しい活力を与えている。

渡り鳥と農業の共生を目指した自然再生[宮城県田尻町・蕪栗沼と周辺の水田湿地]

雁などの渡り鳥が群れとなって降り立つ宮城県田尻町の蕪栗沼。この沼で渡り鳥を保護する運動は、いま活動範囲を沼の周辺部である農村地域に広がり、人と渡り鳥が共存する環境保全型の農業と地域づくりを目指すまでに発展。雁が生息する水田は、減農薬のブランド米を産するとの期待も生まれてきた。世界を移動する鳥たちに不可欠なこの地域の国際的な価値を評価する研究者や自然保護団体、さらに農業関係者、行政が連携を取りながら、地域と自然の再生に向けて歩みを続けている。

輪広がる、アマモ場再生による海辺づくり[市民、漁民や行政と連携―東京湾の横浜で]

近年の埋め立てで湾岸が人工岸壁ばかりになってしまった東京湾で、魚が産卵し、稚魚が育つ「海の森」「海のゆりかご」を取り戻そうという取り組みが横浜・金沢区で始まっている。アマモが群生するアマモ場を再生させるプロジェクト。こどもたちや市民が海と触れ合うように工夫しながらアマモを育て、NPOを中心に学校、漁業者、大学、行政が協働して活動を展開。東京湾全体の再生につながるネットワークを広げつつある。

大都会の住民に広がった森林ボランティア[神奈川県相模湖町の「若柳・嵐山の森」]

東京の都心から中央線一本でたどり着く相模湖町(神奈川県)。NPO法人「緑のダム・北相模」がこの町の私有地「若柳・嵐山の森」で進める森林ボランティア活動に、都会から多くの人が参加し、心地よい汗をかく。生態系の調査をはじめ、間伐材の利用、木質バイオマスの活用研究、緑のダム学校での環境教育などを展開、最終的にはFSC(森林管理協議会)の森林認証のガイドラインに沿った「持続可能な森林管理」を目指す。地元の町や流域団体ともつながりを広げるなど、協働パートナーシップを着実に築きつつある。

都市公園内の谷戸で自然再生運動[市民グループが行政と協働・鎌倉市]

神奈川県鎌倉市の都市公園(「鎌倉中央公園」)内で、残された谷戸田の生態系を保護し、農作などを体験できる仕組みが市民グループの働き掛けで実現した。地域の人に学ながら、稲作や畑作、雑木林の下草刈りを行い、子供たちへの環境教育の場になった。土地所有者から行政が土地を買い取る仕組みの都市公園で、かつて暮らしが作り出していた谷戸景観を保全した公園の先駆的な事例として、行政と市民が協働する新しい公園管理のソフト事業のあるべき姿を示唆している。

里山の魅力を再発見し、ふるさとづくり[竹炭の生産・利用で住民に熱気―愛知県美浜町]

名古屋まで一時間余りの愛知県美浜町は、都市と農山漁村の良さを併せ持ち、自然と産業に恵まれている。自然と共生した美しいふるさと構想を推し進める町長の下で、布土地域ではまちづくり活動として地域の魅力を発見する試みを実施。その結果、竹炭づくりの活動が活発になったほか、身近な山の遊歩道の価値を再認識してハイキング道に整備するなど、住民たちは、日常的に自然と向かい合う里山の日常を回復しようとしている。

コンクリ護岸から、なぎさやヨシ原復元[「泳げる湖」目指し粘り強く−諏訪湖]

結成以来「泳げる諏訪湖」を合言葉に、さまざまな形で富栄養化に苦しむ湖の浄化へ取り組んできた「諏訪環境まちづくり懇談会」。同じように湖の富栄養化問題を解決していったドイツに学ぼうと開催された「日独環境まちづくりセミナー」をきっかけに、平成元年に諏訪地方の住民や研究者が集まって組織された。行政に対して諏訪湖浄化対策に関する提言を根気よく繰り返した結果、住民、行政、専門家の三者が一体となった浄化の取り組みが進んでいった。湖浄化の大きなポイントのひとつが「再自然化」である。一時はコンクリート護岸で囲まれていた湖に人工なぎさを造成し、水草帯の復活を図った。下水道の整備にもつとめた結果、富栄養化の象徴だったアオコの発生もかなり少なくなった。現在も各方面による湖浄化の取り組みが続いている。

75万人の流域共同体で原生の森づくり[産官学民連携、下流住民が植樹−愛知県東三河流域]

古くから「穂の国」と呼ばれ、豊川の治水や利水で上下流の心をつなぐ流域一体的な風土を持っていた愛知県東三河流域。その地域では、昭和52年に市町村・県・国らによる流域森林の継続的な保全などを進める仕組みとして「豊川水源基金」が設置され、約20年後の平成9年には、上下流の産官学のパートナーシップによる75万人の森づくりを標榜する「穂の国森づくりの会」が発足した。今では森林を再生させるため、源流部では原生林再生活動を行うほか、流域単位では循環型社会の形成に向けた流域材認証の取り組みに精力的に参画するなど、地域に大きな影響力を与えつつある。

山のつながった暮らしを取り戻す[雑木山を共同所有の杣の会−滋賀県朽木村]

夏でも涸れない沢をいだき、沢の水はやがて安曇川となって琵琶湖に流れ込む滋賀県朽木村の雑木山。ここでも過疎が進行し、かつて村のくらしとつながっていた山は30年以上も前からスギ・ヒノキの人工林へと変わった。この雑木山を共同で所有する運動から始まった「杣(そま)の会」のグループ。会は買い取った 25町歩(25ha)をフィールドに、山の恵みを生かた食品やものづくり、山に必要な技術の伝承に取り組むなど、本来の山のあり方やくらしとのつながりを実践の中で考え、次世代を育てようとしている。

竹ポットでヨシ植栽、水環境復元にアイデア[産官学民に小学生も協働−島根県・宍道湖]

ヨシが持つ水質浄化機能と水生動植物の保全機能による宍道湖の水環境の復元を目指し、産・官・学・民や地元小学生との協働による竹ポットを利用したヨシ植栽活動を進めている。多様な主体による広域的で長期的な水環境復元活動で、中山間地域の活性化を考慮した植栽用竹ポットと県産間伐材沈床のユニークな湖岸形成アイデアと産・官・学・民による協働の取り組みとが、国、県内外から高い評価を受けている。

河川の氾濫原「アザメの瀬」の再生[松浦川流域での遊水地―佐賀県]

松浦川が流れる佐賀県松浦郡相知町では、洪水に悩まされてきた場所がある。「アザミ(地元ではアザメ)の瀬」と呼ばれる地点で、国土交通省は洪水対策として堤防に代わって遊水方式を計画、この環境に生物を取り戻し、人と生物のふれあいを再生する住民参加型の事業を進めている。住民との復元した氾濫原によって、伝統の漁法やこどもたちの川遊びも戻るなど、人と自然のつながりの再生に期待が掛かる。


ページトップへ

HOME

2. 失われた干潟を再生し、渡り鳥のオアシスを復元[北海道・鵡川河口] 1. ふ化場跡によみがえった清流と河畔林[北海道帯広市] 3. 自然と文化を学び、教えることで地域再生[山形県最上郡] 4. 渡り鳥と農業の共生を目指した自然再生[宮城県田尻町] 6. 大都会の住民に広がった森林ボランティア 9. コンクリ護岸から、なぎさやヨシ原復元 11. 山のつながった暮らしを取り戻す 12. 竹ポットでヨシ植栽、水環境復元にアイデア 5. 輪広がる、アマモ場再生による海辺づくり 7. 都市公園内の谷戸で自然再生運動 10. 75万人の流域共同体で原生の森づくり 8. 里山の魅力を再発見し、ふるさとづくり 13. 河川の氾濫原「アザメの瀬」の再生