自然環境・生物多様性

自然再生推進会議平成26年度第1回議事概要

日時

平成26年10月29日(水)10:00~10:40

場所

環境省第1会議室

出席者

  • 環境省自然環境局長
  • 農林水産省農林水産技術会議事務局研究総務官(代理:環境政策課地球環境対策室長)
  • 農林水産省農村振興局長(代理:整備部農地資源課長)
  • 農林水産省林野庁次長(代理:森林整備部計画課長)
  • 農林水産省水産庁次長(代理:漁港漁場整備部計画課長)
  • 国土交通省総合政策局長(代理:環境政策課長)
  • 国土交通省都市局長(代理:公園緑地・景観課緑地環境室長)
  • 国土交通省水管理・国土保全局長(代理:河川環境課長)
  • 国土交通省港湾局長(代理:海洋・環境課長)
  • 文部科学省生涯学習政策局長(代理:参事官(連携推進・地域政策担当))
  • 環境省自然環境局自然環境計画課長

議事 会議は公開で行われた。(一般傍聴者5名)

「資料1:自然再生推進会議の設置について」について、各省の組織名称が変更されたことに伴い、名称変更の改正を行い、本日付で施行することとなった。

議題1 自然再生基本方針の見直しについて

事務局(環境省)より、資料2、3、4、5、6により自然再生基本方針の見直しについて説明し、事務局の案のとおり今後の手続きを進めていくことで了承された。

議題2 その他(今後の自然再生の推進に向けて)

事務局より参考資料1、2により、現在の自然再生協議会の設立状況や取組状況について説明を行い、今後の自然再生の推進に向けた意見交換を行った。
出席者からの意見は以下のとおり。

(農林水産省大臣官房)
農水省として25の協議会のうち12の協議会に農水省の関係機関が参画している。今回の見直し基本方針において、地元の取組と併せて多様な主体の連携の重要性について言及されており、今後とも組織的に、また技術的に関われることがあれば積極的に協力していきたい。

(農林水産省農村振興局)
農村振興局においては、これまでも農業・農村の多面的機能の発揮に関する取組を行ってきたが、このたび「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」が成立し、農家や地域住民による保全活動をより促進していくことになったところ。今後とも農村の二次的自然の保全や景観の保全に向けた取組を進めていくところであり、今回の基本方針の見直しにおける小さな自然再生や地域コミュニティの再生などに関連する施策や事例の情報発信に努めてまいりたい。

(農林水産省林野庁)
国土の7割を占める森林について、適切な施業等を通じて多面的機能の発揮に努めるとともに、現在の1,030万haの育成単層林を将来的に660万haにする一方、針広混交林を含め育成複層林を増やしていく考えであり、こうした取組により自然の保全や再生に貢献できるものと考えている。また、25の協議会のうち釧路湿原など6協議会に林野庁が直接参画しているほか、生物多様性国家戦略2012-2020でも位置づけている「赤谷(あかや)プロジェクト」や「綾の照葉樹林プロジェクト」などの先駆的取組も進めているところである。

(農林水産省水産庁)
水産庁では、藻場・干潟の保全・再生を推進し、水産多面的機能発揮対策事業を行っており、これらの予算確保や技術面でのサポートを進めていきたい。また、自然再生については他事業や他組織との連携が重要であり、今後とも連携し取り組んでまいりたい。

(国土交通省総合政策局)
国土交通省では、本年3月に新しい「環境行動計画」を策定し、自然共生社会を重要な柱として明確に位置づけている。今回の自然再生基本方針の変更で、社会資本整備と併せた自然環境の保全・再生・創出の重要性が追記されており、引き続き積極的に進める必要があると考えている。また、自然再生が、美しい景観の形成や観光の促進などにも資すると追記されており、生物の成育の場の提供と併せて、様々な価値が得られることを再認識している。こうした基本方針の見直しを踏まえ、引き続き自然再生に積極的に取り組んでまいりたい。

(国土交通省都市局)
都市局では少子高齢化等に対応したコンパクトなまちづくりに取り組んでいくため、本年8月に都市再生特別措置法を改正した。また、これまで都市公園の整備や緑地保全・緑化の取組を進めてきており、現在、全国で約12万haの都市公園が整備され、一人当たり都市公園面積10m2の目標を達成したところ。さらに、平成23年に都市緑地法運用指針を改正し、市町村が緑地の保全及び緑化の目標等を定める緑の基本計画について、計画策定の際に生物多様性の確保に配慮することが望ましいことを追記した。このほか、平成24年より都市の生物多様性指標の策定に向けた検討を行っており、先日韓国で開催されたCOP12でもその取組状況を報告した。今後とも自然再生の推進に取り組んでまいりたい。

(国土交通省水管理・国土保全局)
平成9年に河川法の改正により、河川環境の保全と整備が目的として位置づけられた。また、「河川水辺の国勢調査」や「多自然川づくり」などの取組を進めているところ。さらに、生態系ネットワーク形成として、線としての河川だけではなく、面として河川をとらえて、公園部局など関係機関と連携し、自然再生に取り組んでいるところ。今回の基本方針見直しを踏まえ、引き続き各河川の特徴にあった自然再生に取り組んでいきたい。

(国土交通省港湾局)
港湾局では港湾整備で発生する浚渫土砂を有効に活用し、干潟・藻場の造成や、深掘り跡の埋め戻しを実施している。また、生物生息機能を付加した港湾構造物の整備を促進するため、「生物共生型港湾構造物の整備・維持管理に関するガイドライン」を平成26年7月に作成した。加えて平成25年度から、横浜港では横浜市と連携し、開放した公共水域で市民団体等と協働して自然再生を実施する企業を公募し、アマモ場造りに取り組んでいる。今後も引き続き、多様な主体と連携する重要性を認識し、自然再生推進法の枠組みで進める取り組みについて出来る限り協力してまいりたい。

(文部科学省生涯学習政策局)
今回の基本方針の見直しにおいては、学校と連携した自然環境学習の実施に当たっての留意点や、高等教育やESD、防災といった観点まで視野を広げることなどが新たに加えられており、今後とも協議会における構想策定への助言等を通じて自然再生に関わっていきたい。

(環境省自然環境局)
自然再生推進法制定から約12年が経過し、全国で25の協議会が設立されているが、最近設立のペースが鈍化している。現在、環境省が中心となって進めている生物多様性の保全上重要な「重要海域」、「重要里地里山」、「重要湿地」などの抽出や、生態系ネットワークの観点も踏まえ、自然再生の推進に取り組んでまいりたい。特に自然再生は1つの主体では進まなく、様々な主体が集まり、各々の得意分野を発揮しながら進めていく必要があるので、今後とも関係各省と連携して推進していきたい。

(以上)