自然環境・生物多様性

自然再生推進法 | 自然再生専門家会議平成27年度第1回議事概要

日時

平成27年8月4日(火)
15:00 ~ 16:15

場所

茨城県霞ヶ浦環境科学センター1階多目的ホール

出席者

(委員)

 今村 信大  (公財)日本生態系協会 副会長 

 大河内 勇  日本森林学会 会長、(一社)日本森林技術協会 理事

 近藤 健雄  日本大学 理工学部 海洋建築工学科 教授

 志村 智子  (公財)日本自然保護協会 自然保護部 部長

 辻本 哲郎  名古屋大学 名誉教授

 宮内 泰介  北海道大学大学院 文学研究科 教授

 守山 拓弥  宇都宮大学 農学部 農業環境工学科 講師

 鷲谷 いづみ 中央大学 理工学部 人間総合理工学科 教授

 和田 恵次  奈良女子大学 研究院 自然科学系 教授

(関係省庁)

 環境省、農林水産省、国土交通省、文部科学省から関係課長等

(実施者)

 国土交通省関東地方整備局霞ヶ浦河川事務所担当者

議事概要

 会議は公開で行われた(一般傍聴者12名)。

議題1 自然再生事業の推進に向けた取組状況について

 環境省より、資料2-1、2-2により、自然再生基本方針の見直し、自然再生協議会の設立状況等について説明。

議題2 自然再生事業実施計画について

実施者より、資料4、5等により霞ヶ浦田村・沖宿・戸崎地区自然再生事業の実施計画の説明。

委員からの主な質問及び意見は以下のとおり。

  • 湖岸植生帯に生えているヤナギについては今後どのように対応されるのか。

    →(実施者)今後、伐採時期や処分方法等の検討を進めてまいりたい。

  • ブラックバス、ウシガエル、アカミミガメ等の外来生物が問題として意識されているのか。カワヒバリガイ等、農業用水路の機能低下を引き起こすものも含め、モニタリング対象とすると今後問題が生じた際の判断材料になり得る。

    →(実施者)現在は外来種対策を本格的には実施できていないが、例えば下流から上流に拡大しているミズヒマワリに関して、侵入の顕著な地区から調査を実施している。

  • イトトンボ等がもっと見られると良いと感じた。トンボの棲める水辺とするためには、ヨシ原と連続して樹木地帯が存在するなど、植生が重要である。数メートル程度の取組規模では効果があまり期待できない一方で、既存の突堤を全て取り払うことも難しいと思うので、可能な取り組み範囲を検討頂きたい。

  • 目標のうち「多様な動植物の生育・生息」の具体的内容や、現在どのような生きものがいるのか具体的に説明頂きたかった。

  • モニタリングの取組について教えて欲しい。

    →(実施者)河川水辺の国勢調査を5年に1度実施しており、植物は生育の活発な事業直後の3年間は毎年調査を実施している。

  • 水質汚濁の主な要因は農業や家畜排せつ物からの窒素やリンだと思うが、多様な主体による取組という観点で、特に農業関係者と連携した対策はしているのか。

    →(実施者)ハス田や養豚からの負荷は課題となっており、関係自治体で策定する第6期の「霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画」において、下水道の整備等と併せて、農業分野でも自治体が対応方針を立てている。

  • 湖岸を水害から守りながら生態系を回復させる中で、消波工を設置する距離等、全体としてデザインが最適となるようにして頂きたい。

  • 目標のうち「地域の特色と変遷を踏まえ、自然の力を借りながら」ということが果たして行えているのかが伝わってこない。構造物の整備が説明の前面に出ている印象があるが、それ自体が最終目的ではない。目指す景観、定着させようとする生きもの等を明確にして頂きたい。

    →(実施者)過去の整備事業で蓄積した知見を基に、まずは構造物の効果の発揮を期待している。最終目的を意識して今後取り組んでまいりたい。

  • 全体として目指す姿が見えてこなかった。自然再生によって地域の外からの見る目、地域自身、さらには地域の生態系サービスがどのように変わるのかを考えるのが効果的ではないか。また、「里と湖の接点」をどのように考え、里をどのような範囲でとらえているのか。

  • 環境教育での利用を考えると、波打ちが強い場所であることに対する安全対策への配慮が重要。また、霞ヶ浦はオオクチバスのメッカとして知られ、釣り人も多いので釣り針等が水辺に放置されることがよくある。子どもが水辺に立ち入る際に危険を伴うため、釣り人の利用に際してのルール作りが必要と思われる。

  • どのような場面で協議会という仕組みが効果を発揮できているのか、また地域住民との関係性のわかる説明が欲しかった。どのように地元の参画を得るかについては、例えば地元住民がインストラクターを務める機会を設けることや、教育機関の参画を検討頂きたい。多様な主体や地域の意見を取り入れた活動が望ましいとの意見を、協議会の中でも共有頂きたい。

    →(実施者)協議会には地域住民をはじめとする多様な主体に参加して頂いているところであり、頂いた意見を協議会内で共有したい。

 会議終了に際し、実施計画に定めるべき事項について主務大臣による法に基づく助言は実施しないこととしたが、実施計画において定める事項以外の事項に関する意見を含め、本会議で聴取した意見は協議会において今後の取組に活用していただくため、今回参加されなかった協議会メンバーにも事務局を通じて伝えていくこととした。

(以上)