神於山の所有・管理関係は、失礼ながら、縦割り行政の見本のようなものです。山を持っているのは、市の公園緑地課、管理は大阪府(遊歩道や保安林の整備をしている)全体のコーディネートは市の環境保全課です。ここに民間所有地も関わってきます。
一方で、大変ユニークな関係づくりもあります。大手企業「シャープ株式会社」が、神於山の里山再生に「シャープの森」づくりと銘打って参加してきたことです。
シャープの本社は大阪市阿倍野区にあり、社員・OBを含めて2,000~3,000人が岸和田市に住んでいます。そこで、企業の環境CSR貢献としてシャープの森を作ろうということになり「神於山シャープの森」として活動開始しました。
この取り組みは、大阪府が進める「アドプトフォレスト制度」に則ったものであり、神於山の里山再生に向け協議会を設置(2004年)した岸和田市と、SGC(シャープグリーンクラブ)によるシャープの森を活動目標のひとつとして設定(2003)し、シャープの森全国展開に向けた検討を開始(2005)していたシャープ、それとアドプトフォレストの政策検討を進めていた大阪府(2005)の、3者のタイミングと思いが見事に一致した好事例です。
「うまくいくときはこんなもんやけど、この流れは大事にせなあかん!」と井上さん。
まさに、そのとおりだと思います。2006年2月16日には、野口岸和田市長、御手洗シャープ専務、草川大阪府環境農林水産部長の3者で、調印書にサインが交わされました。井上さんに調印書を見せていただきましたが、ヒノキ板が表紙になっており、レーザーで刻印されています。なんと素敵な調印書でしょう!
シャープの森は、約2.1haの規模をもち(うち新規植栽面積0.7ha、放置林1.4ha)傾斜約20°の緩斜面です。2006年度は植林、2007年度以降は育林と整理伐採に加え、ビオトープや竹ベンチ、竹柵など、“快適作業環境づくり”に楽しみながら取り組むようです。
ちなみに、SGCのホームページでは、快適作業環境づくりの先輩として「神於山保全くらぶ」の基地を越えることを目標としています。私たちは、午後から「保全くらぶ」のメンバーも含む協議会の方々とお会いすることになりました。