環境省自然環境・生物多様性ラムサール条約湿地候補地検討会

第2回ラムサール条約湿地検討会議事概要


1.概要

1) 日時:
平成16年9月2日(木)10:00~12:00
2) 場所:
環境省第1会議室
3) 出席者
検討員/
呉地委員、小林委員、辻井委員、中須賀委員、林委員、風呂田委員
環境省/
名執野生生物課長、鈴木課長補佐 他
4) 議事次第
(1)開会
(2)議事
  • 検討対象湿地について
  • その他
5) 資料
資料1
ラムサール条約湿地検討会(第1回)議事概要 [PDF 23KB]
資料2-1
選定基準見直し後の基準別湿地一覧 [PDF 42KB]
資料2-2
ラムサール条約湿地検討会(第1回)での課題への対応 [PDF 80KB]
参考資料1
各湿地の重要湿地500における記述について [PDF 57KB]
参考資料2
各湿地の図面一式(※委員のみ配布)

2.議事概要

1)選定基準見直し後の基準別湿地一覧及びラムサール条約湿地検討会(第1回)での課題への対応について、事務局より資料2を用い て説明した後、屋富祖井について事務局よりスライドを用いて説明。

委員:仙台海浜は鳥獣保護区を指定する際にコクガンの飛来地を考慮して海面を広く取って指定した。鳥類のラムサール基準を満たしているのになぜ検討対象湿地から外したのか。

事務局:特別保護地区は陸上部分であり、コクガンが飛来している海面は特別保護地区に指定されていないためである。

委員:昆虫の場合はマニアが多いので、区域を指定して規制すると、逆に捕りに行くという問題がある。

2)各湿地の詳細について、事務局より参考資料2を用いて説明。

サロベツ原野

事務局:サロベツ原生花園、ペンケ沼、パンケ沼周辺の湿地部分が中心と考えている。

サロマ湖

事務局:水面(水中、干潟部含む)が中心と考えている。

能取湖

事務局:水面(水中、干潟部含む)が中心と考えている。

網走湖

事務局:水面、周辺湿地部が中心と考えている。

濤沸湖

事務局:水面(水中、干潟部含む)が中心と考えている。

知床半島サケ・カラフトマス遡上河川

事務局:半島部が中心と考えている。

座長:知床は全流域を含まねばならないと思う。他にも河川群や河川について、重要な種の生息場所についての情報を知っていれば、随時教えて欲しい。

野付半島・野付湾・尾岱沼

事務局:半島、湾、尾岱沼が中心と考えている。

風連湖

事務局:春国岱、風蓮湖の水面が中心と考えている。国指定鳥獣保護区特別保護地区は、水面まで区域を拡張する計画である。

阿寒湖

事務局:水面が中心と考えている。

沼の原・沼の平

事務局:沼の原、ヒサゴ沼、黄金が原までが中心と考えている。

雨竜沼湿原

事務局:湿原とその周辺が中心と考えている。

大沼

事務局:大沼、小沼の水面と湖畔の湿地植生が中心と考えている。

座長:ジュンサイ沼も入れた方がいい。あえて外す必要がない。

仏沼

事務局:仏沼と呼ばれている以前沼であった区域が中心と考えている。

委員:仏沼は干拓地であり、水面はなく草地なので沼というと誤解を与える。オオセッカの生息地だけなら仏沼だけの区域でよいが、ガンカモ類の飛来も考慮するならば周辺も含めて考えた方がよい。

十三湖・岩木山

事務局:水面と河口干潟が中心と考えている。

屏風山湿原池沼群

事務局:海岸付近の湿地が中心と考えている。

八甲田山湿原群

事務局:湿原の地図記号のある部分が中心と考えている。

八幡平周辺湿原群

事務局:八幡池の周辺が中心と考えている。

蕪栗沼

事務局:沼と周囲の水田が中心と考えている。国指定鳥獣保護区の指定を計画している。

委員:沼自体は約100haだが、地元で議論をしており、沼とその周辺も含めた約450haを鳥獣保護区にしたいと考えているようだ。

委員:その場合、行政界をまたがるが、田尻町だけでなく他の市町村とも議論しているのか。

委員:現在は田尻町だけで議論しているが、田尻町の他に2つの町を加えた調整が必要となる。議論をすることによって、ラムサール条約についての誤解も解け、地元のムードが高まってきている。10月に地権者、農業者、3町のキーパーソンを含めてシンポジウムを行う予定である。環境省にも参加して欲しい。

最上川河口

事務局:河口部から、オオハクチョウの渡来場所を中心と考えている。現在県指定鳥獣保護区があり、国指定鳥獣保護区に変更する計画があるが、区域線は未定である。

裏磐梯湖沼群

事務局:五色沼、檜原湖、小野川湖が中心と考えている。

猪苗代湖

事務局:水面と湖畔の湿地植生が中心と考えている。

尾瀬ヶ原・尾瀬沼

事務局:尾瀬ヶ原、尾瀬沼が中心と考えている。

座長:燧ヶ岳の北側斜面にも良い湿原があるので含めた方が良いのではないか。また、富士見峠の方の湿原やアヤメ平も含めて考えた方が良い。

利根川下流部

事務局:オオセッカの繁殖地が中心と考えている。

大田原市の湧水湿地

事務局:ミヤコタナゴの生息地が中心と考えている。特に生息地保護区の管理地区を中心に考えている。

湯の湖・戦場ヶ原・小田代ヶ原湿原

事務局:戦場ヶ原が中心と考えている。

三番瀬

事務局:いわゆる三番瀬と呼ばれている区域が中心と考えている。

委員:江戸川放水路の河口から約4kmの河口堰までは内湾ベントスにとって重要 なので含めるべきだが、行政区域の問題がある。

父島・母島の河川

事務局:河川が中心と考えている。

委員:河口は生物多様性が高い。ヨシノボリ類は川の中流まで生息している。

座長:それほど長い川ではないので、島全体を含めてもよいのではないか。

小笠原諸島周辺

事務局:ウミガメの産卵地が中心と考えている。

苗場山周辺湿原

事務局:山頂付近の湿原部分が中心と考えている。

福島潟

事務局:堤防内が中心と考えている。

瓢湖

事務局:水面が中心と考えている。

立山周辺湿地群

事務局:弥陀ヶ原が中心と考えている。

三方五湖

事務局:淡水魚類の生息地である水面が中心と考えている。

丹後・但馬地方アベサンショウウオ生息地

事務局:アベサンショウウオの生息地が中心と考えている。

串本錆浦、潮岬西岸

事務局:サンゴが分布している場所を中心と考えている。

中海

事務局:水面が中心と考えている。

宍道湖

事務局:水面が中心と考えている。

隠岐島周辺沿岸

事務局:藻場が中心と考えている。

秋芳洞

事務局:秋芳洞と背後のカルスト地形が中心と考えているが、地下水系としての区域の考え方が難しい。

和白干潟

事務局:和白干潟が中心と考えている。

有明海(大授搦)

事務局:東与賀町地先の大授搦が中心と考えている。

座長:有明海は面積が広いので区域を区切るのが難しい。

委員:行政区域の問題があるが、有明海は全部を含めて欲しい。

事務局:国指定鳥獣保護区指定を計画している場所を、たとえ一部であっても登録することは意味があると考える。

座長:どのくらいの区域を鳥獣保護区に指定できるかが、実効性と関わってくる。

委員:鳥獣保護区の存続期間は20年以内となっているが長すぎるのではないか。短期間で鳥獣保護区の見直しができるよう、5年くらいで指定することがよい。

事務局:鳥獣保護区の拡大の可能性があるところは、存続期間を短く設定しても良いかもしれないが、存続期間内でも拡大できる仕組みになっているので、現行でも柔軟に対応できると考えている。

委員:存続期間が長い方が、継続性があるので良いという考え方もできる。

委員:存続期間が長いことは地域によってメリット・デメリットの両面があると思うが、一般的に鳥獣保護区の指定の後に関心が遠のく雰囲気があるので、もっと積極的に鳥獣保護区の見直しができてもいいと思う。有明海について長い方が良いか、短い方が良いかは分からないが、蕪栗沼では短くしようという話になっている。

座長:存続期間の問題は鳥獣保護区の運用の問題であり、ケースバイケースということで良いか

事務局:法的担保が短期間しかないということは、ラムサール事務局として問題にならないのか。

委員:問題ないと思う。

九重火山群湿原

事務局:坊がつる、タデ原周辺が中心と考えている。

委員:黒岳の麓の男池を入れた方がいい。

出水干拓地

事務局:ナベヅル・マナヅルの渡来場所が中心と考えている。

藺牟田池

事務局:ベッコウトンボの生息地が中心と考えている。

屋久島西部海岸

事務局:ウミガメ産卵地が中心と考えている。

住用湾流入河川および河口部

事務局:河口部のマングローブ林、干潟が中心と考えている。

委員:マングローブ林だけを考慮するならば河口部だけでも良いが、リュウキュウアユはもっと上流にも生息している。

委員:水生昆虫を考慮して、流入する河川も含めたい。

委員:湯湾岳鳥獣保護区には何が生息しているのか。

事務局:アマミヤマシギ、アマミノクロウサギ等の希少鳥獣が生息している。

屋我地

事務局:羽地内海が中心と考えている。

慶良間諸島周辺沿岸

事務局:サンゴ礁が中心と考えている。

久米島の渓流・湿地

事務局:キクザトサワヘビの生息地が中心と考えている。

名蔵アンパル

事務局:干潟部、マングローブ林が中心と考えている。

委員:流入する河川の部分も含めたい。

委員:どのような経緯で鳥獣保護区に指定できたのか。

事務局:観光地としての気運が高まったことや、地元の理解が深まったことにより、指定できた。

座長:確か、民有地であったために指定が行き詰まっていたと記憶している。

事務局:今年、特別保護地区の拡大を予定する部分は民有地であり、土地所有者の理解が得られたものである。

石西礁湖

事務局:礁湖全体を中心と考えている。

仲間川

事務局:仲間橋からマングローブ林のエリアが中心と考えている。

委員:河川全体を含めてしまって良いと考える。

浦内川

事務局:浦内橋付近から上流川マングローブ林のエリアが中心と考えている。

座長:河川全体を含めてしまって良いと考える。

西表南西部海域及び河口部

事務局:仲良川、クイラ川周辺、海岸の普通地域のエリアが中心と考えている。

座長:全体又は個別について、質問、意見はないか。

委員:北海道の網走周辺に同じタイプの湿地が多く挙がっているが、同じタイプの湿地をまとめて一つの名前にし、実際の区域は部分的に設定して、登録することはできないか。西表島の湿地についても同様。

座長:名前の付け方の問題なので、できるのではないか。

委員:河川については、河口だけでなく上流から下流まで河川全体を含めた方が良いのでは。

事務局:河川については、どこまでの区域を法的に担保できるかが問題である。また、同じタイプの湿地をまとめて指定する際には、まとめた湿地に係る各自治体が合意するか、行政区域が問題となる。

委員:福島潟、瓢湖は、できれば一つにまとめた方がよい。地元で行ったシンポジウムでは、佐潟、鳥屋野潟、瓢湖、福島潟の4ヶ所で鳥類が行き来しているので、生態系としては全部まとめた方がいいという方向性になった。市町村合併も進んでいるので行政区域の問題は整理してもらいたい。中海と宍道湖も一つにまとめた方がよい。

委員:ガンカモの生態を考慮すると、湖沼群としてまとめた方がよい。

座長:登録後の管理の観点からも、近い湿地はひとまとめにした方がよい。

委員:今の議論からすると、谷津干潟と三番瀬も一つにまとめた方がいい。既存のラムサール条約湿地とまとめる場合にはどうしたらいいのかという課題がある。

委員:湿地と思われる部分以外も加えて登録できるとラムサール条約にある。今後はどのような手順を踏むのか。また、第1回検討会の後、委員から追加の候補地の提案があったのか。

事務局:委員からの追加の候補地はなかった。基準の見直しによって追加された湿地はあった。

委員:中池見を候補に入れてもらいたい。鳥獣保護区、国立公園以外にも登録地があっても良いと考える。また、バランスの面から、様々な基準でバランスよく登録することによって、日本の努力を示していきたい。CEPAと共同で作業を進めるとよい。

事務局:できるだけバランスよく登録したいと考えている。

座長:各基準で一つずつ湿地を選ぶという方法もある。ただし地下水系を加えた方がよいかどうかは議論の必要がある。次々回の締約国会議も視野に入れて考えていきたい。

委員:法的に担保されている区域でなければならないということは、それ以外の重要な湿地は登録できないということになる。鳥獣保護法で全ての湿地を担保しようとしても無理があると思う。新しい枠組みを作る必要がある。

事務局:次回検討会において、今後の長期的な展望を含めて、意見を出してもらう予定である。

座長:今後は、今年度末までに地元調整を行うということでよいか。

事務局:年度内に地元調整を行いたいと思っている。第3回検討会は来年の春を目途に考えている。

委員:今回挙がった湿地のデータは基本的に揃っているのか。

事務局:現在保護区に指定されている湿地は大抵データが揃っているが、湿地によってばらつきはある。

委員:登録湿地のRIS(ラムサール登録湿地情報票)の更新ができていないと、前回締約国会議で日本も名前が挙がっているので、きちんと更新してもらいたい。

委員:今回挙がっている湿地は候補地と考えていいか

座長:今後、地元調整する湿地のリストである。

委員:このリストに挙がっているすべての湿地について地元調整するのか。

事務局:基本的に全ての地元と当たるつもりである。

以上