環境省>自然環境・自然公園>日光国立公園那須地域保全整備検討会
平成20年1月31日(木)10:00-12:00
環境省 第1会議室
岩槻委員、小倉委員、進士委員、田部井委員、養老委員、渡辺委員、関係機関(環境省、宮内庁、栃木県、那須町)
事務局より、会議資料に基づいて、検討会の進め方、我が国の里地里山の現状と課題、自然環境モニタリングの現況、那須地域の自然環境の概要とその評価等について説明を行った。委員からの主な意見とそれに対する事務局回答の概要は下記の通りであった。
○「里山」という言葉は古くは江戸時代から使われてきた。里山の定義は多様であるが、一般的な「里山」の概念と、環境省が定義している「里地里山」とは少し異なっている。混乱が生じないよう、用語の使い方に配慮すべき。
○余笹川北側における林間放牧の有無や薪炭林利用がなされていた場所に関するデータがあると、過去の土地利用の状況がより明確になる。
→(事務局)ヒアリング等を行ったが明確な情報は得られていない。那須町は栃木県下で最大の薪炭林生産地だったため、当該地区でも利用があったと考えられる。放牧についても、過去の土地利用図から広い範囲が牧野として利用されていたと考えられる。
○日本の里山は数百年前から継続的に利用してきたことが特徴の一つだが、那須地域での利用はいつ頃から始まったのか。
→(那須町)那須地域は気候・地質からみて農耕に適していない地域であり、古くから木材、薪炭、馬産が産業の中心であった。
○開拓の歴史や御用邸ができた経緯など、歴史的事実を詳しく調べることは公園利用を考える上では重要。
○600mから1,400mまでの高度変化を見ることができるという面ですばらしい場所。標高による変化を体感できるような歩道を計画してほしい。
○モニタリング等のため保全すべき場所と自然体験等で活用すべき場所があると思うが、保護と利用を整理した上で計画を立てることが重要。
○里地里山やモニタリングなど、国としての全国的な施策だけでなく、所管換の趣旨を踏まえたプラニングをしていくべき。
○この地域は二次林であり、放牧や薪炭利用など、生活や生業に使われてきた場所。生物多様性を学ぶ場としてだけではなく、伝統的な産業を子供たちが追体験できるようなナショナルセンターとしての位置づけもしてほしい。
○昭和天皇陛下は御用邸の自然を大変大事にしておられた。保全すべきものと利用すべきものを分けて計画を立てることが重要。また、利用を制限する場合、その意義について管理者がきちんと説明することが重要。
○保全の必要性が最も高い余笹川周辺ゾーンを第1のゾーンとして位置づけてはどうか。また、人手の入り具合によって、自然環境の質にも段階があることを体験できるようにすべき。また、植生や利用等の観点から下部ゾーンを2つに分けることも検討してほしい。
○一言で那須といっても那須岳、那須高原、那須野が原ではかなりイメージが違う。那須全体がわかる地図資料を作成してほしい。