クラゲに刺された話はよく聞きます。クラゲはサンゴやイソギンチャクと同じ刺胞動物に属し、体の全ての部分とくに触手に刺胞と呼ばれる毒針を無数にもっています。多くの刺胞動物の刺胞は刺す能力が高くないうえに毒もそれほど強くないため、ほとんど我々に害を与えません。

  しかし、数種のクラゲをはじめ、いくつかの刺胞動物の刺胞は我々に害を与えます。串本にいるク ラゲの中で最も被害の大きいものはカツオノエボシでしょう。カツオノエボシはブルーの風船の下に多くのひもがぶら下がったような形をしていて、全体は青色〜紺色をしています。青色の動物はたいてい沖合いの大洋をすみかにする生物の色ですが、このカツオノエボシも大海原を風船のようなフロートで浮いていて、フロートの下には長く伸びる多数の触手をぶら下げています。この触手にある刺胞で魚を刺して殺して餌にしています。

  ところが沖合から陸に向かって風が吹き続けますと、自分では泳 ぐ力がなく、フロートに風を受けて移動するしか能のないカツオノエボシは、遠い沖合から岸近くに吹き寄せられたり、海岸に打ち上がります。浅い海にきてもその色合いで、泳いでいる私達はなかなかこいつを見つけられません。ましてこいつの下から長く伸びている触手は遊泳中の我々にはほとんど見えません。

  遊泳中にこの触手が体に触れると、その強力な刺胞に刺されます。刺された時は、体中に電気が走ったと思うほどの激痛が全身を走り、触手が触れて刺された所が直線状に赤くミミズばれになります。ショックで死亡した例もあります。刺されないようにするには、海面を漂うフロートをいち早く見つけることですが、保護色でなかなかうまくいかないことが多いようです。もし、刺された時には皮膚に付いている青い触手をそっと体からはがし、陸上に上がってアルコールをそっとぬることです。触手が皮膚についたままで、その上をこすることは絶対にしてはなりません。未だ発射していない刺胞を新たに発射させ、より多くの毒 を体に注入することになるからです。

   イラモ