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最新の話題 2007年08月【海域】

8月の錆浦の海―台風の爪痕と夏の魚

 7月中旬に台風4号が紀伊半島に接近通過しました。その後、台風5号が九州に上陸し、8月に入ってからもいくつかの台風が発生したために、串本でも波の高い日が続きました。幸い、4号以外の台風は紀伊半島に接近しなかったために、被害らしいものはありませんでした。8月前半の平均水温は27.2°Cで、平年並みとなっています。   さて、台風4号の被害は陸上ではほとんど見られませんでしたが、海底では様々な被害がでています。海中展望塔の周辺では、スギノキミドリイシが根本が少し残るのみとなり、大きなクシハダミドリイシはいくつも剥がれてなくなりました(写真1)。また、部分的に欠けたクシハダミドリイシや表面を削られたようなニホンミドリイシも多く見られました。展望塔の周辺ではだいたい3割くらいのサンゴが被害を受けたものと思われます。

 展望塔の北側に広がっているスギノキミドリイシの群落でも大きな被害が確認されています。強い波によって海底の砂礫が掘られ、埋まっていた骨が露出しています(写真2)。飛ばされた砂礫は、スギノキミドリイシの枝の隙間を埋めるように溜まっています(写真3)。飛ばされた砂礫によって枝が折れていることもありますが、枝の隙間が埋まっていることで枝が非常に短く見えます。

 さてさて、台風も一段落した海中では、今年生まれの魚たちがたくさん見られるようになりました。先月は数匹で群れていたソラスズメダイの子どもも、けっこう大きな群れをつくるようになりました(写真4)。また、今年の夏はヒメジ科のオジサンやニザダイ科のナガニザの子供たちが多くみられます(写真5)。どちらも夏に普通に見られる魚種ですが、この夏は今年生まれの小さなものだけでなく、越冬したと思われるやや大きなものも見られ、いつもより多く感じられます。

 また、錆浦地先で見られるクロホシイシモチを見ると、オレンジ色の点が多数ついた個体が多く見られます。これらのイシモチには寄生虫(ウズムシ類)が付着しているのです。この寄生は2005年から夏に現れるのを確認していますが、クロホシイシモチだけに寄生していて、他の魚種ではみつかっていません。昨年までは大きな被害は出ていないようですが、今年はより多いように思われることから、今後の経過を注視したいと思います。

 最後に、また珍しいフグを見つけました。先月のフグと同様にキタマクラ属の珍種、シボリキンチャクフグです。海中展望塔の近くに単独で見られました。私自身の記録では1999年秋に1度見ただけの珍しいフグで、他での観察例は少ないものと思われます。今年も海中では様々な珍しい生き物が見つかるようになってきて、楽しい季節がやってきたと感じられます。

剥がれたクシハダミドリイシの跡
写真1. 剥がれたクシハダミドリイシの跡
砂底が掘られたスギノキミドリイシ
写真2. 砂底が掘られたスギノキミドリイシ
埋まったスギノキミドリイシ
写真3. 埋まったスギノキミドリイシ
ソラスズメダイの群れ
写真4. ソラスズメダイの群れ
オジサン
写真5. オジサン
ウズムシが付いているクロホシイシモチ
写真6. ウズムシが付いているクロホシイシモチ
シボリキンチャクフグ
写真7. シボリキンチャクフグ

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