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慶良間諸島国立公園のストーリー
沖縄県那覇市の西方約30〜40㎞に位置し、大小30余りの島々と数多くの岩礁から成り立つ慶良間諸島。最大の魅力は、「ケラマブルー」と称される美しい海だ。クリアな水色から深い群青色へと、青色の変化を見せながら太陽の光できらめき、訪れる人を魅了せずにはおかない。
ケラマブルーの海は、生命を育むゆりかごでもある。豊かなサンゴ礁にはカラフルな魚たちとともに、ウミガメが悠々と泳ぎ、周辺の海には冬から春にかけて、ザトウクジラが繁殖のためにやってくる。
慶良間での楽しみはマリンアクティビティだけではない。島の中に足を向ければ、連続した多様な景観を味わうことができ、歴史に育まれた民俗文化が息づく、ゆったりと流れる島時間に身をゆだねることができる。非日常的な空間で本来の自分と向き合う。そんなひとときを過ごせるのも、ケラマブルーの世界ならではの楽しみだ。
リトリートへ誘う「島の時間」
「リトリート(retreat)」とはもともと、「逃避する、避難する」といった意味。そこから派生して、多忙な日常生活からいったん離れる時間を持ち、心身をリセットして、ポジティブに日常生活を再スタートする、という意味でも使われる。慶良間の島々には、訪れる者をリトリートへと誘う、ドラマチックな景観美や癒しの時間が存在している。
渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島、慶留間島、それぞれの島には、慶良間諸島のダイナミックな多島海景観を一望できる魅力的な展望台がある。高台から眺めるサンセットは、思わず時間を忘れるほどの美しさ。また、阿波連ビーチ(渡嘉敷島)や古座間味ビーチ(座間味島)などで、のんびりと砂浜に座って、ケラマブルーの海を眺めたり、海と空が刻々と表情を変える夕暮れのひとときを過ごすだけでも心身がリフレッシュする。
沖縄には「ゆんたく」と言って、家族や友人が木陰などに集い、おしゃべりを楽しみながら夕涼みする習慣がある。暑い日の夕方に集落内を散策し、ゆんたくに加わってゆったりとした島時間を感じるのもいいし、夜はビーチに寝転がって、波音を聴きながら満天の星に心ときめかすのもいい。沖縄本島(那覇市泊港)からのアクセスも良く、手軽にアプローチできる別世界だ。
生き物にあふれるサンゴ礁の海
ラムサール条約の登録湿地になっている慶良間諸島の海。透明度の高さは世界屈指で、魚やサンゴを始めとする、海の生き物の種類は実に多彩だ。
ダイビングやシュノーケリングで遭遇率が高い生き物に、ウミガメの仲間がいる。慶良間の海には、アオウミガメ、タイマイが生息しており、シーカヤックやSUPに乗って、海中を泳ぐウミガメの姿を見ることもできる。
また、毎年12月下旬から4月上旬にかけて、繁殖のために慶良間の海域にやってくるザトウクジラにも高い確率で出会うことができる。豪快なザトウクジラの行動を船から観察するホエールウォッチングは、冬期のアクティビティの目玉。運がよければ、ザトウクジラの子育ての様子を観察できることもある。
特筆すべきは、マリンアクティビティの事業者が、生き物の保全を第一に考えた姿勢で仕事に取り組んでいる点だ。例えば、事業者が地元住民と協働し、サンゴの保全活動やモニタリング調査、海岸清掃などをボランティアで行うなど、海の環境保全に努めている。
多彩な生き物の宝庫であるケラマブルーの海は、地域をあげた保全活動によって守られているのだ。