環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護南極地域観測隊同行日記

(番外編)昭和基地の思い出 生活環境、食事や部屋

2013年2月28日(木)

 昭和基地での生活について紹介します。生活拠点となる建物は3つあります。管理棟、第1夏宿、第2夏宿の3つで、それぞれ管理棟、1夏、2夏と呼ばれます。越冬交代までの期間、管理棟には基地の管理をする53次越冬隊が、1夏には54次越冬隊を中心としたメンバーが、2夏には54次夏隊を中心としたメンバーが宿泊していました。2月1日の越冬交代に伴い、管理棟に54次越冬隊が移り、仕事を終えた53次越冬隊は少しずつしらせに戻ります。残った53次越冬隊と54次夏隊は1夏に引っ越し、2夏は無人となります。私は夏隊の同行者という立場のため、越冬交代により2夏から1夏へ移動しました。

1夏の部屋

 2夏にはトイレ・風呂がありません。越冬交代に伴い、1夏に引っ越したときにはトイレ・風呂のある生活に戻れてうれしかったのですが、直後に排水関係の配管が凍結により故障してしまい、水回りは修理が済むまで使用禁止、トイレは基地中心部の管理棟を使用することになりました。幸い設備担当の隊員のがんばりですぐに修理されましたが、それ以降は凍結対策をしながらの生活でした。南極では夏でも厳しい気候であることを再認識しました。

 宿泊する部屋は2夏では2人で1部屋、1夏に引っ越してからは4人で1部屋です。個人のスペースはベッドの上だけです。

 昭和基地の生活では、節電、節水、廃棄物の分別に関しての意識が高く保たれていました。以前ご紹介したとおり、しらせ滞在中から、昭和基地に行けばより厳しく節電・節水が求められることから、基地での生活の予行練習として積極的に節電・節水をするよう呼びかけがあり、基地内でも使用していない場所は電気を消す、水は無駄にしないという行動が徹底されていたように思います。生活の全てが自分たちで持ち込んだ物資のみという環境で、資源に限りがあることを常に意識しているためではないでしょうか。

廃棄物分別の一覧表(49次隊で作成)写真拡大

 廃棄物は隊員が各自で分別し、廃棄します。分別は30近い廃棄物の区分ごとに、処理方法や持ち帰り容器、注意事項を定めています。中には分別の判断に困るものがありますが、環境保全隊員に確認し、間違った分別がなされることがないよう注意をしています。回収された廃棄物は環境保全隊員が処分しますが、誤った分別や判断しづらいものは、環境保全隊員がミーティングで注意や説明をすることで、隊全体で間違った分別が続かないように対応していました。これらの廃棄物は、可燃物は焼却して灰にし、その他のものも潰して容量を減らすなどしてコンテナやドラム缶等に入れて持ち帰ることになります。

 食事は、基本の3食に加え、作業の休憩中にとる中間食を含めて調理隊員が管理しています。朝、昼、晩とおいしい料理を調理隊員がつくってくれたので、作業を終えて戻ったときには、ついつい多めに食事をとってしまいました。食品に対するアレルギーがある隊員や、日本食に慣れないヘリクルー(外国人)への配慮もなされています。

食事例

 日本を離れ、南極という文明圏から離れた地域で生活していると、日々の生活は様々な作業がありつつも、曜日感覚や季節の経過に対する感覚が鈍くなります。しらせの船内では曜日感覚を保つため、毎週金曜日にカレーが出されることが過去に同行した職員から紹介されていますが、昭和基地内でも金曜日のカレーは継続し、それに加え、何かのイベント事の際(54次隊歓迎会、クリスマス、正月、節分、53次隊お疲れ様会等)には、特別な料理が出され、雰囲気を盛り上げてくれました。また、基地外で調査中に誕生日を迎えた隊員がいる場合には、調査に合流する別の隊員に、特別にケーキを持たせて祝ってくれることもありました。

イベント時の食事

 基地外の調査に出る人数が日々変動し、基地に滞在する隊員のために調理する量は変わります。54次隊のみで最大60人近くが昭和基地に滞在した時期がありましたが、やはり食品廃棄物は出てしまいます。調理の過程で出る野菜くずや魚の骨等は仕方ないのですが、食べられるもので余ってしまったものは、調理隊員が工夫し夜食として活用したり、翌日出発する基地外での調査へ持っていけるよう準備する等無駄にならないよう努めていました。

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