環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護南極地域観測隊同行日記

スカルブスネス

2013年1月14日(月)

 1月8日から1月11日にかけてスカルブスネスのきざはし浜と呼ばれる場所に行ってきました。スカルブスネスにはシェッゲ(ノルウェー語で「ひげ」という意味だそうです。)という高さ400m以上にもなる断崖があります。夕日に照らされると赤く映えるシェッゲ、この時期は日が沈まないのでどの程度赤く見えるだろうかと思いながら出発しました。

逆さシェッゲ写真拡大

 夕方、少し傾いた太陽に照らされたシェッゲは予想していたよりも落ち着いた色でしたが、海面に映った"逆さシェッゲ"はとてもきれいでした。また、現地での移動を案内してくれた53次隊の隊員の方に連れて行っていただいた場所には氷河によって運ばれた"迷子石"がたくさんあり、赤い岩肌は紅葉をイメージさせるように感じました。

赤い岩肌と迷子石写真拡大

 さて、スカルブスネスで私は地圏・測地チームに同行し、国土地理院及び海上保安庁から派遣されている隊員に付いて基準点測量、潮汐調査をお手伝いしてきました。その他、地震計の撤去等の作業が行われました。これらの測量・調査は基準点を新たに設定し、現行の南極の地図をより正確に更新するためのもの、最低潮位を調べ、新たな海図作成に役立てられるものです。どちらも寒い中、長時間にわたって体力的にも厳しい作業が進められました。環境省でも使用する南極の地図ですが、このような地道な作業があって作成されていることを実感しました。

 地圏・測地チームより先にスカルブスネス入りし、一緒に過ごした陸上生物チームは周辺の湖を周り、植物の調査をしています。スカルブスネス地区の湖沼の水中には「コケ坊主」と呼ばれる水生のコケ植物が作る円柱状の群落がみられるそうです。こちらも一度見ておきたかったのですが、湖沼の岸辺からでは残念ながら見ることができませんでした。

 一方、私が訪れた時期には海氷が岸に接していなかったため、海岸から海中を覗くことができました。ヒトデ、ウニといった生物が見られました。その他、ペンギンやナンキョクオオトウゾクカモメ、ユキドリも見られ、様々な生物が生息していることが解りました。

 今回の同行中に過去の調査隊のダンボール箱が落ちていることを発見しました。中身はなかったのでおそらく強風により空箱が飛ばされたものと思われます。箱は回収して昭和基地に持ち帰りました。回収作業を手伝ってくれた53次、54次の隊員の皆さん、ありがとうございました。

 スカルブスネスでは様々な生物とともに、美しい景観が見られました。現地調査のために様々な地域に立ち入る私たち、そして観光などで南極地域を訪れる方も、このような生物や景色に対する悪影響がないよう十分注意して活動しなくてはならないと強く思いました。環境省でも南極の訪問などに関するパンフレットを作成したり、外国語のガイドラインを翻訳してウェブ掲載しています。これら資料の周知に努めなくてはならないと思いました。せっかくなので、この場を借りて紹介させていただきます。

環境省の南極地域の環境の保護に関するホームページはこちらです。
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 訪問の手引きや各種のガイドラインは下記をご覧ください。南極に旅行する方は行く前に是非チェックを!

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